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2004-09-01 |
2004年のAUTOBACS全日本GT選手権(JGTC)もシリーズ後半戦に突入する。9月4、5日に栃木県・ツインリンクもてぎで開催される第5戦MOTEGI GT CHAMPION RACEを含めて残りは3戦。GT500クラスのチャンピオン争いは、ここに来て混戦模様。この第5戦での結果がシリーズの行方を大きく左右することになりそうだ。
第5戦の舞台となるツインリンクもてぎは、日本唯一のオーバル(楕円)コースと通常のロードコースの2つを併せ持つサーキットだ。JGTCが行われるロードコースは直線とさまざまなコーナー巧みに組み合わされたテクニカルなコース。メインストレート、バックストレッチ以外のコーナー間に配されるストレートも割と長めでコーナーの後にグッと加速することが多いレイアウトとなっている。いわゆる「ストップ&ゴー」型のサーキットである。このため、加速力とブレーキング性能に優れるマシンが優位とされていた。また、加減速が多いためにマシンに厳しいコースでもある。
マシンとしてはNSXが得意としており、今季不調が目立つNSXながら、8月のもてぎ合同テストでNo.32 EPSON NSX(松田次生/ロッテラー組)が5位につけるなど相性の良さを示している。もちろん、昨年のもてぎ戦を制したのもNSXだった。苦戦中のNSX勢には、このもてぎで新型エンジン投入の話もあり、流れを一気に変えるチャンスといえる。8月22日の鈴鹿1000kmレースでもNo.18 TAKATA童夢NSX(道上龍/フィリップ組)が、この新エンジンで優勝しており、このEPSON NSX、TAKATA童夢NSXを始めNSXの動向には、予選から注目したいところだ。
先の合同テストでは、No.36 WOODONEトムススープラ(土屋武士/アピチェラ組)が1分47秒425を記録してトップとなり、以下4位までをスープラが占めていた。その後に、EPSON NSXがつけ、6位に非競技車のニスモのZテスト車がフェアレディZの最上位だった。Zの競技車となると、なんと11位のNo.12 カルソニックIMPUL Z(トレルイエ/井出有治組)という状況。前戦で優勝し、このレースでウエイトハンデ100kgを積むNo.22 モチュールピットワークZ(影山正美/クルム組)の17位は仕方がないにしても、これは少々ふがいない結果といえよう。"コーナーリングマシン"として、ここまで2004年最速マシンと思われたフェアレディZにとって、ここもてぎは意外にも"苦手"コースなのかもしれない。
一方、現在ランキング3位のNo.38 auセルモスープラ(立川祐路/荒聖治組)は合同テストで2位、ランキング7位のNo.6 エッソウルトラフロースープラ(脇阪寿一/飯田章組)は3位と好タイムを記録している。両チームともに第5戦もてぎでの成績次第では、一気にランキングトップをうかがえるだけに、勝負のレースとなるだろう。
“苦手”かもしれないZ勢においても、ここでできる限りのポイントを稼いでおかないと残り2戦で後手に回ることになり、厳しい戦いを強いられることになる。このところ、マシントラブルやクラッシュなど直接の速さと関係ないところでマイナスを作っているZ勢の立て直しができるか。そこが見どころであり、速さが結果に結びついていないカルソニックIMPUL Zにとっては正念場の一戦となりそうだ。
欧州GTマシンでは、No.88 JLOCムルシエRG-1がムルシエラゴで復帰。ヨーロッパでマイナーチェンジを行った直後のレースだけに期待が持てる。また、No.15 AMPREXムルシエラゴRGTはチームのスケジュールの都合で今戦は欠場する。
前戦はNo.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一組)がGaraiya念願のJGTC初勝利を挙げ、開幕戦以来、毎戦勝者、勝利車種が違うGT300。だが、未勝利ながら4戦で表彰台3回というNo.16 M-TEC NSX(山野哲也/八木宏之組)がランキングトップに立っている。この調子で行けば、未勝利でもチャンピオンという可能性もあり、もちろんこのもてぎで優勝しようものならチャンピオンに当確ランプも点きかねない。とはいえ、その分ウエイトハンデが付くのもJGTCの難しさ。本来ならNSXの得意とするもてぎだが、合同テストでM-TEC NSXはクラス8位という厳しいポジション。さすがに80kgのハンデはきついのかもしれない。
そこで、注目なのが合同テストでトップタイムを出したNo.81 シーウエストアドバンダイシンZ(柳田真孝/尾本尚史組)、同2位タイムのNo.80 エンドレスアドバンダイシンZ(木下みつひろ/星野一樹組)のZの2台。そして、昨年ポールを獲得しているARTA Garaiyaなどは十分勝利の可能性があるだろう。また、No.7 雨宮アスパラドリンクRX7(山路慎一/井入宏之組)、No.10 JIM RodeoDriveアドバンF360(田中哲也/余郷敦組)といった優勝経験組も気になるところ。
なんにせよ、ライバルたちはここもてぎでM-TEC NSXに先んじなくては、チャンピオン争いから脱落しかねない。これまで以上に熾烈なポジション争いが繰り広げられそうだ。
このように第5戦もてぎは、シリーズを左右する厳しいレースとなるだろう。チャンピオンへの執念、そしてチームの実力がはっきり見えてくるだけに、ファンにとっても注目の一戦となるはずだ。