News

News
2020.02.06
【2020年SUPER GTルール改定のポイント】GT300クラスのチームポイントとウェイトハンディが改定。FCYの運用も導入される。

【2020年SUPER GTルール改定のポイント】GT300クラスのチームポイントとウェイトハンディが改定。FCYの運用も導入される。の画像

 2月となり、GTアソシエイション(GTA)からSUPER GT参戦エントラント(チーム)、主催サーキット等への2020年規則説明会も実施され、いよいよ開幕戦岡山(4/11、12)へのカウントダウンが始まった。この説明会では2020年のスポーティングレギュレーション(競技規則)の改定や見直し理由などが案内された。
 そこで、レース観戦を楽しみ、タイトル争いを語るために欠かせない今季のスポーティングレギュレーションの主な改定ポイントを紹介しておこう。

※下記の文章は2020年スポーティングレギュレーションを簡易に解説したもので、規定そのものではありません。
 

 

GT300クラスのチームポイントの改定

第7条 シリーズ得点

2−2)チームに対する得点:
(4)各決勝レースの走行ラップ数の各クラス順位に基づき、次のように授与され、(3)の各競技会ポイントの累計に加算される。
GT300クラス:
1.トップ車両、トップ車両と同一周回またはトップ車両に1ラップ遅れの完走車: 3点
2.トップ車両に2ラップ遅れの完走車: 2点
3.トップ車両に3ラップ以上遅れの完走車:1点

※2019年はトップ車両に2ラップ以上遅れはすべて1点

 ポイント制で決勝の順位に与えられるポイントは変わらないが、GT300クラスの決勝周回数によってチームに与えられるポイントが変わった。
 トップ車両と同一周回か1周遅れでゴールすれば3点なのは同じ。昨季は2周遅れ以降の完走車はすべて1点だったが、今季は2周遅れが2点、3周遅れ以降は1点と周回数によって細分化された。これによりGT300クラスはチームポイントを得るために、下位でも周回数を巡って一層の力走が展開されるだろう。

 

 

走路外走行や接触で上げた順位を戻す

第13条 インシデント

6.決勝レース中に執行される罰則は、以下の通りとする。
  -略-
3)上記に加え、レースディレクターはいかなる特別な手順にも従わず黒白旗提示を伴う次の行為に対し、走行の順番を戻す指示をすることができる。
 (1)走路外走行による追い越し
 (2)接触を伴う追い越し
これらはレースディレクターの権限に属し、レース中の指示によって通知される。この権限はペナルティおよび/または複数のペナルティを課す審査委員会の権限とは関係ない。ただし、レース中に上記指示が実行されなかった場合は、本条10.に従うものとする。


付則- 2 GTA派遣役員
2.2)Race Directorの役務について
e) 決勝レース中に得られたアドバンテージを元に戻すよう指示できる

※2020年の追加項目

 レースディレクターはSUPER GTシリーズでの各大会を公正かつ安全に運営するため、大会の競技長と協力してレースを運営するGTAが派遣する役員だ。
 今季はそのレースディレクターの権限で決勝中に走路(コース)外走行でアドバンテージを得たり、接触により先行車を追い抜き順位を上げた場合、その順位を行為以前に戻すことができるようになった。これは通常のペナルティと違い審査委員会の権限とは別に行うことができ、決勝中によりスピーディーで公正なレース運営ができるようになる。
 なお上記の措置が決勝レース中に実行できなかった場合には、ペナルティに相当するタイムが競技結果に加算される。

 

 

GT300クラスのウェイトハンディの改定

  

第23条 ウェイトハンディ制

1. 1台の車両(競技車両ゼッケン番号単位)に登録されたドライバーが、それぞれの競技会において獲得したドライバーに対するシリーズ得点の累積を基準にウェイト積載が課せられる。
 1) 参戦6戦目まで

前戦までの各戦においてその車両を運転したドライバーが獲得したシリーズ得点の累積1ポイントをGT500クラスは2kg、GT300クラスは3kgに換算した重量のハンディウェイトを積載しなければならない。
 2) 参戦7戦目
前戦までの各戦においてその車両を運転したドライバーが獲得したシリーズ得点の累積1ポイントをGT500クラスは1kg、GT300クラスは1.5kgに換算した重量のハンディウェイトを積載しなければならない。

※2019年はGT300クラスもGT500クラスと同じハンディウェイトを積載していた

 昨季までのウェイトハンディ制は両クラスとも参戦6戦目までは獲得ポイントを2kgに、参戦7戦目は獲得ポイントを1kgに換算、参戦8戦目はハンディウェイトなしで行われていた。GT500クラスは昨季と変わらないが、今季のGT300クラスは最終戦を除き増加となった。
 これによりシリーズを通した戦略がより重要となり、また昨年までとは考え方を変える必要があるかもしれず、タイトル争いは激しさ、厳しさが増すものと思われる。

 

 

FCY(フルコースイエロー)の導入

付則-4 FCY(フルコースイエロー)運用規定

1. 競技長は決勝レース中において、安全上の理由(車両が危険な場所で停止したとき、マーシャルがコース付近で作業しているとき、また類似する状況が発生した場合)で“フルコースイエロー(以下、FCY)”を宣言する。

※2020年の追加項目

 すでにF1世界選手権や世界耐久選手権で導入されているFCY(フルコースイエロー=コース全周に渡る黄旗状態)が、今季よりSUPER GTにも導入される。FCYはアクシデントが起きて、その対応にコースオフィシャルがコース付近で作業する場合などに宣言される。
 FCYが宣言されるとタイミングモニターおよびレースコントロール無線、車両のディスプレイ表示で開始までの10秒がカウントダウンが開始される。宣言後ただちに全ポストにおいてFCYボードが提示され、全周の追い越しが禁止となり、解除されるまでピットレーンに進入することはできない。10秒後にFCYになると全コースポストで黄旗が振動表示され、この時点から速度は上限80km/hとなる。
 フルコースイエロー解除の宣言は、タイミングモニターおよびレースコントロール無線、車両のディスプレイで伝えられ、解除宣言が行われた後に、全コースポストでグリーンフラッグが振動表示される。
 FCY導入後も安全上の問題が解決しない場合は、セーフティカー(SC)が導入される場合がある。この場合は先頭車両の前にSCが入り、FCY宣言(速度上限も含む)が解除され、SC導入が宣言される。

 

 

 

 2020年のスポーティングレギュレーションの主な改定は以上の通りだが、これ以外にも細かな改定がいくつかある。それはより安全性を高め、競技の公正を保つために行われている。
 各ドライバーとチームは、この改定点を十分に理解して開幕戦岡山に臨むだろう。このオフはSUPER GTファンなら各チーム参戦情報やテスト状況などを楽しむと共に、この規則変更でのシリーズ戦略を予想したり、過去の例に当てはめてシミュレーションして楽しんでみるのはいかがだろうか?

 

 > 公式テスト岡山 3月14日(土)、15日(日)
 > 公式テスト富士 3月28日(土)、29日(日)
 > 開幕戦・岡山    4月11日(土)、12日(日)

Page Top