SUGO GT Championship in SPORTSLAND SUGO

| 10.26 sun | Wether: Rain | Course: Wet | Start: 14:23'14/Finish: 16:35'47.526 |
| SPORTSLAND SUGO International Racing Course : 3.704256km / 81Laps |



大混戦の最終戦
雨の狭間を突いた5ZIGEN SUPRAが初優勝!
正美の健闘届かずチャンピオンはクルム/デ・ラ・ロサ組に


Round 6 SPORTSLAND SUGO
26 Oct. '97
Race Report

 10月26日、スポーツランドSUGOで全日本GT選手権第6戦(最終戦)の決勝レースが行われた。レース直前から雨が降ったり止んだりと天候が目まぐるしく変わるなか、接近戦が展開された。特に終盤は目まぐるしくトップを含め順位が変わる混戦となり、終盤を堅実に走った5 5ZIGEN SUPRAがGTC初優勝を飾った。GT300クラスも71 シグマテック911が今季初優勝となった。

 チャンピオン争いはランキングトップの36 カストロール・トムス・スープラと2位の39 デンソーサードスープラGTが序盤で接触し、36は大きく遅れ入賞圏外となったが、39が上位入賞できなかったため、36ミハエル・クルム/ペドロ・デ・ラ・ロサ組がチャンピオンとなった。


GT500

スタート前に突然の雨。
それが混乱の始まりだった。

 決勝レースのスタート2時間ほど前に急に雨が降り路面はウエット状態となってしまった。雨自体は20分ほどで止んだのだが、気温の低さから決勝レーススタート時になっても乾かなかった。このため、急遽レインコンディション下のフリー走行を15分行った。

 そして、路面が乾かない状態でレースはスタートとなった。フロントローの2台 100 RAYBRIG NSX/飯田章と18 avex無限童夢NSX/黒澤琢弥が1コーナーへならんで進入し、なんと100 飯田がスピン、リカバリーしたものの28番手近くまで落ちてしまった。一方、この先陣争いを制した18 黒澤は、2番手の37 カストロール・トムス・スープラ/関谷正徳を徐々に引き離し、単独走行となる。2番手争いは3738 カストロール・セルモ・スープラ/金石勝智、8 POWERCRAFT SUPRA/W.ガードナー、5 5ZIGEN SUPRA/M.グーセンのスープラ勢が1秒間隔ほどで競り合う緊迫した争いとなる。そして単独6番手に556 KURE R33/影山正彦が。ランキング1、2位でチャンピオンを争う36 カストロール・トムス・スープラ/M.クルムと39 デンソーサードスープラGT/影山正美は7、8番手。その後ろには2 ZEXELスカイライン、12 カルソニックスカイラインがほとんど差がなく4台がテール・トゥ・ノーズ状態となる。スピンで遅れた100 RAYBRIG NSXは凄まじい追い上げで中盤の混戦を掻き分け、わずか12周で6番手に復帰した。

 そして、19周目のストレートで39のテールと36のノーズが接触。39はそのまま走り続けたが、36は左フロントフェンダーを大破してピットへ戻る。普段ならリタイヤするほどの破損だったが、チャンピオン争いを少しでも有利にするため、トムスは修理を決断し長時間の作業に入った。

 この頃になると、雲が途切れて日差しが強くなる。路面はドンドンと乾いていき、20周を過ぎる頃には走行ラインはドライ状態となる。このころからトップ18 avex無限童夢NSXのペースが上がらなくなり2番手集団の83738がじわじわと近づき差は5秒程度となる。レース中盤となり、各車ルーティン(予定)のピットインへ。コースコンディションを見てすべてのチームがスリックタイヤへと交換した。10番手を走行していた39が37周目にピットイン。ここで36との接触で壊した右リアフェンダーがジャマしてタイヤ交換が速やかに出来ずに1分40秒近い時間をロス。順位こそ13位での復帰だったが、これでチャンピオンの可能性は絶たれたかに見えた。


ウェットからドライ。そして...
サバイバルレースは意外な結果に

 各車のピットが終わった47周目には、100 高橋国光が4番手にまで復帰、18 山本勝巳の後方の8 長坂尚樹、37 鈴木利男、38 竹内浩典からなる2番手集団の後ろにぴったりとくっつき4台でのサイド・バイ・サイドを展開する。その後ろには5 田嶋栄一、2 鈴木亜久里、556 近藤真彦の順番に。だが556はエンジントラブルで脱落する。

 そして、37は60周目の1コーナーでパスして、2位となる。これでこの時点で10番手の39が6位以内に入らないと37 関谷/利男組が逆転チャンピオンとなる。  そしてこの頃からまたもや雨がコースを濡らし出す。トップ18はこのためかペースが大きく落ち、2番手37が差を詰めていく。一方、雨の降りはさらに強くなり、スリックを履いている各車の挙動が安定しなくなる。

