2019 AUTOBACS SUPER GTの開幕戦岡山まで1カ月を切った3月16日、岡山国際サーキットでは今年最初のSUPER GT公式テストがスタート。この日は午前と午後、それぞれ2時間ずつのセッションが行われた。昨晩は雪が舞ったこともあり、午前の路面はウエットで始まったが、お昼が近づくにつれて乾いていった。午後も、開始直前に雨が降ってウエットコンディションで始まったが、雨が止むと路面は一気にドライとなった。その中、午前/午後共にNo.12 カルソニック IMPUL GT-Rの佐々木大樹がただ一人1分17秒台のトップタイムをマークした。
◎走行1回目 10:20-12:20
天気/曇り時々晴れ 路面/ウエット>ドライ
気温/7℃〜9℃ 路面温度/11℃〜18℃(開始時は7℃/13℃)
◎走行2回目 14:30-16:40(16:20-16:30はGT300専有走行、16:30-16:40はGT500専有走行)
天気/雨、後晴れ時々曇り 路面/ウエット>ドライ
気温/9℃〜11℃ 路面温度/16℃〜20℃(開始時は9℃/17℃)
午前はカルソニック IMPUL GT-RとMOTUL AUTECH GT-RのGT-Rがワン・ツー
前夜の雪がコースサイドに残っていたために、1回目の走行は30分繰り下げられて、午前10時20分からスタート。コースコンディションはウエットからウエットとドライが混在するダンプとなり、そしてドライへと変わっていった。オーバーランやトラブルでストップした車両もあり、午前の走行では3回、赤旗が提示されて走行が中断したが、大きなクラッシュもなく、各チームは開幕に向け周回を重ねながらテストメニューを消化していた。
セッション後半でNo.12 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹/ジェームス・ロシター)の佐々木が1分18秒639を出すと、次の周には1分17秒852をマークする。これは岡山のコースレコード(1分18秒126)を上回るタイムで、2番手タイムのNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)を約1秒上回っている。
3〜4番手にはNo.6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太)とNo.39 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)とLEXUS LC500が並ぶも、5番手にはNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠/ヤン・マーデンボロー)がつけ、NISSAN GT-R NISMO GT500勢の好調さをアピール。Honda NSX-GT勢ではNo.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也)の6番手が最上位となっている。
カルソニック IMPUL GT-Rは午後さらにタイムアップ!au TOM'S LC500が2番手に
2回目の走行は、1回目開始の遅れを受けて午後2時30分からスタート。開始直前に雨が降り始め、ウエットコンディションとなる。だが、すぐに晴れ間が戻り、コンディションも急速に回復。開始から30分ほどで路面はドライとなった。
午後もNo.12 カルソニック IMPUL GT-Rの佐々木大樹が速く、午前のベストを更新する1分17秒167を、最後のGT500占有走行時間にマークし、これが1日目のベストタイムとなった。2番手にはNo.36 au TOM'S LC500(関口雄飛)で、1分18秒058とこちらもレコード級のタイムだ。NSX-GT勢のベストポジションはNo.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)が出した1分18秒301での7番手だった。
この日はGT-R勢に先行された形になったLC500勢だが、マシンを開発する株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメントのテクノクラフト本部の湯浅和基部長は「昨シーズンはHondaさんが速くて、王座を奪回するために今シーズン用の車両を開発してきました。でもオフのテストではNISSAN勢が速くて、今日も1秒以上も差をつけられて…」と苦笑。しかし「空力パーツに関しては開発が制限されていますが、その中でも開発は全方位に渡って進めてきました。エンジンは、正直なところ劇的にパワーアップできる余地は残されていないので、そのパワーを使いきれるようドライバビリティを高めてきました。今日は大差をつけられましたが、開幕戦では僅差の勝負になると思うので、テストでいいデータを蓄積して行きます」と力強くコメント。
