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2017.11.30
【2017年シリーズ総集編】GT300クラス 第1回「シーズン前半4戦を振り返る」

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前半4戦はAMG GT3が2勝、RC F GT3初優勝とFIA GT3車両が活躍
ディフェンディングチャンピオンのVivaC 86 MCも1勝と実力を発揮

熱戦が続いた2017年のAUTOBACS SUPER GTシリーズも全8戦が終了し、4つのタイトルも決定した。そこで、GT500、GT300両クラスそれぞれの戦いを振り返ってみたい。
まずはGT300クラスの今シーズンを3回に渡り、ご紹介していこう。第1回は「GT300クラス前半戦」と題して、今シーズンの前半4戦のキーポイントを主要選手のコメントと共にレポートしたい。

 

 

■開幕戦「OKAYAMA GT 300km RACE」岡山国際サーキット

4月8日(土)公式予選/4月9日(日)決勝レース

グッドスマイル初音ミクAMGがAMG GT3同士の対決を制して優勝
2位はLEON CVSTOS AMG。GULF NAC PORSCHE 911が予選15位から3位に

 2017年もSUPER GTは、岡山国際サーキットで幕を開けた。路面の全面改修を行ったことで、コースレコードの更新が注目された。公式練習ではNo.4 グッドスマイル初音ミクAMGの谷口信輝がレコードにあと一歩と迫るタイムをマーク。だが、Q1では直前に小雨が降ったこともあって、トップの4号車、片岡龍也もレコードには至らず。
 完全にドライコンディションとなったQ2で、レコードタイムを更新したのはNo.65 LEON CVSTOS AMGの蒲生尚弥だった。途中の赤旗中断後にピットに戻った蒲生に対し、4号車の谷口は最後まで走り続けて、ラストアタックを完璧に決めるも、蒲生にコンマ1秒届かず。3番手となった昨年王者のNo.25 VivaC 86 MCの松井孝允までが、レコード更新となった。
「初めてポールが獲れて、ホッとしています。セクター1と2は僕の方がアドバンテージありましたが、最後の4号車のアタックはすごかったので、ハラハラしながら見ていました」と蒲生は語った。

 

 

 

 好天となった決勝日。フォーメーションラップ中にストップしたGT500車両が出たため、セーフティカースタートとなるが、GT300では大きな波乱はなし。まずは65号車(黒澤)を4号車(片岡)が追う。さらに25号車(山下健太)もこの2台に追い付く。だが、4号車はそれにも動じることなく、19周目のWヘアピンで65号車を抜いてトップに浮上し、その後10秒以上のリードを奪った。一方、黒澤と山下による2番手争いは激しくなる。ピットでは、4号車と25号車が左側2本のタイヤのみ交換。4本交換した65号車は3番手に下がる。全車がピットを済ませた直後に2度目のセーフティカーランとなり、トップの4号車(谷口)に不利となるかと思われた。だが、追う25号車(松井)、65号車(蒲生)との間にはバックマーカーが5台も挟まっており、4号車のリードが減ることはなかった。対して2番手争いは一層白熱し、タイヤにマージンのある蒲生が松井にプレッシャーをかけ続ける。そうした中、GT500と軽い接触のあった松井が痛恨のスピン。蒲生の先行を許し、4番手に後退する。

 

 

 トップを行く4号車の谷口は余裕で逃げ切り、3年ぶりとなる優勝を手にした。片岡は「今回はテストから手応えを感じており、かなりの確率で優勝争いができると思っていました。予選でポールが獲れなかったのは悔しかったですが、その分、レースで65号車を苦しめてきました。前に出ちゃえば大丈夫だと。非常に手応えのあるいいタイヤのおかげで、僕は楽しく走れました。今まで何度か勝っていますが、今日ほどドライバーとして楽なレースはなかったですね」。そして谷口からは「僕らは2011年と14年にチャンピオンを獲っているので、それで行くと17年にはまた獲れることになるはず。是非チャンピオンを獲りたい」と、予言めいたコメントも出ていた。2位は65号車、そして3位には予選15番手から激しい追い上げを見せたNo.9 GULF NAC PORSCHE 911(ジョノ・レスター/峰尾恭輔)が獲得した。

