GTC 1999 GT INSIDE REPORT


(4)GTC参加タイヤメーカーに訊く


 GTインサイドレポート班では、第4戦(MINE)時にタイヤメーカー4社(ブリヂストン、ヨコハマ、トーヨー、ミシュラン)のGTC担当者に対して質問状を出し、文書で回答を得た。質問内容と、各社の回答は以下のとおり。なお、表記等に関しては原則として原文のままである。
質 問
1.貴社はモータースポーツ(4輪)に対してどのようなスタンスで取り組んでいますか。メーカーとしての基本姿勢を教えてください。
2.そのなかで、GTCはどのように位置づけられていますか。
3.GTCへの年間参戦体制についてできるだけくわしく教えてください(予算、モータースポーツ予算全体に占める割合、人員の内訳と人数など)
4.同じく各レースごとの参戦体制について教えてください(人員の内訳と人数、タイヤの種類と本数、使用する機械・用具、関連用品など)
5.現在、GTCではタイヤの種類と本数について制限が設けられています。コストの削減がおもな理由ですが、この規制はうまく機能していると思いますか。
6.現在のレギュレーションについて、タイヤ以外も含め、改善したほうがよいと思われる点や、現行のやりかた以外の規制方法など、ご意見があれば教えてください。


■ブリヂストン
1. 4輪モータースポーツへの取り組みスタンス
 技術開発力を培い、ブランドイメージの向上を目的に、タイヤサプライヤーとして参加。
2. JGTCの位置付け
 日本における重要なカテゴリーとして位置付けている。
3 &4. 参戦体制
カテゴリータイヤ持込本数人 員
F12600本約40名
GTC1500本約25名
フォーミュラ・ニッポン800本約20名
5. タイヤ規制について
 機能している。
6. レギュレーションについて
 スポーツには全てルールがあり、そのルールの中で競争するもので、当然モータースポーツにもルール(規制)が必要と考える。但し、シーズン途中のルール改正はよほどの場合以外は行わない方が良いと思う。


■ヨコハマ
1. 弊社のMSへの取り組みのスタンスについて
 横浜ゴムはお陰様で、昨年"ADVAN"誕生20周年を迎えることができました。今後もモータースポーツの実戦での開発を通じ、市販商品にフィードバックして、お客様が満足して頂ける、スポーツタイヤを販売していきたいと考えております。
2. JGTCの位置づけ
 ルマン24時間のエントリーをご覧頂くとわかるように、昨今のスポーツプロト、GTカーの盛り上がりは、カーメーカーの参戦もあり大変なものです。ついては、日本のみならず海外も含めたGTカテゴリー用タイヤの開発が先行技術開発のフィールドと位置づけております。
3. JGTCの体制について
 恐縮ながら、詳細の金額は申し上げられませんが、トッププライオリティーにて企画サイド、開発サイドでは人、物、金を投資しております。GT専任の技術開発者、事前テストでのタイヤ開発(走行データのデジタル解析)、GTカーを使用した販売促進など、中心的な位置づけで対応しております。
4. JGTC体制-2
 サービス人員:約10名 技術者:5名 企画部門:2名等
5. タイヤ規制
 レースウィークの土、日については機能している。しかし本当に当日の路面コンディションにあった仕様を選択するためには、事前テスト等での膨大な開発が必要であり、トータル的にタイヤメーカーとしては、大きくコスト削減にはなっていない。
6. 規則変更について
(1) 現行金曜日の走行は自己申請ベースなので、これを現行3セット+マーキングに変更願いたい。
(2) WET宣言されていない時の、WET使用について明確なルールを設定願いたい。
(3) WET2パターン制の見直し(開発自由度の制約解除)


