SUPER GT恒例の開幕前公式テストが、2月29日、三重県・鈴鹿サーキットで始まった。今季はGT500クラスに日産GT-Rが復活。また、昨年のチャンピオン伊藤大輔がホンダ陣営からトヨタ陣営に移ったのをはじめ、ドライバーの移籍も例年以上に活発だ。GT300クラスを含めて、今シーズンのSUPER GTがどのような展開をみせるのか。シリーズを占ううえでも見逃せないテストとなった。


Session 1

セッション1 天候:晴 | コース:ドライ | 気温:7度 | 路面温度:10〜18度

NISMO移籍のトレルイエが名刺代わりの一発!

 1回目の走行は9時30分に開始。しかし、開始直後にNo.39 DENSO DUNLOP SARD SC430(高木虎之介)がS字コーナーでコースアウトを喫し、1周を完了しないうちに赤旗中断となる。マシンにダメージはなく、車両回収後に走行再開。その後は目立ったアクシデントはなく、各チーム着実にテストメニューをこなしていった。
 この日の鈴鹿サーキットは好天に恵まれ、風も比較的穏やか。気温こそ7度に留まったが、春を思わせる日差しに照らされた路面は、開始時点で10度、終了時点では18度まで上がった。

 GT500クラスのうち、何チームかは、ここの前にセパンサーキット(マレーシア)や岡山国際サーキットなどで何度かテストを重ねている。それらのチームは今回、そのデータと過去の鈴鹿でのデータをすり合わせつつ、開幕戦に向けてタイヤの選択やセッティングの煮詰めを行う作業が中心となる。ただし、チームによっては事前テストが十分でないところもあり、テストの進め方はそれぞれ異なっていた。
 こうした中、このセッションのトップタイム(1分53秒383)をマークしたのはNo.23 XANAVI NISMO GT-R(ブノワ・トレルイエ)。2番手はNo.36 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)、3番手はNo.100 RAYBRIG NSX(井出有治)で、ここまでが1分53秒台。昨年同時期に行われた鈴鹿テストではNSX勢がトップ5を独占したが、今回はGT-R、SC430、NSXの順で、3メーカーの車両が1台ずつ並ぶ結果となった。ただし、昨年のテストでのベストタイムは1分52秒081で、このセッションでのベストを1秒以上上回っている。

 なお、走行終了後、レースディレクターによるSUPER GTドライバー講習会が行われた。これは今シーズンのレギュレーションにより全ドライバーに受講が義務づけられたもの。今回が第1回で、この後開幕戦直前の3月14日、富士公式テスト中の3月26日、さらに各レース週の予選前日に開催される予定になっている。


No.36 PETRONAS TOM'S SC430

Session 2

セッション2 天候:晴 | コース:ドライ | 気温:14度 | 路面温度:26度

トラブル多発もテストは着々と進む

 2回目の走行は14時30分に開始。天候は変わらず快晴で、開始時点での気温は14度、路面温度は26度まで上昇した。

 開始から10分ほど経った頃、カシオトライアングルの入口でNo.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)がコースアウト。スポンジバリアにマシン後部をヒットしてしまう。カウルを大きく破損、スポンジバリアも散乱したため赤旗中断。10分ほどかかって片付けた後、走行再開となる。No.1はこの後すぐにマシン修復に入り、これ以上の走行を重ねることはできなかった。
 再開後、No.25 ECLIPSE ADVAN SC430が立体交差先でコースサイドにストップ。さらにNo.666 楽天 BOMEX 320Rもコースアウトしたため、マシン回収のために再度赤旗中断となる。

 10分弱で再開した後も、何台かコースアウトした車両はあったが、その他のチームはほぼ順調に周回を重ねていく。ただ、ラップタイムはNo.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)の1分54秒206がベストと、1回目をさらに下回った。今回は各チームがあえて抑えているのか、他のメニューを中心にテストを進めタイムを重視していないのか。真相は定かではないが、かえって不気味さを感じさせる結果だった。
 なお、昨年のチャンピオン、伊藤大輔(No.6 ENEOS SC430)は、1分55秒160というタイムで、移籍後初の公式テスト初日を終えた。


No.18 TAKATA 童夢 NSX

5年ぶりに復帰したNo.81が好タイムを記録(GT300ダイジェスト)

No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電

 GT300クラスで序盤から好タイムをマークしたのはNo.2 プリヴェKENZO・アセット紫電(加藤寛規)。昨年、わずかの差で逃したタイトルを奪取しようと、開幕前から力が入っているようだ。1回目は2分07秒036、2回目は2分06秒798をマークし、2セッションともトップを奪った。通算2番手はNo.81 フェアレディZ(青木孝行/藤井誠暢)。2003年以来GTから遠ざかっていたダイシンカラーだが、健在ぶりをアピールした。タイヤがミシュランに変わったNo.46 MOLA Z(星野一樹/安田裕信)は2分07秒231で午後の走行の3番手。

 新車のF430を投入したNo.11 JIMCENTER ADVAN F430(田中哲也/植田正幸)は2分08秒820で初日走行を終えた。昨年のチャンピオンマシンを引き継いだNo.95 ライトニング マックィーンapr MR-Sのルーキーコンビ(平手晃平/国本京佑)は、2分08秒605がこの日のベストだった。


Comments
ブノワ・トレルイエ/No.23 XANVI NISMO GT-R(GT500クラストップタイム)
ボクはこのGT-Rが大好き。行き過ぎてしまってもコントロールできるからね。今日もニュータイヤでのアタックで、デグナーの縁石に乗ってジャンプしちゃったんだけど、それでもコントロールできた。Zだとコントロールできない場合もあったんだけどね。トップタイムは午前中ソフトタイヤで出したもの。午後は路面温度が上がって、それに対してタイヤがソフト過ぎたのかな。クルマもまだリアのスタビリティに少し問題があった。さらにセットアップを進めて解決していかなければね。いずれにしても、トップタイムで終われてよかったよ。
加藤寛規/No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(GT300クラストップタイム)
ウチは去年から(チーム体制やマシンが)変わってないし、あとは開幕に向けて最後のテストということで、予選の練習したりロングをかけたりしてました。スケジュールとしては計画どおりでした。でもヨソがちゃんとやってないから、わからない部分もありますよね。去年よりもタイムは4秒遅くなりましたからね。紫電に一番合ってるのが鈴鹿なんで、開幕で勝ちたいと思っています。まだ100点ではないので、明日1日でクリアして、万全な態勢で鈴鹿に挑みたいですね。