2004 Round3
JAPAN GT CHAMPIONSHIP MALAYSIA
2004.6.18, 19 / SEPANG CIRCUIT

2004Round3Race Review

2004 第3戦 決勝レースレビュー
2004-06-19
Review

やはり今年もセパンは熱いレースとなった

驚異の追い上げでデンソーサードスープラGTが優勝!

WOODONEトムススープラはまたもあと一歩で勝利を逃す…

2004年のAUTOBACS全日本GT選手権(JGTC)第3戦の決勝レースが、6月19日にマレーシア・セパン・インターナショナル・サーキットで開催された。暑さも考え17時という夕方にスタートしたレースだが、やはり南国の戦いらしくタイヤとドライバーのコンディションにシビアなレースとなった。この中で、予選13位のNo.39 デンソーサードスープラGTが素晴らしい追い上げで優勝を飾った。GT300クラスは、No.7 雨宮アスパラドリンクRX7が、なんとセパン3戦3勝という快挙を成し遂げた。


GT500

 決勝レースは好天の中、予定よりやや遅れて17時20分に開始された。コースはドライ、気温は32度、路面温度は39度というコンディションだ。

 1周のローリングのあと、ペースカーがピットロードに退きスタート。ポールシッターのNo.12 カルソニックIMPUL Z(ブノワ・トレルイエ)を先頭に、予選順位と同じくNo.36 WOODONEトムススープラ(土屋武士)、No.37 DYNACITYトムス スープラ(片岡龍也)の順に1コーナーへ。その後方では予選6番手のNo.6 エッソウルトラフロー スープラ(飯田章)が4番手にジャンプアップする。No.36はその後No.12を攻略してトップに浮上。No.37はNo.6とNo.35 イエローハットYMSスープラ(脇阪薫一)にパスされ、1周目はNo.36、No.12、No.6、No.35、No.37の順で戻ってきた。
 2周目、No.35とNo.37の2台が接触し、そろって大きくポジションダウン。一方、No.12はNo.36を抜き返しトップに返り咲く。この間、予選13番手から着実にポジションを上げてきたのがNo.39 デンソーサードスープラGT(アンドレ・クート)だった。3周目には6番手、5周目には4番手に浮上。9周が終わった時点ではNo.6をもパスし、ついに3位にまで上がる。その後、No.6はいったんNo.39を抜き返すが、13周目の1コーナー、No.39がNo.6のインに飛び込み、わずかに接触しながらも再度パス。この時点でのトップ3はNo.12、No.36、No.39の順となる。
 このあたりからNo.6はスローパンクチャーのために挙動が安定しなくなり、17周目の1コーナーでNo.3 G'ZOX・SSR・ハセミZに先行を許すと、その周の終わりに緊急ピットイン。ポジションダウンを余儀なくされる。
 その後方では、一度は下位に落ちたNo.35が激しい追い上げをみせていた。No.35が履くダンロップタイヤは、セパンの路面と気候にあわせたスペックを用意。これがぴたりと当たり、一度は13番手にまで落ちたポジションを、20周とちょっとで4位にまで回復させたのである。

 レース半ばを過ぎ、ルーティンのピット作業に戻る車両が出始める。上位ではまずNo.36が24周を終えてピットイン。2周後にはNo.12もピットに戻り、No.36の前でコースに復帰する。しかしタイヤが温まっていないNo.12(井出有治)はポジションを守りきれず、No.36(マルコ・アピチェラ)がふたたび前に出る。
 この時点でトップに浮上したNo.35は30周までひっぱってピットイン。服部尚貴に交代、6位でコースに復帰する。
 その直後、2番手だったNo.12が周回遅れのNo.72 アドバンBOROポルシェと接触してコースアウト。一度はコースに戻るが、右後輪が破損して走行を続けられず、コースサイドにマシンを止めざるを得なかった。
 これでNo.39(ジェレミー・デュフォア)が2位に浮上。3位、4位にはNo.3(金石年弘)、No.1 ザナヴィ ニスモZ(リチャード・ライアン)の2台のフェアレディZが続く。

 38周目、No.1をNo.35が攻略、4位に浮上。No.35はその後、42周目にNo.3をも攻略して3位まで上がる。これで4位、5位となったNo.3とNo.1だが、43周目のターン2でNo.1がイン側の縁石をショートカット。No.3の横腹に突っ込んでしまう。これで順位が逆転、No.1が4位、No.3が5位となる。
 一方、トップを走っていたNo.36はこのあたりからタイヤのグリップがダウン。クールスーツのトラブルもあってペースが鈍りはじめる。45周目、No.39がこれをとらえてパス。ついにトップに浮上する。No.36は48周目にスピンを喫しNo.35の先行を許すと、もはや耐えきることはできなかった。残り2周でピットイン。タイヤ交換してコース復帰するがポジションは10番手まで落ちてしまった。
 これでトップはNo.39、2番手No.35。2台の差は6秒あまりから3秒弱まで詰まる。しかし、逆転するには周回数が足りなかった。54周を終わってチェッカー。
 No.39デンソーサードスープラGTは昨年の第7戦オートポリス以来の優勝、デュフォアにとってはJGTC初優勝となった。2位はNo.35 イエローハットYMSスープラ。3位にはNo.1 ザナヴィ ニスモZが入った。


