2008 Regulations Digest

2008SUPER GTRegulationsDigest

2008 レギュレーション・ダイジェスト

2008 SUPER GT Technical Regulations digest

2008 SUPER GT テクニカルレギュレーション 抜粋
これは2008年度のJAF競技車両規則「グランドツーリングカー(JAF-GT500及びJAF-GT300)」規定とSUPER GT統一規則書から抜粋、編集したもので、正式なものではありません。正確な内容、解釈が必要な場合は、必ずそれぞれの規則書をお読みください。  ※ [GT500]はJAF-GT500のみの規定。[GT300]はJAF-GT300のみの規定

■基本車両

グランドツーリングカーの定義
最少2座席を有し、車両の片側面にそれぞれ1枚の乗降用ドアを有する自動車。

JAF-GTの資格
車両はFIAグループN/A/GT2/GT1、JAF量産ツーリングカーまたは特殊ツーリングカーとして公認されているか、もしくはJAF登録車両。

4ドア車使用の条件 [GT300]
当該モデルが属するファミリー内に2ドアモデルが存在しない場合、片側面に2枚のドアを有するモデルも使用できる。

■使用の制限

合成樹脂(カーボン/ケブラーを含む)
規則で許されているか、基本車両、基本エンジンに標準で使用されている場合のみ当該部分に使用が許される。

チタニウム、セラミック
エンジンコンロッド、吸/排気バルブ、バルブリテーナー、ヒートシールド、ブレーキキャリパーのピストン、過給装置を除き、基本車両、基本エンジンに標準で使用されている場合のみ、当該部分に使用が許される。

制御機能の制限
基本車両に設置されている制御機能であっても、オートマチックまたは電子式のシャシーコントロールシステムあるいは機能はいずれも禁止される。なお、ウィンドウの開閉などドライバーが操作する単純な電動スイッチは電子制御とみなさない。以下の規定で“自由”とあっても、これらの制限の内であること。

■エンジン

型式および位置
自動車メーカーの公道走行用で、FIA/JAFに認められたエンジンを搭載できる。取り付け方位、方向、位置は、ベース車両のエンジンルーム内にあれば自由。

位置 [GT300]
エンジンの取り付け位置も自由。

改造
気筒容積の変更は許される。過給装置は自由。カムシャフトの位置/個数および駆動方式の変更は禁止。吸入空気の冷却のためのインタークーラーは取り付け位置、配管を含めて自由。排気系統は自由。ただし、いかなる可変排気装置も禁止される。3ローターエンジンをGT300で使用する場合、過給装置は禁止される。

使用エンジンの制限 [GT500]
使用エンジンは1エンジン/1レースウィーク(予選前日から決勝レース終了まで)に制限。この間にエンジンが交換された場合、予選結果のグリッドから10番降格される。

■エアリストリクターと最低重量

エアリストリクターの形状と仕組み
金属製であり円形断面を有する、1つまたは2つの長さが最小3mmの平行孔を有するエアリストリクターを取り付けなければならない。エンジンに吸入される空気は、すべてこのエアリストリクターを通過しなければならず、エアリストリクターの上流で吸入空気の全量を強制的に遮断した場合、直ちにエンジンが停止しなければならない。

最低重量
別表に従った最低重量を保持しなければならない。これらの重量は、出走可能な状態で一切の潤滑油、冷却水を満たし、燃料とドライバーを除く車両の真の最低重量である。競技中は最低重量より車両が軽くなっていてはならない。ハンデウェイトとその取り付け装置は、最低重量に含まない。

エアリストリクター径/車両最低重量(単位:mm)

