2001 AUTOBACS CUP ALL JAPAN GT CHAMPIONSHIP Round5
MOTEGI GT CHAMPION RACE
9.15,16 TWIN RING MOTEGI

PREVIEW 2001-09-10

レースプレビュー

シリーズを折り返す最重要レースもてぎ/チャンピオンに最前の手を打つのは誰だ?!/混戦JGTCに、果たして終止符は打たれるのか…

格好のレース観戦の季節到来!
 行楽に、スポーツにと格好のシーズンとなる9月15、16日に、栃木県のツインリンクもてぎで全日本GT選手権(JGTC)第5戦「MOTEGI GT CHAMPION RACE」が開催される。
 昨年は開幕戦として行われたもてぎラウンドだが、今季は全7戦で行われる選手権のちょうど折り返しとなる第5戦となった。つまりチャンピオンの行方を左右する重要なターニングポイントとなりうるレースとなったわけだ。
 ツインリンクもてぎは、これまで通りのサーキット(ロードコース)とともに楕円の周回路であるオーバルコースの2つ(ツイン)のコース(リンク)を持つという独特、かつ国内唯一のサーキットだ。JGTCはロードコースを用いて行われる。このロードコースの特徴は、直線とコーナーがはっきりとしておりメリハリの利いたレイアウトになっていることだろう。このためGT500など大馬力マシンでは、スパッと減速し、いかに速く立ち上がるかという、いわゆるストップ&ゴーが重視される。特にブレーキングは重要で、ハード面のブレーキ性能とドライバーのテクニックが問われるサーキットだ。高速コースの富士やテクニカルコースのTIサーキットのように得意不得意の車種がはっきりと分かれることなく、どの車種にも可能性がある非常にコンペティティブなサーキットといえよう。
 一方で、ドライバーからは抜きにくいという声も聞かれるが、JGTCのようなツーリングカー系レースでかつ車種格差の少ないレースでは、コーナーでのつばぜり合いで抜ける可能性も十分あるといえる。
 このJGTC第5戦が行われるツインリンクもてぎへは、常磐自動車道の水戸インターもしくは那珂インターから案内に沿って行けば約40分で行ける。東北自動車道の宇都宮インターからも1時間ほどで、首都圏や東北、北陸方面からもアクセスがいい。公共交通機関なら、JR宇都宮駅からJRバス関東か茨城交通のバスで90分ほど。JR水戸駅からも茨城交通のバスが出ている(約90分)。


GT500
混戦状態のGT500チャンピオン争い。NSXが逆襲の予感?!
 前戦の富士では、誰もが驚いたスカイラインGT-Rの1-2フィニッシュという結果だった。これにより、ランキングトップにはNo.22 ザナヴィヒロトGT-R(M.クルム/田中哲也組)が飛び出した。だがトップとはいえ、後続がわずかな差で続いており、このもてぎでいかに高ポイントを上げるかで後半戦の流れは大きく変わってくるだろう。
 序盤は富士−SUGO−富士とパワーサーキットが続き、本領が発揮できなかったNSX勢にとっては、このもてぎは巻き返しのチャンスだ。特に開幕戦に優勝しランキング2位のロックタイト無限NSXは、このもてぎを狙ってくるはずだ。開幕をパーフェクトウィンしたために貰ったウエイトハンデも、今回までにわずか20kgまで減らすことができただけに、この点は問題なし。チャンピオンゼッケンのプライドを示す活躍が見られそうだ。
そして、前戦まではランキングトップにいたNo.8 ARTA NSX(土屋圭市/金石勝智組)もこのレースで表彰台に乗らないことには上位陣から引き離されてしまう。また、No.64 Mobil 1 NSX(W.シュワガー/松田次生組)、No.100 RAYBRIG NSX(飯田章/伊藤大輔組)は優勝を手にしないと、チャンピオン争いからの脱落を宣言されてしまう。これらのチームは一発大勝負に出る可能性もあるだけに目が離せない存在になりそうだ。
 今季型は最高のパフォーマンスを見せているといえるスープラ。ランキング3、4位にNo.6 エッソウルトラフロースープラ(脇阪寿一/野田英樹組)とNo.38 auセルモスープラ(竹内浩典/立川祐路組)が付けている。だが、No.6エッソは第5戦になんと90kgものウエイトハンデを積んで挑むことになる。とはいえ、昨年NSXでも90kgを積みポールを獲った脇阪のパフォーマンスで予選上位に入り、確実にポイントを稼ぐことは不可能ではない。また、No.38 auセルモはハンデ50kgだが、もてぎで行われたテストでもっと重いウエイトを積んで好タイムを記録していただけにこちらも勝ちを狙うこともできるはず。
それともこの後のシリーズ展開を考えての確実なポイント獲得を狙うか、両チームがどのような戦略を採るかも注目だ。また、ランキング6位のNo.37 マツキヨZENTトムススープラ(山路慎一/W.ガードナー組)にとっては、このもてぎで上位を狙わないことには、ランキング上位に離されることもあり得る。SUGOで優勝したときの爆発的なパフォーマンスがここでも発揮できるか楽しみだ。
 富士の勝利でランキングトップとなったNo.22 ザナヴィヒロトGT-Rだが、その座は決して安泰ではない。今回ウエイトは60kgとなり、その面でも楽ではない。このもてぎは無理をしない上位狙いというNISMOらしい駆け引きを考えたレースをしてきそうだ。そんな慎重策を取りそうなNo.22 ザナヴィヒロトに代わって、勝負をしてきそうなのがNo.23 ペンズオイル・ゼクセルGT-R(E.コマス/影山正美組)だ。前戦の2位で今季初表彰台と"JGTC最強"と称されるコマスにしては不本意な前半戦だったが、ここで勝利を得れば一気に巻き返しが計れるだけに、彼らには気合いの入る一戦となりそうだ。

