2004 Round4
HOKKAIDO GRAN GT CHAMPIONSHIP
2004.7.17, 18 / TOKACHI SPEEDWAY

2004Round4Race Review

2004 第4戦 決勝レースレビュー
2004-07-18
Review

影山正美、選手権最多勝利者への1勝!

安定した走りでモチュールピットワークZが今季初勝利

猛追のエッソウルトラフロー スープラわずかに届かず…

2004年AUTOBACS全日本GT選手権(JGTC)第4戦「HOKKAIDO GRAN GT CHAMPONSHIP」の決勝レースが、7月18日に北海道・十勝インターナショナルスピードウェイで開催された。この地方としてもかなりの暑さの中、行われたレースは予選3位から追い上げたNo.22 モチュールピットワークZが優勝した。GT300クラスも予選7位だったNo.43 ARTA Garaiyaがすばらしい快走を見せて勝利した。

GT500

 決勝レースは1周のフォーメーションラップのあと、14時ちょうどにローリングスタートで開始された。開始時点での気温は30度、路面温度は46度。この週末、ずっと続いた暑さは決勝でも変わらなかった。

 オープニングラップ、1コーナーには予選順位どおりNo.3 G'ZOX・SSR・ハセミZ(コマス)、No.12 カルソニックIMPUL Z(トレルイエ)、No.22 モチュールピットワークZ(影山正美)の順で飛び込んでいく。後方ではNo.39 デンソーサードスープラGT(クート)がコースアウトするがすぐに復帰。
 2周目、No.22がNo.12をパス。No.12は4周目にはNo.6 エッソウルトラフロー スープラ(飯田章)にも並びかけられるが、ここは通常の走行ラインを外したNo.6がマシンを抑えきれずコースをはみ出し、逆にポジションを落としてしまう。
 10周目、今度はNo.37 DYNACITYトムス スープラ(コートニー)がNo.12をパス。この時点でのトップ3はNo.3、No.22、No.37の順に。このころからコース上をさわやかな風が流れ、体感温度はやや下がりはじめる。
 この後、No.22の後ろにNo.37、No.12、No.36 WOODONEトムススープラ(土屋武士)、No.37がつながり、『影山正美レーシングスクール』状態に。このコースは前車を抜ける場所が少なく、あちこちでこうした状況が生じていく。

 膠着状態に変化が訪れたのは35周目。ストレートでNo.36がNo.12に並びかけるとそのままパス。つづけてNo.6もNo.12の前に出、これで4番手No.36、以下No.6、No.12という順になる。
 次の周、No.6が上位陣ではもっとも早くピットイン。1周おいてNo.22とNo.12が同時ピットイン。コース上で抜きにくいこのコースではピット作業の速さが重要なポイントになるが、No.12はピットアウトに若干手間取り、No.22に対し9秒もロスしてしまう。
 トップのNo.3(金石年弘)は43周が終わったところでピットイン。なんとかNo.22(クルム)の前でコースに戻ることには成功するが、タイヤが温まっていないため抑えきることはできずパスされてしまう。トムス勢はピットインをやや遅らせ、No.37が45周終了時、No.36が48周終了時。No.37は他車と接触したのかリアバンパーを破損しており修復で数秒を取られるが、No.36は31秒ほどときわめてすばやく作業終了。本コース上を走行するNo.22、No.3ときわどいタイミングになるが、けっきょくNo.3の後方でコースに復帰することになる。この時点ではGT500クラスのピット作業は全車終わっており、トップにNo.22。2番手にNo.3、3番手にNo.36(アピチェラ)がつづく。
 しかし、No.36の後方にはいち早くピット作業を終えたNo.6(脇阪寿一)が迫っていた。No.6で後半を担当する脇阪寿一は激しく攻めたてるがなかなかパスするには至らない。
 53周目、この時点で11番手だったNo.8 ARTA NSX(金石勝智)と12番手のNo.1 ザナヴィ ニスモZ(ライアン)が接触。No.8は車体右側、No.1は左側を破損する。No.8はそのまま走行を続けるがNo.1はピットに戻り点検。走行を続けられる状態ではなく、リタイアを余儀なくされる。
 75周目、No.6が20周以上にわたるNo.36との接近戦についに競り勝ち、3番手に進出。今度は2番手をいくNo.3に迫りはじめる。その後方では、81周目にNo.37(片岡龍也)がNo.12(井出有治)を攻略。5番手に上がってきていた。これで6番手に下がったNo.12は、残り2周となったところでガス欠症状を起こし、コースサイドでストップしてしまった。