GT500 最低重量区分
排気量区分 1100kg 1150kg 1200kg 1250kg 1300kg 1350kg
2000cc<
≤3500cc
141.742.643.544.345.246.2
229.830.431.031.732.333.0
3500cc<
≤4000cc
141.141.942.843.644.545.4
229.329.930.631.231.832.4
4000cc<
≤4500cc
140.641.442.343.144.044.9
229.029.630.230.831.432.1
4500cc<
≤5000cc
140.241.141.942.743.644.5
228.729.329.930.531.131.8
5000cc<
≤5500cc
139.940.741.542.343.244.1
228.529.029.630.230.931.5
5500cc<139.540.341.141.942.843.6
228.228.829.329.930.531.2
GT300
NA最低重量区分
排気量区分1100kg1150kg1200kg1250kg
≤2000cc装着免除
2000cc<
≤2500cc
135.236.036.737.4
225.225.726.226.7
2500cc<
≤3000cc
134.134.835.536.2
224.424.825.325.8
3000cc<
≤3500cc
133.334.034.735.4
223.824.324.825.3
3500cc<
≤4000cc
132.833.534.134.8
223.423.924.424.9
4000cc<
≤4500cc
132.433.133.834.5
223.223.624.124.6
4500cc<
≤5000cc
132.132.833.434.1
222.923.423.924.4
5000cc<
≤5500cc
131.832.533.133.8
222.723.223.724.2
5500cc<131.532.132.833.5
222.523.023.423.9

ターボ最低重量区分
排気量区分1100kg1150kg1200kg
≤2000cc134.335.035.7
224.525.025.5
2000cc<
≤3000cc
133.734.435.1
224.124.625.1
3000cc<
≤4000cc
133.233.934.5
223.724.224.7
4000cc<132.633.334.0
223.323.824.3

RE最低重量区分
排気量区分1100kg1150kg1200kg
T/C138.539.640.6
2ローター装着免除
3ローター143.844.845.8

NAエンジンに対して下表1250kg表を追加して運用

1250kg適用は重量を下げての使用が認められるが、その後1250kgへ戻す事はできない。

1250kg表の運用はRd6までとする。

GT500車両の特別性能調整 [GT500]

  • Honda NSX、NISSAN GT-R、TOYOTA SC430の3車種は最低車両重量を1100kgとする。
  • Honda NSXは最低車両重量1100kgのリストリクターを適用し、最低車両重量を1150kgとする。
  • NISSAN GT-RはGTA特認車両とし、2009年JAF-GT規定の一部先取り仕様の採用を認めるが、内容はGTAが判断する。
  • この3車種はシリーズ第1、2戦のレース成績に応じて、第2戦または第3戦以降で0〜60kgのウエイトによる特別性能調整を行う。これは年1回を原則とする。このウエイトは最低車両重量の調整であり、リストリクター換算表には反映されない。(子細は2008年GTAブルテン No.004-Tに定める)
■ボディ
車体のすべての寸法と形状は規定に定められた改造を除き、公認書、登録車両に関する資料に記載された基本車両の状態を維持していなければならない。

ステップドボトム [GT500]
最低地上高は60mmが確保されなければならない。ただし、ホイールベース間のフロア下に幅200mm、厚さ30mmのスキッドブロックを装着しなければならず、これは最低地上高の対象にならない。また、スキッドブロックは常に規定の範囲を越えて削れてはならない。

オーバーハング [GT500]
フロントアンダープレートのオーバーハングは最大1020mmを超えない範囲で、基準車両のオーバーハングの115%まで延長が許される。リアバンパー下部は最大1060mmを超えない範囲で、基準車両のオーバーハングの115%まで延長が許される。

ウィンドウ
フロントウィンドシールドは『公認車両および登録車両に関する安全規定』に適合しなければならない。ウィンドウガラスは取り付け位置、形状に変更がなければ車室内を透視することができる厚さ6mm以上のポリカーボネイトに交換してもよい。

車体
前後バンパー、フェンダー、ドア、ボンネット、リアハッチゲート、およびトランクリッドの材質は、十分な強度を保持し、形状を変えない限り合成樹脂または軽金属へ交換することが許される。外観形状を大幅に変更しない範囲(最大突出量20mm)であれば、ルーバー、リップ等を取り付けることが許される。

