GTC 1999 GT INSIDE REPORT


Round 2 ALL JAPAN FUJI GT RACE
5.1/2 - Fuji International Speedway

5.1 - Qualify Day #2

☆予選2回目終了後

No.39 デンソーサードスープラGT (予選2位)
影山正彦「午後に向けてセッティングの味つけを変えたら、さらに乗りやすくなったね。朝は風が吹いていて路面がホコリっぽかったけど、午後は路面の状態がちょっとよくなってたし…。前回の富士テストには、クルマがまにあわなくて出られなかった。菅生(のテスト)でシェイクダウンしたばかりのマシンをここまでいい状態にもってきてくれたチームに感謝するよ。でも、ここまで来たらポールを獲りたかったっていう気持ちもあるな。明日のレースではトラブルやアクシデントなく走りきりたいね」

No.6 ESSO Tiger Supra(予選4位)
野田英樹「2回目の予選では、ステアリングにちょっとしたトラブルが出てタイムアップできませんでした。パワステが効いてはいるみたいなんだけど、すごく重くてステアリングが切れなかった。朝の感じだと25秒フラットぐらいまではいけそうだったので残念です。ポールポジションを獲りたかったけど、2番手、3番手になるよりは4番手でよかった。ウェイトを積まれずにすみますからね。2番手、3番手だったら、めちゃめちゃ悔しかったでしょうけどね。明日はもちろん優勝ねらっていきますよ。クルマが直れば問題ないし、2列目からならねらえるでしょう」

No.100 RAYBRIG NSX(予選3位)
飯田 章「ウチも25秒3までいく予定だったんですけど、ちょっと失敗してしまいました。ヘアピンのクリップの先で、ちょっとテールが流れてしまったんです。(午後のほうが)タイムアップしたのは、路面温度とタイヤのコンパウンドがちょうど合ったからなんじゃないですか? セッティングはもうレース用にしてあって、結構足回りをイジッていたんですけど、それでも(タイムが)上がりました。レースでは、今回は完走しますよ。そしたら3位ぐらいにはなれると思います」

No.25 モモコルセ・アペックスMR2(予選GT300/2位)
新田守男「午後はミッションが壊れたのでタイムが上がらなかったのはしょうがないですね。(トラブルが)決勝じゃなくてよかった。決勝はコンスタントにいきますよ。リストリクターの径は何ミリ大きくなってるのかはわからないんですけど、テストのときから体感的にはよくなってますよ。福山さんのところはいっそのことウイングを6、7枚追加したほうがいいんじゃないですか(笑)」
高木真一「タイヤがクルマにすごく合ってると思うんで、34秒台真ん中でコンスタントに走れると思う。あとはミスなくいきたいですね」

No.81 ダイシンシルビア(予選GT300/3位)
福山英朗「タイムが伸びなかったですね。新田くんのところは午後はリストリクター大きくしたんでしょう。なにを救済するのかな…。俺も救済してくれないかなあ(笑)。どうせなら4位になりたかったよね。また10kgもらってしまった。まあ、開幕戦はさんざんだったし、確実にいきましょう。決勝をラクに走れるようにしたいけど…。それが課題だね。リアウイングをもう1枚つけて2枚にしようかな(笑)。原因がわからないからごまかすしかないんですよ」
大八木信行「リアはダブルタイヤやな(笑)。GTはまだレースしたような感じがしないんで、確実に感じとりたいね。初戦がああいう状況やったから。今回が初戦という気持ちでいきたいです。たぶん、スタートは福やんと思います」

No.7 RE雨宮マツモトキヨシRX7(予選GT300/4位)
松本晴彦「最初は古いタイヤで走ってマッチングをみたらバランスがよかったんです。ですがその後フレッシュでアタックしたら、遅いクルマにからんだし、バランスも少しずれてしまってタイムアップできませんでした。セカンドドライバーとの差が少ないんでコンスタントにいきたいです。ピットワークもがんばると言っていますし、トラブルがなければ」
山野哲也「チームとしてはかなり好感触。トラブルも昨日のうちに出たし、今日は予選はハルピー(松本晴彦)がアタックして、テストでは考えられなかった32秒台を出したしね。ボク自身は攻めずに33秒台が出せたし、午後は満タンの決勝セットで34秒台出た。いい感じでムリしないでこれだけ走れるんで、表彰台も夢じゃないね」

No.32 cdma Oneセルモスープラ
木下隆之「エリック・コマスにアタックラップでヘアピンからずっと引っかかった。あれさえなければ25秒台はねらえたはず。99年型スープラになんとか近づきたかったんだけど、ちょっと届かなかったね。98年型でもここまでいけるということを証明したかったんだけど」

No.910 ナインテンアドバンポルシェ
玉本秀幸「午前中は最終コーナーでリアが出ちゃって、アウト側のバリアにクラッシュしてしまった。そんなに攻めてなかったんだけど…。身体はなんともありません。クルマもなんとか午後のセッションに間に合ったんだけど、基準タイムを出すだけだったね。トップは31秒台でしょう…。もちろん、クルマの開発の差はあるんだろうけど、ポルシェは余郷くんががんばっても34秒に入るか入らないかでしょ? どうなってるのて感じだよね」