ディフェンディングチャンピオンのNSX-GTの開発を担当する本田技術研究所 HRD Sakuraの佐伯昌浩NSX-GTプロジェクトリーダーは「目標はもちろんシリーズの連覇。そのために高い目標を掲げてクルマを開発してきました。開発目標は自然と高くなるので、実際にはそこ(目標値)まで届いていない面もありますが、決して(ライバルには)負けてないと思っています。ただ、SUPER GTではタイヤが重要になってくるので、今回のような低気温、低路面温度では充分に機能できないのが厳しいですね」と、今日は気温などの影響もあることを示唆した。
GT300は一昨年の王者、グッドスマイル 初音ミク AMGが初日トップに
GT300クラスはトップマーカーが次々に入れ替わるめまぐるしい展開となった。午前にトップタイムをマークしたのは、No.96 K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南)で1分26秒208。午後も96号車が終盤までトップだったが、最後のGT300専有走行時間でNo.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)の片岡が1分25秒867をマーク。この4号車のタイムが初日ベストとなった。
GT500クラスはトップが1秒近い差をつけていたが、GT300クラスはトップから1秒以内に16台がひしめき合う混戦模様。早くも開幕戦岡山での激戦が楽しみな状況だ。
注目のニューマシンの中ではNo.7 D'station Vantage GT3(藤井誠暢/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が1分26秒435で1日目総合6番手、No.720 McLaren 720S(荒聖治/アレックス・パロウ)が1分26秒860で1日目総合15番手と、仕上がりの良さを感じさせた。
併催の岡山ファン感謝デーでは魅力あるイベントがたくさん
今回のSUPER GT公式テストでは、岡山国際サーキットのファン感謝デーも併催されている。パドック入場だけでなくオープンピットも無料とあって多くのファンで賑わった。また体験走行(有料)やグルメフェスタ2019など行われている。
明日17日の公式テスト2日目では、午前と午後に2時間の公式セッションが行われるが、午前のセッション冒頭にはセーフティカー訓練、午後にはスタート練習も予定されており、早くも開幕戦の雰囲気を感じることもできそうだ。もちろん、オープンピットや体験走行も実施予定だ。詳しくは岡山国際サーキットの公式サイトで確認してほしい。
佐々木大樹(No.12 カルソニック IMPUL GT-R)
この岡山では、鈴鹿でのメーカーテストで“このセッティング”と決めて持ち込んだセットが狙い通りで、それが好結果に繋がったと思います。去年は僕自身がIMPULに移籍してきて初年度で、ブリヂストンタイヤを履くのも初めてでした。それが今年は2年目で、いろいろなことに慣れてきた面もあると思います。でも、決して急に速くなったわけじゃなく、去年、いろいろ苦労してきたことで速さが備わってきた。チームとしても力が付いてきたんじゃないかな。パートナーのジェームス(ロシター)は、やはりベテランらしく経験も豊富で、彼から経験から学べることもあって、僕自身がさらに速くなれると思っています。
片岡龍也(No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG)
トップタイムをマークできたのは嬉しいけれど、ライバルの(テスト)状況が見えてないだけに(彼らは)爪を隠しているんじゃないか、と不安もあります(苦笑)。GT300は戦国時代で、激しいバトルが予想されます。僕たちはクルマもドライバーのコンビも、そしてチームスタッフも去年と同じで、新しいシーズンというよりも昨年からの流れの中でアップデートしてきています。だから「去年、ブリヂストン(タイヤを使う65号車)に負けたのは何故か?」という観点からテストメニューを作ってきました。今日は、特に午前中のセッションでは路面温度が低いコンディションでしたが、それでも去年僕たちが抱えていた問題の解決に向けて良いテストとなりました。
4/13-14 | Round1 OKAYAMA | |
5/03-04 | Round2 FUJI | |
6/01-02 | Round3 SUZUKA | |
8/03-04 | Round4 FUJI | |
8/31-9/01 | Round5 SUZUKA | |
9/21-22 | Round6 SUGO | |
10/19-20 | Round7 AUTOPOLIS | |
11/02-03 | Round8 MOTEGI |