Round 3
Hi-land GT Championship in SENDAI Hi-land Raceway




Practice Day Report
Friday, 27 June 97



新型になったスカイライン勢

 今回から、No.2 ZEXELスカイライン、No.3 ユニシアジェックススカイライン、No.12 カルソニック スカイライン、No.556 KURE R33の、都合4台のスカイラインが97モデルに置き換わった。各ドライバーに新型の印象を訊いてみた。

 No.2 ZEXELスカイラインは金曜日にスカイライン勢のトップ、総合では2番手のタイムをマーク。鈴木亜久里は「富士ではストレートで負けていたが、ここでは負けていない。乗っていても96と97の違いは感じないが、クルマの仕上がりは勝てるレベルにある」と自信をのぞかせる。

 いっぽう、No.556 KURE R33の影山正彦によれば、「クルマの感じはあまり変わらないですね。ただ剛性が上がっているので、セッティングがきちんとできるようになりました。それと96モデルは同じスカイラインでも個体差が大きかったんですが、バラツキは少ないみたいです。まぁどんなクルマでもある程度はしょうがないんですけどね。エンジンについては、パワーは変わりませんが、レスポンスが向上してます」とのこと。ただ金曜日には「エンジンがどうも朝から元気がなかった」ため、載せ換えることになった。

 No.12 カルソニック スカイラインの星野一義は「97になったといっても中身は変わらないからね。まだまだこれからだね」と言う。このNo.12は、金曜日のフリー走行4回目の途中、本山哲が第1コーナーでコースアウトし、前後バンパーおよびアンダーパネルを破損してしまった。本山によれば、「最初からブレーキのフィールが良くなかったんですよ。その周によってブレーキの効き始めるペダルの位置が違うんです。コースアウトした時は、前の周より手前の位置で効いてしまったために、早めにロックしてしまって、まっすぐ飛び出してしまいました。原因がつかめていないので、ちょっと苦しいですね」とのこと。  No.3 ユニシアジェックススカイラインの長谷見昌弘は「まだ、96より97のほうがいいところというのは、はっきりは言えない。ただ、ドライだとフロントの喰いつきはいいんだよ。これまではそれで悩んでいる部分もあったからね。ウェットだとまだちょっとね…」と、今ひとつ納得がいっていないようすだった。


55 Castrol RX7

 RE雨宮に続き、今回から3ローターの20B型を搭載してきた。「GT300クラス同士なのに500クラスみたいに抜かれる。深沢さんと話していて、これではつまらない、完走できなくても速さをアピールしたい、ということになったんです」と言うのは長島正明。エンジン自体は、かつてのGCレース('89年で終了)用で、広島マツダが保有していたもの。昨年の富士から載せようという計画があったが、それが今回実現したということだ。「RE雨宮さんのはコスモ3ローターの改造で、ウチのはマツダ発売のもともとは450〜550psあるレース用エンジンだから、リストリクターをつけてパワーをおさえても有利だと思うんです」(長島)

 ただ、GC用のコンピューターはロムの打ち変えなど手を加える必要があり、プライベーターでは手が出ない部分もある。このあたりをマツダスピードに打診してみたが、「それだけ予算があったら寺田さんが乗る(笑)」と言われたそうだ。

「カリカリのGC用高回転エンジンだから、やってみないとわからない。でも13Bでタナボタ狙いをやっていてもしかたないんで、カッコだけでもつけたい(笑)。遅くても20Bで闘っていれば話題になるでしょう。でも、エンジンに火が入ったのが今週の水曜の夜7時で、金曜の午前1時にエンジン調整が終わったという、ギリギリの仕上がりになってしまったんです。ミッションやデフは富士のまんまです。ハイランドも初チャレンジのコースなんですよ。深沢さんは走ったことがあるそうですが、でも、アンフィニ西東京に泥棒が入って、深沢さんのレーシングスーツとヘルメットが盗まれちゃって困ってるんです。完走とか大それたことは考えていません。野上さんのところのロードスターには負けたら困るんで、逆ポールは避けたいですね。今回はデビューなんで、次の富士で結果を出したいです」(長島)


17 東京科芸専:REロードスター

 第2戦富士でのデビューが予定されていたロードスターが今回ようやくデビュー。シェイクダウンは仙台ラウンド直前の月曜日に富士で行われた。野上敏彦によれば、「シェイクダウンは無事に終わったんですが、マイナートラブルが出て4周ぐらいしか走れなかったんです。でも、RX-7よりフィーリングは良かったんです。今のところは、RX-7よりしなやかな感じです。RX-7と同じパワートレインで重心ははるかに下がって、トレッドも広がって安定感が出ました。ただ、これで2ローターはウチだけになっちゃったのに、レギュレーションが変わって1000kgになったんで、クルマが軽いんでバラスト積んだりするのが大変です」とのこと。

 タイヤは、RX-7ではフロント240、リア265を装着していたが、ロードスターではフロント215、リア240へと1サイズダウンした。「18インチは値段が高いんで、17インチを履いています。RX-7も一応動けるようにはしてあります。学生にとっての実習ですのでマシンが壊れたらしかたないですから。造るのも材料代くらいで、アリモノのパーツや貰いものでできてます。製作費は500万円ぐらいしかかかってないと思いますよ。まず予選通過ができたら、次には完走を目指したい。キング・オブ・ロードスターに恥じないようなレースをしたい(笑)」(野上)


