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2007 AUTOBACS SUPER GT Round6

プレビュー

2007-08-14

シリーズでもっとも過酷な1000km決戦
伝統のPokka1000kmを制覇せよ!
シリーズ後半に向けてのキーポイントとなるか!?

 通算36回目となる日本でもっとも歴史あるレース。それが『International Pokka1000km』だ。そのPokka 1000kmは、昨年からAUTOBACS SUPER GTのシリーズ戦となった。今年もシリーズ第6戦として、8月18、19日に鈴鹿サーキットで開催される。
 SUPER GT最長の決勝距離である1000km、時間にしておよそ6時間。そして真夏の酷暑、ラスト1時間はSUPER GT唯一のナイトラン。耐久レースの要素が多いPokka1000kmだが、SUPER GTドライバーたちはそうそうアクセルを緩めることはない。まさに1000kmのスプリントと言われるほどに。いつも以上に過酷で、厳しいレースになるのは間違いない。


各チームの考え抜かれたレース戦略に注目

 Pokka1000kmは、過酷なレースだ。通常300kmで行われるSUPER GTだが、この一戦だけはその3倍以上の1000kmというレース距離を走らなければいけない。当然、マシンの耐久性やドライバーの体力とローテーション、さらに5回以上になるピットワークと、本当に6時間まったく気の抜く間もない戦いである。

No.12 カルソニックインパルZ
 このため、いつも以上に各チームのレース戦略に注目してみたい。まずは、この1000kmだけに認められている第3ドライバーの存在。個々のドライバーの負担を減らすには有効だが、乗り慣れていない第3ドライバーがミスする可能性もある。昨年も思わぬところで足をすくわれたチームもあった。しかし、優勝したカルソニックインパルZは、今年も起用されているジェレミー・デュフォアが、レギュラー陣に遜色ないスピードと安定度をみせ、大いに貢献している。この切り札をどう使うのか、興味深いところだ。
 次にピットインの回数、作業内容だ。これまでの1000kmレースから考えると、ピット回数は5回が常識的だ。だが、このピットの回数を減らせば、1分からの時間と、もしもの作業ミスの可能性を減らせる。しかし、場合によっては燃費走行をする必要が出てくる。ドライバーのテクニックやマシンの燃費性能によっては不可能なこともある、ドライバーの体力的にも1回分を長く走ることになるだけに、体力面の心配もあるわけだ。
 そして、さらに興味深いのはPokka1000kmためだけのマシン改造はメカ・マニアだけでなく注目して欲しい。酷暑のレースでドライバーや機器の負担を減らす冷却機構、ナイトランのための補助灯、オイルやブレーキパッドの交換作業を素早くする仕組みなどなど。各チーム独自のアイディアが溢れるのも、このPokka 1000kmの楽しさである。


そろそろチャンピオン争いも気になるところ


No.8 ARTA NSX
 さて、このレースはシリーズ第6戦。全9戦の後半戦へ突入というところになる。それだけに選手権ポイントの点からも重要だ。今季の競技規定では、この第6戦までの6レースの中の最低とその次のポイントを、選手権ポイントにカウントしないことになっている。とは言え、ここまで全レースでポイントを挙げているランキングリーダー伊藤大輔/ラルフ・ファーマン組(Mo.8 ARTA NSX、第3ドライバー:井出有治)でも最低点は1ポイント。結局今回、少しでも多くのポイントが欲しいのは、どのチームも変わらない。特に2戦以上ノーポイントや少数ポイントのレースをしてしまったチームにとっては、ここは挽回への最大のチャンスとなる。特に最近、鈴鹿を得意とするSC430勢、中でもNo.1 宝山TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー組)や昨年ここで好走し3位となったNo.35 BANDAI 00 DUNLOP SC430(服部 尚貴/ピーター・ダンブレック/ロニー・クインタレッリ組)は優勝候補とも言えるだろう。

No.35 BANDAI 00 DUNLOP SC430
 もちろん、鈴鹿と言えばNSXも要注意。ウエイト50kgを積むとはいえ、4連続ポールのNo.18 TAKATA童夢NSX(道上龍/小暮卓史組)も、前戦の表彰台獲得で勢いが付いているし、レース巧者のNAKAJIMA RACING、No.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル/ファビオ・カルボーン組)も気になる。ポイントリーダーのNo.8 ARTA NSXは、前戦優勝で100kgのハンデを積むだけに上位は厳しいといえる。その中で、悲願のSUPER GT初制覇に向け、少しでも多くのポイントを獲得できるか、そこに焦点が置かれるだろう。
 そして、このレースのキモになりそうなのがZだ。NISMOのNo.23 XANAVI NISMO Z(本山哲/リチャード・ライアン組)はウエイトも少なく、ピットワークに定評あるチームなだけに、優勝も十分にあり得る。前戦無得点だっただけに、ここでの勝利はタイトル争いにとっても必要なはず。僚友の22号車と共に第3戦富士以来の表彰台もありそうだ。
 そして、昨年の1000km覇者No.12 カルソニックインパルZは、今年もブノワ・トレルイエ、星野一樹、デュフォアの勝利トリオで参戦。他レースの事故で前戦欠場したトレルイエに弱冠の不安はあるが、今年も優勝候補と言い切れる存在なのは間違えない。


昨年1000kmを制したクムホタイヤ勢は要注目!


No.5 クムホ プロμ マッハ号 320R
 GT300クラスでは、韓国のクムホタイヤを履いたセリカが昨年の1000kmを制した。今年は、ベテラン玉中哲二が率いるNo.5 クムホ プロμ マッハ号 320Rにこの優勝に貢献したクムホと竹内浩典、澤圭太が加わっている。それだけに5号車は優勝候補の1台と言えるだろう。また、同じクムホを履く、No.110 GREEN-TEC KUMHO BOXSTER-GT(黒澤琢弥/光貞秀俊組)も気になる存在になりそうだ。
 これ以外にも、ポイントランキング上位に付けるNo.101 TOYSTORY apr MR-S(大嶋和也/石浦宏明組)、No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(高橋一穂/加藤寛規/吉本大樹組)、No.13 エンドレスアドバン洗剤革命 Z(影山正美/藤井誠暢組)などの健闘も期待したい。


 なんにせよ、SUPER GT全レースでもっとも各酷な一戦。どんなドラマが待っているのか、夕闇のゴールを誰がまっ先に駆け抜けるのか、楽しみの多いレースとなるだろう。そして、1000kmを観戦する側も6時間の長丁場だ。サーキット観戦組は暑さ対策をしっかり考えて、そしてテレビ組もクーラー効かせ過ぎで体調を壊さないよう、心して名勝負を観てほしい。