GT500クラス・エントラントにきく 現状のGTCをどう考えているか、今後はどういう方向に向かうべきと考えているか、レギュレーションについてを中心に、各チームの代表に話を聞いた。(順不同) なお、GT-A事務局の考えは、前回富士で聞いたGT300クラス・エントラントの意見に対するものも含め、次戦の菅生でレポートする予定。
■3 ユニシアジェックススカイライン/長谷見昌弘代表 「現状では、レギュレーションがスープラに有利なように働いている。昨年もストレートは速かったが足回りが煮詰まっていなかったので目立たなかった。今年はコーナーも速くなり、速さが目立つようになった。NSXも速い。コーナーのスピードが圧倒的に速く、安定しているからアクセルを開けるポイントも早い。そうすると直線でも(ターボ車に)ついていけちゃう。で、ブレーキングポイントが違うから、突っ込みで前に出られる。来年、ホンダが力を注いできたら、もっと速くなるだろう。そうなったら、もうどうしようもないよ。こうした現状を考えると、一番いいのはスープラの重量は1200kgに揃え、ミッドシップは50kg重くすることだと思う。 GT500より上のクラスを作ることはありえないでしょう。GT700なんて、誰が言ってるのか知らないけど、そんな存在もしない言葉は使わないでください。不愉快です。だって、それはGT500を潰すことでしょう? GT500がなくなっていいんですか? そもそもGTCは、できるだけおカネをかけずにやろうというのが始まり。バブルがはじけても一生懸命レースをやってきた人がいるから続いている。今は台数も増えていい状況になってきているのに、1億円もするクルマでやったら、それに反する。Cカーの二の舞になっちゃうよ。毎回いろんなクルマが勝ったり負けたりするような状況をいかに保つかが大事。ウェイトが勝敗を左右するようなレギュレーションにすべきだと思う。できれば、毎回、メーカーのしがらみなどがない人が高いところから見ていて、『あのクルマは直線が速すぎるから次回からリストリクターを絞ろう』とか、『コーナーが速いから重くしよう』とか、そのくらいのレスポンスでやるのがいい」
■38 カストロール・セルモ・スープラ/佐藤正幸代表 「現状のレギュレーションに大きな問題はないと思う。ムリにイコールコンディションに揃えようとすると、抜きつ抜かれつがなくなって、1列縦隊のレースになってしまう。それを考えれば現状は、まあやむをえないのではないか。ただ、できることなら、ウェイトを全体に軽くしたほうがいいと思う。いくら日本独自のレースといっても、ヨーロッパやアメリカからも参加しやすくしたほうがマシンもバラエティに富んでくる。マクラーレンだって1200kgという重量がイヤでやめたようだし、あまりネガティブな方向にいっちゃうとレースのグレードが下がってしまうよ。軽くするにはおカネがかかるっていったって、やってみたわけじゃないでしょ? まずは軽くする努力をしてみるべきだよ。GT500より上のクラスを作るというのは、台数が10台以上そろうのならともかく、1台か2台おまけみたいに走るんじゃしょうがない。お客さんの側に立っていうと、朝早くから来てくれるお客さんに対して、レースとレースの間隔が開きすぎている。イベントをやるとか、もっと退屈させないようなことを考えるべきだと思う。これはGTに限らず日本のレース全部にいえることだけど、サーキットもオーガナイザーも、見せかたということをもっと考えていかないと。パドックももっときれいに見せられるようにして、見る側からあこがれられる存在になっていかないといけないと思う」
■34 STPタイサンアドバンバイパー/千葉泰常代表 「現状としては、昨年のレギュレーション改訂で車両重量を1200kgで合わせる方向であったのに、排気量2リッター以下は1150kgという特例が認められていることはおかしいと思います。少なくとも重量に関しては1200kgで統一すべきでしょう。またリストリクター径に関しても、NA3.5リッター以下車の特例がありますが、これはたとえば2バルブ車の特例などに比べ、有利すぎるような気がします。来季に向け、このあたりの見直しは必要だと思います。それ以外では、とくに大きな不満はないですね。現状で十分コンペティティブですし。ただ来季、たとえばポルシェGT1のようなクルマを日本で走らせるということには反対です。JGTCのレギュレーションに合わせたとしても、やはりもともとのポテンシャルが違いますから。あれは違う世界のクルマなんですよ。もしあのクルマが出るとなると、国産メーカーもR390GT1のようなクルマを出さざるをえなくなるでしょう。それはこのシリーズの破綻を招くことに繋がるでしょうから、なんらかの規制を行う必要があると思います」
