JAPAN SPECIAL GT CUPJGTC2000 Round4
Race Review


00-08-06 Round4 Race Report
荒れた展開をチームワークで乗り切ったチームが勝つ!
亜久里&ドリキンのNo.8 ARTA NSX が待望の優勝を手に
GT300はピットタイミングの妙でNo.28 イクリプスRDタイサンGT3R初勝利

8 ARTA NSX


 8月6日、富士スピードウェイで、AUTOBACS CUP全日本GT選手権第4戦JAPAN SPECIAL GT CUPの決勝レースが開催された。この日も真夏の好天に恵まれ、決勝直前の14時前には気温34度、路面温度はなんと52度と強烈な暑さの中の闘いとなった。


 全車がスターティンググリッドにつき、14時30分の予定通りにローリングが始まり、1周でスタートとなった。ポールポジションのNo.38 FK/マッシモセルモスープラの竹内浩典は、背後に迫るNo.39 デンソーサードスープラのファーマンを抑えきって1コーナーに進入し、トップを守る。その後ろにはNo.6 エッソウルトロンタイガースープラの野田英樹、No.36 カストロール・トムス・スープラの土屋武士と予選通りにスープラが並ぶ。この背後にはNSX勢のトップであるNo.8 ARTA NSXの鈴木亜久里が5番手につける。トップのNo.38 FK/マッシモは2番手のNo.39デンソーを少しずつ引き離し、6周終了時には3.5秒の差を付けた。だが、9周目に1台のスピンから連続してスピンが発生、中でもNo.21 ZEROマクラーレンGTRがヘアピンでウオールに激しくクラッシュしたためにセーフティカーが入って、7ラップに渡ってのパレードラップとなった。16周目にレースが再開。この再スタートでもNo.38はトップをキープ。またもやNo.39を引き離していったのだが、17周に突如ヘアピン付近で、エンジントラブルからスローダウン。竹内も何とか走らせようとしたが、結局ダンロップコーナーでストップし、早くもポールシッターがレースから姿を消した。

39 DENSO SARD SUPRA
 これでトップに立ったNo.39は、2番手のNo.6に3秒の差を付ける。No.6以下No.8、No.36、No.100 RAYBRIG NSX(飯田章)、そして予選10位から挙がってきたNo.1 ロックタイト・ゼクセルGT-R(コマス)が一列になって、互いの隙を狙った激しい駆け引きを展開する。この後続の争いを後目にNo.39は徐々に差を広げて行く。

 だが、26周目にダンロップコーナーでNo.10 アビリティ・マリオポルシェがマシントラブルからクラッシュ。さらには火災が発生したために、またもやセーフティカーランとなる。このタイミングで上位陣が一気に所定のピットインを決断。トップのNo.39、No.8、No.1、No.100、No.36とピットで激烈な闘いが始まる。これで見事な作業を見せたのが、No.8 ARTA NSXとNo.1だった。No.8はこの作業でNo.39より早くピットを離れ、No.39との順位を逆転し、トップに立つ。No.1もピットイン前は6番手だったが、コースに戻ったところで一気に3番手にジャンプした。一方、No.36はこのピットインで大きく順位を下げてしまう。このペースカーランの最中にストレートで、GT300同士で追突事故が発生してコース上にマシンが止まり、さらにペースカー走行が延ばされた。

12 CALSONIC SKYLINE
 32周目に再々スタートが切られ、No.8 ARTA NSXの土屋圭市が逃げる番となる。追うのはなんとNo.39 デンソーサードスープラGTの影山正彦、No.1 ロックタイト・ゼクセルGT-Rの影山正美の兄弟だ。しばらくは3台が1列で進むが、徐々にNo.8が後続を引き離し、No.39とNo.1の兄弟による2番手争いが激しくなっていく。さらにこの2台の後ろにNo.12 カルソニックスカイライン(本山哲)、No.100 RAYBRIG NSX(服部尚貴)、さらには予選は15位と低迷したNo.18 TAKATA童夢NSX(金石勝智>脇阪寿一)、No.2 カストロール・ニスモGT-R(片山右京>クルム)も加わってまたもや大接戦、大混戦となっていく。この中で、No.6 エッソウルトロンタイガースープラ(ガードナー)も42周目もに最終コーナー入り口でコースアウト。リタイアこそ免れるが、修復のためピットインし上位から姿を消す。またNo.1も徐々に遅れ出す。これで3番手に上がったのはNo.12、4番手にNo.1。そして背後には、ハイペースで順位を上げていたNo.18とNo.100のNSXがつけたが、ともにパッシングの際にオーバーランを喫して、逆に後退していってしまった。

