2004 Round7
SUZUKA GT300km
2004.11.20, 21 / SUZUKA CIRCUIT

2004Round7Race Review

2004 第7戦 決勝レースレビュー
2004-11-21
Review

カルソニックIMPUL Zが最終戦で今季初勝利!

チャンピオンはザナヴィニスモZの本山/ライアン組が獲得

エッソとデンソーは不完全燃焼のレースでシーズンを終える……

 11月21日、2004 AUTOBACS全日本GT選手権第7戦「SUZUKA GT 300km」の決勝レースが、三重県・鈴鹿サーキットで開催された。多くのファンが詰めかけたスタンドを前に、両クラス共にハードなバトルを展開。No.12 カルソニックIMUPL Zが今季初優勝。ドラバーズタイトルは、7位に入ったNo.1 ザナヴィニスモZの本山哲/R.ライアン組が手にした。GT300クラスはチャンピオンを争うNo.43 ARTA GaraiyaとNo.16 M-TEC NSXがトップ・バトルを繰り広げる大激戦。この結果、M-TEC NSXが初勝利し、山野哲也/八木宏之組がチャンピオンをも獲得した。

GT500

 決勝は定刻どおり14時、青空の下で始まった。開始時点での気温は18度、路面温度は22度。
 1周のフォーメーションラップの後、ポールポジションのNo.36 WOODONEトムススープラ(土屋武士)が手堅くスタートを決めてトップをキープ。2番手のNo.3 G'ZOX・SSR・ハセミZ(エリック・コマス)を従え1コーナーへ。その後方ではNo.32 EPSON NSX(アンドレ・ロッテラー)がNo.12カルソニックIMPUL Z(ブノワ・トレルイエ)をパス、3番手に上がる。さらにその後ろではNo.22 モチュールピットワークZ(影山正美)、No.18 TAKATA童夢NSX(セバスチャン・フィリップ)、No.8 ARTA NSX(伊藤大輔)の3台が並んだまま1コーナーに飛び込み、行き場を失いイン側の縁石をまたいだNo.18がスピン。後方に混乱が発生する。これにNo.25 ECLIPSE ADVANスープラ(織戸学)、No.62 Vemac R&D DUNLOP 408R(柴原眞介)らも巻き込まれ、5台ともポジションを大きく落とす。1周を終えて帰ってきたトップ3はNo.36、No.3、No.32の順。

 2周目のシケイン、No.12がNo.32をパス。3番手を取り戻す。これでトップ3となったNo.36、No.3、No.12は、その後10周以上にわたって接近戦を展開。一時、No.36が2秒ほどのマージンを築くものの周回遅れが出てくるとふたたび差が詰まる。このバトルは25周目に入るところでNo.12が先陣を切ってピットインするまで続いた。

 No.36はNo.12の次の周にピットイン。出口ではNo.12の前にいたが、タイヤが温まっていない状態でポジションを守りきることはできず1コーナーで逆転。さらにもう1周後にピットに戻ったNo.3もNo.12、No.36の2台に交わされ3番手に。全車のピット作業が終わったところでのトップ3はNo.12(井出有治)、No.36(マルコ・アピチェラ)、No.3(金石年弘)となった。
 この3台の間隔は周回遅れに引っかかるタイミングで近づいたり離れたりするもののペースはほぼ同じ。終盤、No.36がNo.12にやや近づく場面もあったが、結局このままの順でチェッカーを迎えた。優勝はNo.12 カルソニックIMPUL Z。チームにとっては昨年と同じく最終戦でのシーズン初優勝となった。2位のNo.36 WOODONEトムススープラは今季初表彰台。3位にはNo.3 G'ZOX・SSR・ハセミZが入った。

 シリーズタイトルを争うNo.1 ザナヴィ ニスモZ(本山哲>リチャード・ライアン)、No.39 デンソーサードスープラGT(アンドレ・クート>ジェレミー・デュフォア)、No.6 エッソウルトラフロー スープラ(飯田章>脇阪寿一)は序盤から中位を走行。No.39とNo.6はとにかく表彰台を目指さなければタイトルの可能性がなくなるが、なかなかNo.1の前に出ることができない。No.1は23周終わり、No.39とNo.6は25周終わりでピットイン。所定の作業を終えてコースに戻るがここでも状況は変わらない。
 それどころか、後半の追い上げが期待されたNo.6が34周終わりで緊急ピットイン。オーバーヒートでリタイアとなってしまう。これでNo.6のタイトルの可能性は消滅。残されたNo.39もNo.1の直後にはつけるものの最後まで抜くことができず、8位でチェッカー。この結果、7位に入ったNo.1の本山哲/リチャード・ライアン組がドライバー・タイトルを決定した。ライアンにとっては、フォーミュラ・ニッポン全日本選手権タイトルとのWタイトルとなった。チーム・タイトルは、前戦オートポリスでNISMOが確定しており、チューナー・タイトルは、トヨタテクノクラフトが獲得した。


GT300

チャンピオンを賭けた壮絶バトル!

M-TEC NSXの山野&八木が涙の初優勝・初タイトル!!