■30 綜合警備PORSCHE/坂田智和監督 「現状はやはりプライベーターには非常に厳しいですね。ポルシェGT2は、昨年まではまだ直線だけは速かったですけど、今はポルシェを使うメリットはなにもないに等しいです。ですから我々としては、来季に向け、レギュレーションを原点に戻す方向がありがたいですね。つまり全車パワーダウンして車両重量を軽くしてもらうのが理想です。だったらGT300に出ればいいじゃないかという意見もあるでしょうが、対スポンサーを考えると、それも難しいですし。たとえばポルシェGT1を持ってくるようなことも手としてはあるでしょうが、価格的なものを考えれば現実的じゃないですし、もし持ってきたとしてもウェイトをバンバン積んだのでは勝負にならないでしょう」
■510 RH CERUMO SUPRA/ポール・ベルモンド氏
(昨年ヨーロッパのBPRシリーズに参戦。日欧の2つのGTシリーズにフルエントリーの経験を持つGTCでは唯一のドライバー)
■18 avex童夢無限NSX/佐々木 正氏 「GT500 の上のカテゴリーを、という案に関しては、そういうマシンはGT-Aの当初の主旨の求めていたのとは違うと思う。GT500 については、あくまでも前にエンジンのついたクルマを想定した日本独特のレギュレーションになっているため、GT本来のミッドシップのマシンを造るにはやりにくいレギュレーションになっている。そのあたりをいろいろなクルマが出てこられるようになってこそ理想的なレースになるのではないか。今のレギュレーションのままだと造りにくいクルマが出てくる。今は特認車輌などという方法でそれを補ってはいるが、ちゃんとルールのなかでいろいろなクルマが出てくるようにしてほしい。ウエイトハンデについては競争の原理を損なうものだ。それにGTの場合は走行距離も長いのでブレーキなど危険性の問題も出てきてしまう。賛成はできない。最低重量1200kgというのも反対だ。重いレーシングカーを造るというのは、こんな馬鹿げたことはない。ウチでも120kg 以上のウエイトを積んでいる。それなりに努力したことが報われるようなカタチにしてほしい。変なところで足かせしても他のところで稼がなければならないので、過激な競争をなくすことにはならない。自然体にした方がいいと思う。 レース自体については、GTはどうしても大所帯になるから仙台のようなところはやめてほしい。チームは狭いなかで大変な思いをするし、スポンサーの心証も悪くする。仙台で2回やる必然性はないはずだし、ガレージに入ってクルマのドアを両方開けられないようなところでレースをやるのは危ない。興行的な面では事務局が一所懸命やってくれているが、参加する側としては仙台はやめてもらいたい」
■5 5ZIGEN SUPRA/木下正治代表 「GT700クラスのモンスターマシンは日本にそぐわない。FIA GTのベンツを見てもマクラーレンを見てもエスカレートしてるでしょう。マキシマムでもGT500のクラスに留めるべきです。基本的には現状でいいと思いますが、NSXやMR2なんかの2シーターはよくないと思います。4シーター以上の2ドアでレースをやるべきです。レギュレーションについては、初年度なんでどうのこうの言えるかわかりませんが、あまりエスカレートしないようにしてほしいですね。今回もポルシェのリストリクター問題がありましたけど、抑えてイコールコンディションにする方向で続けてほしい。あとは、来年に関しては、300kmは充分走れるんで400kmぐらいの耐久性を増したレースにしたらどうでしょうか? ファンサービスについては、フォーミュラニッポンに比べたらよっぽどやってると思います。あとは、誰もがオープンで入れるクラスもいいし、台数を増やすのもわかるんですが、もうちょっと内容をアップしてほしい。GT300とGT500クラスのスピード差があってもいいけど、あまり差があり過ぎるのも問題があるでしょう。ドライバーの基準をもう少し厳しくしないと、色物で終わらない正常なレースをしないといけないでしょう。最後に言いたいことは、役者あってのレースやから、もう少し我々の意見を採り入れてくれるといいと思います。あと一点は、エスカレートしないため、メーカー直系のチームがやってるプライベートテストは制限して、オフィシャルテストだけにしてほしい。ウチらはレースもテストも同じおカネかかりますから」
