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2017.12.07
【2017年シリーズ総集編】GT300クラス 第2回「シーズン後半4戦を振り返る」

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ラスト2戦を連続表彰台!グッドスマイル 初音ミク AMGが2017年を制す!!
2勝を挙げたLEON CVSTOS AMGとJMS P.MU LMcorsa RC F GT3はタイトルに届かず

前回は2017年のAUTOBACS SUPER GTシリーズ、GT300クラスのシーズン前半4戦を振り返ったが、今回は後半4戦を戦いの焦点と主要選手のコメントと共にレポートする。
 

 

■第5戦「FUJI GT 300km RACE」富士スピードウェイ

8月5日(土)公式予選/8月6日(日)決勝レース

ARTA BMW M6 GT3が完璧なポール・トゥ・ウインを決める
2、3位には激闘の末、初音ミクAMGとNo.31 TOYOTA PRIUSが入る

 今季の後半戦は、富士スピードウェイでの第5戦から始まった。予選Q1を11番手と冷や汗もので通過したNo.55 ARTA BMW M6 GT3(ショーン・ウォーキンショー)は、Q2で高木真一がポールポジションを獲得。「富士とM6の相性は一番だと思っていて、前回のSUGOのリタイアも(ウェイトハンディが増えず)幸いでした。タイヤの開発が急速に進んだのが効きましたね」と高木。2番手にはNo.7 Studie BMW M6(荒聖治/ヨルグ・ミューラー)がつけ、BMW勢がフロントローを独占した。

 

 

 

 決勝でも55号車(高木)が逃げて、後続を寄せつけない。一方、7号車(荒)はNo.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(片岡龍也)やNo.31 TOYOTA PRIUS apr GT(久保凛太郎)、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(山内英輝)に迫られる。2番手集団では、31号車が最初に動き、22周目にタイヤ無交換で嵯峨宏紀をコースに送り出す。次の周には7号車がミューラーに交代し、タイヤは4本交換。27周目には4号車も谷口信輝に代わり、4本交換。30周目には61号車はリヤ2本の交換に留め、井口卓人と交代。ストレートスピードの速いFIA GT3車両とタイヤに優しいJAF-GT300車両の作戦の違いが見て取れた。このピットインで31号車、61号車が前に出て、4号車が4番手に。7号車はNo.9 GULF NAC PORSCHE 911(峰尾恭輔)にも先行されポジションを下げた。トップ独走の55号車は35周目に、ようやくウォーキンショーと交代。タイヤを4本換えるも実質トップは譲らない。41周目に4号車が31号車を抜き、2番手に返り咲くが、55号車は10秒近く前を行く。一時、4秒差まで詰めるも、そこまでだった。

 

 

 逃げ切った55号車がポール・トゥ・ウインを決め、高木はかつてのチームメイト新田守男(No.50 Ferrari 488 GT3)に並ぶ18勝の最多タイ記録を達成。そして、ウォーキンショーは参戦5戦目での初勝利。さらに、GT500クラスでもARTA NSX-GTが優勝し、ARTAのピットは喜びに包まれた。「ショーンから『20秒離して』と言われていたのに9秒しか稼げなかった。一時は谷口選手に迫られたけど、終盤は引き離すぐらいいい走りを彼がしてくれました。ARTAの20周年に勝てて最高です!」と高木。ウォーキンショーも「みんなに感謝です。クルマはパフォーマンスが高く、高木さんがしっかりギャップを作ってくれたから、最後までリードすることができました」と、満面の笑みを浮かべていた。2位は4号車が獲得し、3位には31号車が昨年の最終戦以来の表彰台に上がった。

 

 

 

> 第5戦 富士スピードウェイ 予選リザルト

> 第5戦 富士スピードウェイ 決勝リザルト

 

 

 

■第6戦「46th International SUZUKA 1000km」鈴鹿サーキット

8月26日(土)公式予選/8月27日(日)決勝レース

大胆な作戦でLEON CVSTOS AMGが“最後の鈴鹿1000km”を制す
2、3位はマネパとショップチャンネル、2台のランボルギーニGT3が占める

 第6戦鈴鹿は“鈴鹿1000km”としては最後の開催となった。予選のQ1ではNo.5 マッハ車検MC86 GTNETの藤波清斗が初のトップタイム。Q2では坂口夏月がさらにタイムを縮めて予選3位となる。ポールポジションは同じ86MCのNo.25 VivaC 86 MCの山下健太。2位もNo.18 UPGARAGE BANDOH 86(中山友貴)で、86MC勢がトップ3を独占した。山下は「82kgもハンディを積んでいますが、それを感じないぐらいクルマのフィーリングは良かった。ポールを獲ったという実感はなかったんですが、いいアタックではありました」と語った。