 そして、69周目の馬の背コーナーで18 山本がスピン。再スタートは出来たものの一気に4番手に落ちた。これで37がトップに立つが、次の周にこの雨でもペースの良かった38にかわされて再度2位に。だが、38も73周目に1コーナーでスピンし、グラベルにはまり自力で脱出することが出来ずに入賞圏外へと落ちた。これでラスト8周。トップに立った37が大逆転でチャンピオン獲得と誰もが思った76周目、なんと鈴木利男がヘアピンで痛恨のスピンアウト。順位を3番手に落とす。

 これでトップに立ったのはこの悪条件下で手堅く走った5 5ZIGEN SUPRAだった。5 田嶋はこのまま順位をキープして初優勝を飾った。ドライバーの田嶋も途中1度スピンをしたが素早いリカバーで事なきを得て我慢の走りの結果だった。

 ラスト5周では2番手に100 高橋国光が上がって来たのだが、その周の馬の背でスピン。後半の混乱を後目に上がってきた2 亜久里が変わって2番手になるが、なんとファイナルラップでスピン。再度気力の走りでリカバーしてきた100 RAYBRIG NSX/国光がこれをかわして結局2位でゴールした。3位は2 ZEXELスカイラインとなった。

 チャンピオン争いだが、一時はトップを走った37 鈴木利男は結局4番手に落ちてアウト。そして、39 谷川達也は交代してから1度スピンしたものの、コース上に残り走り続ける。終盤、上位陣の混乱で順位を上げたが最終的に7位となった。

 この結果、36 クルム/デ・ラ・ロサ組と39 影山正美は、ともに67ポイントで同点となり、優勝回数も2回、2位1回も同じ。36は3位入賞が1度あるが、39はこの次の入賞が5位のために36のチャンピオン獲得が決定した。なお、チーム・タイトルはTOYOTA Castorl TEAMが獲得した。




GT300

コンディションの変化を味方に
最速つちやMR2を制したシグマテック911が初優勝

チャンピオンはわずか1ポイント差でRS☆Rシルビアの手に



 GT300クラスは、ウエットコンディションの序盤から、なるべく高いギアでトルクをかけずに走った71 シグマテック911(星野薫/城内政樹組)が、スタート直後の2周目に4位、4周目には27 シェル・フェラーリ F355をかわし、さらに5周目には25 つちやMR2の背後に迫る。9周目にはとうとう1コーナーのブレーキングでトップに立ち、39周目には70秒のマージンを得てピットストップ。星野から城内へのドライバー交替も無事に終える。53周目にいったんは25 つちやMR2の先行を許したものの、終盤の雨の中の69周目に再び25 土屋武士をかわした71 城内が、見事に初優勝のチェッカーを受けた。

 シリーズは、5位でチェッカーを受けた19 RS☆Rシルビア(織戸 学/福山英朗組)が26 タイサンスターカードRSR(鈴木恵一/新田守男組)にわずか1ポイント差をつけて獲得した。チーム・タイトルも19 RS-Rレーシングチームwith BANDOHのものとなった。










No.5 5ZIGEN SUPRA
Eiichi Tajima & Marc Goosens


田嶋栄一 「うれしーいっ!!!! 最後に勝ててほんとうによかった。勝てるなんて全然予想してなかった。ボクも1回スピンしたんだけど、前がどんどんスピンしてくれたんで勝つことができた。タイヤもよかった」

マーク・グーセン 「とてもうれしい。チームスタッフがハードワークをこなしてくれた。メカニックにはほんとうに感謝している」





No.71 SIGMATECH 911
Kaoru Hoshino & Masaki Johnai

星野 薫「1コーナーのブレーキングでトップに立ちました。1分10秒離れてましたが、長嶋くんから武士くんへ代わるのでわからないと思った。走り方としてクルマはなるべく高いギアを使ってトルクをかけずに走った。いいレースでしたね。タイヤのおかげ。GT300クラスでは1年半ぶりの優勝ですね」

城内政樹「スリックではNo.25に負けていたんです。一度抜かれたが、路面が濡れてきたらポルシェのほうがトラクションあるんで前に出られた。雨はダンロップのほうが有利だと思うから、雨が幸いでした。タイヤも勝因。メカがやってくれたセットもよかったです」




No.36 Castrol TOM'S SUPRA
Michael Krumm & Pedro De la Rosa

ミハエル・クルム「ほんとうにうれしい。トヨタ・カストロール・チームのスタッフ、メカニックに感謝したい。ドウモアリガトウ」

ペドロ・デ・ラ・ロサ「ボクはこれでフォーミュラ・ニッポンと二つタイトルをとることができた。でも、クルムにとっては唯一のタイトルだから、彼のためにもよかったと思う。ほんとうにうれしい。チームのみんなに感謝したい。来年のことはまだわからないが、日本で走る機会があったら、また応援してください」



No.19 RS☆R SILVIA
Manabu Orido & Hideo Fukuyama

福山英朗「ほっとしたね。こんなスリリングなレースだったから。グリップが辛かったし、前のクルマが見えないから、位置関係がわからなかった。織戸君には、お疲れさまとしか言いようがない。よくやってくれた」

織戸 学「峠のチャンプから全日本のチャンプになれた。フレッシュマンで初チャンプをとって以来で、すごくうれしい。とりあえずよかった。レース中は順位が全然わからず、クルマを下りてきてからチャンプがわかった」