2001 AUTOBACS CUP ALL JAPAN GT CHAMPIONSHIP Round5
MOTEGI GT CHAMPION RACE
9.15,16 TWIN RING MOTEGI

RACE RESULT 2001-09-16

決勝レースレビュー

ポール・大逆転・フィニッシュ!!
Mobil 1 NSXが大乱戦のもてぎを制する!
GT300はウェッズスポーツMR-Sが完璧な勝利を手にする


64 NSX


 レースはチェッカーが振られるまで分からない。そう言われることを痛感したレースだった。結果だけみればMobil 1 NSXのポール・トゥ・フィニッシュになってしまうが、その道のりはあまりにもドラマティックだった。

Starting Grid

 9月16日、ツインリンクもてぎでAUTOBACS CUP全日本GT選手権第5戦の決勝レースが行われた。心配された雨も午後2時の決勝スタート前には日ざしも刺すほど。気温30度、路面温度42度とまずまずのコンディションの中で行われた。
 スタート直後の1コーナーこそ、予選2位のNo.30 綜警McLarenGTR(クート)の攻撃を受けたものの、それをしのいだポールポジションのNo.64 Mobil 1 NSXのシュワガーは、今週末の好調そのままに後続を徐々に引き離す。このままリードを築くかに見えたのだったが、わずか4周でピットに戻ってきた。スタートラップから続出した他車の接触で、路面に落ちた破片を拾った右リアタイヤのパンクだった。これで、Mobil 1 NSXはGT500の最後尾まで落ち、だれもが彼らを忘れ、白熱する新たな上位のバトルに見入っていた。

38 SUPRA
 脱落したMobilに代わってトップに立ったNo.30 綜警と2番手のNo.38 auセルモ、3番手のNo.25 FK/マッシモADVANスープラとがほぼ等間隔で安定した走行を続ける。それと対照的に4番手のNo.12 カルソニックスカイラインの星野には、背後からNo.21 イエローコーンマクラーレンGTR(中谷)、No.39 デンソーサードスープラGT(デュフォア)、No.18 TAKATA童夢NSX(フィリップ)、No.100 RAYBRIG NSX(飯田)らが連なっての接近戦を繰り返していた。そして20周目にカルソニックをパスしようとしたイエローコーンが姿勢を崩してスピン。そこにデンソーが突っ込んでしまう。2台ともにピットに戻るが、イエローコーンはフロントを大きく壊して結局リタイア。デンソーも他にもトラブルを抱えてレースからは脱落した。その後、タイヤがタレ始めたカルソニックをTAKATAと、そしてなんと最後尾から凄まじい追い上げをみせたMobilのシュワガーが相次いでパスしていく。
 この後ルーティン(予定)のピットインを各車こなして行くが、綜警マクラーレン(岡田)はピットアウトの直後に1コーナーでスピン。コースアウトは逃れたものの、その後ペースがまったく上がらず、上位から脱落した。また、No.25 FK/マッシモもパンクを起こして予定外のピットインで遅れることになった。
 これでトップに立ったのはNo.38 auセルモスープラ。そして、それを追うのは予選12位から着実に、そしてタイミングのいいピットインで順位を上げてきたNo.1 ロックタイト無限NSX(光貞>道上)だった。その後ろでは、No.100 RAYBRIG NSXの伊藤とNo.18 TAKATA童夢NSXのトレルイエ、カルソニックスカイラインの本山、Mobil 1 NSXの松田次生が激しく争っている。
 当初は7秒弱あったトップのauセルモとロックタイトの差だが、5秒程度まで詰まるがそこからがなかなか縮まらない。残り20周を切ったところで、トップ38auセルモ、1ロックタイト、18TAKATA、64Mobil、12カルソニックでトップ6が落ち着いたかに見えた。

12 SKYLINE
 だが、ラスト10周を過ぎたところで、突然レースが動き出した。
 まず、トップをキープしていたauセルモが突如ペースダウン。55周時点で、5秒近くあった2番手ロックタイトとの差が、56周に一気に2秒弱に。そして次のラップでロックタイトの道上はauセルモの立川をパスして、ついにトップに立つ。auセルモのペースは明らかにおかしく、相次いで後続にパスされてアッという間に5番手に落ちる。残りはわずか5周。これでロックタイトの2勝目、2位にTAKATAの無限×童夢の1-2と思われた。だが、59周目にTAKATA童夢が周回遅れと接触してコースアウト。そして、さらはロックタイトが緊急ピットイン。燃費が保たないということでわずかに給油をしてコースに戻ったが、4番手に順位を落とす。しかも、この時にちゃんと給油されておらずに、ロックタイトは再度ピットへ戻るが、なんとピットロードで止まってしまった…。  これでラスト2周にして、トップを手にしたのは、なんと序盤で最後尾まで落ちたMobil 1 NSXだった。Mobil 1 NSXの松田は確実にゴールへマシンを運び、チームに今季初優勝を、シュワガーのGT500通算3勝目、そして自身に初のJGTC勝利を勝ち取った。2位には終盤マシントラブルに苦しみながらもなんとか完走したauセルモスープラ。3位には相次ぐアタックをかわし続けたカルソニックスカイラインが入った。