 

 

 1000kmという長丁場だけに無難なスタートで、序盤は25号車(山下)、18号車(中山)のワン・ツーが後続に差をつける。5号車(坂口)は作戦で早めのピットイン。その中、予選9位のNo.65 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹)が、わずか1周でピットに戻ってくる。これは、ドライバー交代を伴うピットインが最低5回と決められていたこのレースで、規定を逆手に取った作戦だった。
 レースが3時間を過ぎ、31号車(嵯峨)が130Rでクラッシュ。これでセーフティカーランとなる。その最中、トップだった18号車(川端伸太朗)は、ステアリング系のトラブルでピットに戻り上位から脱落。代わってトップに立ったのは、65号車(蒲生尚弥)。1周目ピットインでライバルとタイミングを変え、混雑のない状態で走ったのが好結果に繋がった。

 

 

 最後のドライバー交代を終えたレース終盤、トップの25号車(松井)を65号車(蒲生)が追い上げる。一時15秒ほどあった差は、徐々に縮まっていく。そして、チェッカーまで10周を切った第1コーナーで、蒲生はトップに浮上。タイトル争いを考えれば、25号車は2位でも上々の結果だ。だが残り3周、25号車は逆バンクでコースアウトして横転してしまう。「滑って、カウンター(ステアを)当てたんですが、何か左に持っていかれてしまった」と松井。
 これで65号車が優勝。「変則的なピットのタイミングで、単独で走っている時も見えない敵と戦っている気分でした。25号車に追いついて目標が現れてからは、最後まで気を緩めず走り続けました。今までどおり治樹さんと力を合わせて、ようやく勝つことができました」と蒲生。そんな相棒を、黒澤は「尚弥がすごく信頼できる、頼もしいドライバーになってくれた」と高く評価した。2位はNo.88 マネパランボルギーニGT3(織戸学/平峰一貴/山西康司)が、3位はNo.87 ショップチャンネルランボルギーニGT3(細川慎弥/佐藤公哉/元嶋佑弥)が獲得し、JLOCの2台が揃って表彰台に立った。

 

 

 

> 第6戦 鈴鹿サーキット 予選リザルト

> 第6戦 鈴鹿サーキット 決勝リザルト

 

 

■第7戦「Chang SUPER GT RACE」 チャン・インターナショナル・サーキット

10月7日(土)公式予選/10月8日(日)決勝レース

絶妙なピットインを行いJMS P.MU LMcorsa RC F GT3が今季2勝目
グッドスマイル初音ミクAMGは2位となり、ランキングトップに浮上

 タイで4度目の開催となった第7戦は、スコールに悩まされた。予選のQ1もQ2も、直前に短時間降ったスコールで路面はウエットとなり、そこでNo.21 Hitotsuyama Audi R8 LMSが快走。Q1はリチャード・ライアンが、Q2は柳田真孝がトップタイムでポールを獲得した。GT300では2010年以来という柳田は「僕も本当に驚いています。これまで苦しいシーズンを過ごしてきましたが、ようやくいいパフォーマンスを示すことができました」と、ここまで不調だっただけに笑顔が溢れた。

 

 

 決勝でも、スタート前に各車がグリッドに着くとスコールが降り注ぐ。短時間で止むと日射しが戻り、ウエット路面がレース中に乾くのは間違いない状況に。スタートでは大半の車両がウエットタイヤを選択。ポールの21号車(ライアン)もウエットタイヤでリードを広げる。路面が乾くと、予選4位の4号車(片岡)が2番手まで浮上する。対して、予選2位のNo.51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3(中山雄一)は後半担当の坪井が規定周回を超えないギリギリの周回数でライバルより早くピットに入れてスリックタイヤに替えた。結果的には、これが大きなポイントとなった。
 レインタイヤのままトップを行く21号車は上位陣の最後、20周目にピットインし、柳田を実質トップのままコースに戻す。だが、その直後から電気系トラブルに見舞われてペースダウンし、ピットに戻って入賞圏外に。