 トップのNo.8 ARTA NSXとNo.39 デンソーサードスープラGTの差は50周を過ぎても3秒と変わらず。一方、3番手No.12は2番手から7秒近い差がつき、その後ろNo.1、No.36もそれぞれ4秒程度の間隔を開けて単独走行の状態。

 ラスト数周となったときトップを行くNo.8 土屋の無線にチーム代表であり相棒でもある鈴木から「勝とうぜ!がんばれ圭ちゃん」がエールを送り、土屋もこれに応えて最後までペースを緩めずNo.39 正彦の追撃を振り切ろうと激走。結局、このまま逃げ切って、ついに優勝を果たした。鈴木にとっては97年の開幕戦鈴鹿以来、土屋にとっては94年の第4戦菅生以来の優勝となった。



28 Eqlipse RD TAISAN GT3R

 GT300クラスは、スタートではクラスポールのNo.81 ダイシンADVANシルビア(大八木信行)が順調にスタートするが、3周目のダンロップコーナーでシフトが抜けてしまい、失速。6番手まで順位を落とす。これでNo.28 イクリプスRDタイサンGT3R(柴原真介)とNo.7 RE雨宮マツモトキヨシRX7(松本晴彦>山野哲也)、No.31 スーパーオートバックスアペックスMR-S(新田守男>高木真一)によるサイド・バイ・サイドのトップ争いが繰り広げられる。だが、スピードに勝るNo.81も徐々に盛り返し、20周を過ぎる頃にはトップ争いに加わった。さらにNo.81は他車に先駆けて23周目にピットインする作戦に出た。だが、この直後の26周目にペースカーランとなり、ここでピットインした上位陣に先行され4番手まで落ちる。特にタイミング良くピットインを果たした2番手No.28には1周近い大きな差を付けられてしまた。この後、No.81 ダイシンADVANシルビア(青木孝行)は1分35〜36秒台で、順位をどんどん上げ33周目には2番手に復帰。37〜38秒台で先行するNo.28 イクリプスRDタイサンGT3R(須賀宏明)を追い上げるが、さすがに届かず。このままNo.28が逃げ切ってクラス優勝を果たした。

81 DAISHIN ADVAN SILVIA7 RE Amemiya MatsumotoKiyoshi RX7


WINNERS

GT500 Podium
GT500 WINNER
No.8 ARTA NSX
鈴木亜久里「レース全般的にきびしかったね。抜けないんだもん。ピット作業の早さは完璧だった。とにかく圭ちゃんも『ピットだけは絶対に勝とう』といってた。それに集中していたよ」
土屋圭市「左フロントがすごいアンダーだった。サード(No.39)との差が3秒をきってから、本気でいこうと気合いをいれた。涼しくなったら速くなるから、交代した直後の暑いうちにできるだけ引き離そうと思ったんだけど、サードはしつこいわ。無線で『3秒きりました』って言われて、ミラーにでかく写ってきて、『来たよー!』って。運もツキもセーフティカーのタイミングも周回遅れの流れも、全部きた。カンペキ」



GT300 Podium
GT300 WINNER
No.28 イクリプスRDタイサンGT3R
須賀宏明「セーフティカーのコーションのあいだにピットインしたんですが、ほんとうにいつ入れるんだろうとハラハラしてたんですが、絶妙なタイミングで入れて、1位の位置につけてもらって…。まあ、ボクのラップタイムの不足を、チームがみごとにやってくれたおかげで、たいへんラクなかたちで優勝させてもらったと思っています」
柴原眞介「GTは今年初めて参加させてもらって、しかもタイサンというトップチームでいいクルマに乗せいただいて、前回のレースからポルシェになったわけですが、2戦目で優勝なんて順調すぎますね。はじめのペースもRX7(No.7)に追いかけられたんですがなんとか抑えられて、2回目のスタートも同じチームの松田さんがいましたので(スリップを)使わせてもらって、そういう意味でもチームの優勝だと思います」



GTインサイドレポート班
Report by GT INSIDE REPORT TEAM