No.30 綜警McLaren GTR
岡田秀樹「鈴鹿の予選でぶつかったのは、雨の条件下でのタイヤチョイスが今までのボクらの感覚よりも気難しかったから。みんながインターミディエイトで行くときにはレインでようすをみなければならなかった。コンディションがズレると走れなくなってしまう。あるゾーンを超えると、どうにもならないナーバスなクルマになってしまうんです。そのへんの理解が自分も含めてなさすぎたということと、雨のテスト不足とが原因です。もともと空力で走っているところがあるから、ある程度車速が乗らないと安定しない。だから雨はつらいですね。世界的にマクラーレンは雨では神経質なんじゃないですか。まあル・マンは別ですけど。条件が違いますから。
 今回はレギュレーションでリストリクターの径が緩和されています。パワーが出たというだけでなくて、エンジンの全体的なレンジが広がったのでトルクのよいところが使えるようになったということです。今回はねらいとしては淡々とやるしかないですね。ドライでレースは一度もやっていないので。リストリクターをゆるめてもらったなかでどれだけレースができるか、われわれ自身も興味がありますよ。やってみないとわかりませんけどね。明日も天気はよさそうだし、前回よりは全然ムードはいいです。普通にはレースできそうですよ」

No.36 カストロール・トムス・スープラ
黒澤琢弥「ウチは1回目の予選で2セットともアタックに使ったよ。1回目の最後の20分と2回目は全部レースシミュレーションに使ったんだ。タイムアタックでは、1セット目のとき1〜2コーナーでスピンしちゃって、フラットスポットを作っちゃったんだけど、2セット目は思っていた以上にタイムが出た。チームといろいろ話していて、26秒真ん中ぐらいまでいけばいいかなって言ってたんだけど、26秒フラットまでいったから上デキでしょう。ロングランをして、タイヤは1セットで45周ぐらいまでしたけど全然問題ないし、タイムも安定してるので、決勝は大丈夫でしょう。期待できると思いますよ」

No.16 Castrol 無限NSX
道上 龍「午前中はオーバーステアがきつくてコースアウトしてしまいました。午後はそれがだいぶ解消されてタイムアップができたんですが、決勝で満タンになったときにどうなるか…。開幕戦でリタイヤだったので今回は完走を一番に意識しています。スープラはたしかにここでは速いですが、逆にこういうストレートの長いコースだからという部分もあると思います。Bコーナーからの立ち上がりがとくにいいみたいです。でもほんとうの差は次のSUGOではっきりするんじゃないですか? 富士ではやっぱりキツイですが、7位という予選ポジションはまだチャンスがあると思ってます。レースはなにがあるかわからないですから」



野田英樹が館信吾とともに走ります
 館信吾が昨年のマカオGPで使用したレーシンググローブを、決勝日のウォームアップ走行でNo.6 ESSO Tiger Supraの野田英樹が着用して走ることになった。マカオGPは、テスト走行中の事故で亡くなった舘が最後に参戦したレース。

野田英樹「信吾はチームメイトとしてボクと一緒に走るはずだった。サイズが合わないので決勝では使えませんが、明日の朝、彼と一緒に走りたいと思ってます」

 この後グローブは片山右京の手に渡り、館が参戦を夢見ていたル・マン24時間で右京が着用して走る予定になっている。さらにF1でもその可能性を探る動きがあり、「信吾の夢をかなえてあげたい」という想いが、その輪を広げつつある。


太田哲也選手からのメッセージ
 昨年のGTC第2戦に起きた接触炎上事故で重傷を負い、現在療養中のTEAM FCJフェラーリの太田哲也選手から、近況とともに1年を経てのメッセージをいただました。

「1998年5月3日、富士スピードウエイで開催された全日本GT選手権第2戦において私を襲った悪夢のような事故から、早いものでちょうど1年が過ぎました。
 事故直後、私はサーキットの医務室から御殿場市内の病院に搬送されました。その3日後の朝、チームFCJの関係者と私の家族は、同院の医師の反対を押しきり、なかば強引に治療施設のある都内の病院に私を転院させています。そこで私は奇跡的に息を吹き返したのでした。御殿場市内の病院では『72時間の生命』と言われていたことを考えると、今こうして生きていることは、きっと幸せなんだろうと思います。
 レースに参加していた山路慎一選手が、激しく燃えさかるフェラーリをただ1人で消火し、意識を失って車内に取り残されていた私を救出してくれたことは、皆様ご存じのとおりです。彼の行為がなければ、あの猛火のなか、まちがいなく私は灰になっていたことでしょう。山路選手にはほんとうに感謝しています。また病院に見舞いに来ていただいたり声援を送っていただいた多くのかたがたに、心からお礼を申し上げます。
 ご心配いただいた私の近況ですが、4月上旬に通算12回目の、15時間に及ぶ皮膚移植手術を受けました。手術には慣れたとはいえ、やはり長時間にわたる全身麻酔は体力的に厳しいものがあります。来月に予定されている右手の機能回復のための手術に向け、現在は療養中です。
 私が負った重度広範囲熱傷は、単に外見にひどい外傷が残るだけでなく、皮膚が拘縮することによりさまざまな機能障害をひき起こします。現在の私には、右手と右足にいちじるしい機能障害が残り、障害者3級の認定を受けております。しかし手術とリハビリテーションを何度も重ね、将来、かならずステアリングを握れるようになってレースにカムバックするつもりです。
 この1年間は、肉体的にはもちろんですが、精神的にも困難が伴いました。『なんでオレがこんな目に遭わなきゃならないんだ』という気持ちがつきまとう毎日でした。もう二度と同じような事故が起きてほしくないと思います。私のような目に遭うドライバーは、私を最後にしてほしい。そのためには事故に関する事実が徹底的に究明され、今後のレース運営に正しく反映されることを切望します」