GT300

勝率100%!驚異のセパンマスター!!
雨宮アスパラドリンクRX7がセパン連覇を達成

M-TEC NSXはまたも惜しいレースを逃す…

 GT300クラスはポールのNo.80 エンドレスアドバンダイシンZ(木下みつひろ)と予選2位のNo.7 雨宮アスパラドリンクRX7(山路慎一)に、ダンロップタイヤが今日のコンディションに合っていたNo.63 LEYJUNダンロップ320R(吉本大樹)とNo.16 M-TEC NSX(山野哲也)が相次いで襲いかかり、レース序盤でNo.63とNo.16が1−2体制となる。だが、No.17山野は他車と接触してスピン、5番手に後退。No.63もタイヤが消耗してきたのか徐々にペースダウンし、No.7山路が背後に迫ってきた。レースも半ばを過ぎた時点で、No.7山路はNo.63のテールに最接近。21周目にNo.63はNo.7に先駆けてピットイン。

 一方、トップとなったNo.7はピットインを引っ張る戦法で27周目にピットへ。これが功を奏して、上位陣のピットが終わった時点でNo.7(井入宏之)が、2番手No.80(星野一樹)に対し20秒近いマージンを手にしてトップとなっていた。この後、No.16(八木宏之)が猛追を見せ、No.80らをパスして2番手へとリカバリー。だが、安定した走行を続けるNo.7との差を大きく詰めることはできなかった。

 結局、No.7 雨宮アスパラドリンクRX7が逃げ切って優勝。セパン3戦3勝という驚異的な相性を見せつけた。2位はNo.16 M-TEC NSX。3位にはコンスタントに走り続けたNo.5 プロジェクトμB-1マッハ号GT320R(玉中哲二>三船 剛)が入った。終盤まで2番手をキープしたNo.80星野は暑さから熱中症寸前となってペースダウン、8位でレースを終えた。


GT500 優勝

No.39 デンソー サードスープラ GT


ジェレミー・デュフォア「ボクはJGTCに参戦して4年目になるんですけど、やっと勝つことができました。これはアンドレにとってもチームにとってもすばらしい結果だと思います。アンドレがグリッド後方から追い上げているのを見ていて、クルマが速いのはわかっていました。ピットがかなり早めで、長く走らなければいけないということがわかっていたので、最初の10周はタイヤをセーブして安定したペースでいきました。これは残り10周くらいでこれが効いてくる、タイヤの持ちが違うと思っていたからです。セーブした後はプッシュしていたら、前のクルマがミスをしてくれたので、前に出ることができました」
アンドレ・クート「まず、この勝利を今回マレーシアに来られなかった(サードの)加藤社長にジェレミーといっしょに報告したいと思います。今週はほんとうにクルマの状態もよく、タイヤのチョイスもうまくいったと思います。ウォームアップの終わったあとに今日のレースはいけると思っていました。それで勝てたのですから、とてもうれしいです。第1戦もペナルティさえなければ勝っていたと思いますが、3戦目にして優勝できたわけですから、この調子でいけばわれわれは(チャンピオンの)可能性があると思います」

GT300 優勝

No.7 雨宮アスパラドリンクRX7


山路慎一「予選2番手からスタートして、そのポジションをキープできればいいなと考えていたんですが、思ったよりダンロップが調子よくて、その2台(*16、*63)のペースが速かった。セーブしていたわけではなくて、最初からプッシュしていたんですが、あれがいっぱいいっぱいでした。もうついていくことすらむずかしい状況で、離されて焦りも出たんですけど、暑いですし、ハードなレースになるのはわかっていたんで、自分たちのペースを最後まで守ろうと冷静にいきました。結果的に、予定どおり約27周まで、長めに(ピットインを)引っ張り切れました。ボクとしてはいい仕事ができたという実感があります」
井入宏之「ボクは(チームに)呼んでいただいて3戦目で、前回は勝てなかったですが山路さんがポールを獲ってくれて、今回は勝てたのですから、幸せだと思います。山路さんがトップでピットに入って来たんですが、ボクに代わって出てからの状況はわからないまま走っていたんです。あえて順位も聞かずにそのまま走っていました。逆にそれで落ち着いて走れたんだと思います。ボクとしてはまだまだタイヤの使いかたに勉強が必要なので、そのへんを課題として走っていました。今回はそこがうまくできたんで結果につながったと思います。優勝したことは、レースが終わってから無線で『おめでとう!』と言われて、それで初めて実感したというか、知りました(笑)」



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