 

 

 

> 第1戦 岡山国際サーキット 予選リザルト

> 第1戦 岡山国際サーキット 決勝リザルト

 

 

 

■第2戦「FUJI GT 500km RACE」富士スピードウェイ

5月3日(水)公式予選/5月4日(木)決勝レース

RC F GT3が初優勝!JMS P.MU LMcorsa RC F GT3が見事なレース展開
GAINER TANAX AMG GT3とD'station Porscheが表彰台を獲得

 恒例の500kmレースで行われる第2戦富士は、No.4 グッドスマイル 初音ミク AMGの谷口がポールを獲得。「今回もヨコハマが用意してくれたタイヤが抜群にコーナーで速くて、決して僕の腕じゃありません」と谷口はタイヤを誉め、2連勝に手応えを見せていた。

 

 

 ポールの4号車は今回もスタートを片岡が担当。背後には予選3位のNo.11 GAINER TANAX AMG GT3(ビヨン・ビルドハイム)が迫る。予選2位の GULF NAC PORSCHE 911(峰尾)は、タイヤ選択に失敗し、4周目にはNo.51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3(中山雄一)に先行を許した。最初のピットインであとに入った11号車(平中克幸)は4号車(谷口)の前に出るが、冷えたタイヤでは踏ん張りが効かず、その周のうちに逆転を許した。一方、驚異の好燃費を利して41周までピットインを引っ張った51号車は、坪井翔にバトンタッチ。4号車と11号車を追う。
 ピット前では僅差だった4号車と11号車だが、その後は4号車がリードを広げる。それが15秒ほどとなった61周目、4号車の左フロントのタイヤにトラブルが発生。幸い、コース後半であり、しかも2回目のピットの準備に入っていたためロスは最小限で済んだが、トップは11号車の手に。その11号車は75周目にピットに。これで暫定トップとなった51号車は、ここでもピットインを引っ張り、80周目にようやく中山へ交代。しかもタイヤはフロント2本だけの交換と勝負に出た。

 

 

 51号車はトップをキープし、3秒差で11号車(ビルドハイム)が続く。一時は1秒を切るまでに迫った11号車だったが、ギヤトラブルに見舞われてポジションキープに。4番手まで落ちていた4号車は、ゴールまで6周というところで再び左フロントタイヤにトラブルが起き、ポイント圏外に落ちてしまう。
 これで51号車が逃げ切りを果たして優勝。RC F GT3、そして初参戦の坪井にとっても2戦目での勝利だった。そして2位には11号車、3位は予選14番手で、しかも序盤のスピンで大きく順位を落としていた、No.33 D'station Porsche(藤井誠暢/スヴェン・ミューラー)が獲得した。
 初勝利の坪井は「今は素直に嬉しいです。まさか2戦目で勝てるなんて、上出来すぎます。できることはすべてできましたし、我ながら合格点を与えたいと思います」。そして中山は「岡山では予選4番手だったのに、決勝は8位と悔しい思いをしました。でも、(先日の)オートポリスのテストでいいタイヤが見つかりました。同じ予選4番手でしたが、今回は確実にレベルアップしたのを感じました。坪井選手も速かったし、マージンも作ってくれたから、僕はそれを守るだけでした。いいレースだったと思います」と締めくくった。

 

 

 

> 第2戦 富士スピードウェイ 予選リザルト

> 第2戦 富士スピードウェイ 決勝リザルト

 

 

■第3戦「SUPER GT in KYUSHU 300km」オートポリス

5月20日(土)公式予選/5月21日(日)決勝レース

前年王者のVivaC 86 MCが薄氷のポール・トゥ・ウイン
SUBARU BRZ R&D SPORTは0.091秒届かず2位。3位はARTA BMW M6 GT3に

 この2戦、表彰台をFIA GT3車両に独占されていただけに、第3戦オートポリスはJAF-GT300勢にとって反撃の一戦となった。予選ではQ1とQ2を完全制覇してNo.25 VivaC 86 MCがポールポジションを獲得。2、3番手もNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT、No.5 マッハ車検MC86 GTNETとJAF-GT300車両が占めた。