 こうした争いを尻目にNo.22のミハエル・クルムは快走を見せる。後続との差を大きく開くまでには至らないものの、2〜3秒差をキープしトップを走りつづける。
 迎えた最終ラップ。1コーナーでNo.6がNo.3にアウトから並びかける。いったんは抜き返したNo.3だったが、次のコーナーでは抑えきれず、No.6が先行。2番手に上がった。No.6はさらにトップをいくNo.22を追いかける。だが、0.686秒差まで迫ったところがフィニッシュラインだった。
 記念すべき十勝でのJGTC初優勝はNo.22 モチュールピットワークZ。2位はNo.6 エッソウルトラフロー スープラ。3位No.3 G'ZOX・SSR・ハセミZ。No.22の影山正美はこれでJGTC通算7勝目(シリーズ戦)。エリック・コマス(No.3 G'ZOX・SSR・ハセミZ)の記録を抜き、JGTC最多ウイナーとなった。また、前戦セパンで勝利したNo.39 デンソーサードスープラGTは7位に入り、デュフォア/クート組は選手権ポイントを38としランキングトップをキープしている。


GT300

ARTA Garaiyaがすばらしい快走でJGTC初勝利!

しぶといM-TEC NSXは連続2位でランキングトップを堅持

 GT300クラスは、オープニングラップでクラスポールのNo.81 シーウエストダイシンアドバンZ(柳田真孝)と2番手だったNo.63 LEYJUNダンロップ320R(吉本大樹)が接触。予選5番手のNo.30 RECKLESS MR-S(後藤聡)もこれを避けきれずコースアウト。No.81に大きな影響はなかったが、No.63とNo.30はポジションを大きく落としてしまう。
 10周時点でのトップ3はNo.81、No.11 JIM RodeoDriveアドバンF360(松田秀士)、No.31 A'PEX i-mobisess MR-S(田中実>松田晃司)となる。このなかではNo.31が最初にピットイン。その後No.11、No.81の順にピットに戻り、全車のピット作業が終わったところではトップにNo.81、2番手はNo.43 ARTA Garaiya(新田守男>高木真一)、3番手No.16 M-TEC NSX(山野哲也>八木宏之)の順となる。

 トップのNo.81(尾本直史)は直線スピードが速く、コーナーではNo.43に迫られるもののなんとかポジションをキープしつづける。だが、No.43高木にコーナーごとに激しいプレッシャーをかけられ、No.81尾本はついに69周目の最終コーナーでアウト側にはみ出してしまい、No.43とNo.16の先行を許してしまう。その後、No.81はNo.19 ウェッズスポーツセリカ(青木孝行>谷口信輝)にも迫られるがNo.19谷口のハーフスピンに助けられ、なんとかポジションを保った。

 これにより、優勝はNo.43 ARTA Garaiya。2位には確実に上がってきたNo.16 M-TEC NSX、3位にNo.81 シーウエストダイシンアドバンZという結果になった。Garaiyaは参戦2年目にしてうれしい初勝利。新田守男にとってはGT300通算10勝目。これで鈴木恵一(現・TV解説者)のクラス最多勝記録に並んだ。


GT500 優勝

No.22 モチュールピットワークZ

ミハエル・クルム「とってもエキサイティングなレースができました。メカニックにお礼をいいます。ピットストップも作戦どおりうまくいって、後方の3号車と4秒のマージンを作ることができました。とはいえ、最後まで気の抜けない展開だったので、勝つのはたやすいことではありませんでした。渋滞もひどかったし、周回遅れのクルマにもつかまってしまったし、リードを減らすことになりました。もし、ピットインで作った大きなマージンを最後まで残すことができれば問題なかったでしょうけど、遅いクルマにつかまったことで状況が変わってしまったので。あと2、3周長ければ、どうなったことやら。パーフェクトなレースができてよかったし、うれしいです」
影山正美「(JGTC通算)最多勝ドライバーになったということは光栄です。これからももっと増やしていきたいですね。レースですが、GT500同士はある程度(手の内)読めるのですが、周回遅れ(の処理)が難しかった。エリックさん(No.3)の方が運が良かったみたい。でも、無理して当たってもしょうがない、ぶつからないのが最低限の(勝利への)条件ですから。エリックさんとはいい距離で追えたと思います。これをしのげば何とかなると思っていました。交替してからは、徐々に(勝利の)可能性が高くなるのを感じていましたが、最終コーナーを出てくるまで勝ったという感じはしませんでした。このレースに勝てたのは良かったですが、ウエイトが増えて選手権は厳しいですが、やるだけのことをやって最終戦までいければと思います」

GT300 優勝

No.43 ARTA Garaiya

高木真一「クルマがいいだけですよ。これだけいいと、落ち着いていけばいいって言われていましたし、向こう(No.81)のミラーにクルマが映るようにプレッシャーをかけ続けたら、最終コーナーで飛んでくれました。あせらずいったのがよかった」
新田守男「Zは、まともに戦っててはどうにもならない。向こうにミスがないと負けない。そういう意味では、ああいうペースで(高木がプレッシャーをかけつづけて)いければ優勝もあると思ってました。ボク自身相当なプレッシャーがありました。寝るのが怖いくらいの…。なんとか勝てたんでほんとうにうれしいです」









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