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2019.04.09
【SUPER GT 観戦ガイド 2019】】第8回:2019シリーズ開幕目前!前半3戦の見どころ

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2019シリーズ開幕目前!前半3戦の見どころ - ここに注目すればもっとおもしろい!

 2019 AUTOBACS SUPER GTの開幕を前に、レース観戦初心者やまだサーキット観戦が慣れないという方に向けたSUPER GTの基本情報や楽しみ方をご紹介。
 最終回となる第8回は「2019シリーズ開幕目前!前半3戦の見どころ」として、今季シリーズ前半3戦の見どころなどをご紹介します。 (上写真は公式テスト岡山より)

 

 

■SUPER GTはシリーズを通して見るのがおもしろい!

 この連載第5回「チームとドライバー」でもご紹介したように、SUPER GT参戦のチームやドライバーが目指すのは“シリーズタイトル”です。そこで1戦1戦のレースを追うだけではなく、「どうやったらチャンピオンを獲れるのか?」「ここよりもこのレースで勝とう」とか、シーズンを通しての戦略面から考えてみると、SUPER GTがさらにおもしろくなるでしょう。
 特にシーズン前半戦の3戦は、それぞれコースレイアウトにおいて個性の違う3つのサーキットで行われます。この3戦を通して各チームの戦いをみれば、今シーズン全体の予想や各チームやマシンの戦力分析ができるかもしれません。

 

 

■前半戦の3つのサーキットで見られる戦いの違い

 では、前半3戦が行われる各サーキットから考えてみましょう。この3つのサーキットについては連載第1回「開催サーキット紹介」でもご紹介しましたが、今回はコース特性とレース戦略面から考えてみましょう。

 

 

○開幕戦のテクニカルな岡山はドライバーが特に勝ちたいレース!?

 開幕戦が行われる岡山国際サーキットは全長3.703kmと短めのコースで、非常にコンパクトにまとまっています。ストレートが短く中低速コーナーがほとんどの「テクニカル」コースです。コース幅も決して広くはないので、レースではより慎重さが求められます。ここに一つのポイントがあります。それは開幕戦はウェイトハンディがないこと。ドライバーの中には「ハンディのない開幕戦は自分とマシンの実力の見せどころ。だから開幕は勝ちたいですね」と、このノーハンディ戦に一層気合いが入るタイプもいるのです。さらに「シーズン最初のレースで良い結果を残して、シーズンの流れを掴みたい」と言うドライバーも。このように開幕戦ながら激しい展開になりやすいのが、岡山なのです。
 マシンの面からいえば、今季初のレースで各車種の戦力比較がかなり見えてきます。テストではベストタイムを出すことより、こなさなければならないメニューがたくさんあるので、本当の“速い/遅い”はなかなか見えてきません。開幕戦で各車をじっと観察するのは熱心なファン以上に、ライバルのマシン開発担当者かもしれません。

 

 

 

 

○第2戦の富士は割り切りが必要なレースかも!?

 そして第2戦の富士スピードウェイは、約1.5kmのロングストレートを持つ世界でも著名なコースです。このストレートがあることや過去のコースレイアウトから“超高速コース”というキャッチコピーで語られますが、現在のレイアウトはコース後半のテクニカルセクションも重要で「皆さんが思うほど、セッティングの傾向は“高速”じゃないですよ」と言うドライバーがほとんどです。一方で、エンジニアはこの“ストレート重視”か、“セクター3(後半のテクニカル区間)で組み立てる”のか、とセッティングに頭を悩ませます。やはりSUPER GT全戦を通しての最高速は、この富士で記録されます。ストレートエンドでは、GT500マシンなら300km/h近い速度が記録されるのです。GT300クラスの“パワー自慢”のFIA GT3車両なら「もう最高速重視のセッティングに思いっきり寄せて!」なんてこともあるかも。
 またコース幅やランオフエリアが広いので、ドライバーも思いきったドライビングができます。「富士のTGR(第1)コーナーは飛び出しても、うまく帰ってこれるからね」と言うドライバーがいるくらいです。富士ではそんな思い切ったバトルを楽しんでください。
 また第2戦は開幕戦からインターバルが2週間ほど。開幕戦でマシンのウイークポイントが見つかった場合、対策をするのに時間的な余裕はあまりありません。時には「ここの対策は間に合わなかったから、第2戦はいつもより控えめでいってください」なんて非常(非情?)宣言がドライバーに出るかもしれません。また、ストレートスピードにアドバンテージのないマシンのチームは「この富士はきっちりポイントを取れ。次の鈴鹿やテクニカルなコースで勝ちを狙おう」というシーズンを通した戦略も有り得ます。もちろん、開幕戦で失敗したチームは「ここで巻き返さないと」と臨んでくるでしょう。

 

 

 

 

○第3戦の鈴鹿はそろそろウェイトハンディも気になる頃!?

