2004 Round1
GT CHAMPIONSHIP in TI
2004.4.3, 4.4 / TI Circuit AIDA

2004Round1Race Review

2004 第1戦 決勝レースレビュー
2004-04-04
No.1 Xanavi NISMO Z

またも終盤の大逆転劇!

デビュー戦は幸運な勝利で。ザナヴィニスモZが開幕を制す!!

デンソーサードスープラGTの手からこぼれた勝ち星

 2004年のAUTOBACS全日本GT選手権(JGTC)開幕戦の決勝レースが、4月4日に岡山県・TIサーキット英田で開催された。午前中は雨模様だったが、JGTC決勝が始まる前に上がり、ウェットから路面がどんどん乾いていくという難しいコンディションでの開幕戦だった。この中で、予選2位のNo.1 ザナヴィニスモZが終盤の大逆転で優勝を飾った。GT300クラスは、No.10 JIM GeinerアドバンF360が三つどもえの接戦を制してチーム初勝利を挙げた。

GT500

 決勝レースは予定より15分ほど遅れた14時15分、セーフティカーが先導したままスタートした。午前中降りつづいていた雨は正午過ぎに上がったが、路面はハーフウエット状態のまま。気温は13度、路面温度は16度とやや低め。朝のフリー走行でクラッシュしたNo.37 DYNACTYトムススープラも修復がなって、グリッドに着いた。だが、No.100 RAYBRIG NSXはグリッドに着く前にスピン。マシンにダメージを受け、ピットに戻って修復に入り、こちらはグリッドに着けず。

 直前に小雨がぱらついたこともあり、各チームともウエットタイヤでスタートするか、スリックにするか、タイヤ選択に頭を悩ませる状況になった。GT500の上位チームは多くが浅ミゾのレインタイヤを選択。ポールポジションのNo.22 モチュールピットワークZ、No.12 カルソニックIMPUL Zはスリックタイヤに賭け、一方予選2位のNo.1 ザナヴィニスモZはレインタイヤに急遽付け替えた。

 ゆっくりとした最初の4ラップを終えたところで、セーフティカーがコースから退去。ここから事実上のレースがスタートした。ポールポジションのNo.22(影山正美)は、この状況にスリックタイヤがあわなかったのかずるずると後退。No.38 auセルモスープラ(荒聖治)がトップでコントロールラインに戻ってきた。その後、No.1 ザナヴィ ニスモZ(本山哲)とNo.12 カルソニックIMPUL Z(井出有治)にドライブスルーペナルティが。スタート前の決められた時間を過ぎてのタイヤ交換が違反に問われてしまったのだ。これで、No.1は10番手まで、No.12は勝負圏外から落ちると、フェアレディZ勢にとって悪夢の序盤だった。

 これで楽になったかに思えたトップのNo.38だったが、No.39 デンソーサードスープラGT(ジェレミー・デュフォア)の激しい追撃を受ける。No.39は10ラップ目にトップを奪取。その後、この2台のスープラが徐々に後続を引き離していく。スタート後12周目に、ようやくNo.100(中野信治)がコースインしたが、彼らはその後ピットインを繰り返し、結局途中でレースを終えた。

 スタートから30分を過ぎるころ、雲の切れ間から陽射しが降り注ぎ始め、路面は急速に乾いていく。これを見たトップのNo.39は18ラップ目にピットイン。スリックタイヤに交換して出ていく。さらにNo.6 エッソウルトラフロー スープラ(飯田章)、No.1、No.3 G'ZOX・SSR・ハセミZ(エリック・コマス)、No.36 WOODONEトムススープラ(土屋武士)なども続々ピットイン。いずれもタイヤをスリックに換えた。これでトップはNo.32 EPSON NSX(アンドレ・ロッテラー)が奪うが、早めにピットインしたNo.39が着々とポジションを上げ、25ラップ目にトップを再奪取。28ラップ目にはNo.38もNo.32をパスし、トップ3はNo.39、No.38、No.32のオーダーとなる。

