2008 AUTOBACS SUPER GT開幕戦「SUZUKA GT 300km」を明日に控えた鈴鹿サーキット(三重県)で、公式練習走行が実施された。あいにくの雨模様ではあったが、午前と午後、2回の走行が行われた。



Session 1

練習走行 1回目 天候:雨 | コース:ウェット | 気温12度 | 路面温度13度

 練習走行1回目の開始時間は10時。明け方から降り出した雨が路面を濡らし、完全なウェット状態での走行となった。

 天気予報では、予選日・決勝日はドライ。ウェットでの走行はあまり重要性を持たないため、ほとんどのチームがようす見。タイム計測ができたのはGT500、GT300の両クラスを合わせても17台に留まった。いちおうのトップタイムはGT500クラスではNo.36 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)の2分21秒993。注目のニューマシン、GT-R勢はNo.22 MOTUL AUTECH GT-Rが3周、No.3 Yellow Hat YMS TOMICA GT-Rが2周したのみ。雨の中、GT-Rのデビュー戦を観にかけつけた熱心なファンにとっては、お楽しみは午後までお預けの形になった。

 一方、GT300クラスではNo.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ(佐々木孝太)が2分24秒442をマークした。これはGT500との総合でも2番手に相当するタイム。路面の状態を問わないAWD(全輪駆動)の強みをフルに発揮してみせた。


Session 2

練習走行 2回目 天候:曇 | コース:ウェット | 気温14度 | 路面温度16度

 2回目の走行は14時15分から。雨は昼過ぎに上がったが、路面はまだ濡れた状態でのスタートとなった。

 ここではまず、決勝中にセーフティカーが入った場合のシミュレーションを行った。今年から採用されたSUPER GTオフィシャルセーフティカーの日産GT-Rを先頭に、クラス別にホームストレートに停車。隊列を作って走行するシーンが見られた。
 その後は通常走行を再開。だが、15時少し前に2コーナーでコースアウト車両があり、回収のために中断される。10分足らずで再開されると、そこから30分間ほどは両クラスの混走が行われた。

 15時30分から15分間はGT300クラスの専有走行。路面は徐々に乾き始めていたが、まだスリックタイヤでタイムアタックを行えるほどではなく、午前と同様、AWDのNo.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサがトップに。山野哲也は2分19秒120までタイムアップしてみせた。これに続いたのはNo.46 MOLA Z(星野一樹)、No.43 ARTA Garaiya(新田守男)のミシュランタイヤ勢。4番手にはクムホタイヤのNo.110 KUMHO BOXSTER-GT(光貞秀俊)、5番手には横浜ゴムのNo.66 DGRQムルシェRG-1(山西康司)がつけ、このクラスのタイヤバトルの激しさをうかがわせる結果となった。

 最後の15分間はGT500クラス専有。ここではスリックタイヤでコースインするチームもあったが、本格的なアタックをかけるのは難しい路面コンディション。結局は浅みぞのレインタイヤで出したタイムがベストとなった。最も速かったのはNo.22 MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム)の2分03秒978。チェッカーぎりぎりのタイミングで他より1周多く走れたためタイヤが十分に温まり、唯一2分03秒台に入れることができた。
 2番手はNo.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)。3~4番手にはNo.12カルソニックIMPUL GTR(松田次生)、No.23 XANAVI NISMO GT-R(ブノワ・トレルイエ)の順でGT-R勢がつけた。GT-Rデビューウインに向け、日産陣営にとっては幸先のよい練習走行となった。SC430では、やはりラスト5分でタイムを刻んだNo.36 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)が6番手で付けた。


No.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ

ミハエル・クルム/No.22 MOTUL AUTECH GT-R(GT500クラストップタイム)
今日はあまりテストできないようなコンディションでしたね。クルマは雨の中でも問題なかったですけど、タイヤの比較や、前回テストのセットアップと今回変えたものと、どちらがいいか結論は出せませんでした。でも、雨の中でもGT-Rは本当に素晴らしいパフォーマンスがある。難しいコンディションの時に非常に速いです。今日トップタイムが出たのはみんなよりも1周多く走ることができたから。みんなもう1周していたら、もっとタイムが上がったと思います。ただ、トップタイムで終えられたのはうれしいですし、そこから開幕戦を始められたというのは、すごくいい感じですね。明日もトップになれるように頑張って仕事します。
柳田真孝/No.22 MOTUL AUTECH GT-R(GT500クラストップタイム)
今日はレースに向けての最終調整だったんですけど、僕もウェットの中でクルマがどういう状況か確認させてもらいました。前回のテストでは、どうしてもアンダーが強い傾向があったんですけど、その点が改善されているのは分かったので良かったと思いますね。ドライでも多分大丈夫だと思います。トップタイムで終えられたのはうれしいですけど、すごく接戦だと思います。だから、今晩マイケル(クルム)さんに美味しいものを食べてもらって(明日も)頑張ってもらおうと思います。
山野哲也/No.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ(GT300クラストップタイム)
(トップタイムをマークして)自分の名前が一番上にあるっていうのはスカッとするよね。だから、ニコニコの1日でした。今日はダンパーなど、セットアップを進めながらの走行をしていました。最初は深みぞ(のレインタイヤ)で走っていて、その後浅みぞに変えた時にあのタイムが出たんですね。AWDマシンとしてはもっと他に差を付けたかったんですけど、今日は“これぐらいで許してやろう"って感じかな(笑)。ドライに関しては、まだやらなくちゃいけないことが沢山あります。ただ、ボディの補強やダンパーのリセッティングをしてきてくれているので、ドライでもいい印象を持って走れると思います。まずチームの士気を高めるためにも、スーパーラップに残るか残らないかは大きいと思うので、何としても残りたい。