3月18日、鈴鹿サーキット(三重県)で2007 AUTOBACS SUPER GT第1戦「SUZUKA GT 300km」の決勝レースが行われた。GT500は予選5位からNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/高木虎之介組)が逆転で優勝。立川は自らの持つ最多勝をさらに9勝と延ばした。GT300はNo.13 エンドレスアドバン洗剤革命Z(影山正美/藤井誠暢組)がポール・トゥ・ウインを達成。影山も両クラス通算9勝目だった。



決 勝 天候:晴 | コース:ドライ

GT500 Class


 決勝レースは14時に、きれいに晴れ渡った青空の下でスタート。昨年のこのレースは強風に悩まされたが、今回は昨年ほどではないもののやはり風の中でのレースとなった。開始時点での気温は12度、路面温度は22度。

 オープニングラップの1コーナー、GT500クラスの中団でNo.22 MOTUL AUTECH Z(ミハエル・クルム)とNo.39デンソーサードSC430(平中克幸)が接触。さらにNo.24 WOODONE ADVAN Clarion Z(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)もこれに巻き込まれる形でコースアウトしてしまう。No.22はコースに復帰したが、No.39はコースサイドのスポンジバリアにクラッシュしてマシン後部を大きく破損。ピットには戻ったもののそのままリタイアに追い込まれてしまった。No.24も、8周目に入ったところで駆動系に異変をきたしスローダウン。その後コースサイドにマシンを止めてしまった。また、No.17 Real NSX(金石勝智)もペースが上がらず、8番手までポジションを落としている。

 一方、ポールスタートのNo.8 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)は、2番手のNo.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル)に1周で1.4秒の差をつけて戻ってくる。3周目には1分53秒133というファステストラップを記録。その後も快調なペースで後続との差を開いていく。対するNo.32は10周目のS字コーナーでスピン。5番手まで後退してしまう。これでNo.18 TAKATA童夢NSX(道上龍)が2番手、No.100 RAYBRIG NSX(ドミニク・シュワガー)が3番手、No.38 ZENT CERUMO SC430(高木虎之介)が4番手にポジションアップ。また、No.32の後方ではNo.23 XANAVI NISMO Z(本山哲)がチャンスをうかがっていた。


No.23 XANAVI NISMO Z
 これら上位陣ではNo.23が最も早く21周目にピットイン。次の周にNo.38もピットに戻り、それぞれドライバーをリチャード・ライアン、立川祐路に交代して戦線に復帰する。トップを行くNo.8のほか、No.18、No.100、No.17のNSX+ブリヂストンタイヤ勢はリア2輪のみの交換でピット作業時間を短縮する作戦を採り、GT500クラス全車のピット作業が終わった30周の時点で、No.8伊藤大輔、No.18小暮卓史、No.100細川慎弥の順で1-2-3態勢を築いた。

 ところが次の周、No.100細川が逆バンクでマシン・コントロールをミス。スポンジバリアにクラッシュしてレースを終えてしまう。これでNo.38立川が3番手、No.23ライアンが4番手に上がる。その後、この上位4台は残り10周を切るまでつかず離れずの状態で周回を重ね、このままフィニッシュを迎えるかと思われた。

 だが、このレース最大のドラマはこのあとに待っていた。45周目のダンロップコーナー、No.18の後部から突如炎が上がり、コースサイドにストップ。今月初めの合同テスト時と同じく、エンジントラブルが発生したのだった。

 NSX勢に襲い掛かる不運はこれだけに留まらなかった。トップを行くNo.8がチェッカーを受けるまであとわずか1周となったとき、このクルマもまたエンジントラブルに見舞われてしまう。伊藤は、スローダウンしたマシンをなんとかフィニッシュラインまで運ぼうとするが、スプーンカーブまでたどり着いたところで完全に力尽きてしまった。


No.32 EPSON NSX
 これをかわし、トップでフィニッシュしたのはNo.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/高木虎之介)。SC430勢としては、昨年のトムスにつづき、開幕戦・鈴鹿2連勝となった。

 2位はNo.23 XANAVI NISMO Z(本山哲/リチャード・ライアン)。予選7番手から着実にラップを積み重ねた結果を表彰台に結びつけた。3位はNo.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル/ファビオ・カルボーン)。序盤のスピンのほか、レース中盤にはピット作業時の違反によるドライビングスルーペナルティもあり、これらが無ければ…と悔いの残る結果ではあったが、NSX勢全滅という事態だけはなんとか阻止することができた。

 とはいえ、この表彰台の顔ぶれは練習走行、予選でのNSXの驚速ぶりからはとても予想できなかったもの。あらためてSUPER GTを勝ち抜く難しさを思い知らされるような結果となった。