■36 / 37 カストロール・トムス・スープラ/舘 信秀社長 「GTは結構お客さんが入っているし、JTCCの幹事としてはうらやましいかぎりだ。うまく行っているのかな、と思う。ただ、GT500 、GT300 ともに力の差があり、上と下の差がもう少しつまるといいと思う。ある時期はスカイラインが速くて、ある時期はスープラが上位独占してしまうというのではマンネリ化してしまう。上を抑えるのか下を上げるのか、それをどういう風にすればいいのかはわからないが。ほんとうの意味のコンペティションから言えば違うのかもしれないけど、今はこういう方法しかないとボクは思っているし、今のGT-Aの考え方、今のルールの決め方は支援するほうだ。ただ、現実的にスープラが強くて、今回はホンダが前のほうに割り込んできたので、内容としては面白くなるかもしれないが、スカイラインにも速くなってほしいし、欲をいえば外国車がもう少しエントンラントの顔ぶれのなかにほしい。 ボクはGT500 の上のクラスを設けてもいいと思う。いくつかのメーカーから何台か出て来て、激突して1メーカーが抜けた、2メーカーが抜けたというふうになった結果、何年かしてそのクラスが無くなってしまったとしても、今のクラスがそのまま成り立てば、GTはなんとか存続していけるのではないか。グループCが潰れたのは、あれしかなく、その下がなかったから。今のレースが基盤になって、そこに世界のGTクラスが入ってきて、ワーッとやってワーッとやめていってしまっても、こっちが残っていればいいと思う。ボクは反対じゃない。混走でもいいと思う。別なレースとしては成り立たないでしょう。ただそれより、第三者的には今のGT500 のポルシェが、もう少し前を走れるようにしたい。外国車が逃げて国産車が追うというのがおもしろい。欲をいえばきりがないが、今GTはうまく行っているのではないか、と思う。いろいろ心配なところはあるが、全体的には成功しているし、やっている人の工夫でいろいろなアイディアを入れてやって行けばもっとおもしろくなると思う」
■12 カルソニックスカイライン/金子 豊監督 「速すぎれば締めたり、特認を認めてくれといえば認めてくれるという今のレギュレーションは、不安定というところがある。エントラントとしてはまあ、割り切って出ている。個人的には、ウエイトハンデ制はおかしいと思う。勝ったからウエイトを載せるというのはスポーツではない。そういうことでやっていこうということに大反対ということではないが、もともとハコのレースでイコールコンディションということはありえない。ありえないことを、誰かを重くしたり、ターボの口径を小さくしたりしてバランスをとっていくことは難し過ぎることだと思う。いつまでそういうことをやっていくのか。みんな満足しなくなってくるのではないか。現状でも台数が減ってきているようでもあるし、なんとかしなければいけない部分もある。 GT500 の上のクラスを設ける、という考えには反対だ。このレースの原点はそいうものではなかったはずだ。皆の合意でプライベートチームの救済のために重量等を決めて運営しているのに、それをやったら出られるところと出られないところが出てきてしまう。15台、20台集まるとは思えない。3億、4億かかるだろうし、走らせることができるチームはいいが、できないところのチームの人やドライバーは職がなくなってしまう。一般の人もそういうクルマを見たいと思うのはわかるが、オールスターなどのときにそういうクルマを走らせるのはいいとしても、シリーズでそういうクルマを走らせるのは反対だ」