 32ラップ目、No.32もピットインし、ドライバーも交代してピットアウトしていく。これでトップ3はNo.39、No.38、No.6の3台のスープラとなる。トップのNo.39は1分25秒台のラップを重ね、1分26秒台に留まる後続を引き離していく。39ラップ目、No.38がスピンを喫してポジションを6番手までダウン。これでNo.6が2番手に上がるが、トップNo.39のマージンは35秒以上に広がった。No.39は37ラップ目、No.22をラップ遅れにする際接触。No.22がスピンして遅れるが、No.39に大きな影響はなかった。

 47ラップ目、No.39が2度目のピットイン。ドライバーはアンドレ・クートに交代し、コースに戻る。これでNo.6がトップに立つ。3番手のNo.36、4番手のNo.1は49ラップ目に相次いでピットイン。No.6も50ラップ目にルーティンのピット作業に戻り、トップにはNo.3 G'ZOX・SSR・ハセミZが上がる。そのNo.3が53ラップ目にルーティンのピットに入ると、No.39がトップに復帰。一方、No.36(マルコ・アピチェラ)はドアが開いたままになるというトラブルでオレンジボール旗を提示され、予定外のピットインを余儀なくされた。これによって、60ラップ目のトップ3はNo.39、No.1(リチャード・ライアン)、No.6(脇阪寿一)の順に。No.1は一時、17秒以上あった差を10秒前後まで詰めるが、そこからがなかなか詰まらない。

 上位陣のラップタイムは1分25秒台で安定し、このままチェッカーを迎えるかと思われたラスト5周、トップのNo.39に黄旗提示区間での追い越しによる10秒ストップのペナルティが指示されてしまった。このペナルティストップでNo.39は3位にまで順位を落としてしまう。これでトップに上がったNo.1 ザナヴィニスモZが、新型フェアレディZのGT500デビューレースを、しかもチャンピオンゼッケンのマシンによる優勝で飾った。2位はNo.6 エッソウルトラフロースープラ、3位にはNo.39 デンソーサードスープラGTが入った。


GT300

No.10 JIM Gainer ADVAN F360

序盤の混戦を制してJIM GainerアドバンF360が初優勝!
ポールのM-TEC NSXは八木のガンバリで3位を確保

 GT300クラスは、グリッド上位陣がすべてスリックタイヤでスタート。この中でクラスポールのNo.16 M-TEC NSX(山野哲也)と、予選2番手のNo.63 LEYJUNダンロップ320R(OSAMU)が、レース序盤でずるずるとポジションを落としてしまう。水が浮くほどではないが完全に乾くでもない路面に選択したスリックタイヤがマッチしなかったようだ。
 これでトップを争ったのが、No.10 JIM GainerアドバンF360(田中哲也)、No.80 エンドレスダイシンアドバンZ(木下みつひろ)、No.43 ARTA Garaiya(新田守男)の3台。このNo.10とNo.80はトップを入れ替えながら競り合い、その直後からNo.43がじっくりと見極めるという中盤の展開だった。

 コースが完全にドライになって来た25ラップを過ぎ。トップのNo.80は、この頃からペースダウン。No.10、No.43に相次いでパスされ、表彰台圏外にと下がってしまう。また、No.19 ウェッズスポーツセリカ(青木孝行)と序盤の遅れを取り戻すべくペースアップしてきたNo.16が3番手を争う。
 トップのNo.10は39周目のルーティンピットで余郷敦と交代。そして燃費の悪さによる給油時間を克服するため、リアタイヤのみの交換という戦術を採る。これで、次のラップにピットインし、新田から高木真一に代わったNo.43にトップを譲ることなく、後半戦を戦うことになった。

 この後、No.10はタイヤ2本交換というハンデを感じさせない好走を見せ、徐々にNo.43との差を開いていく。また、No.16 M-TEC NSXもJGTC初参戦の八木宏之ががんばって、No.19(谷口信輝)との差を詰めていく。
 結局、No.10 JIM GainerアドバンF360が逃げ切ってチーム初優勝を手にした。2位にはNo.43 ARTA Garaiya。そして、最終ラップにNo.19をかわしたNo.16 M-TEC NSXが表彰台最後の席に滑り込んだ。


