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2017.02.23
2017年のSUPER GTルール改定のポイント第2回【車両とエンジン/プラクティスセッション】

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 前回に続き、2017年のSUPER GT競技規則(スポーティングレギュレーション・SpR)をいち早くチェックして、主な変更点をご紹介したい。

 SpRは毎年変更、見直しが図られている。レギュレーションは、SUPER GTに参戦する者にとって法律であり、ドライバーやメカニックはそれを遵守して競技をしなければならい。そしてエンジニアや監督はすべてを理解、解釈して作戦やセッティングを立案/実行する。ファンにおいてもレースを知る上で、知っていれば観戦がより楽しく、SUPER GTへの理解が深まるものだ。

 

第2回「車両とエンジン/プラクティスセッション」

車両とエンジン

 

 

【GT500車両のシャシー】

 2017年はGT500クラスの全車両が新型となる。このシャシーは2018年のシーズン終了までの2年間を継続して使わなければならないこととなった(SpR 第22条3)。ちなみに2014年の規則では、GT500の2014年車両は2016年シーズン終了の3年使用であった。
 レースやテストでの不慮の事故などでシャシー修復が不可能となった場合は、GTAの承認を得て交換が可能だ。これによって交換した場合、その後の決勝レースでピットストップのペナルティが課せられる(ストップ時間はその都度決定し、レース前に発表)。なお、交換の原因が該当チームにない事故などによる場合は、このペナルティは免除される。この辺りは昨年同様である。

 

【GT500車両のエンジン】

 GT500クラス車両のエンジンは1シーズンで2基までとなった(SpR 第22条4)。昨年までは1シーズン3基だったので、より厳しくなった。この制限によって、自動車メーカーやチームのシーズンを通しての戦略が従来とは違ったものになると考えられる。

 

 

プラクティスセッション

 

 

【フリー走行をファンサービスに置き換え】

 ある意味、今季一番大きな改定がこの「プラクティスセッション」だ。これまでは、決勝レース開催日の午前に30分間のフリー走行が行われていたが、今年はこの走行時間帯がなくなった(SpR 第29条11)。GTAはこの時間を使って、ファンがよりSUPER GTを楽しんで頂けるよう、イベントステージにおいて予選上位ドライバーによるドライバートークショーの実施を予定している。
 また、フリー走行に代わり、決勝レース直前に行われていた8分間のウォームアップ走行が20分間に拡大されることとなった(SpR 第32条2)。このウォームアップ走行の前には参加全選手のドライバー紹介なども予定されている。

 ぜひ新しいSUPER GTの試みに期待して欲しい。

 
 

ドライビング・モラルハザード
 

【度重なるマナー違反の厳罰化】

 レース競技においての違反は、競技会の審査委員会によりペナルティが課されることとなっている。GTAでは、競技での違反に加え、それ以外(公式テストやプロモーションイベントなど)も含め、モラル違反(Driving Standard Observerが判定)に対して「ドライビング・モラルハザード制」という罰則制度を制定している。これは、自動車運転免許での違反ポイントのような仕組みになっており、ドライバーが違反を重ねると練習走行への出場停止などの罰則がある。

 ドライビング・モラルハザードの罰則は、これまで公式予選や決勝レース結果に直接影響するようなものはなかった。だが、今季は8ポイントに達すると「次回出場大会の公式練習(終日)参加禁止かつスターティンググリッドを8グリッド降格」という極めて厳しいペナルティが課せられる事となった(SpR付則-6)。ポイント制だけに、軽微なモラル違反でも回数を重ねることで、このような重罰になるため、ドライバーの競技、走行のモラル向上につながることになる。

 

 2017年競技規則(スポーティングレギュレーション)において、レース自体に関わる主な改定は、以上の通りだが、この他にも細かな改定はいくつもある。その多くが、より安全を高め、競技を公正に行うためになされている。

 

 2017年の開幕戦・岡山(4/8,9)まであと1ヶ月半ほど。各チームの参戦情報やテスト状況などを楽しむと共に、この今季規則の変更などもチェックして、ぜひ楽しんで欲しい。

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