11月8日午後、2008 AUTOBACS SUPER GT第9戦「FUJI GT 300km RACE」の予選1回目が、富士スピードウェイ(静岡県)で行われた。GT500クラスはNo.24 WOODONE ADVAN Clarion GT-Rのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ、GT300クラスはNo.33 HANKOOK PORSCHEの影山正美がポールポジションを奪った。


Qualifying Session 1

公式予選1回目 天候:小雨 | コース:ウェット | 気温11度 | 路面温度13度

 予選1回目は10時10分から。朝から降り続く雨は止まず、完全なウェット状態での予選となった。開始時点の気温は11度、路面温度は13度。ともに終了の11時10分までほとんど上がらず、各チーム、タイヤのウォームアップに苦しんでいた。

 最初の20分間はGT300クラス専有。最初のアタックで、他を3秒も引き離すトップタイムをマークしたのは、やはりというべきか、雨に強いAWDのNo.77 クスコDUNLOPスバルインプレッサ(カルロ・バンダム)。
 その後、No.26 ユンケルパワータイサンポルシェ(谷口信輝)、No.33 HANKOOK PORSCHE(影山正美)らポルシェ勢がこれに接近。No.33影山はアタックするたびにタイムを上げ、ついにはNo.77を抜いてトップに躍り出る。さらに、No.27 石松・FUNKY'S・HANKOOK GT3(井上貴志)もこの時点で6番手に相当するタイムをマークする。どうやら、ハンコック・タイヤは、このコンディションにぴったり合ったレイン用タイヤを用意してきたようだ。
 これを見たNo.77バンダムもさらにアタック。1分53秒073までタイムアップしてトップを奪い返す。この後、GT500専有時間に入るが、そのボードが表示された直後に数台がタイムアップ。その中にNo.27井上もあり、この時点では、AWDのNo.77に、No.33、No.27、No.26と、3台のポルシェがつづく形になった。

 つづく20分間はGT500クラス専有。雨の状況がどう変化するか予測できないため、各チーム早めのタイミングでアタックを敢行する。
 序盤、上位を占めたのはSC430勢。NO.36 PETRONAS TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)、No.39 DENSO DUNLOP SARD SC430(アンドレ・クート)、No.25 ECLIPSE ADVAN SC430(石浦宏明)らがリーダーボードの上位に並ぶ。
 ランキングトップのNo.23 XANAVI NISMO GT-R(ブノワ・トレルイエ)は、重いウェイトハンデにも関わらず果敢なアタック。だが、勢い余ってコースアウト。真横からタイヤバリアに当たってしまう。さいわい、大きなダメージはなく自力でピットに戻れたが、ピット中が息を呑んだ瞬間だった。
 その後、No.100 RAYBRIG NSX(井出有治)、No.32 EPSON NSX(ロイック・デュバル)、No.24 WOODONE ADVAN Clarion GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)らがタイムアップ。両クラス混走に入る直前には、No.32、No.24、No.35宝山KRAFT SC430(ピーター・ダンブレック)の順で、異なる3車種がトップ3で占める形になった。

 最後の20分間は両クラスの混走。通常、この時間帯はアタックしないドライバーの予選通過基準タイムなどに宛てられるが、ここでは、走行を重ねるに連れてライン上の水が掃け、タイムアップが望める状況になったために、アタックを行なうチームが多かった。
 GT500クラスではNo.24デ・オリベイラ、No.23トレルイエらがタイムアップ。No.24は1分45秒191をマークし、No.32からトップを奪う。No.23も8番手に入り、スーパーラップの権利を手に入れる。ランキング2位のNo.18 TAKATA童夢NSX(小暮卓史)は、No.23を0.06秒上回った。
 この結果、No.24、No.32、No.35、No.100、No.36、No.25、No.18、No.23、No.1 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)、No.17 REAL NSX(金石年弘)の10台がスーパーラップ進出を決めた。
 一方、今回優勝しないとタイトルの可能性が消えるNo.38 ZENT CERUMO SC430は、立川祐路、リチャード・ライアンの二人が必死のアタックを試みるが、タイムを伸ばすことができず、15番手どまり。逆転タイトルはかなり厳しくなってしまった。

 GT300クラスでは、No.33影山が最後にアタック。1分52秒356までタイムを伸ばし、トップを奪った。No.77山野哲也も1分53秒017までタイムを伸ばすが、わずかに届かなかった。その後方でも何台かタイムアップする車両があり、トップ10は大きく変動。
 結果的に、No.33、No.77、No.26、No.43 ARTA Garaiya(高木真一)、No.46 MOLAレオパレスZ(安田裕信)、No.2 プリヴェKENZOアセット・紫電(加藤寛規)、No.62 WILLCOM ADVAN VEMAC408R(黒澤治樹)、No.19 ウェッズスポーツIS350(織戸学)、No.5 プロμマッハ号320R(山野直也)、No.27の10台がスーパーラップ進出を決めた。
 タイトル候補は、No.43、No.46、No.2と、ランキングと同じ順番でスーパーラップ進出。一方、ランキング4位のNo.81 ダイシンADVAN Z(青木孝行)は14番手でスーパーラップ進出を逃してしまった。
 また、No.808 初音ミクStudie GLAD BMW Z4、No.666 楽天BOMEX 320R、No.9 ニッソーサービスC6の3台は、このセッションでは予選通過基準タイムをクリアできなかった。


No.33 HANKOOK PORSCHE

GT500 クラス | 予選1回目トップ
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/No.24 WOODONE ADVAN Clarion GT-R
今朝、天気が雨と知った時点では、予選1回目のトップに立てるなんて思いもしなかった。僕のターゲットはトップ10に残ってスーパーラップでがんばることだったんだからね。だから驚いた。クルマは朝の時点で少しダウンフォースを変えたことが雨の中での走行にすごく有効に働いた。だからクリアラップを取りたいと狙ってたんだ。それがまたうまくいったよ。混走になって、また違うタイヤでアタックしたんだけど、それもいい感じだった。セットアップもまた良くなってたし、こうなると、どんな天候になってもうまくいけそうな気がするね。いろんな意味でオドロキだけど、とてもうれしいよ
GT300 クラス | 予選1回目トップ
影山正美/No.33 HANKOOK PORSCHE
今日は走る前からチャンスだと思っていました。雨でのデータはそれなりにありますからね。混走で木下選手に基準タイムだけ出してもらって、その後、僕がもう1回ニュータイヤでアタックに行きました。すでに1回アタックしているし、タイヤの状況も把握しているので、ギリギリでタイヤを温めることもできて、最後の周でベストが出たという感じです。最後の20分はライン上は水がはけていて、ハイドロプレーニングも起きない状況でした。雨もちょっと弱くなっていました。今年はずっと苦しんでいましたが、今回は、とりあえず土曜日の午前中まではうまくいっています。このままの流れを今日の午後と明日にどうつなげるかは(チームの)みんな次第ですね。
 ところで、27号車がスーパーラップに残ったのはメチャクチャうれしいです。今年は資金的に苦しくて、5回しか出ることができていないんですが、その最終戦の予選で初めてのスーパーラップに出られましたから。戻ってきて見た時にはすごくビックリしました。チーム・シャドウの新しい記録が少しずつ刻まれていくのがうれしいです