◎ 訂正

No.57 SiFo Spider Ver. GTについて、第2戦富士でのレポート文中、「重量も900kgの規定に合うんです。ベース車両が850kgですから。ただ、クリオ・マキシというラリー用のエンジンなので、エンジンが250ps程度のパワーしかないんで、富士に関して言えばパワー不足から厳しいコースだと予想されます」との記述がありましたが、正しくは「GT仕様の装備をしても900kgプラスの重量なので、規定に合わせるためには100kg近いウェイトを積まねばなりません。また、クリオ・マキシ用のラリーエンジンを搭載しておりパワーは250psしかないため、ウチのクルマにとって富士はきびしいコースでしょう」でした。なお、同チームは、「今回はエンジンのリビルドが間に合わず出場を見合わせた」(藤井監督)とのことです。


MR2勢、3台中2台にターボチャージャーを装着

 今回、3台のMR2勢のうち2台がターボを装着してきた。ワイズダンロップBP MR-2の藤田孝博は「バランスが取れてないんで、その分トラブルが心配です。NAのときですらドライブシャフトのトラブルが出ていますから」という。加藤寛規によれば「ベンチで出ていたトルクが全然出てないんです。コンピュータのセッティングもあると思うんですが、2サイクルのバイクみたいにものすごいピーキーな“ドッカンターボ”になっているんです」とのこと。

 No.25 つちやMR2の土屋武士は「つい最近クルマができたばかりで、金曜日に初めて見ました(笑)」。金曜日の走行後には、「ターボに問題あり、です。ちょっと大きすぎたかもしれません。No.6も同じなので、タイムは出てないでしょう。予選は一発集中でタイム出して、決勝はデータ取りかな…。勝ちは狙いますけど」とやや弱気だった。

 一方、唯一のNAになってしまったNo.91 バーディークラブ・MR2。松永雅博は「一発はターボのほうが速いと思うんですが、NAもバランスは悪くない。今回、フロントのトレッドを広げたんで、コントロールがしやすくなって、クルッと回るスピンはしなくなりました。ターボとは30〜40PS位の差はあるみたい。他が煮詰まったらターボに手をつけたいんですが、NAでもまだまだつちやさんの所のようなマシンの仕上がりには及んでいませんから」という。


27 スチーブン・アンドスカー(TEAM FCJフェラーリ)

「アンデルス(オロフソン)がこのレースに来られなくて、私を推薦してくれ、チームが受け入れてくれたので今回走れることになりました。この3年間日本で走れなかったのですが、以前のようにまた日本で走りたいと思っていました。それで毎年日本にもどって来る道を求めていたのでこの機会をたいへんよろこんでいます。GTCはどんどんくなっていますね。出来れば続けて行きたいと思っています。ただ、クルマについてはとてもまだコメントできないですね。何しろこのサーキットは初めてだし、クルマも初めてだし、今日はこのコンディションですからね。昨日が初めてですし。次のレースにはアンデルスが出ます。実はこれが私の参加する今年初のレースです。来年もGTCに出たいですね。それも出来ればGT500 クラスに」


510 RH CERUMO SUPRA

B.ガショー「FETとの契約が2戦までで切れて、今回はじめて新しいチームから参加するんだ。クルマは昨年のタイプ(セルモが使っていたもの)に、97年仕様のエンジンを積んでいる。ギヤボックスはHパターン。調子? 悪くないよ。ただ、今回がデビュー戦なんで、まだまだやるべきことが多い。でもやりやすい良いチームだよ。それにいままでは1台だけだったが、このチームは2台走らせている(セルモ・スープラ)のでクルマについての情報交換をすることが出来る。これは重要なことだよ。次の富士までに97仕様のエアロパーツを組み込む予定だ。ギヤボックスについても僕はHパターンの方が好きなんだ。シーケンシャルはどうも好きではない。」

P.ベルモンド「僕はシーケンシャルの方が好きだよ。ともかくもっと走り込まないと。日本でのレースは難しい。ヨーロッパではいつももっと前を走っているのに、ここに来ると後ろに下がってしまう。このサーキットも初めてだし慣れが必要だ。」

B.ガショー「その通りだ。僕らヨーロッパのドライバーは日本のサーキットで、日本のタイヤを履いた日本車に乗るとなると慣れが必要になる。ドライビング・スタイルが違うからだが、たとえば僕はこの前のル・マンでポルシェ911 GT1に乗ったけど全く問題なかった。すぐに乗りこなしたよ。これは日本人ドライバーがヨーロッパに来るとあまり良くないのと同じことだ。」


34 土屋圭市(STPタイサンポルシェGT-2)

「路面がちょい濡れだと良い感じだね。ドライやヘビーレインだとちょっとウチラには辛いかな。今回は目を三角にしないで、久々に戻ってきた国内のGTレースを楽しみますですね」







8 POWER CRAFT SUPRA

ワイン・ガードナー「今回FETに乗ってくれないかとお誘いを受けて、日本のGTにカムバックできました。今シーズンはオーストラリアのツーリングカー・レースをメインにやっていました。日程的には幸運にもダブッていませんので、今シーズンの残りのレースには全部出ると思います。97年モデルのスープラは、クルマとしてはとてもよくなっていると思います。ただ我々のクルマはオーバーステアが強くて、今いろいろと調整しているところで、どこまでいいのかまだよくわかっていません。また昨年はダンロップ・タイヤでちょっと問題があったのですが、今年はブリヂストン・タイヤで今のところまったく問題ありません。またFETのチームも、小さいけれどいいチームだと思いますので、自分としては今の課題はどうクルマを造り上げるかだと考えています。今シーズンの目標は、いい成績を残すことと、自分のドライビング技術を上達させることですが、そのなかで1回か2回勝てればうれしいですね」