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2009 SUPER GT Round4

プレビュー

2009-06-12

文字通りの“熱戦”開幕迫る...
ヒートアップ必至のマレーシア・セパンを見逃すな
逆襲を狙うチームの奮闘に注目せよ

6月20、21日はAUTOBACS SUPER GTシリーズの海外ラウンド、第4戦「SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA」がマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで開催される。第4戦は、今季全9戦の前半戦を区切る戦いだけに、ここまで結果が残せないチームにとって重要となる。また、毎年厳しい暑さのなか行われる過酷なレースだけに、壮絶なサバイバル戦にもなる。今年もどんなドラマが待っているのだろうか。


猛暑対策が鍵。GT-Rに新兵器登場!?


No.1 MOTUL AUTECH GT-R
 マレーシアは赤道に近い国。それゆえ、セパン戦は毎年ライバル以上に暑さとの戦いが重要になる。近年のレースでは、クールスーツと言われるレーシングスーツの下に着る冷却ベストが使用される。これは冷水をベスト内のパイプに流し、外気の熱さに対抗する仕組みである。ところが、あまりの暑さのためか、セパン戦では故障に見舞われことがある。こうなるとドライバーが熱中症寸前となり、まともなドライビングが出来ない。
 そこで、GT-Rを開発するNISMOでは、GT-Rにエアコンをつけるという試みが成されている。エアコンをつけることは重量増、パワーロスとなり、これまでレーシングカーでは敬遠されていた。だが、GT-R勢はレース用エアコンを開発し、このセパン戦で本格投入する。この新兵器が効力を発揮するか? 第3戦の勝者No.1 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ブノワ・トレルイエ)は、これを武器に連勝もあり得るかもしれない。


注目はNSX勢! 中でもARTA NSXが本命


No.36 PETRONAS TOM'S SC430
 さて、各チームの戦いに目を転じてみよう。セパンと言えば昨年、一昨年と連覇しているNo.24 HIS ADVAN KONDO GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/荒聖治)だ。今年は開幕戦に優勝し、第3戦富士でも4位と好調だけに、このセパンも本命と言いたいところだが、気になるのはやはり62kgのウエイトハンデ。No.24 GT-Rにとっては、表彰台を目標とした戦いになりそうだ。他にも、No.36 PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー)、No.38 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/リチャード・ライアン)もウエイトハンデ大きいだけに我慢のレースになりそうだ。

No.8 ARTA NSX
 そこで注目したいのが、NSX勢だ。NSX全般としては苦戦の今季序盤戦だけに、マシンの特性とコースが合っているセパンは巻き返しのポイントとなる。中でも善戦をするNo.8 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン/伊沢拓也)はエースのファーマンがここを得意としているだけに、今季初勝利を狙ってくるだろう。SC430勢ではウエイトハンデが少なく、セパンでの優勝経験のあるNo.39 DUNLOP SARD SC430(アンドレ・クート/平手晃平)も気になる。ウエイトが軽い点では、No.100 RAYBRIG NSX(井出有治/細川慎弥)、No.6 ENEOS SC430(伊藤大輔/ビヨン・ビルドハイム)も上位を争ってくるだろう。


2台のフェラーリに注目。そして、やはりRX-7か!?


No.7 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7
 GT300クラスでセパンと言えば、RE雨宮レーシングだ。オールスター戦を含む7回のセパン戦で4勝、昨年も3位のRX-7。地元のスポンサーも付いているだけに、今季もNo.7 M7 MUTIARA MOTORS雨宮SGC 7(谷口信輝/折目遼)を推したいが、やはり74kgのハンデがキツイ。ただ、今季は速さだけでなくしぶとさも感じられるチームとなっているだけに、ひょっとしたら優勝という目も捨てきれない。現在、ランキングトップのNo.43 ARTA Garaiya(新田守男/高木真一)もウエイトが大きいだけに、ここは確実にポイント狙いになりそうだ。
 そこで注目したいのは、2台のフェラーリ。No.11 JIMGAINER ADVAN F430(田中哲也/平中克幸)とNo.81 ダイシンアドバンFerrari(青木孝行/藤井誠暢)だ。今季速さを見せているこの2台、ランキング上位勢がウエイトで厳しくなる中、明らかにチャンスとなるだろう。
 そして、ダークホースとして推したいのがNo.74 COROLLA Axio apr GT(井口卓人/国本雄資)。彼らが履くミシュランタイヤはセパンを得意としており、07年には彼らの先輩に当たるMR-S(大嶋和也と石浦宏明)が、ここでポール・トゥ・ウインを達成している。流れ次第では、一躍ヒーローになるかもしれない。
 加えて、セパンでは特別エントリーとして、シンガポールのチーム、No.69 雷アジア MT900R(メルビン・チョー/マーティン・ショート)が登場する。マシンはモスラーMT900Rだ。上位を争うのは難しいと思われるが、地元の声援を受けて大いに健闘してほしい。


No.81 ダイシン アドバン Ferrari

No.74 COROLLA Axio apr GT