わずか1.3秒、1ポイントで悔し涙に。ARTA Garaiya無念……

 GT300クラスはポールのNo.43 ARTA Garaiya(新田守男>高木真一)と予選2番手のNo.16 M-TEC NSX(山野哲也>八木宏之)3番手だったNo.10 JIM GainerアドバンF360(田中哲也>余郷敦)の3台が序盤から接近戦を展開。No.10はいったんNo.16の前に出るが、激しいバトルのすえ14周目にNo.16が抜き返す。その後さらに3台でのテール・トゥ・ノーズからときにサイド・バイ・サイドの手に汗握るバトルが延々と続いた。

 この勝敗を分けたのはピット作業の時間だった。25周目にピットに戻ったNo.43が約36秒を費やしたのに対し、次の周入ったNo.16は約32秒でピットアウト。ストレート半分ほど先行してコースに復帰した。31周まで引っぱったNo.10は燃費の悪さもあって作業に40秒以上かかり2台からは引き離されてしまう。

 その後、No.16とNo.43の差は一時5秒ほどに広がったが、No.43の高木はあきらめることなく追撃。対するNo.16の八木も最後までミスなく走り、ラスト1周では1.2秒まで詰まった差を守りきってトップでチェッカーを受けた。この結果、No.16 M-TEC NSXの山野哲也/八木宏之組がキャリア初の全日本ドライバー・タイトルを獲得。八木はJGTCデビューイヤーでの栄冠。山野にとっては全日本ジムカーナとの2冠を得た年となった。
 M-TECはチームタイトルと合わせ、二冠を達成した。3位はNo.10に留まり、チームタイトルにも届かなかった。


GT500 優勝

No.12 カルソニック IMPUL Z


ブノワ・トレルイエ「勝つことができて、とてもうれしいです。今朝はクルマがオーバーステアでちゃんと走れるか心配だったんですけど、スタート直前にセッティングを変えてたことで、改善しました。あとはタイヤを痛めないことことを心がけました。ピット作業も良かったし、ユウジも早くコースに出ることができた。ユウジは前のクルマ(#36)を抜いてくれた。自分のドライビングも楽しめたし、ユウジの走りも見てて楽しめたよ。今年のベストレースだと思います。スタートはZと同士でぶつかることは避けたかったので、リスクのないようにいきました。32のNSXに抜かれましたが、自分たちのクルマのが安定していたので、すぐに取り返せると思っていました。3号車は速くて抜くことが難しかった。エリックには近づくとリスクがあったし、ミスするのを待ったんですが、やはり経験豊富なだけにミスしなくて、ピットで抜くことに切り替えました。今年は不運も多くて、いつかは勝てると思っていましたが、もっと早く勝ちたかったですね。来年はもっと強くなります」
井出有治「一番最初にチェッカーを受けられて、うれしかったですね。今年は勝てそうで勝てなかったレースが続いていたんで、最後にこういう形で締められたんで良かったです。ブノワのペースが良いのに詰まって抜けないのは分かっていました。勝負はピット作業と冷えたタイヤでの走り出しで決まると思っていました。チームが完璧な仕事で送り出してくれた。だから、僕もプッシュしてなんとか36号車を抜くことができた。(36号車を)後ろから見てて、向こうもタイヤが温まっていくのが分かったし、僕の方もまだ温まりきっていなかったけど、このまま前に入られたら抜くのは難しいと思ったので、ここが勝負だと思ってきっちり抜きにいきました。クルマはまったく問題はありませんでした。終盤36が来ても引き離せる余裕は残ってありました。今日は勝ててうれしいんですけど、シーズンを考えるとすごく悔しい結果なんで、来年は1年を通してしっかりと成績を残して、チャンピオンを獲りたいです」

GT300 優勝

No.16 M-TEC NSX


山野哲也「もう、最高の気分です! 今年は勝てそうで勝てないレースが多くて、そういう意味でも夢を見ているようです。序盤、僕はものすごく冷静で、クールに走っていました。僕らは勝たないとチャンピオンになれないわけですから、レースをしにいきました。ガライアやフェラーリと熱いバトルをしましたが、行き過ぎず抑えすぎず、自分の仕事ができたと思います。本当に冷静だったんですよ(笑)。ガライヤ(No.43)も速くて抜くまでにいかなかった。でも、ぴったりと着いていけば、M-TECならピットで八木君をトップで送り出してくれる、そういう勝負ができるチームという自信があったので、すごいバトルに見えたかもしれないけど、全然涼しかったですよ(笑)。僕らのタイヤは温まりが良くて、八木君が出ていってずっと(2分)7秒台で走っていたので『これはいける!』と思ったんですが、タレてくると厳しくなるので後半が心配だったんです。そうしたら、本当に心配が始まっちゃて、今度は『やばい』って(苦笑)。でも、今回彼はすごくいい仕事をしてくれました。ラスト1周はTVがGT300を映してくれなくて、長い時間でしたよ。本当に最高のレース、最高の日でした」
八木宏之「僕らのタイヤはウォーム(温まり)が良くて、出て1周目のタイムが良かったんで、クルマもそれに合わして仕上げました。走り始めは良かったです。テストや週末で得たデータ通りの走りができました。ガライヤの状況は、毎周無線で聞いてました。今回は1周の時間が経つのがすごく長く感じました。でも、絶対負けないと思って走りました。これまでの6戦は自分のミスで落としたこともあったんで、そうならないようにとがんばりました。今年始めてJGTCに出て、最初にチェッカーを受けるなんて初めてだったんで、表彰台では全然実感がありませんでした。(今日は)それより、無線の罵声……、いや応援(笑)ですね、それが印象深いことですね」



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