2003 Round4
Malaysian JGTC in Fuji Speedway
7.12,13 - FUJI SPEEDWAY

RACE RESULT 2003-07-13
決勝レースレビュー


2003 AUTOBACS JGTC 第4戦『Malaysian JGTC in Fuji Speedway』 7.12予選, 13決勝/富士スピードウェイ


ハーフウェットの第1は井出が、ウェットの第2はトレルイエ!
No.12 カルソニックスカイラインが富士を完全制覇!
総合1-2でスカイラインがまたも富士を征服
12 SKYLINE
No.12 CALSONIC SKYLINE & No.22 MOTUL PITWORK GT-R

 7月13日、富士スピードウェイで2003 AUTOBACS全日本GT選手権(JGTC)第4戦Malaysian JGTC in FIJI SPEEDWAYの決勝レースが行われた。このレースは、2レース制(2名のドライバーそれぞれ1レースを走りきる)の決勝が行われ、GT500では第1、第2レースともに制した、No.12 カルソニックスカイラインが総合優勝を果たした。GT300は、第1レースを2位、第2レースで優勝したNo.55 ECLIPSE タイサンADVANバイパーがJGTC初勝利を手にした。

GT500

第1レース

 この日の富士スピードウェイ上空は一面の雲に覆われ、時折雨が降る微妙なコンディションだった。昼前から発生した霧のため、第1レースの開始時刻が1時間以上遅れ、結局レース距離を短縮して行われることになった。スタート時点の気温は20度、路面温度21度。

 第1レースは30周の予定が20周(給油なし)となり、14時20分にスタート。スタート少し前から雨は止んでおり、路面はウエットではあるが、JGTCマシンが走り出せば乾き出すことは十分考えられる。このため、レインかスリックなのかと各チームはタイヤ選択に頭を悩ませることになる。

 スタート直後は完全なウエット状態。ともにレインを選択したNo.38 auセルモスープラの竹内浩典とNo.36 WOODONEトムススープラのコマスが早くも1コーナーからサイド・バイ・サイドの激戦を繰り広げる。だが、周囲を驚かせたのは、No.12 カルソニックスカイラインの井出有治だった。予選7位から好スタートを決めた井出は、1周目に5位、2周目にはトップ争いに加わる。これで、No.38竹内、No.36コマス、No.12井出のトップ争いになるかと思われたが、井出の勢いは凄かった。3周目に2番手になっていたNo.38のテールに食いつくと、4周目のストレートで一気にNo.36、No.38をパスしてトップに立つ。

 この後は、ジワジワと後続を引き離していく。一方、一時はトップとなったNo.36コマスは、早くもレインタイヤが厳しくなったか、5周目にピットへ駆け込みタイヤをスリックに替える。この後、コマスは凄まじい追い上げを魅せたが、結局7位まで戻すのが精いっぱいだった。また、2番手のNo.38の直後にはNo.22 モチュールピットワークGT-Rの影山正美とNo.23 ザナヴィニスモGT-Rの本山哲が急接近。レインコンディションでは好調のGT-Rの攻勢にあって、No.38はさらに4番手に後退。

 レースも残り数周となるとコースのレコードラインはほぼドライに。ここで、素立体屋を選択していた、No.39 デンソーサードスープラGTのシュワガー、そしてNo.62 VemacR&Dダンロップ350Rの柴原眞介、No.88 ノマドディアブロJGT-1のWADA-Qが急速にペースアップして上位に進出。特にNo.39の追い上げは凄まじく、一時は15番手まで後退したものの、ラスト1ラップで4番手までアップ。そして、最終ラップにレインタイヤが苦しくなってきた2台のGT-Rをサイド・バイ・サイドで抜きさり、2位でゴール。GT-Rのトップ3独占を阻んだ。3位はNo.22。優勝は最後までペースを緩めず逃げ切ったNo.12 カルソニックスカイラインの井出有治となった。



第2レース

 第2レースは、一転して雨が終始降る完全なレイン・コンディション(気温:20度、路面温度:21度)となった。こちらのレースも当初50周の給油ピットインありとされていたが、開始時間が遅れたために30周の給油なしというスプリントで行われた。

 第2レースはトップのNo.12 カルソニックスカイラインはスタート直後の1コーナーでNo.39 デンソーサードスープラGTの織戸学にオーバーテイクされ、2番手に落ちる。この後方で大きな波乱が起きた。スタート直後のGT300クラスの数台がストレートエンドで接触。クラッシュしたマシンの破片がコース上に撒かれてしまった。そこに1周を終了して来たマシンが戻ってくる。その中でNo.100 RAYBRIG NSX(光貞秀俊)が大きく姿勢を乱し、1コーナーのイン側を突き抜けて再度コースに飛び出す。アンラッキーにもそこにNo.88 ノマドディアブロJGT-1(山西晃司)が突っ込んでしまって、2台がクラッシュ。これで、ストレートエンドから1コーナーまでに4台のマシンが止まったために、セーフティカーが導入され、7周目までパレードランとなった。

 レース再開後は、トップNo.39織戸にNo.12トレルイエとNo.22 モチュールピットワークGT-Rのライアンが襲いかかる。レインコンディションでのスピードに優るGT-RはあっさりとNo.39をパス。これで、GT-R同士のトップ争いとなる。ペース的にはNo.12の方が速いのだが、周回遅れに詰まるとNo.22が接近戦を挑むといった息の抜けない展開となる。だが、その攻撃をNo.12トレルイエが何とかしのぎきって優勝を果たした。2位にはNo.22 モチュールピットワークGT-Rのライアンが入り、スカイラインの1-2フィニッシュを決めた。