車体構造
車室部分は当初の車体(モノコック構造体)が維持されなければならない。基準車両の座席数に関わらず、フロントシートの背面を境として後部隔壁を設置できる。それより後方のボディはパイプフレーム構造に置換可。
前部隔壁(バルクヘッド)より前方、および後部隔壁(バルクヘッド)より後方の主構造(フレーム構造)は、これを切除し、ロールケージに接続するパイプフレーム構造に置き換えることが許される。ただし、この場合、衝撃吸収構造体(クラッシャブルストラクチャ)の設置が義務付けられる。

フェンダー
車両の各々の側面においてフェンダー幅を基本車両の全幅から最大5cmまで増大させることができるが、車両の最大幅が200cmを超えることは許されず、フロントフェンダー前部およびリアフェンダー後部は、車両を真上から見たときに、規定された範囲内に収めること。

オープンカーのハードトップ
形状はソフトトップ、もしくはオプションにハードトップが設定されている場合は、それに近似していなければならない。材質は自由。

■空力装置

フロント(前部空力装置)
フロントバンパーを前部空力装置と一体化することができる。一体化されたバンパーと空力装置は、出走状態の車両(すべての公式車両検査に提示された車両)のフラットボトム上方250mmより下で、車輪回転軸の中心より前に取り付けなければならない。
車体下部の構造体は前部コンプリートホイールの前端を通過する垂直面より前方に位置するフェンダーの下部と接合することができる。材質は自由。

リア(後部空力装置)
後部空力装置は、リアエアスポイラーもしくはリアウィングの何れかを取り付けることができる。基本車両に付いているものは変更せずに使うか、取り外すことができる。
リアウィングの数は1構成であり、翼の枚数は1枚、翼断面の何れの部分も33cm×15cmの長方形に収まること(ガーニーフラップを含むが支持体と翼端板は除く)。高さはフロントウインドシールド透明部分(サンシールド等を含む)の最高点を限度とする。幅は基本車両の最大幅を超えてはならない(支持体と翼端板を含む)。リアウイングの後端位置は、リアホイールセンターから最大1060mmを超えない範囲で、基準車両のオーバーハングの115%まで後方に下げることができる。

ディフューザー(後部床下の空力装置)
完全にフラットで開口部のない傾斜のあるプレート(ディフューザー)を追加することが認められる。傾斜プレートはフラットボトムの後端と車体最後端を通過する垂直面の間に位置すること。幅は車両の縦の中心線より左右650mm以内で対称であること。パネルはフラットボトムより150mm以上上方に位置してはならない。パネルの後端と車体との間に隙間がある場合、必ず地面と垂直な板でその隙間を塞ぐこと。

フラットボトム
ホイールハウス、外部ミラーを除き、車両の真下から見える車体部分の全幅に渡りフラットボトムの設置が義務付けられる。フラットボトムは前部車輪回転軸中心線と後部車輪回転軸中心線の間の車両下面に、堅固な平面をしっかりと固定しなければならない。フラットボトムは空力的効果を有したり、車室の床との間を空気が流れる構造ではならない。周縁部には、最大半径25mmの上向きの湾曲を形成することが許される。

サイドスカート
サイドスカートは、出走状態の車両の車輪回転軸の中心を通る水平面より下に、拡幅された車両の最大幅までの範囲で取り付けることが許される。前/後縁および側縁は半径5mm以上のR形状を有していなければならない。サイドスカートの外側面は、基本車両の外側面より内側に入り込んではならない。また、フラットボトムと隙間なく接合されなければならず、前後フェンダーとも接合されなければならない。サイドスカートの材質は自由。