 このもてぎの注目は国産GT勢の激突だけではない。思わぬ伏兵の存在が彼らを悩ませることもあり得るのだ。7月にもてぎで行われた合同テストでは、No.30 綜警McLaren GTR(岡田秀樹/A.クート組)が最終日最後のセッションでは、No.36のスープラに次ぐ2番手となっている。またNo.21 イエローコーンマクラーレンGTRも、常に上位タイムを出している。そして、このレースから服部尚貴に加え、第3戦までこのNo.21マクラーレンを支えた中谷明彦がそのシートに戻ってきた。この実績十分のベテラン2人の実力を考えると勝利という2文字も夢ではない。
 この他としては、今季全日本F3を圧倒的な強さで早々とチャンピオンを決めてしまったブノア・トレルイエがNo.18 TAKATA童夢NSXで参戦。昨年のF3チャンピオンのS.フィリップとのコンビでJGTCに挑むことになる。ちなみに加藤寛規は、童夢がオリジナルシャシーで挑戦しているFIAスポーツカー選手権でのチャンピオンを狙って、そちらに出場となる。また、片山右京も今回はライフワークのエベレスト登山を目指した海外遠征のために欠場となり、Team UKYOスープラのステアリングは近藤真彦と脇阪薫一に預けることになる。


GT300
熾烈な争いがまだまだ続きそうなGT300
 レース同様にGT300はチャンピオン争奪も激戦混戦状態だ。第4戦を終えてランキングトップはなんと同ポイントでNo.81 ダイシンADVANシルビア(大八木信行/青木孝行組)とNo.7 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7(山野哲也/松本晴彦組)が並ぶ展開となった。この2チームにとっては、もてぎは無理せずポイントを狙うレースをしたいところ。だが、今年の最終戦は超テクニカルコースのMINEサーキット。どちらかと言えば高速コースが得意のシルビア、RX-7においては最終戦を前に少しでもポイント差を付けておきたいだけに、このもてぎで思い切って勝負に出てしまうということも考えられる。その戦略判断に注目したい。
 一方、ここで追い上げなければいけないのは、No.31 ARTA・アペックスMR-S(新田守男/高木真一組)だ。開幕戦こそ勝ったがその後は思うようにポイントを重ねられずにランキング3位で10ポイント差。このもてぎはまだ我慢して、鈴鹿とMINEで逆転というもくろみも考えられなくもないが、ここで少しでもポイント差を詰めないことには苦しいことになる。ウエイトハンデ50kgは決して楽ではないが、それを乗り越えての勝負ができるチームだけにどう闘うかが興味深い。
 そして、このもてぎで活躍しそうなのが、No.19 ウェッズスポーツMR-S(田中実/後藤聡組)とNo.77 クスコスバルインプレッサ(小林且雄/谷川達也組)だろう。ともにテクニカルコースを得意とする車種であり、7月の合同テストでも好タイムを記録している。特にNo.19 ウェッズはもてぎのテストでトップタイム、前戦富士では僅差の3位と好調で迎えるもてぎ戦であり、優勝候補といえる存在だろう。No.77ももてぎは得意としており、またここで勝利を挙げればチャンピオン争奪にも加わることができる。勝ちに出るのは当然だろう。また、今季ほとんどのレースで優勝争いを行いながら勝ちに結びつかないNo.3 ユニシアジェックスシルビア(井出有治/柳田真孝組)も、ここで勝ってランキング上位に迫りたいところだろう。
 今季、苦しいポルシェGT3R勢だが、もてぎの合同テストではNo.24 JCMタイサンGT3R(松田秀士/西澤和之組)がクラス3番手のタイムを記録し、いくつかの対策も講じられているだけに、活躍が期待される。
 なお、過日刑事事件を起こしたディランタ・マラガムアは欠場となった。モスラーMT900Rを走らせていたチームでは、この事件以前にマラガムアとは別のチームでの参戦を決定しており、今回から新チームのNo.901 K-STADIUM MT900Rでエントリーを行っている。ドライバーは第3戦までMT900Rのステアリング握った浅見武と、外国スポーツカーを数々乗りこなしているベテラン桧井保孝が起用された。

Reported by Team GT InsideReport


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