地獄から天国。天国から地獄へ 次々とトップに襲いかかる罠。 そして勝利の女神はデンソーサードスープラを選んだ
Round 4 JAPAN SPECIAL GT Cup スタートでトップに立ったNo.38 カストロール・セルモ・スープラの竹内浩典。ハコのスペシャリストである彼は、抜群のローリングスタートからポールポジションのNo.36 カストロール・トムス・スープラのミハエル・クルムを抑えて、1コーナー侵入時点でトップに立つ。そして、竹内は2周目に1分30秒449というこの日のファステストとなるタイムで、早くも後続を引き離しに掛かる。No.38、No.36に続くのはNo.8 POWER CRAFT SUPRAのワイン・ガードナーだが、彼はローリングのスタートの時にエンジンストールし、本来なら最後尾スタートなるはずだったが、ガードナーはローリング中に元のポジションに戻ってしまったためにペナルティ・ストップとなり、早くもトップ争いから脱落。代わってNo.510 RH CERUMO SUPRAのベルトラン・ガショーが3番手となる。 その後方では、No.18 avex 童夢無限 NSXとNo.100 RAYBRIG NSXの5位争い、No.556 KURE R33とNo.2 ZEXELスカイラインの7位争いなど、序盤は同一車種同士が激しくバトルを繰り広げる。ここでまず脱落するのは、No.18のNSX。わずか15周で、ハブを壊してコース上でストップ。続いて、2台のスカイラインもヒートアップし過ぎたバトルで接触。互いにダメージを被り、優勝戦線から離脱する。ここで先に止まったNo.18 NSXを撤去するためにセーフティーカーが入った。 このセーフティーカー・ランは18周目から6周に渡って行われ、この間に早めだが、ルーティンのピットストップを終わらせてしまおうと作戦変更を行ったチームが出た。中でもNo.3 ユニシアジェックススカイラインとNo.12 カルソニックスカイライン、そして序盤マシンのバイブレーションのため10周ほどで余分なピットストップを強いられたNo.39 デンソーサードスープラGTがタイミング良く素早く作業をすませ、上位に進出する。 ところがNo.3 ユニシアジェックススカイラインは、なんと追い越し禁止違反でペナルティストップ。そして、4番手の好位置に付けていたNo.100 RAYBRIG NSXも再スタート時の違反でペナルティを受ける。
一方、このセーフティカー・ランを利用せずNo.38とNo.36はマッチレースを続け、終盤にピットインする作戦に出た。だが、思いの外長引いたセーフティーカー・ランのためか、この2チームがルーティンのピットストップを終えてコースに戻ってみると、No.39 デンソーサードスープラGTが25秒も先方にいる。残り20周程で、No.38とNo.36のラップタイムはマシンに不安を抱えるNo.39より、1秒以上速い。このままで行くとラスト数周で逆転かと誰もが予想しだした、40周過ぎに今度は最終コーナーでGT300クラスのマシンがクラッシュし、再度のセーフティーカー・ランとなる。これで、No.39 谷川とNo.38 金石と間は一気に詰まって再スタート。さあ、逆転かと思ったその時、この再スタート時の違反でNo.38に痛恨のブラック・フラッグ。これで、No.38は優勝どころか、表彰台も失った。しかし、No.39の背後に今後はNo.36デ・ラ・ロサが急接近。今度こそ、と思った51周目に300RでGT500のポルシェがクラッシュ。またもやセーフティーカーがコースに。これで、獲物を目の前にNo.36は、手が出せなくなってしまう。結局、セーフティーカーが入ったまま最終ラップを迎え、No.39デンソーサードスープラGTの勝利となった。3位にはNo.37カストロール・トムス・スープラが入り、予選同様に上位をスープラが独占することとなった。 巧みなレース展開でタイサンスターカードRSRが2勝目 FCJ フェラーリが初の表彰台をゲット GT300クラスでは、クラス予選トップのNo.25 つちやMR2が序盤をリード。