Round 3
Hi-land GT Championship in SENDAI Hi-land Raceway




Race Day Report
Sunday, 29 June 97



27 TEAM FCJフェラーリ

 今回、クルマを大幅にモディファイしてきた。兼子監督によれば「ボディは屋根以外はほとんど全部カーボン。フロントバンパーの形状を変えてダウンフォースをアップしている。リアのサブフレームも切り取ってパイプで造り直している。プライベートとしてできることは、ほとんどやってきました」とのこと。前回センターロックに変更したにもかかわらず破損してしまって5穴に戻さざるをえなかったホイールは、今回ハブをチタンで新造してきたが、またしても金曜日に破損。結局5穴ホイールを急遽調達して予選、決勝に臨むことになった。


サードMC8R、GTC参戦へ!

 これまで、国内では鈴鹿1000kmにしか出場していなかったサードMC8Rが、GTCにも参戦することになった。以下は同チームの山本 泰マネージャーの話。

「サードMC8Rでル・マンを戦っているのですが、ひと月前に行ってテストしてもどうしても熟成不足になるので、国内のGTCでも走らせようということになった。ル・マンとGTCではパワーも違うし、別なクルマのようになってしまいますが、それでも走らせて熟成していくほうがいい、と。スポンサーが決まって、クルマの参加に問題が出るようなことのないように、先にJAFに必要な手続きをしたんです。ただ、次の富士についてはスポンサーが未だ決まっていないので参加しません」


7 山路慎一(RE雨宮SuperG RX7)

「今回は下回りの剛性アップをしてきました。フレーム剛性は上げられるんですが、メンバーにアームが出ていて足回りもメンバーはノーマルを使ってるんですが、それがもたないんで。車重は7〜8kgは重くなったみたいですが、ウイングをカーボン製にしたりマフラーの中間部分を薄くしたりしてるんで、トータルでは変わらないといっています」


5 田嶋栄一(5ZIGEN SUPRA)

「予選は一番いいラップにシケインでスピンしているクルマに引っかかって、タイミングが取れず失敗でした。決勝はミズモノなので、石橋を叩いて渡るように走ります。スタートはボクの予定です。コースはボクにとっては相性のいいコースなので、同じポテンシャルがあれば前に行けると思う。金曜のテストはメニューがすべてはこなせなかったから、課題はありますが、決勝に向けては『これかな』というところまではいけてる。目標は、表彰台の一角でも占めたいですね」


26 鈴木恵一(タイサンスターカードRSR)

「(フリー走行の)感触はよかったよ。決勝グリッドは9番手だけど、スリックだったらボクらのほうが速い。おもしろいレースになるんじゃないかな。武士のところ(つちやMR2)が絡んできて、No.19のシルビアとの戦いになると思う。前でゴチャゴチャやってくれればラッキーだね。後ろから淡々と追い上げるよ」


19 福山英朗(RS☆Rシルビア)

「ポジション悪いんで…。決勝は、タイサンとウチになると思う。ドライのほうが正直いっていいんでね」


21 山本健司(ダンロップ-BP-BMW)

「フリー走行ではドライのテストができていないんで、決勝に向けてギア比を変えたりしています。コースはほとんど乾いていました。ここのコースは抜きにくいんで、ボクがまずはスタートを決めて頑張りたいと思います」


18 avex童夢無限NSX

 朝のフリー走行はまったく走らなかった。佐々木マネジャーによれば「まあ、路面もよくないんでムリをしたくないんで温存したんですよ」とのことだが、事情通のあいだでは「某ドライバーが寝坊をしたらしい」というウワサが流れている。「金曜日と予選1回目は、エンジン自体ではなく電装系のトラブルで、ハーネスを取り替えるので手間がかかりました。予選2回目で起きたオイル漏れも解決しました。予選の最後にコースアウトしましたが、まったく損傷はありませんでした。もう問題はありませんよ。決勝は...。とにかくウチはロングディスタンスを走ってないから、どうなるかわからないんですよ。できれば、雨のがよかったかなぁ」とは佐々木マネジャー。