■39 デンソーサードスープラGT/加藤 眞代表 「現在のGTCのレギュレーションは大枠でOKだと思います。ただそれは、トヨタやニッサンが新しいル・マン用GTを出さずに、他のチームがマクラーレンやポルシェGT1などを出さなければ、という前提でね。もしそうでないなら、将来的にどういう方向に向かうのかを、今のうちに考えておく必要があるでしょう。我々はル・マンや鈴鹿1000kmにMC8Rで出場していますが、そのたびに痛感するのは、日本人ドライバーが今のGT500用の450馬力強の経験しかないために、600馬力を超えるクルマに慣れていないということです。決して腕が悪いのではなく、慣れの問題なんです。それを考えると、そろそろFIA GTなどの国際レースと、日本のGTCの距離を接近させる必要があると思います。だいたい今のレギュレーションでずっと続けていけば、必ずマンネリ化してしまうはずなんです。ですから来年までは現状のままで、再来年以降はGTCの次のステップとして、上のクラスのエンジン出力を600馬力程度に上げるべきだと思います。プライベーターには厳しいのではという意見もあるでしょうが、たとえばスープラやスカイラインのエンジン出力を450馬力から600馬力にしても、若干の変更で済むはずです。エンジンをメーカーが出してくれれば、プライベーター自身がチューンするわけではありませんから。むしろ車両重量を減らすほうが大幅な変更を伴うことになると思います。またプライベーターがポルシェGT1のようなクルマを持ち込む場合でも、車両重量さえ1100kg程度に増やし、多数派の国産勢を若干重量的に有利にすれば、それほど問題なく面白いレースになるでしょう。逆にそれでポルシェやマクラーレンが強いなら、ニッサンやトヨタも新型のGTを出せばいいんです。せっかく世界にはああいったGTマシンがあるんですから、もっといろいろなクルマが戦う方向にしたほうがいいですよ。もちろん我々もMC8RをGTCに出場させたいという気持ちは持っています。ただ現状では、我々の勝手な考えだけで出場させるわけにはいかないと思っているんです。とにかく、来年のレギュレーションとともに将来的な方向を今から考えておく必要があることだけはまちがいないでしょう」
■88 JLOCディアブロGTR/和田孝夫氏 「GT500についてではないんですが、GT300に出ている人たちから『現在のウェイトハンデ制はおかしい』という意見を聞いたんですよ。今は、優勝するとGT500もGT300も同じく30kgでしょ? もともとの重量が違うんだから、GT500が30kgだったらGT300は25kgなり20kgなりにしないと、比率からいって合わないというんです。これはもっともだと思います。どうも、すべてがGT500中心に考えられていて、GT300は数合わせということになってしまっている気がします。レギュレーションに関して言えば、全部が全部同じタイムで走れっていうのは、もともとムリなんですよ。どこかが速いから抑えようとかいうのはおかしいと思います。競争なんだから、速い遅いが出てくるのはしょうがないんですよ。マクラーレンやポルシェGT1のようなクルマが出やすいようなレギュレーションにするのは、いいと思います」
○ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル技術部課長 岡 寛氏 「GT500 はうまく行っていると思う。その生い立ちからいってグループCの二の舞はしないという皆の意識が高いので、できるだけそちらの方向に行かないようにというシステムになっているのでいいと思う。ただ完璧ではない。これは私の意見だが、いろいろなクルマが出るというのは大賛成だが、いろいろなクルマを皆ひとくくりにしてしまうのはどうかと思う。やりすぎても問題だが。それとハンデウエイトはもっと重くしてもいいと思う。ツーリングカーが1tちょっとで30kg、GTは1200 kgなので、割合からいっても、もう少し重くてもいいと思う。勝ち続けるクルマは今までは出ていないが、出てくる可能性がある。その1200kgという重量だが、ヨーロッパのGT1のように1t切るとか1t台にするのは、技術的には問題ないがおカネがかかってしまう。メーカー系はたぶんできるが、プライベートにはむずかしい。従って1200kgという重量は妥当なところだと思う。車輌規定についてもラフなようで細かいところも網羅しているのでいいと思う。ただフロントバンパーのことにしても解釈が違ってきているのでそういうところを検討したほうがいいと思う。また今はフロントエンジンもミトシップも、丸いクルマも四角いクルマも皆同じだが、その辺の区別も今後の視野には入れなければいけないかと思う。あまりがんじがらめにするのもよくないが。 