2004 Round6
JAPAN GT in KYUSHU 300km
2004.10.30, 31 / AUTOPOLIS

2004Round6Preview

2004 第6戦 プレビュー
2004-10-27

チャンピオンへの激烈サバイバル!

オートポリスを制するものが2004年を制する?!

GT300はM-TEC NSX vs. ARTA Garaiyaに要注目

2004年のAUTOBACS全日本GT選手権(JGTC)もいよいよ残すところ2戦。10月30、31日に大分県・オートポリスで開催される第6戦JAPAN GT in KYUSHU 300kmは、チャンピオン争いを左右する極めて重要な一戦となりそうだ。

誰が優位なのか? 予想のつかない戦い

No.6 ESSO Ultraflo Supra

 昨年からシリーズ戦に組み込まれたオートポリスでの戦い。各チームともオートポリスに対する走行データはまだ十分といえるほど手にしていない状況だ。しかも、今季は国産3車種ともにクルマのスペックを変えてきたために、オートポリスとマシンの相性という点でも不明確な部分が多い。実際、レースに先立って語る各選手のコメントでもみな「ウチのクルマとの相性はまずまず」と誰もがそれなりの自信を、裏返せばライバルとの差を見切れていないとも言えるのだ。

 オートポリスの最大の特徴は日本で最も高い場所にあるという点。敏感なレーシング・エンジンでは人間には大差ない空気の薄さでも、如実にパワーに反映されてくる。特に自然吸気式(NA)がターボに対して不利になるために、JGTCではNAエンジン車はリストリクターを1ランク大きくできるというハンデを与えている。GT500でこれが適用されるのは、スープラ、ムルシエラゴ、フェラーリ550の3車種。このハンデを上手く活用できれば、ターボ勢以上の力を見せられるかもしれない。実際、昨年はNAのスープラとNSXが決勝で1位から4位までを占めている。だが、今季NSXはターボに、スープラも排気量を縮小しているだけに、昨年とは状況が違ってくるかもしれない。一方、今季からフェアレディZを走らせる日産勢にとって、オートポリスは昨年のスカイラインGT-Rが苦手としたサーキット。そして、Zとオートポリスとの相性はまだはっきりしない。
 このような状況だけにチーム、ドライバーたちも走ってみなければ分からない状況なのが、今回のオートポリス戦なのだ。こうなれば、観る側としても当日をひたすら楽しみに待とうではないか。


エッソ、ザナヴィ、デンソーの駆け引きやいかに?

No.1 Xanavi NISMO Z

 先のように車種間の差がほとんど無いとなれば、ものを言うのがチーム力とドライバーの腕。コースの状況やマシン、タイヤとのセッティングを早く確実に出来たチームにアドバンテージが生じることになる。もっとも、予選まで絶不調でもギャンブル的なセッティングで、決勝は見違える走りになるということもありうる。ただ、それにしてもドライバーとエンジニア、監督との技術と信頼関係がものをいうわけであり、ここオートポリスで強いチームこそJGTCベストチームと言えるかもしれない。

 さて、チャンピオン争いに目を転じれば、このレースを落としたチームは事実上の戦線離脱となる。特に上位とポイント差がついているチームはウエイトハンデなど戦略的なことを言う前に勝たねばならない。トップと10ポイント以上差がついているNo.3 G'ZOX・SSR・ハセミZ(金石年弘/コマス組)、No.38 auセルモスープラ(立川祐路/荒聖治組)、No.37 DYNACTYトムススープラ(片岡龍也/コートニー組)などがそういう作戦に来ると予想される。また、重いウエイトを積むNo.22 モチュールピットワークZ(影山正美/クルム組)、No.32 EPSON NSX(松田次生/ロッテラー組)にとっては、ウエイトを降ろし、かつ最大限のポイントを得るという難しい戦いになりそうだ。

No.39 DENSO SARD SUPRA GT

 一方、ランキング上位陣は当面のライバルとの位置関係を考えながら、最終戦での有利不利も考慮してのレースとなるだろう。ランキングトップのNo.6 エッソウルトラフロースープラ(脇阪寿一/飯田章組)と2位のNo.1 ザナヴィニスモZ(本山哲/ライアン組)はウエイト80kgと重いだけに、ライバルが下位に沈めば、ウエイト軽減を考えたポジションコントロールもあり得るだろう。だが、現在ランキング3位のNo.39 デンソーサードスープラGT(デュフォア/クート組)は40kgとさほどウエイトは重くない。そのため優勝狙いとライバル合わせ、ウエイト軽減など複数の作戦が考えられる。
 ウエイトも構わずとにかくポイント重視の上位進出作戦か、ウエイト軽減を考えたポジション狙いか。ポイントとウエイトを秤に掛けて、最終戦でどちらが有利になるのか。彼らの駆け引きと決断、そして状況変化にドライバーたちが臨機応変に対処できるか。このレースではこういった面にも注目してほしい。