19 MR-S

26 PORSCHE
 GT300クラスでは、ポールスタートのNo.19 ウェッズスポーツMR-Sが快走をみせ、ファーストドライバーの田中実がピットインまでに15秒近いマージンを稼ぎ、後藤聡にステアリングを託す。荒れたレース展開の中、後藤は危なげなく走りきり、2位に30秒近い大差を付けて見事なポール・トゥ・フィニッシュを飾った。

 完勝だったウェッズに対して、2位以下は波乱の連続だった。好スタートを決めたのはNo.26 シェルタイサンアドバンGT3R(福山>余郷)で、予選2位のNo.81 ダイシンADVANシルビア(青木>大八木)、No.71 シグマMR-S(田嶋>城内)、No.3 ユニシアジェックスシルビア(柳田>井出)、No.31 ARTA・アペックスMR-S(新田>高木)が、序盤は混戦状態で闘う。その中で、ユニシアとアペックスが接触を起こし、なんとアペックスのボンネットが開いてしまい、それが当たってウインドが割れ、ピットインを余儀なくされて脱落。シグマもマシトラブルでリタイアした。
 シェルタイサンもGT500と接触を起こし、リアカウルを壊すが、なんとか3番手をキープ。2番手のダイシンも序盤は良かったが、終盤に他車のトラブルに巻き込まれコースアウト。これで4番手に落ちる。また、ユニシアもラスト2周でなんとガス欠で最終コーナーでストップした。
 この乱戦のなか、生き残ったシェルタイサンアドバンGT3Rが2位でフィニシュ。僚友のNo.24 JCM・タイサンGT3R(松田秀士>西沢和之)もこのサバイバルを避けきっての表彰台を手にした。

 ランキング上位では、4位に入ったダイシンが一歩リード。序盤につまずいて7位に留まった雨宮マツモトキヨシアスパラRX7がそれに続いている。



GT500 Winner
No.64 Mobil 1 NSX
ドミニク・シュワガー「スタートはよかったです。マクラーレン(No.30)も速かったけど、3周ぐらいでなんとか逃げられると思ったんです。でも突然右リアがナーバスになって飛び出しそうになって、これはパンクだと思ってピットに入ったんです。勝てるレースだと思っていたのでがっかりしました。でも、コースに戻ってトップとの差が25秒と聞いて、1周1秒詰めればなんとかなると思い直していきました。松田選手もいいレースをしてくれました。最初はアンラッキーだったけど、最後はラッキーでしたね。この後の二つのレースはNSXに向いたコースなので、これからもこのいい流れでいきたいです」
松田次生「スタートを見たときには楽勝ペースだと思ったのに、(予定外のピットインで)どうなるんだろうと思いました。でも、シュワガー選手が2番手に戻してきてくれたので、あとはボクががんばらないと、と思ったんです。終盤はガソリンが保つかキツかったし、何度か当たったせいでストレートではまっすぐ走らなかったし…。ゴールの時は、すごくついていると思いました。最後は涙が出て。今日はドラマチックで感動したんです。フォーミュラ・ニッポンで初優勝したときよりもね。それにGTはシュワガー選手もチームもみんなががんばっての勝利ですからね。この後のレースは2人で力を合わせて、全部のレースで思いきりいきたいです」

GT300 Winner
No.19 ウェッズスポーツMR-S
田中 実「今日は100点満点に近い点を挙げられてると思います。クルマを保たす、15秒のリードで渡すとか、課題がすべてできた。第2戦、第3戦はぶざまな負け方をして、坂東親分がスポンサーさんにあいさつにいくときに悔しい思いをしたと思うんです。それで『ぜったい勝つ!』と檄が飛びまして、富士に向けて、セパンもあきらめてテストしたんです。その富士では3位。まだ足りないものがあって、それを克服しなければ、と。今日は坂東さんがうれしいと思いますよ。この後はトップの連中と同じウェイトを背負ってどこまで闘えるかですね」
後藤 聡「予定どおりというか、それ以上ですね。交代のときは坂東さんが『落ち着いて淡々といけ』と言ってくれまして、とても落ち着けました。走行中は安全をみて走りました。だからゴールのときはホッとしたという感じでしたね。チームとしては勝たなければというレースだった。だから自分の仕事ができたことがよかったですね。ボクはレースを始めたのが遅かったから、ほかの若いドライバーには負けたくないというか、この恵まれている環境でやらせてもらっているんだから、結果を出さないといけない。だから今日はどうやっても、カッコはどんなでもいいから勝ちたかったんです」



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