 

 

 決勝でも25号車(山下)、61号車(山内)によるトップ争いが繰り広げられた。29周目に25号車がピットイン。そして32周目には61号車もピットに。34周目に予選4位から3番手に上がっていたNo.55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一からショーン・ウォーキンショー)が、左側のタイヤ2本の交換でロスを最小限とし、事実上のトップに立つことに成功する。
 しかし、55号車はトップを守れず、25号車(松井)は43周目にトップへ返り咲き、61号車(井口)も2番手に。このままレースは終わるかと思われたが、ラストラップに25号車は燃料ポンプのトラブルが発生しペースダウン。ゴール目前で61号車が並び掛けるも、0.091秒差で辛くも25号車が先にチェッカーを受け、今季初優勝を飾った。

 

 

 「最後、燃料ポンプの1つが壊れてしまい、左コーナーで特に症状がひどくて。できるだけのことはしましたが、本当にギリギリでした」と松井が語れば、「自分としては、それなりにハイペースで走ったつもりでしたが、それでも着いてこられてしまって」と山下も、厳しいレースを語った。3位には55号車が入った。

 

 

 

> 第3戦 オートポリス 予選リザルト

> 第3戦 オートポリス 決勝リザルト

 

 

■第4戦「SUGO GT 300km RACE」スポーツランドSUGO

7月22日(土)公式予選/7月23日(日)決勝レース

波乱のレースをGAINER TANAX AMG GT3が制する
大健闘のFerrari 488 GT3が2位。VivaC 86 MCが3位で2戦連続表彰台

 第4戦SUGOでは、No.25 VivaC 86 MCが2戦連続でポール奪取。松井は「山下選手(Q1の3番手)はアンダーステアに苦しんでいたようですが、エンジニア(兼監督)でもある(土屋)武士さんが完璧にアジャストしてくれて。山下選手あってのポールです」とチームの力を強調。2番手にはNo.18 UPGARAGE BANDOH 86(中山友貴/川端伸太朗)がつけて、SUGOとJAF-GT300車両の相性の良さを感じさせた。

 

 

 だがスタート直前に降り出した雨が、流れを大きく変えてしまう。スタートから逃げる25号車(山下)だったが、わずか5周目で入ったセーフティカーでリードを失った上に、雨が弱まって路面とタイヤのマッチングも外れていく。逆にタイヤが当たったNo.65 LEON CVSTOS AMG(黒澤)が予選9番手から猛追し、20周目にはトップまで上り詰める。その65号車のマージンも38周目に入った2度目のセーフティカーで水の泡に。さらにレース再開の44周目からたった2周後に、まさかの3度目のセーフティカーが導入されてしまう。セーフティカーとの位置関係もあって、この2周でピットに入った車両だけがトップを争う形になってしまう。

 

 これでトップはNo.50 Ferrari 488 GT3(新田守男から都筑晶裕)。51周目にこれを抜いたNo.11 GAINER TANAX AMG GT3(ビルドハイムから平中)に、2014年の最終戦以来となる勝利を手にした。2位は50号車で、都筑にとってのベストリザルトになった。3、4位には25号車、No.4 グッドスマイル初音ミクAMGが入った。

 

 

 2017年シーズン前半の4戦を終え、ランキングトップに立ったのはNo.25 VivaC 86 MCの松井/山下組で、連覇に向けて好位置かと思われた。これを6ポイント差で追いかけるのはNo.11 GAINER TANAX AMG GT3の平中/ビルドハイム組と、No.4 グッドスマイル 初音ミク AMGの谷口/片岡組。さらに13、14ポイント差のNo.51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3(中山/坪井)、No.65 LEON CVSTOS AMG(黒澤/蒲生)も後半戦次第でタイトルに手が届くポジションにつけた。

 

 

 

> 第4戦 スポーツランドSUGO 予選リザルト

> 第4戦 スポーツランドSUGO 決勝リザルト

 

 


 

次回、第2回は2017年GT300クラスのチャンピ争いの山場となった、シリーズ後半4戦の振り返りをお送りする。

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