Round 3
Hi-land GT Championship in SENDAI Hi-land Raceway

Special Report

All about All SUPRA!
スープラ勢、各チームごとの違い


 今回からNo.510 RH CERUMO SUPRAが増えて、合計7台の多きを数えるに至ったスープラ勢。クルマには1台ずつ若干の違いがみられる。そのあたりの話を、各チームのエンジニアにうかがった。



No.39 デンソーサードスープラGT
宮坂 宏エンジニア

「ヨコハマ・タイヤさんはスープラは初めてなんです。ヨコハマさんがスープラを想定して最初に持ってきたもののサイズなりスペックなりが、我われが『スープラを速くするためには』と考えるものと若干ズレがあった。それで今年前半はタイヤの開発というものが大きなウエイトをしめていました。今でもそれはやっています。それにクルマを合わせていく、ということです。
クルマを合わせるというのは、メカニカルな、スプリングなどのセッティングの部分です。それをタイヤの開発に合わせてやっています。タイヤのほうは、こちらのリクエストででき上がったものを、このレースで初めて使います。テストでは確認しているのですが・・・。 だからタイヤに合わせるというのが我われの一番の仕事なんです。クルマに対してのタイヤの性能で欠けているところを出してもらう、というのが一番です。それ以外のところではウチは特別なことはやっていません。
たとえばフロント・スポイラーに特別なプロテクションをつけたとか、ディフューザーの形状が違うといった細かいところで、レースを戦うためにやっている措置で、特別なことではない。それから冷却系でもウチはこうしようというようなことはやっている。それくらいです。ただ、セッティングそのものはスープラを走らせる各チームごとにずいぶん違うと思います」



No.38 カストロール・セルモ・スープラ
No.510 RH CERUMO SUPRA
佐藤正幸代表

「No.38は、サスペンション関係は造り替えている。アップライトの一部変更など、アーム類は一部違う。材質、形状から異なっています。ダンパーやスプリングについてもセルモが選択したパーツを装着しています。
外装については、ベースはトヨタのもので、それにプラス・アルファしています。ウイングは今回はトヨタと合同テストをやったものに手を加えています。ノーズあたりの形状が違っていますね。それから、オリジナルのパーツはデフで、“ハイブリットデフ”と呼ばれるものが装着されています。コースによって微調整の必要がないオールマイティのデフで、ギア式とビスカスカップリングのコンビネーションによるものです。
コースごとのデータについてもトムスとは違うと思う。サスペンションなどの足回りのセッティングはもちろん、ドライビングのしかたなどによって合わせて行くわけですから。
全体的には、まあ、大きな変更点はそれほどないですね。No.510については、エンジンが'97仕様となっているが、ミッションは96仕様。足回りは、96と97では根本的に違うんで、移植したりすることはできません。96と97モデルでの性能差はさほどはなく、ドライバーは乗りやすくなったというが、タイム的にはそれほど差はありません」



No.36/No.37
カストロール・トムス・スープラ
伊藤宗治エンジニア

「No.36とNo.37の差は、クルマを造ったロットの差ぐらいで、違いはまったくといっていいほどないです。ベースマシンはトヨタとTRDが造っていますが、エンジンやミッション以外のマシンの開発に関しては、トムスでやっています。
足回りではアーム、ダンパーなどを開発していますし、ジオメトリーも独自に取り直しています。ボディ補強のやり方も違います。実車テストによって開発した空力パーツもオリジナルです。デフはオリジナルで、ミッションについても中身をちょっと変えています。燃料タンクもガソリンを吸いやすいようにしたり、リファインしたりということをやっています。このクルマは違いすぎますから…。
ボディ補強、サスペンションなども弱いなというところは補強しています。反対に軽量化は、オリジナルもそれほど重くないんで、それほどやっていません。現実論として、ボディの剛性を上げたほうがいいわけで、穴を開けたりするとパーツ単体は軽くなってもそれほどメリットはないんです。ブレーキはキャリパーはブレンボですが、ローターはAPという組み合わせで、毎レースのようにこれを変えたりもしています。契約などは何もありませんから、自由にやれるわけです。
エアロパーツなどは毎戦違います。とくに富士からこのハイランドでは空力はまったく違います。どなたが見ても横に大きく張り出したフロントウイングの形状は違いがわかると思います。ダウンフォースを得るための改造ポイントです。リアウイングは今回からで、オリジナルはTRDの3枚ウイングで、これに対してウチのは自分たちで造ったものです。
なにも秘密にはしていません。GTにかぎっては“見せるレース”ですから。レギュレーションもそうでしょう(笑)。ライバルといっても、スープラだけを見てるわけじゃないから、トップを取りたい。他車もどんどん開発が進んでいるから負けられない」



