2008 AUTOBACS SUPER GT第9戦(最終戦)「FUJI GT 300km RACE」の予選を翌日に控えた11月7日、富士スピードウェイ(静岡県)で、公式練習走行が行われた。


Session 1

練習走行 1回目 天候:晴 | コース:ハーフウェット | 気温14度 | 路面温度15度

 練習走行1回目は9時15分から。未明に降り出した雨は開始前に上がったが、空は雲に覆われており、路面はウェット。全車、レイン用タイヤを装着してのスタートとなった。開始時点での気温は14度、路面温度は15度。

 シリーズ最終戦となる今回は、タイトルがかかっているチームはもちろん、ここまで不本意な成績に終わっているチームも、有終の美を飾ろうと狙っている。練習走行から、いつも以上に真剣勝負のムードが漂う。予選が行なわれる土曜日も、予報では雨の可能性があり、レイン用タイヤでの予選シミュレーションを行なうチームも多かった。
 レイン用タイヤを装着した状態では、No.39 DENSO DUNLOP SARD SC430(アンドレ・クート)がトップ。No.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル)がこれにつづき、ウェットではダンロップタイヤ勢が好調のようだった。
 開始から1時間ほど過ぎると、多数のマシンが走行を重ねたライン上が徐々に乾き始める。ここでもダンロップタイヤ勢がいち早くドライ用タイヤを装着。一時はトップを占める。
 残り時間が10分を切ったところで他のチームもドライ用タイヤでの予選シミュレーションを始める。ここで一気にタイムアップしたのがNo.24 WOODONE ADVAN Clarion GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)。1分35秒495というタイムを出し、これがこのセッションでのベストとなった。今回、このチームは2ランクの性能引き上げ措置を受けており、シーズン2勝目を狙っている。
 2番手はNo.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)、3番手はNo.39 DENSO DUNLOP SARD SC430(アンドレ・クート)。車種も、タイヤも違う3車がトップ3に並ぶという興味深い結果となった。
 ランキングトップのNo.23 XANAVI NISMO GT-Rはドライ用タイヤでの走行は行わず、本山哲がレイン用タイヤでマークした1分44秒192がベスト、15番手という結果だった。

 GT300クラスでは、セッション最後にタイムを上げたNo.88 triple aガイヤルドRG-3(松田秀士)の1分44秒999がトップ。デビュー以来、熟成に苦労してきたガイヤルドだが、ようやく直線スピードの速さをラップタイムに結び付けられるようになって仕上がってきたようだ。
 2番手はユンケルパワータイサンポルシェ(谷口信輝)。今回、チームは谷口のパートナーに山路慎一に代えてドミニク・ファーンバッハーを起用している。3番手にはNo.19 ウェッズスポーツIS350がつけ、このクラスは横浜ゴム(ADVANタイヤ)勢がトップ3に。GT500クラスのNo.24と合わせ、このセッションではADVANが両クラスでトップを占める結果となった。



No.88 triple a ガイヤルドRG-3
Session 2

練習走行 2回目 天候:晴 | コース:ドライ | 気温20度 | 路面温度23度

 練習走行2回目は14時10分、予定より10分遅れて始まった。午前中、上空を覆っていた雲は昼過ぎに晴れ、11月とは思えないほどのぽかぽか陽気に。気温は開始時点で20度、路面温度23度まで上昇した。土曜日の予選2回目(スーパーラップ)も、日曜日の決勝も、このセッションとほぼ同時刻に行なわれる。このため、予選シミュレーションを行なうチームと、決勝のシミュレーションを行なうチームの両方があった。

 開始から1時間余り過ぎたところで、コースアウト車両回収のため赤旗が提示されセッション中断。立ち入り禁止区域に人が立ち入ったという情報もあり、安全が確認されるまで10分ほどを要した。
 中断前、GT500クラスのトップタイムをマークしていたのはNo.6 ENEOS SC430の伊藤大輔。負傷のため第5戦以後を欠場、久々の復帰となった伊藤だが、このセッションを見る限り走りにまったく支障はないようだ。