ポールシッターインタビュー
 予選終了後、恒例のポールシッター・インタビューが行われた。出席したのはNo.38 FK/マッシモセルモスープラの竹内浩典と立川祐路、GT300クラストップとなったNo.15 ザナヴィARTAシルビアの土屋武士と井出有治の4人。以下は、4人の発言のダイジェストである。

GT500ポールポジション
No.38 FK/マッシモセルモスープラ
竹内浩典「99年型スープラは先週の水、木曜日にシェイクダウンしましたが、初めのうちはマイナートラブルでほとんど走れませんでした。2日目の最後にやっと走れたんですが、その瞬間にクルマのポテンシャルがすごく高いことを感じましたね。トヨタとTRDが打倒NSX、打倒スカイラインてすごいクルマを作ったということです。その後、チームも寝ずにマシンをここまで仕上げてくれました。シェイクダウンから間もなくあれだけのクルマを作ったのはチーム力といえると思います。GT500では自分自身も初ポール。野田(英樹)くんのクルマ(No.6 ESSO Tiger Supra)とタイヤも一緒ですし、彼が開発をずっとやってきていますから向こうのほうがアドバンテージがあるのかな、と思っていたので、スープラでトップというのもすごくうれしいです。
 シェイクダウンもテストも含め立川(祐路)はほとんど乗ってないのに、今日乗ってパッとタイムを出してくるというのは彼が実力をもってるといこと。今年はほとんどセッティングの言い合いもないですし(笑)、コンビネーションもいいんで…(笑)。
 2回目の予選の混走で立川が古いタイヤで満タン、ロングをやったんですが、すごくいいみたいです。決勝は99スープラプラスNo.100のNSX(RAYBRIG NSX)の争いになるんじゃないかな。当然99スープラに関しては耐久力に不安があります。ウチも不安だし、他のチームにもちょこちょこトラブルが出てるみたいです。その点NSXは実績がありますから、脅威といえば脅威ですよね」
立川祐路「クルマがいいんで、ボクはただ乗るだけです。普通に走ればタイムが出ちゃう。それぐらい乗りやすいし速い。明日もいい感じでいけると思います。決勝のプレッシャーはべつにないですが、竹内さんがおそらくトップで帰ってくるでしょうから、そのときはプレッシャーになるんじゃないかな。まだスタートは決ってないですけれど、たぶん竹内さんでしょう」


GT300ポールポジション
No.15 ザナヴィARTAシルビア
土屋武士「PPはすごくうれしいです。開幕戦でシェイクダウンをしたんですが、SUGO、富士のテストはトラブルでほとんど走れませんでした。昨日(金曜日)も1回目がトラブルでセッティングがほとんどできなかったので、予選1回目でセッティング。2回目でフルアタックがやっとできました。1回目は以前から使っているターボとリストリクター、2回目で今回から使えることになったリストリクターとターボに換えてみて、31秒台が出せたということは、持ってるものを引き出せたかなという感じです。ただ、ぶっつけだったので走ってみるまでまったく予想ができなかった。今日は予選のセッティングだけで、時間がなくてまだ決勝のセッティングが出ていないので、明日走りながらどんな感じかさぐるような状態だと思います。まだほかのチームよりも自分たちのポテンシャルをさぐっている状態。以前乗ったMR2(つちやMR2、現No.25モモコルセ・アペックスMR2)はどういうクルマか知ってるぶん、厳しいかな。まだウチはタイヤのライフをいじめているし、最後にガスケットが抜けるトラブルもありましたから」
井手有治「午前中は4周だけしましたが、午後はトラブルがあって走れなかった。土屋さんががんばってくれてるので、決勝はセカンドドライバーとしてきっちりやりたいです。土屋さんとは、フォーミュラドリームでは先生と生徒の関係。いろいろ勉強になります。クルマの調子がよければ一緒ぐらいのタイムが出せるようにがんばります。スタートは土屋さん。決勝ではたぶんトップ争いのなかでの交替となるでしょうから、かなりプレッシャーになるんじゃないかな」




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