 一方、No.39はこの後ペースが上がらず後方へと下がり、これに代わってNo.38 auセルモスープラ(立川祐路)とNo.23 ザナヴィニスモGT-Rのクルム、No.1 エッソウルトラフロースープラの脇阪寿一が上がってくる。この3台で争われた3位争いを制したのは、No.38の立川だった。

 第4戦の総合優勝は、第1レースの井出、第2レースのトレルイエと両レースを制しパーフェクトウィンを達成したNo.12 カルソニックスカイラインのものとなった。



ECLIPSEタイサンADVANバイパーが7年目のJGTC初優勝
第1はフェアレディZ、第2がフェラーリ360と初勝利づくし

No.55 ECLIPSE TAISAN ADVAN VIPER

GT300

 GT300クラスの第1レースは、ポールのNo.19 ウェッズスポーツCELICA(田中実)が序盤トップをキープする。だが路面が乾いてくると、スリックを選択したNo.3 ハセミスポーツ・エンドレス・Zの柳田真孝とNo.55 ECLIPSE タイサンADVANバイパーの木下隆之が上位に上がり、代わってトップ争いを繰り広げる。この2台はサイド・バイ・サイドのバトルとなり、これを制したNo.3が第1レースの優勝となった。2位にはNo.55が入った。3位にはこれもスリックを選択したNo.81 ダイシンADVANシルビア(植松忠雄)が、スタート直後のスピンを挽回して入った。

 第2レースでは、スタート直後のストレートエンドで隊列の先頭のペースが乱れ、水煙の中で視界の悪かった中団グループが混乱を起こした。これで、No.5 BUNPRESTO B-1マッハ号GT 320R(三船剛)とNo.71 シグマMR-S(Guts城内)が接触。これを避けようとしたNo.7 雨宮マツモトキヨシアスパラRX7(谷口信輝)がコースアウトするなどの多重クラッシュが起こった。幸いドライバーたちには大きなケガはなかったが、1998年の炎上事故を思い起こさせるような危険な瞬間だった。

 ペースカー走行後は、No.11 JIM RodeoDriveアドバンF360(田中哲也)とNo.55 ECLIPSE タイサンADVANバイパー(山田英二)がトップ争いのバトルを展開。これを制したNo.11が第2レースを制した。2位には第1レースに続いてNo.55が入った。トップスタートのNo.3 ハセミスポーツ・エンドレス・Z(木下みつひろ)はワイパーの故障でペースが上げられず、後方へ下がった。3位には終盤2番手まで上りながら、ラストラップに燃料が不安となってペースを落としたNo.26 PULS eタイサンアドバンGT3R(山路慎一)が入った。


WINNER INTERVIEW

GT500 優勝
No.12 カルソニックスカイライン
井出有治「路面が乾いていくなかで、スリックかインター(ミディエイト)かと悩んだんですが、ムリして勝負する必要はないということでインターでいきました。でもどんどん路面が乾いていって、タイヤ的にはきつかったんです。いつもなら順位をいろいろ考えてしまうんですが、今日はもう順位とか考えずに前にいるクルマを抜くことだけを考えていきました。トップに出てからも自分のペースで走れました。レース中に追い上げれらているのは知らなかったんですが、No.39がスリックで出たのは知ってましたから、後半追い上げてくるんじゃないかなと思っていました。なにがあるかわからないから逃げるだけ逃げたのがよかったですね。チェッカーを見たときはホッとしました。(第2レースの)ブノワはレインのレースは速いし、彼自身も『いける』って自信持って言ってくれたんで、安心して見てました」
ブノワ・トレルイエ「ボク自身は雨のレースがすごい好きですから。こういう状況ですから、とにかくコースアウトしないように、それだけを考えていました。ほんとうにユウジ(井出)がいいポジションで渡してくれて、ボクとしてはポジションをキープするだけですから、とても気持ちがラクでした。ほんとうにユウジがいい仕事をしてくれたと思います。そして、リチャード(ライアン)ともいいバトルができました。今日はぜひ勝ちたいと思っていました。だれよりも先にチェッカーを受ける気持ちを味わいたかったですから。ただ、もし(自分が)2位でも(総合では)勝つことができるのはわかっていたので、プレッシャーもなく走ることができました」

GT300 優勝
No.55 ECLIPSEタイサンADVANバイパー
木下隆之「バイパーは7年目で初優勝です。ボク自身、全日本(での優勝)は遠ざかっていたので、ホッとして、うれしいですね。(第1レースは)ボクは絶対スリックだと思っていました。最初の5、6ラップは多少リスクを背負うけど、それだけ耐えればスリックのコンディションになると思ってました。ただ、タイヤがスリックというだけで、セッティングはレインだったので、ぜいたくを言えば乾くのが早すぎたかな。最後はちょっとしんどかったです。まあ、抜きつ抜かれつ、自分も楽しかったです。これでチャンピオンも見えてきたし…、え、言いすぎ?(笑)。まあ、タイサンとしても4戦3勝、3台とも優勝だしね。バイパーは色モノ的に見られてきたけど、これで弾みがつくといいなと思います」
山田英二「ほんとうにうれしいですね。ボク自身バイパーに乗って4年目だし、個人的にはすっごいアメ車好きでふだんも乗ってますから、バイパーで最高峰の全日本GTに勝てたことがほんとうにうれしいです。フェラーリ(*11)を抜いて、自分でもバイパーでフェラーリを抜くってカッコいいなぁ、やったぁって思ったんですが、リアがドリフト気味になって前に進まなくてフェラーリに抜き返されて…。何回もコースを飛び出そうになったり、100Rでスピンしそうになったり、ほんとレースを止めたくなるくらい。そういう状況で走っていたから精神的には苦しかった。でも、チームががんばってくれたのが結果に結びついたかなと思ってます」


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