910 ナインテンポルシェ

雨の予選で最後に逆転され2位になったものの、ずっとトップタイムをキープしていたナインテンポルシェ。決勝に向け自信満々かと思いきや、そうでもないようす。袖山誠一によれば「予選はずっとトップだったんで、もう大丈夫かと思ったんですが、逆転されちゃいました。決勝もガンガンいきたいところなんですが、実は今回富士用のギアのままなんですよ。だからほとんど2速と3速しか使ってないんです。同じポルシェでも、タイサンさんとかは当然ギアを換えているでしょうから、ちょっとつらいですね。でもまぁ、なんとか生き残れば上位に入れると思うので、がまんのレースをしますよ」とのことだった。


88 JLOCディアブロGTR

朝のフリー走行には出走しなかった。和田孝夫によれば「いや、ミッションにちょっとトラブルを抱えているので、壊さないように走らなかったんです。決勝前のウォームアップも、1周したらすぐグリッドにつきます。できるだけ余分な周回はしない、ということです。でも、せっかく出る以上は1周でも長く走りたいですね」とのこと。


34 千葉泰常監督(STPタイサン アドバンGT-2)

「次はクルマを代えようと考えています。ただ、購入を予定していたバイパーはル・マンで燃えてしまうし、ホントに欲しかったクルマは契約上の問題があって購入不可能になるしで、どんなクルマになるかはまったく未定です」


39 谷川達也(デンソーサードスープラGT)

「50kgのハンデは、朝走った感じでは思ったより影響はありませんね。ただ、周回を重ねるとブレーキなんかがきつくなりそうです。タイヤはこの暑さで走ってないんでなんとも言えませんが、後半はきついかもしれませんね。ただ、それはよそのメーカーのタイヤでも同じだと思います。朝のタイムは、まだ路面に濡れたところがある状態でのものですが、決勝では温度が上がりそうなのでやはり48秒後半から49秒ってところじゃないでしょうか。スタートは影山さんで、ピットインはちょうど真ん中くらいでする予定です。なんとか上位に入って、100kgハンデを積んでみたいですね」


Special Interview

各タイヤメーカーに戦略を訊く


 昨夜の嵐がうそのように、夏の陽射しが照りつけている今日の仙台ハイランドレースウェイ。当然、決勝レースはドライコンディションで行われることになる。となれば気になるのは各チームのタイヤ選択。ブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップ3社のエンジニアに話を訊いた。

ブリヂストン「今回からGT300クラスの供給はなくなりまして、すべてGT500クラスへの装着となっています。基本的にソフト系とミディアム系の2種類を用意していまして、今回ほとんどのチームがミディアム系のものを選んでいます。ソフト系を選んでいるチームがあるかどうかについては……、チームの事情もありますので、秘密ということにさせてください」

ヨコハマ「GT500のほうは、今回コンパウンドとしては全部で4種類を用意しました。使用する3チームそれぞれマシンが違いますので、フロント・タイヤはみなサイズが異なります。STPタイサン アドバンGT-2とデンソーサードスープラGTは、今回ミディアム系を選択しています。またエンドレスアドバンGTRは、木下みつひろ選手の好みで、ハード系を選んでいます。一方GT300クラス用には3種類を用意しましたが、今回は全チームともミディアム系を選んでいます。ただ決勝中に交換するタイヤは、ソフト系を検討しているチームもあるようです。ミディアム系の場合、タイヤ交換なしでもなんとかいけるとは思いますが、1分52秒台ていどのハイペースでずっと周回してしまうと、ちょっときびしいかもしれません」