これにNo.21 ダンロップ-BP-BMWとNo.27TEAM FCJ フェラーリが続く形だったが、最初のセーフティカー・ランを活かしてNo.26 タイサンスターカードRSR、No.910 ナインテンポルシェが上位に進出。そして、No.25 つちやMR2はピットイン時の速度制限違反というミスでペナルティを受け、順位を大幅に下げてしまう。 そして、健闘していたNo.7 RE雨宮SuperG RX7とNo.81 ダイシンシルビアがトラブルでリタイアすると、No.910、No.26の2台のポルシェがトップ争いを展開。No.26はNo.910をかなり追い上げるがわずかに届かず2位でゴール。ところが、最後のセーフティカー・ラン最中にNo.910が他のマシンを追い越すという違反を犯して、ゴール後に1分加算となって4位に。
結果、No.26タイサンスターカードRSRが優勝となった。2位には燃圧不良によるエンジンのパワー不足を巧みに凌いでNo.27フェラーリが初の表彰台。3位にはRS☆Rシルビアが入った。
No.39 DENSO SARD SUPRA Masami Kageyama & Tatsuya Tanigawa ■ 影山正美 「スタートしてすぐにオーバーステアが出て、タイヤかと思って交換したらデフトラブルのようだった。運良くペースカーがウチのクルマの直後に入ったので、一気に隊列の最後尾まで付くことが出来て遅れた1周を取り戻すことができた。ピット作戦はチームの決断というか総合力でしょう。地獄から天国と言うか、富士で2勝目できてうれしいです。前回、ただグルグル回ってただけだなんて言ってた谷川君も今回はレースができたんじゃないかな(笑)。え、これでランキング2位に16ポイント差? いやぁ、いいねぇ(笑)。でもほんと信じられない。ここで勝てないと、スープラはもちろんMINEではスカラインも速いだろうし。だから、最初にピット入ったときは、もう手袋投げつけてたんだからさ。MINEでは1ポイントでも多く取って最終戦を迎えたいです」 ■谷川達也「確かにマシンは本調子ではなかったです。なるべくペースを落とさずに、丁寧に走っていました。実は無線も調子よくなくて、誰がどのくらい迫ってるかよく分かてなかった。え、金石さんはペナルティだったんですか、知らなかったです。 3戦で2勝ですか。ラッキーというか、運だけで生きてますねぇ(笑)。僕はただ走ってただけですから(笑)。僕個人はチャンピオンを争う立場ではないですが、影山さんとチームをチャンピオンにするために全力を尽くします」 影山正美「いい奴だなぁ、お前は(笑)」 No.26 TAISAN STAR CARD RSR Keiichi Suzuki & Morio Nitta ■鈴木恵一「いやぁ、表彰台の一番上に上がるのが恥ずかしいですよ。途中、なんか踏んだらしくてバイブレーションが出て、ストレートで抜かれちゃう。あんなところでペースカー入るから負けちゃったと思ったよ。今回は新田君がいい仕事をしてくれたからね。彼の勝利ですよ。これでNo.19のシルビアと同点だから、あとはもう他の車を気にせずNo.19との勝負だと思ってます。ウチは去年90kgまでウエイト積んだ経験があるから、これからはそれを活かしてチャンピオンを狙いますよ」 ■新田守男「2回目のペースカーが外れてからは、GT500も混じってもうゴチャゴチャで。みんな500にくっついて上に行こうとするし(笑)。玉ちゃん(No.910 玉本秀幸)とオロフソンが接触したりして、ラッキーと思ったら玉ちゃんまだ走ってるし(笑)。もう2位ねらいで行こうと。最後は玉ちゃんにうまくやられちゃったと思ったんだけど…。何か変だとは思ったけど、彼の違反は気づかなかった。それより、こっちはもうがっくり来ちゃって(笑)。ここでNo.19と同点で、ここからスタートだと思います。MR2とか他も速いのにウチは遅いから、ほんとチョーキビシイですよ(笑)」 |