GT500 優勝

No.1 ザナヴィ ニスモ Z

本山 哲「もうメチャクチャうれしいです。正直言って2位かなって思ったから、まさかあの状況から激変するなんて信じられない気分です。レース序盤はかなり混乱する状況で、サーキットのコンディションもそうですし、ペナルティももらいましたし…。ただ(クルマの)調子はすごくよくてとにかく速いんで、そのペースを維持し続けて、あきらめないという気持ちで走ったことがこの結果につながったと思います。去年獲れなかった開幕戦の優勝をまず第一の目標にやってきたんで、それがほんとうにうれしいです。あと、相棒がリチャード(ライアン)に代わって、そのコンビネーションを証明できた思うし、リチャードに感謝しています。去年もこういうかたちでスタートしたかったんですけど、今年はそれができた。これをベースにして、去年の経験も生かして(シーズンを)組み立てて、二人でつねに速く走ることを考えていきます。これからは、とにかく思いっきりいきたいと思います」
リチャード・ライアン「(39号車に対するペナルティは)最初無線で聞いたのですが、ほんとうなのか確信が持てなかった。自分としては最後まで気を抜かないようにしました。代わってからは、あまり最初からプッシュしてタイヤに負担をかけないように心がけました。それからプッシュをしかけ、終盤には39号車に追いつけるかと思いました。本山選手と組むことがわかってから、今年のチームは強いぞと思いました。新しいクルマも乗ったときから速かったので、この二人とこのクルマがあれば、つねにトップ4にからめるだろうと思いました。そして、今日の勝利でチャンピオンという目標を持って戦っていけます。次のSUGOは昨年、本山選手がウエイトを積んでも速かったし、今年のクルマは去年より速いのがわかっていますし、日本一のドライバーと組んでいるので、ウエイトを積んでも表彰台をねらえると思っています」

GT300 優勝

No.10 JIM GainerアドバンF360

田中哲也「今年はチームが2台体制になったんですけど、それだけ情熱を持ってやっているチームオーナーの田中さんに感謝したいです。また、今年新しくなったスタッフも、この勝利で苦労が報われたと思います。決勝のスタートでは、GT300の前のほうはみんなスリックでした。正直、あの状況でスリックっていうのはラクではなかったです。ただ、周りもみんな同じですから。選んだタイヤが少し硬めでしたので、ライフ的には有利だと思ってました。ヘンに(他車と)争うよりも、ハイペースながらも間隔を開けて、勝機をねらっていました。(代わってからは)GT500でペナルティがあったりしましたから、最後まで安心はできなかったですよね。でも、余郷さんは去年もここで勝っていますし、いつも安定して走っていますからこの勝利があったわけです。そこは感謝しています。じつはボクらのクルマは(規定より)少し重いんですよ。そこを次までに軽量化してきます。だから次回も今回と同じパフォーマンスは十分見せられると思います。今年はガンガンいこうと思っています。でも、まだまだクルマも燃費とか課題もありますし、今年はM-TECさん(No.16)もいますし、そんなに簡単なことではないとも思っています」
余郷 敦「チームを替わって最初から勝てました。勝てるチーム体制を作ってくれたオーナー、監督、チーム関係者のみなさんに感謝します。オーナーから『開幕はぜったい勝つ』とお話をいただきましたんで、それに応えられてほんとうにうれしかったです。田中選手から燃費の話がありましたが、ピットでは給油に時間がかかるので、今日はリア(タイヤ)だけ交換でいきました。そのため、最後はアンダーがきつくなったんですけど、タイヤをいたわりながら走ることを心がけました。今回はウェットで(田中選手は)きびしかったと思いますが、また次も10秒くらい差をつけて帰ってきてくれればと思います(笑)。今後(のシリーズ)ですか? ……勝てるだけ勝ちたいです(笑)」



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