 第3戦の舞台、鈴鹿サーキットは5.807kmとSUPER GT開催コースで1周が一番長いコースです。長いストレートも2本、コーナーも低速から高速までバラエティに富んでおり、「鈴鹿は大好き」「一番攻めがいのあるコース」というドライバーが多くいます。それだけに個性・特性が異なるマシンのどれにもチャンスがあるコースです。あえて鈴鹿のウイークポイントを言えば、少しコース幅が狭いことで“抜きにくい”ようです。なので、鈴鹿では予選が一層大事になってくるでしょう。
 そして第3戦になると、各車のウェイトハンディにも差がついてきます。ここまでの2戦で成績が良ければ、この鈴鹿は“厳しく”なるかもしれません。それでも「とにかく上位入賞を!」なのか? 「確実にポイントを稼ごう」なのか? ドライバーの本能でもある“勝ちたい気持ち”をどうするのか? 監督やチーム首脳陣の舵取りや意識付けもタイトルを獲る上で大事になってきます。
 さらに監督の気持ちで言えば、この鈴鹿では「マシンを壊さないでくれ…」という祈る気持ちが強いかもしれません。もちろんどのレースでも壊さないことが重要なのですが、第3戦鈴鹿の次には第4戦タイが控えています。鈴鹿とタイの間は約1ヶ月ありますが、船による輸送や通関手続きに3週間ほどかかるので、マシンの整備は船に乗せるコンテナに入れるまでの1週間ほどしかできません。それなのに修理やパーツの入手に時間が掛かってしまうと、タイ戦自体を諦めるということにもなりかねません。過去には、海外戦前に大クラッシュしたチームが国内では8割方しか直せずにコンテナに積み、現地サーキットで突貫修理をしたなんてことも。

 

 

 

 このように前半3戦は各戦を個々に楽しんでも、シーズンの流れを予想しながらみても、おもしろさがたくさん詰まっています。お近くのサーキット開催には是非観戦に足を運んでいただき、それ以外のレースもテレビ中継やダイジェストでしっかりチェックしてくださいね。

 

 

■前半戦だから新型車、ルーキー、移籍選手を見つめてみる

 そしてシーズン前半ならではの楽しみと言えば、新型車、ルーキー、移籍選手です。どんなことが起こるのか?予想しにくいだけにワクワクしますね。
 新型車はまだデータやノウハウが少ない分、思うような走りができない事もあります。FIA GT3の海外車両ではパーツや修正プログラムが「間に合わない!」なんてこともありました。お気に入りのチームの新型車や応援するGTカーが初参戦ということなら、焦らずじっくりと、マシンの熟成過程も楽しむくらいの目で応援していきましょう。

 

   

          No.7 D'station Vantage GT3                  No.720 McLaren 720S

(公式テスト岡山)

 

 そして今季は例年以上に、新人、移籍の選手が多いのです。GT500クラスでいえば15チーム30人のドライバーのうち、10人が入れ替わりました。そしてGT500レギュラー参戦のルーキーは4人います(過去にスポット参戦経験有りも含む)。ただそのほとんどが、スポット参戦で驚くべき結果を残したり、GT300クラスではトップランナーだったり。そして、今年は日本のコースもよく知る元F1ドライバーも初参戦。SUPER GTならではの、難しさや覚えるべき課題も多いとは思いますが、素晴らしい活躍を期待しましょう。
 移籍選手は請われての即戦力ですから、責任は重大です。SUPER GTでは単なる速さではなく、ペアドライバーとの相性までも問われることがあります。特にこれまで所属したメーカーを離れての移籍は、大きな覚悟も必要でしょう。
 応援するドライバーやチームではなくても、シーズン前半はこのような新加入のドライバーに注視するのもとても面白いのです。ひょっとしたら新たな"推しドラ"が見つかるかもしれませんよ。

 

   

(公式テスト岡山)

 

 

 

■公式テストの「遅いあのマシン」の裏側にあるものは?

 さて、開幕戦岡山まであとわずか。3月のテストでは応援するチームやドライバーのタイムや順位に一喜一憂したと思います。調子が良ければうれしいですが、目立ったタイムが出ていないチームもあります。
 SUPER GT通の方ならご存じでしょうが、テストではマシンの調整(セッティング)以外にも、レースで使うタイヤの選択、タイヤ個々の状況の確認、新パーツの性能の確認、セッティングで普段やらないことを試す、新人や移籍選手の走り込み、などなど本当に多くのことを試しています。だから、あえてトップタイムにこだわらない面もあるのです。

 

 また、公式テスト富士では第2戦以降はウェイトハンディ搭載があると想定してウェイトを積んで走ったチームもあるでしょう。ともあれ、テストでトップになってもシリーズポイントは1点も手に入りませんからね。もちろん、本当にセッティングに悩んだり、最良なタイヤが見つからない、というチームもあるでしょう。これもチームは、なかなか本当のことは言ってはくれませんが。
 先にもご紹介しましたが、本当の力を全力で出すのは、本番である開幕戦以降のシリーズ戦です。

 

(公式テスト岡山)

 

 

 いよいよ目前に迫った開幕戦岡山!様々な情報で予習・復習をして、楽しみに迎えましょう。

 

2019年シーズンもSUPERGT.netでは、
ファンの皆さんに楽しんでいただける連載企画をお届けしていきます。
まずは開幕戦を存分にお楽しみください!

バックナンバーはこちらから

第1回 サーキットってどんなところ?
第2回 SUPER GT観戦ノウハウ
第3回 レースの基本ルール
第4回 SUPER GTマシンの基本
第5回 チームとドライバー
第6回 ファンサービス&社会貢献
第7回 SUPER GT 25年間の歴史

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