【キャッチアップ05】
スリックタイヤでスタートしたNo.17 KEIHIN NSX-GT、その意図とは?
前戦から連続でポールポジションを獲得、シーズン初優勝を目指したNo.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット組)。レース目前にして降り始めた雨の中、大半のチームがウエットタイヤへとスイッチしたが、17号車は装着していたドライタイヤでのレースを決行する。だが、本降りになる雨に太刀打ちできず8周目にピットイン、ウエットタイヤに替えてコースに復帰した。その後、タフな戦いを走り抜いて5位入賞の結果を手にしたが、どういう意図があったのか。チーフエンジニアにレースを振り返ってもらった。
No.17 KEIHIN NSX-GT
田坂泰啓チーフエンジニア
「そんなに濡れない(崩れない)だろうと思ったんです。しばらく状況変わらずにレースができるだろうと。5分前のギリギリに雨が降ってきたんですよね。その前に”スリック(タイヤ)で行こう”という話になってスリックを着けたんです。ところが、ギリギリになって雨がザーッと来て……。あ、ミスったかもと思ったものの、もうすでに時間切れで触れません(交換できない)でした。
ただ、スタート直後はまだ路面からまだ水しぶきが上がってなかったし、硬めのウエットタイヤを選んで走っている他のクルマにしても、その状況が続いたらタイヤを傷めるだろうからスリックのほうが有利になるだろうとも思ってたんですよね。でも、雨が強くなってきて”失敗したな”と。ただ、一瞬雨が止んだこともあり、一縷の望みも持ってたんですよね。でもうまく行きませんでした。
一旦、ピットインしたあとに(トップから)ラップダウンされたので、”あぁもう勝負権なくなったな”と思ってたんですが、セーフティカーが入ったことでラップダウンされなくなり、同一周回になったんです。そこはラッキーでしたね。ピットインはSC明けに行ったんですが、ラップダウンにはならずに復活することもできました。ルーティンのピットインでタイヤは交換していません。替えてタイムが上がるなら替えますが、(他車を見ていても)そういう感じじゃなかったですしね。もともとここはタイヤの温まりが非常に悪いサーキットだし、今日は冷たい雨になったし。前回ここでの合同テストでも雨になったときにそう実感してたので、そういうことも色々と考えて、僕らは交換しなかったということです。事実、ドライバーにもタイヤのコンディションを聞いたら、”全然問題ないです”ということだったので、交換せずに行きました。
今回は、レース直前のタイヤ選択が明らかなジャッジミスと言えます。ただ、レースで一旦ほとんどクラス最下位まで落ちたのに、その後の展開で5位まで行けたわけですから、スタート後はその状況の中で一番いい選択を行い、レースができたと思います。でも、ほんとはそれじゃ全然だめなんですけどね。だって今回は勝つポテンシャルはあったわけですから、悔しい気持ちはいっぱいあります。
周りがウエットタイヤを選択していたのに、僕らがスリックを選んだことに対しては、少なくともあの時点でどっちが”バクチ”になるのかさえもわからなかったと思います。僕らも”バクチ”なんてする気はまったくなかったですしね(苦笑)。まぁでも、ミスはミスとして、勝ちを逃したことに違いはないですが……。ただ、あの路面で霧雨の中で、”どっち(のタイヤ)? ”と聞かれたら、スリックだったということです」
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応援、ありがとうございました!
スタート直前に降り始めた雨によって明暗が分かれたものの、全車完走となった「SUGO GT 300km RACE」。GT500はNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの平手晃平&フレデリック・マコヴィッキ組が、GT300はNo.55 ARTA NSX GT3/高木真一&福住仁嶺組が、ともに今季初優勝を飾りました。雨の中、たくさんのお客様にご観戦いただき、ありがとうございました!
今シーズンも残すは11月2~3日にツインリンクもてぎで行なわれる最終戦のみとなりました。
最終戦で勝利の美酒に酔うのはいったい誰か!? チャンピオン決戦をどうぞお見逃しなく!
4/13-14 | Round1 OKAYAMA | |
5/03-04 | Round2 FUJI | |
6/01-02 | Round3 SUZUKA | |
8/03-04 | Round4 FUJI | |
8/31-9/01 | Round5 SUZUKA | |
9/21-22 | Round6 SUGO | |
10/19-20 | Round7 AUTOPOLIS | |
11/02-03 | Round8 MOTEGI |