ダンロップ「今回GT500用には3種類のゴムを用意しています。使用するマシンが違いますので、それぞれサイズと構造は若干の違いがありますが、コンパウンドとしては全車ミディアム系を選択しています。一応レース中の交換は必要だと考えています。GT300クラスのほうは、昨日雨の予選で素晴らしいパフォーマンスでしたので、とてもよろこんでいます。ドライ用は2種類のゴムを用意してきたんですが、今回は全チームがソフト側のものを選んでいます。実は選択するときの天気予報では、予選が晴れで決勝が雨だったものですから、みんなソフトを選んだんです。でも逆になっちゃいましたので、ちょっと困っています。もちろんレース中に交換する必要があると思います」





○決勝スタート直前(14時20分現在)

天気:晴れ/気温:28度/湿度:56%/路面温度:32度
入場者数:6/29 37,200人(6/28 3,300人)


○ ピットスタートはなし


*リタイヤ(GTインサイドレポート班調べ)
No.原因周回数
70ミッション9L
18オイル漏れ12L
88ミッション24L
55ミッション34L
6ターボ39L



2 ZEXELスカイライン(総合2位)

鈴木亜久里「どっちにしても最後までがまんできるとは思わなかった。タイヤはコマスはソフトだったんだけど、オレはハードでいったんだ。それが失敗だったね。最後、あれ以上がんばるとぶつかっちゃうからしょうがないよ。でも納得いかないなあ。すげえくやしいよ。次、またがんばるけど」


100 RAYBRIG NSX

高橋国光「ギアがなくなっちゃったんだ。1,2,3速がね。だから、ストレートはちゃんと走るからコーナーではジャマにならないように走ってましたよ(笑)。で、コースサイドに寄るからタイヤがゴミを拾っちゃって、振動が出て冷や冷やでした。でも、僕らはデータが足りないから、次のためにとにかく最後まで走ったんだ。でも、序盤は良かったでしょ(笑)。NSXのポテンシャルがあるのは分かっていただけたと思います」


19 RS☆Rシルビア(GT300クラス2位)

福山英朗「今回はオレが失敗した。コーナーの突っ込みはこっちが速いんだけど、ピックアップでは負けているから、ヘアピンでなんとか前に出ようとムリに突っ込んだら前を閉められてダートに出ちゃった。ダートが濡れてるもんだから、滑っちゃってなかなか戻れなくて・・・。もちろんこれからもランキングトップをキープしていきますよ。つちやMR2が撤退することを祈りながら(笑)」

織戸 学「クルマもタイヤも全然問題なかったんだけど、序盤で離されちゃったので、前のクルマは、もう全然見えませんでした」


26 タイサンスターカードRSR(GT300クラス3位)

新田守男「最後、バイブレーションがひどくてペースが上げられなかった。まるでタイヤが終わっちゃったみたいな感じだった。でも、終わってはいないんだよ。原因はまだわからない」


38 カストロール・セルモ・スープラ(総合4位)

竹内浩典「ボクのセッティングミスで最後の10周で追いつかれた。序盤はタイヤのグリップがあるんだけど、グリップが落ちてくるとオーバーステアがひどくなる。他のクルマはアンダーステア気味なのに、ボクだけが不安定でした」

金石勝智「ボクのパートは、ガソリンも周回数も少なかったんでクルマの感じはよかった。ペースが特別遅いということもなかったし。次の富士はバチッと決めたいです」


39 デンソーサードスープラGT(総合5位)

影山正美「今回はウエイトハンデを痩せさせようと4位ねらいでいきました。結果は5位でしたけど・・・。周回遅れを抜こうとしたらスピンしてしまった。残りのレースは、確実にポイントを稼いで、チャンプを意識せず1レース1レースがんばります」


5 5ZIGEN SUPRA (総合6位)

田嶋栄一「今日は淡たんと、敵はいようがいまいが走りました。もうちょっとプッシュしたかったけど…。タイヤとのマッチングが課題ですかね。スープラでは唯一のダンロップで、BS勢を追いかけてる立場ですから」