No.5 5ZIGEN SUPRA
石井源治チーフメカニック

「目的はどのチームも一緒なんでしょうけれど、プレッシャーやノルマが違うんです。ウチとしては広報活動の一環としてやっていまして、メーカーからのサポート色は濃くないんで、必勝態勢というプレッシャーはないんです。クルマもTRD製のベースマシンからさほどの改造はありません。トムスさんと比べると、ほとんど改造してないTRDパーツを使っています。ただ、タイヤに関しては、スープラ勢唯一のダンロップユーザーとなっています。ドライに関してはさほどの差はないんですが、ウエットは善し悪しで(金曜のフリー走行では)3セッションともにブリヂストン有利かという感じですよね。まあ、雨の度合にもよると思うんですが。ただ、1台だけということでデータを取るにもトラブって走れないとテストもできないわけで、データ量という点ではちょっと不利ですかね。いまだに震災の影響は残っているようですし。ヨコハマさんもフォーミュラから撤退されて、力を集中してるみたいですからね。
エンジンはチームで手を加えることはできませんから、イコールコンディションです。2人のドライバーのセッティングの好みは、一種の耐久レースであり、折り合うところでやっています。わがままはあまりないです。まあ基本は国内レースではキャリアのある田嶋を優先しています。グーセンはF3以外は日本では乗ってないですから。
今回からカラーリングが変わりましたが、5ZIGENのイメージ・ロゴを変えたからです。 GTは5ZIGENカラーを全面に出したいんで、イメージチェンジです。前のカラーリングはコースなどでは角度によってカストロールに似ていたんで。我われはスポンサーに左右されないんで、飽きればまた変えます(笑)。
今シーズンがGT初参戦ですが、スープラは5年目で完成度も高いし、乗用車に近い感覚と言うのは言い過ぎかもしれませんが、普通のメンテやっていれば心配ない。開発はトムスさんやメーカーサイドのフィードバックで楽はできています。ここのパーツの完成度は高く、いきなり壊れるトラブルは少ない。対策品の供給を受けているわけで、ウチの独自のマシン開発というのは趣味の領域ですから(笑)。リアウィングは、ハイランドのテストにTRDはギリギリで間に合わせてきたんですが、ウチとしても準備だけはしておこうということで、独自のものを用意だけはしてきました。でも、TRDのもののほうが、ちょっとだけダウンフォースが大きかったんで、それを使っています。
ウチとしては、ワークス勢が崩れたときに代わりができればと思っていますし、まあ、富士は本命がスピンしたりして途中まではそうなっていました。気持ちは勝ちたいんですが、差は出てくると思います。台数で勝負のスープラ(笑)のなかの1台として上位がねらえるよう頑張ってます」



No.8 POWER CRAFT SUPRA
尾篭登監督

「ウチのオリジナルの部分はエアロデバイス関係で、リアウイングとフロントバンパーは独自のものをつけています。開発はガードナーが担当していて、順調にセットアップできています。ガードナーはトップライダーとして培ってきたセットアップ能力を持っていて、『時間がない。じゃあ、こうしよう』という“割り切り”ができるんです。
スープラっていうのは、TRDパッケージのかたちで出てくるから、味付けをする部分は限られてくる。だから、同じようなラップタイムにタイムが集中してくるのは当然ですよね。コースに関しては、今日(金曜日)の段階ですでにガードナーが詰めてきちゃいました。
金曜日の4回目のフリー走行は満タンで決勝を想定しました。ウエットもドライも同じで、先日の合同テストでは一番時計のセッションもありました。今まで、そういうところまでやりたかったのにできなかったから、フラストレーションがたまっていた。今回で役者もそろったから、『このドライバーが乗っていてダメなら全損でもしかたない!』というノリで次戦に向けて行きたいですね」