 再開後、約5分間の両クラス混走を経て、15時45分から15分間、GT300クラスの専有走行に入る。ここではまず、No.26ユンケルパワータイサンポルシェ(ドミニク・ファーンバッハー)が1分44秒097のベストタイムをマークする。その後、専有時間終了間際にスーパーラップを想定した各チームがいっせいにタイムアップしてくるが、その中で、1分43秒813というタイムでトップを奪ったのはNo.88 triple aガイヤルドRG-3(松田秀士)だった。走行1回目もトップだった同車だが、ここでも2番手を0.2秒以上引き離すタイムをマーク。この速さはホンモノと見てよさそうだ。
 タイトルを争うチームでは、No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(加藤寛規)の1分44秒823、7番手が最上位。No.46 MOLAレオパレスZ(星野一樹)とNo.81ダイシンADVAN Z(青木孝行)は、接近したタイムで14、15番手に並ぶ。一方、ランキングトップのNo.43 ARTA Garaiyaは17番手と、やや苦しい状況に置かれている。

 最後の15分間はGT500クラス専有。ここでも各チーム終了間際にスーパーラップを想定したタイムアタックを行なう。トップタイムをマークしたのはNo.24 WOODONE ADVAN Clarion GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)。1分33秒980と、この日唯一1分33秒台に入れている。2番手はNo.12カルソニックIMPUL GT-R(松田次生)。この2台はともに性能引き上げの対象となっており、決勝でも上位を狙える状況にあるようだ。
 3番手にNo.6 ENEOS SC430(ビヨン・ビルドハイム)をはさみ、No.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)の4番手が、タイトル候補の中では最上位。No.22 MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム)は6番手、NO.36 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)は8番手と、それぞれ上位を狙える位置にはつけている。
 一方、No.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)は14番手、No.23 XANAVI NISMO GT-R(ブノワ・トレルイエ)はクラス最下位の16番手。ともに苦しいが、No.23は自身がノーポイントでも他者しだいでタイトルを手中にできるだけに、No.18のほうがより追い込まれているといえるだろう。
 なお、セッション終了間際、No.100 RAYBRIG NSX(井出有治)が1コーナーでコースアウト。マシンを一部破損するというできごともあった。


ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/No.24 WOODONE ADVAN Clarion GT-R(GT500クラストップタイム)
まずまずのセッションだったかな。タイヤもいい感じだったし、クルマのバランスも悪くなかった。前回の公式テストでしっかり手ごたえを得ていたので、今日もセットを変えず、その状態から徐々にセットアップする感じだった。朝のセッションはトラフィックが激しくてタイムアップできなかったんだけど、GT500専有になっていいタイムが出せた。ただ、タイムそのものはあまり気にせず、どちらかというとタイヤがいい状態で走行できる方向でクルマを仕上げていくことに重点を置いていたんだよ。予選も今日と同じようなコンディションになるといいなぁって思っている。そうなればポールポジションも獲れないわけじゃない。でもウェットになると条件が厳しくなるなぁ…。
松田秀士/No.88 triple aガイヤルドRG-3(GT300クラストップタイム)
午前中はコンディションが良くなかったんですが、その中でトップを取れたのはうれしかったですね。午後も最終的にうまくまとまった。88号車チームはエンジニアと僕らのコミュニケーションがうまくいっていて、今まで“ああだね、こうだね”ってやってきたことの積み重ねがうまく出ました。クルマの仕上がりは、ブレーキがちょっと不安定だったりアンダーステアがあったりと、小さなことはいくつかありますが、悪くないです。もっとタイムを出そうとしたらそういう症状が出たということなので、このタイムがある意味限界だと思いますけれど。タイヤもすごくいいですね。横浜ゴムさんの今回のタイヤは気候にすごく合っているんじゃないかと思います。明日は、もうすぐ54歳になるので、53歳の記念としてポールを獲れるよう、がんばります。狙える位置にはいるので、集中して、やれるだけのことはやりますよ。そんなに力んではいないですけどね。