■GT500 ドライバーランキング上位
Po No Machine Driver Pt* WH*
1 6 エッソウルトラフロースープラ 脇阪寿一/飯田 章 48 80
2 1 ザナヴィニスモ Z 本山 哲/R.ライアン 47 80
3 39 デンソー サードスープラ GT J.デュフォア/A.クート 43 40
4 3 G'ZOX・SSR・ハセミ Z 金石年弘/E.コマス 38 40
5 22 モチュールピットワーク Z 影山正美/M.クルム 37 90
6 32 EPSON NSX 松田次生/A.ロッテラー 36 50
7 38 auセルモスープラ 立川祐路/荒 聖治 34 30
7 35 イエローハットYMSスープラ 服部尚貴/脇阪薫一 34 20
7 37 DYNACITY トムス スープラ J.コートニー/片岡龍也 34 50
10 36 WOODONE トムススープラ 土屋武士/M.アピチェラ 24 20
*Pt:第5戦終了時の選手権ポイント/*WH:第6戦のウェイトハンデ(kg)


一歩抜け出したM-TECとARTAだが…

No.16 M-TEC NSX

 ウエイトハンデのあるJGTCにおいて、第4戦、第5戦とNo.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一組)が連勝したことは大いに評価されるところだ。これにより、ランキングトップのNo.16 M-TEC NSX(山野哲也/八木宏之組)とARTA Garaiyaとの差は7ポイントとなり、残り2戦での逆転も十分可能だ。とは言え、ARTAが1ポイント以下、No.10 JIM GainerアドバンF360(田中哲也/余郷敦組)が表彰台を逃した場合、M-TECは2位以上になれば、このオートポリスでチャンピオン決定という優位な状況であることは変わりない。
 M-TECは、80kgのウエイトを背負うとは言え、頭ひとつ抜け出たマシン・パフォーマンスで表彰台、いや優勝を狙うことも可能と思える。それとも安全策でライバルの動向を見た上での駆け引きに出るのか。どんな作戦を選ぶのか興味深いところだろう。

No.43 ARTA Garaiya

 対して、ARTAとJIM GainerはとにかくM-TECの前でゴールしなければならない。その中でJIM Gainerは昨年のこのレースでポールを獲り、決勝も残り数周までトップを快走している。今年も彼らを優勝候補に挙げる関係者も多く、彼ら自身も勝利を狙うことを明言している。そして、ランキング4〜6位のNo.19 ウェッズスポーツセリカ(青木孝行/谷口信輝組)、No.7 雨宮アスパラドリンクRX7(山路慎一/井入宏之組)、No.81 シーウエストアドバンダイシンZ(柳田真孝/尾本直史組)は優勝しなければ、最終戦でのチャンピオン争いへの参加もままならない。
 GT500に較べれば各チームが望むものがはっきり分かれるGT300の上位陣。正念場となる彼らの戦いを見届けてほしい。

■GT300 ドライバーランキング上位
Po No Machine Driver Pt* WH*
1 16 M-TEC NSX 山野哲也/八木宏之 68 80
2 43 ARTA Garaiya 新田守男/高木真一 61 65
3 10 JIM Gainer アドバンF360 田中哲也/余郷 敦 49 30
4 19 ウェッズスポーツセリカ 青木孝行/谷口信輝 35 30
5 7 雨宮アスパラドリンクRX7 山路慎一/井入宏之 32 25
6 81 シーウエストダイシンアドバンZ 柳田真孝/尾本直史 29 35
*Pt:第5戦終了時の選手権ポイント/*WH:第6戦のウェイトハンデ(kg)


 昨年もオートポリス戦の結果、チーム状況が最終戦に影響し、チャンピオン争いの大きな分岐点になった。今年も同じ状況、いやポイント制の変更などからそれ以上に影響あるレースになるかもしれない。JGTCを観る者にとっても、これほど重要なレースはない。10月30、31日これを見逃してはならない。



JGTC.net BACK
email : info@jgtc.net
本サイトで使用している文章・画像等の無断での複製・転載を禁止します
Copyright 2004 JGTC.net All right reserved. No reproduction or republication without written permission. www.jgtc.net