■サスペンション
基本車両のサスペンション形式からの変更および改造は自由。ただし、サスペンションの車体側の取り付け点を移動した場合でも、エンジンを取り外したときにサスペンションが正常に作動しなければならない。
すべてのサスペンションアームは金属製でなければならない。スプリング、ショックアブソーバーは自由。スタビライザーも自由だが、走行中にドライバーによって機械的方法で調整することのみが許され、他のいかなる方法によっても走行中に調整可能であってはならない。
■ステアリング
ステアリングホイールと操向装置と操向車輪とは、唯一機械的に連結されていなければならない。パワーステアリングは、プログラム可能な制御を備えていない単一のシステムである場合に限り使用することができる。
■駆動系
駆動方式はベース車両の駆動方式に関わらず変更できる。クラッチは規定内であれば自由。ミッション、最終減速機、差動装置は最大6速および後退ギヤで構成されていなければならない。取り付け位置は自由。シフトレバーとトランスミッションは機械的に連結されていなければならず、それ以外の機構でシフトチェンジが可能であってはならない。
トランスミッションと最終減速機との間のシャフトおよびドライブシャフトは自由。デフと一体となったトランスアクスルへ変更も可能。ビスカスクラッチは、車両が走行中に制御することができなければ使用が許される。オイルクーラーの取り付けは自由。
■ブレーキ
材質や機構が別規定に反しない限り自由。ブレーキキャリパーは各ホイールには最大6ピストンまでのシングルキャリパーが許されるが、キャリパーの各ピストンの断面は円形でなければならない。ブレーキディスクは各輪に鉄製の最大1つのブレーキディスクが許される。ブレーキの冷却は空気による冷却以外、いかなる物質の噴射、噴霧による方法も禁止される。ただし、ブレーキキャリパーは液体を循環させる方式で冷却しても良い。

車両規則上、カーボンブレーキの使用は可能。ただし、競技規則では制限されており、車種、車両の状況を考慮し対応することになる。

■ホイールおよびタイヤ
タイヤ径はホイールに装着された状態で計測される。ホイールの材質は金属材料であるならばホイールの材質は自由。エアジャッキ搭載は自由(圧搾気体の容器を除く)。
・コンプリートホイール最大幅 GT500:14インチ/GT300:12インチ
・コンプリートホイール最大径 両クラスとも:28インチ
■燃料タンク
安全燃料タンクの装着が義務付けられる。燃料タンクは当初の位置、荷物室、ホイールベース間、あるいは荷物室とホイールベース間に跨って設置され、前部座席の後端より後方に位置していなければならない。堅固で防火性に富んだ防火壁によりドライバーとエンジンルームから隔離されなければならない。車両に搭載できる燃料の総容量は100リットルとする。
■ライト

ヘッドライト(前照灯)
前照灯は基本車両の形状と機能を保持し、点灯を認識できる照度を維持しなければならない。照度(あるいは光度)向上のための光源の変更は認められる。リトラクタブル構造の場合、リトラクター機能を削除し、前方を照射するよう改造することが許される。左右交互に点滅する前照灯は禁止。GT500車両は白色、GT300車両は黄色またはアンバー色の前照灯カバーを備えなければならない。

尾灯、制動灯、方向指示器、その他
当初の形状を維持し、当初と同等以上の照度を維持しなければならない。その他の灯火を取り外し、その結果生じた開口部にダクトを接続することが許される。

■騒音規制
JAF国内車両規則に定める排気音測定に従い、規定の規制値を下回るようにしなければならない。必要な場合は消音器を取り付けること。消音器はレース終了後まで正しく動作すること。

この項目は競技規則書に記載されている。

■禁止されるシステム
アンチロックブレーキシステム、トラクションコントロール、セミオートマチックおよびオートマチックギアボックス、動力作動式クラッチ、電動または自動調整のファイナルドライブディファレンシャルシステム、電動または自動調整のショックアブソーバー・サスペンションあるいは車高調整、四輪操舵、可動バラスト、エンジン以外のクローズドループ電子制御システム、ギヤチェンジ補助システム(ギヤチェンジで一時的に推進システムを制御するもの)、 走行中に運転席からショックアブソーバー・サスペンションスプリングの調整を行う装置、テレメトリーシステム、スロットルペダルとエンジン間を機械的に直接連動させる方法以外のスロットルコントロールシステム(ただし、ピットレーン指定速度を遵守するためのリミッターの使用は認められる)。