GT500の 上にGT1カーを入れるということは、クルマを造るほうとしては速いクルマは魅力がある。観客の立場としても見たいと思う。ただ、GT-Aのメンバーとしては、メインテナンス、ランニングコストを含めて皆がやって行けるかどうかが問題だ。そういうカテゴリーができれば、主要メンバーは当然オーバーオールを狙うわけだからそちらに行くだろう。そうなるとGT500 はさびれてしまうのではないか。GT700 かどうかは知らないが、その数台がトップを争って後はさびれてしまうのではCカーの二の舞になってしまう。観客動員や参加台数を増やす努力をセットでやれば、否定はしない。魅力はある。また、いっそGT1にしてしまうということには、GT1カーは高いクルマであり、またランニングコストが高いので果してどうか。何チームかはできるだろうが、何チームかは撤退してしまうかもしれない。走らせる方には魅力はあるが、そういうことも考えなければならない。GT500 の上のクラスを作るには、GT500 も成り立つようにしなければならない。ただ、それを検討することには反対はしない」
○トヨタ自動車モータースポーツ部主担当員 柘植和廣氏 「GT500 は、細かい問題点はあるにしてもおおむねこれでいいと思う。GT700、つまりFIAのGTを走らせるというアイディアは、GT500 と同じレースで混走させるのはよろしくないと思う。ただ、せっかくFIAのGTがあるので、それを日本の人にも見てもらいながら開発するという考えは、日産さんなどにはすごく意味があるだろう。ポルシェのGT1やマクラーレンあたりを日本の人が買って走らせるとすれば、逆にGT500 と一緒じゃないほうがやりやすいのではないか。また、GT500 とGT700 を一緒にしてGT300 を分けるというのではGT300 がイベントとして成り立つのだろうかという心配がある。GT500 の今のカタチは、メーカーとして考えるならば、ある意味においては量産車ベースだからやる意義はある。ただGT1は事実上プロトタイプだからそれとは一線を画す必要があると思う。そういう意味ではGT500 とGT300 は同じカテゴリーのなかでやり、GT1なりル・マンGT1なりは別の観点でやる必要があると思う。TTEで開発している来年のル・マンに出すGT1カーを日本で走らせるという考えはまったく持っていない。ヨーロッパで造ってヨーロッパのル・マンで走らせるクルマなので、日本に持って来る必然性はまったくない。宣伝的には若干あるのかもしれないが。仮にGT700 とかいうカテゴリーが日本にできてもそこで走らせる気はまったくない。別なレースとして、たとえば日産さんが3台出し、ポルシェGT1を買った人がそれを出し、マクラーレンが出るということになれば10台ぐらいになる。それだけではつまらないかもしれないが、イベントとしては成立すると思う。しかし、そこにトヨタが出て行かなければいけないか、というと、今はその必要性はまったく認識していない。今後FIAのGTがどういう方向に行くかによってスタディとして考えることはあるだろうが、今、それを視野に入れているということはまったくない。ル・マンだけだ。
(GT500 でプライベート・チームが勝てなくなっているという意見については)結果としてメーカー系のチームが勝つとしても、我々はハードに差をつけて提供しようとは思っていないし、そうしていない。たとえばゴールデンウイークに富士でやったレースでは5ZIGENがトップを走っている。差が出るのは、たとえばテストの時間が少ないとかチーム力の差、ドライバーで差が出ているということだ。ニッサン、ホンダもそういうふうにすればプライベートの人もやる気が出ると思う。我々としても負けようと思ってやってはいないが、メーカーとしてもただ勝てばいいということではないと思う。いい素材を提供することによってチームがそれをうまく活用してやってくれればいいと思っている。ボディまでやりたいというところがあれば、公認の問題があるからロールケージだけ提供して、後はやってください、というふうに。そういうふうにやれば、いろいろな意味で日本のレース産業なりチームなりの役に立てる部分が多分にあると思う。去年まで走っていたJUNオートのようなカタチをとれるような部分は残しておいたほうがいいと思う」
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