■決勝レースレビュー ザナヴィヒロトGT-Rが優勝、ペンズオイル・ゼクセルGT-Rも2位 GT300もダイシンADVANシルビアが富士連勝で 1週間前の酷暑が嘘のように涼しさも感じられる8月5日の富士スピードウェイ。この日の富士は何かが起こる予感がした。 AUTOBACS CUP全日本GT選手権第4戦の決勝レースは、曇天、気温23度という予想外のコンディションとなった。先日夜に降った雨こそ、ないものの多くが猛暑を想定していただけに、早くもまったく展開が読めない状況だ。 10周目には、4番手に予選7番手のNo.21 イエローコーンマクラーレンGTRが上がり、単独走行となる。5番手以降はNo.33右京を先頭に4台くらいが一団となって、めまぐるしく順位を変えていく。この中で、25周目にNo.38 auセルモスープラがいち早くピットイン。竹内から立川にドライバーチェンジ。集団を抜け出して後半の追い上げに掛ける。 一方、2番手争いは、16周目にNo.22クルムがNo.6脇阪を1コーナーでかわした時点で、クルムの勝ち。このあと、クルムはタイヤが厳しくなったのか、徐々にペースの落ちるトップのNo.23コマスを追い上げていく。これで、スカイラインのワン・ツーとなる。3番手のNo.6と4番手のNo.21は単独走行に。 ここから上位陣はピットインでの争いとなる。30周目にトップのNo.23 ペンズオイル・ゼクセルGT-R(コマス>影山)、33周目にNo.22 ザナヴィヒロトGT-R(クルム>田中)、そして最後に35周目にNo.6 エッソウルトラフロースープラ(脇阪>野田)と作業を行うが、どのチームも約19秒少々と完璧な作業をこなし、ほとんどその差を変えずに終盤に突入した。 全車がピットインをこなしたところでの順位は、トップNo.23影山、5秒差でNo.22田中、さらに10秒離れてNo.6 野田となった。4番手には、早めにピットインし、着実に上がってきたNo.38 auセルモスープラの立川が上がって来る。 この勝利でNo.22 クルム/田中組がランキングトップとなるが、このレース5位に入ったNo.1 道上/光貞組と、No.6 脇阪/野田組がそれぞれ1ポイント差で続くという、シビアな争いのまま、第5戦もてぎ(9/15,16)に臨むことになった。 GT300クラスは、予選ポールのNo.19 ウェッズスポーツMR-S(田中実)を、No.81 ダイシンADVANシルビア(青木)とNo.77 クスコスバルインプレッサ(谷川>小林)、No.3 ユニシアジェックスシルビア(井出)が追う展開。予選クラス4位でランキングトップのNo.7 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7は、2周目に松本がコースアウトし、一気に12番手まで下がってしまう。また、オーバーステアに悩む、No.77も徐々に後退。トップ争いは、No.19田中とNo.81青木の一騎打ちになる。8周目にNo.81青木は、No.19田中をパスし、トップに立つ。だが、No.19も数秒差でNo.81の背後にピタリとつける。 そしてトップ争いをする2台は、なんと33周目に同時ピットイン。ピットワークもほぼ互角でわずかにNo.81が前でコースに復帰。今度はNo.81大八木とNo.19後藤のベテランvs新鋭の闘いに。ピットを出た直後のラップはNo.81大八木がわずかに速く、その差が数秒となってしまう。 一方、トップスピード不足に悩み3番手となったNo.3はタイヤ無交換によるピット時間短縮の賭けにでる。この作戦で見事にNo.3はNo.81のわずか前、つまりトップに立った。だが、タイヤ無交換のハンデはきつく、No.3柳田はNo.81大八木にパスされ、2番手に。さらにNo.19にも迫られる。 トップを奪還したNo.81 ダイシンADVANシルビアの大八木は、そのまま逃げ切り優勝。第2戦富士に続き、富士で連勝を果たした。2位争いは、周回遅れとGT500のトップ争いに巻き込まれて、混戦状態にとなり、そのあおりをNo.19が喰ってしまってダートに飛び出す。これで、No.3 ユニシアジェックスシルビアが2位を確保。No.19 ウェッズスポーツMR-Sは無念の3位となった。また、4位には序盤の遅れを激しい追い上げでリカバリーした、No.7 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7が入りった。 これでランキングは、No.81ダイシンとNo.7雨宮が同ポイントでトップとなり、シリーズ後半戦に向かうことになった。 GT500 Winner No.22 ザナヴィ ヒロトGT-R ミハエル・クルム「クルマは昨日から良かった。今日はスタートも上手くいって、セッティングもエンジンも素晴らしかった。右京さんは直線が速くてタイヘンでした。で、チョットがまんして上手くいきました。そのあとは6番との争いでした。GT300に詰まって最終コーナーを全開で行けないと直線で苦しくて。でも2位になったけど、タイヤも苦しかった。コマスにも追いつきたかったけど、同じくらい速かったからタイヘンだった。あとはテツヤに任せました。テツヤがトップに立ったとき、とても嬉しかった。富士での優勝は初めてだからビックリしました。エフポンで優勝できなかったから、すごく嬉ししかった(笑)。ホントいい気持ちです」 田中哲也「ウチのクルマは車重が軽いのを選んで(リストリクターが小さい)からストレートで負けてたところを、マイケルががんばってあそこまで上げてくれた。トップに立ったときは、GT300が100Rにいて、運良く僕の行くところが空いて、正美くんもフェアで、これからまだまだと思ってました。最後まで安心は出来ませんでした。ピットからは上矢印が出てて、これだけがんばってるのに『どないせいっていうじゃ』って(笑)。菅生は自分のミスでリタイアしてしまったから、シリーズで大きいポイント獲らなければと、なんとか精一杯いきました。初優勝ですけど、チームの結果ですし、シリーズ獲りたいんでそのことで頭がいっぱいです」 GT300 Winner No.81 ダイシン ADVAN シルビア 大八木信行「ホント、嬉しいですね。前の富士、N1の十勝、そして今日と、チームが当たり前のようにいいクルマを作ってくれてます。でも、まだまだ良い意味で欲を出していきたい。3号車に追いついたときブレーキが悪そうで、無線からタイヤ無交換だと聞いて、これは抜けるなと。これはじっくりと無理せずストレートで抜きました。そのあとは、ミラーを見ずに前だけを見てドンドンドンと。朝のフリーでもトラブル抱えて、いろいろあった1日で、ホント嬉しかったです」 青木孝行「レースは数台の混戦になると思ってましたが、19との一騎打ちになりましたね。どちらにアドバンテージが在ったわけでもなくて、どこで仕掛けるかと言うところで、実さんもフェアでうまくパッシングできました。マシンもエンジンもタイヤも完璧でしたし、不安もなかったので19番のMR-Sを自分のピットに戻るまで抑える切る自信はありました。これからはシリーズチャンピオンを意識しないといけませんね。ポイント的も接戦ですし、取りこぼしのないように、次からウエイトも重くなりますし、ミスもないようにいきたい。こういう流れのいいときこそ、気を引き締めないとね」
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