 

 

 21号車に代わってレースをリードしたのは、スリックタイヤでスタートというギャンブルに出たNo.33 D'station Porsche(スヴェン・ミューラー)だ。序盤こそ、最後尾近くまで落ちたが、路面が乾き出すとハイペースで追い上げた。40周目にピットインし、藤井誠暢と交代。33号車は3番手でレースに復帰した。
 これでトップに立ったのは51号車(坪井)。時にファステストラップを出して追い上げる4号車(谷口)だったが、トップを脅かすまでには至らず。51号車は第2戦富士に続く今季2勝目をマークした。坪井は「こんなに長いスティントを走るのは初めてだったので不安もありましたが、タイヤをいたわりながら、しっかり走れたと思います」と語り、中山は「僕は見守るだけでしたが、しっかりポジションを守り抜いてくれた坪井選手に感謝しています」とコメント。これで51号車の2人はランキングの2番手に浮上。2位となった4号車は、51号車に9ポイント差を付けてランキングトップに立った。33号車は第2戦以来の3位表彰台に上った。

 

 

 

> 第7戦 チャン・インターナショナル・サーキット 予選リザルト

> 第7戦 チャン・インターナショナル・サーキット 決勝リザルト

 

 

■第8戦(最終戦)「MOTEGI GT GRAND FINAL」ツインリンクもてぎ

11月11日(土)公式予選/11月12日(日)決勝レース

タイヤを上手く使ったLEON CVSTOS AMGが逆転で今季2勝目
グッドスマイル初音ミクAMGが3位でチャンピオンを掴み取る!

 ツインリンクもてぎでの最終戦は、ランキングトップの4号車が公式練習、予選すべてでトップを奪った。特にQ2では片岡がコースレコードを更新し、自身初となるポールを獲得。片岡は「谷口さんから一番で引き継いだからには、僕が落とすわけにはいかないので、イメージよりも攻めて走りました」と笑顔を見せた。

 

 

 決勝でも4号車(片岡)はトップを快走するが、12周を過ぎると明らかにペースが鈍る。だが、これは想定内。履いているのがポールポジション狙いのタイヤであり、長くはもたなかったのだ。いち早く16周でピットに入り、谷口と交代。タイヤは4本ともハードに替える。
 これで55号車がトップに立つ。高木は「僕らは勝たないことにはしょうがないし、そのためにはこれしかなかった」と、30周までピットを引っ張ってタイヤ無交換作戦を敢行。トップのままウォーキンショーに残り18周を託す。この時、25号車(松井)を抜いて、2番手に上がってきたのは予選3位の65号車(蒲生)で、4番手が4号車(谷口)。前を行く2台はタイヤ2本のみの交換でピット作業の時間を短縮。その分、先行を許していた。この順位なら4号車のタイトルだが、もし65号車が優勝して自らが6位以下になると夢は潰える。

 

 

 その4号車に幸運が訪れる。25号車がギヤの不調で一瞬のペースダウン。その隙を谷口は逃さず3番手に浮上。一方、逆転タイトルの可能性を求めて65号車は、無交換でタイヤが厳しくなった55号車を猛追し、ラスト2周でトップに立った。
 これで、65号車は、第6戦に続く今季2勝目をマーク。「フロント2本だけの交換は予定の作戦で、それはうまくいきました。今回はマシンとタイヤのマッチングが完璧だったので、最後にまた勝つことができました。今年から新しいタイヤを履いて、最初のうちは手探り状態だったのが、ここまで来たからには来年の僕たちはかなり手強いと思います」と黒澤。「自分なりに良いレース内容で、優勝という集大成も得ました。この経験はきっと来年につながると思います」と蒲生も、新たなシーズンに気持ちを切り替えていた。2位は惜しくも逃げ切れなかった55号車。
 そして、4号車は3位でゴール。これで谷口と片岡が3年ぶり、それぞれ3回目(このコンビでは2回目)となるドライバーズチャンピオンを獲得。チームタイトルもNo.4 GOODSMILE RACING & TeamUKYOが手にすることとなった。

 

 

 

 

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次回、GT300総集編の第3回は今季のGT300クラスでチャンピオンを獲得したNo.4 グッドスマイル初音ミクAMGをフィーチャーして、今季を振り返る。

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