■トーヨー
1. 4輪MSに対するスタンス
 我々は社会・市場に向けてのタイヤ製造卸し売り業なのですから、モータースポーツは競争原理下の「技術開発・集積の場」であり、その企業姿勢や実績を情報として消費者にアピールすることすなわち商品開発・広告宣伝・販促活動に活かしていくものと捉えています。現在我社のモータースポーツは、端的に言えば「タイヤの基本を試し磨く活動」です。
2. GTCの位置づけ
 全日本タイトルも掛かっており、参画するメーカー・エントラント・ドライバー等がトップレベルで真剣勝負。ゆえに開発・投入・検証のサイクルが早い。また集客力があり、各メディアの話題性・露出が多い。つまり、ツーリングカー(いわゆる箱のRACE)は、改造範囲の違いはあるものの市販車をベースとしており親しみやすく身近な存在であると共に、得られるものも市場に与える影響力も大きい、と考えます。
3. GTC年間参戦体制&4. 各レース毎の参戦体制
 '99年度サポートの内訳としましては、GTCの500クラスで1台・300クラスで3台の計4台。スーパー耐久の1クラスで1台。
・ピュアレーシングタイプのMR(GT500:ディアブロ)
・オーソドックスではあるが進化を続けるFR(GT300:BMW&AE86)
・レーシングカーでは他に例をみないFFターボ(GT300:FTO)…より難しい開発へのチャレンジ!
・考えられる全ての技術が投入された4WD(S耐:BNR34GTR)と、エンジンと駆動のレイアウトから見た車両毎にもタイヤ開発・検証が出来るようにサポートしています。
 当社のモータースポーツにおいて、この活動の占める割合は必然的にかなり高いものとなっていますが、開発・サポート・推進等のメンバー、さらに予算を含め体制は充分とは言えません。(…これ以上の詳しい内情についてはご勘弁下さい。)
5. GTCのタイヤ制限について
 ちゃんと守られているようですので、良いと思います。
6. レギュレーションについて
・救済措置の基準が判りにくいと思います。特にGT300クラスは上位が常連化しているように思います。
・GT500は予選タイム1秒以内に10数台入っており面白いバトルが毎レース展開されていますが、GT300はタイム差がありすぎるように思います。


■ミシュラン
1. MICHELINのレースへの取り組み
 ミシュランでは自動車の歴史とともに100年以上も歩んできました。また、絶えずこの歴史の中でモータースポーツに関わってきました。我々ミシュランでは常に、勝利のために役立てる性能と品質のタイヤを、最新のタイヤ技術で提供できるよう努力しております。
 また、我々は世界中のいろいろなレースカテゴリーに参加しておりますので、そこで得られた豊富な経験をフィードバックしていきます。「技術こそは勝利だ」がミシュランのポリシーです。
2. GTCについて
 GTCは世界的に見ても最も多くのタイヤメーカーが参加しているレースです。そこに開発拠点をフランスに持つ当社が参加し良い成績に貢献できることは、我々にとって容易なことではありませんがタイヤメーカーにとって大きな挑戦であり非常に重要なことと考えます。
 よって、ミシュランはこのGTCに他の世界選手権同様の開発優先度をあてています。
3. 年間参戦体制
 予算は少ない額ではありません。日本のミシュランは2輪の全日本選手権にもタイヤを供給していますが、その合計予算の半分以上を占めています。スタッフはタイヤエンジニア5名(うち1名はフランスミシュランから)+タイヤフィッティングスタッフ4〜5名です。他に広報のスタッフがレースのみ加わります。
4. 各レース毎の参戦体制
 人員内訳は3.に準じる。
 トラック3台、タイヤチェンジャー・バランサー他タイヤサービスに必要な物。
5. タイヤ規制について
 コスト削減の視点では機能していると思います。開発の視点ではテストの時間や回数が制限されているため、製造しながらも使用しなかったタイヤが少なくなく、効率は決して良いとは言えません。しかしながら現在は良いバランスで運営されているのではないでしょうか。
6. 現在のレギュレーションについての改善案
 特に無し


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