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2020.05.22
【SUPER GT 名勝負列伝】「LC500が衝撃のトップ6独占。接戦を制してKeePer TOM'S LC500が逆転優勝」2017年第1戦岡山

【SUPER GT 名勝負列伝】「LC500が衝撃のトップ6独占。接戦を制してKeePer TOM'S LC500が逆転優勝」2017年第1戦岡山の画像

2017 AUTOBACS SUPER GT Round 1 OKAYAMA GT 300km RACE / 2017.4.9 OKAYAMA INTERNATIONAL CIRCUIT

SUPERGT.netでは2020年のSUPER GTシリーズ開幕まで「SUPER GT 名勝負列伝」と題し、SUPER GT(2005年〜現在)で行われたシリーズ123戦から、名勝負として名高いレースを紹介していく。
第7回は2017年の開幕戦の岡山国際サーキット。KeePer TOM'S LC500がLC500同士の接戦を制して逆転優勝。これがデビュー戦だったLC500は、さらに同一車種でトップ6を独占する前代未聞の記録を打ち立てました。では「LC500が衝撃のトップ6独占」のバトルをプレイバック!

 


 

   

 

 

開幕戦の走り出しから“LC500のライバルはLC500”だった

 GT500クラスでは、2014年の車両規定改定から同じモノコックを3シーズン使用することになった。2017年はこの区切りの年で、LEXUSはこの期にベース車両をRC FからLC500へ変更した。
 開発を担うTRDは“ユーザーが扱いやすいクルマ”を目指した。そこでLEXUS系チームのドライバーとエンジニア、さらにはメカニックもユーザーと定め、要望を聞くだけでなく、皆の車両ノウハウを包み隠さず明かしてもらい開発を実施。RC Fの3年で出た課題や新たな性能規制の対策も皆で考え、2017年車両に注ぎ込む。こうして、彼らの知恵の結晶である“LC500”は誕生した。これを武器に、6チームはシリーズ戦をライバルとして思い切り戦うことになる。

 迎えたAUTOBACS SUPER GT開幕戦。4月8日午前の公式練習で、早くもLC500がトップ4を独占する。トップタイムのNo.38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明)の立川は「トップタイム? LC500勢としては僅差だから、予選はわからないね」と、ライバルは同じLC500と意識していた。
 午後の予選は、Q1とQ2のノックアウト方式。公式記録のコンディションは「曇り/ドライ」だが、時折雨がぱらつく状況。Q1は38号車の石浦がトップ、上位4台がLC500と公式練習と同じだ。5番手はNSX-GTでNo.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/小林崇志)の野尻。GT-R勢は精彩を欠き、全車がQ1で敗退した。

 Q2では路面状況が悪くなり、No.36 au TOM'S LC500(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)の中嶋がコースアウト。さらにNo.16 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐)もマシントラブルでストップ。この2回の赤旗中断で、全車がアタックできずにタイムアップ。結果、ポールポジションは8号車の小林が獲得。

 この岡山を得意とするNo.37 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ)の平川もLC500最初のポールポジションを狙っていたが、これで3位に。「神様がちょっといたずらしたんじゃない。明日(決勝)はまた違った展開になると思う」といつものように淡々とコメント。十分に逆転は可能という雰囲気であった。

 

 

決勝は37号車と6号車が先行

 翌9日の決勝日。昼には日も差して、路面は完全なドライとなる。決勝に先立ち行われた交通安全啓発活動パレードラップで、予選5位のNo.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史)にマシントラブルが発生。続くフォーメーションラップ途中でポールポジションの8号車もコース上にストップ。これでスタートがやり直しとなるが、その際にNo.64 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦孝亮)も動けなくなる。NSX-GTの悪夢はまだ続く。レースわずか5周でNo.100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/伊沢拓也)もリタイア…。
 Honda陣営とって悪夢の開幕戦。予選で止まった16号車も含め5台全車が同じ電装部品のトラブルだった。「過去3年間で壊れたことがない予想外な部品が、走行距離も同じタイミングで壊れてしまった」と、Honda関係者は悔やんだ。17号車と64号車は修復後にレースに復帰するが、挽回はすでに不可能だった。

 再開された決勝レースは、スタートでは予選2位No.6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ)の大嶋が逃げる。追う37号車のキャシディは、ヘアピンコーナーで凄まじいレイトブレーキングを見せてインを刺す。これで37号車がトップも、6号車も離されない。12周目には5、6番手に36号車の関口、No.1 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/平手晃平)のコバライネンが浮上し、LC500全6台で上位を競う形に。

 

 

 

2年前の優勝コンビがライバルとなり緊迫の接近戦

 所定のピットインでドライバーが代わっても、トップ37号車の平川と追う6号車のカルダレッリはテール・トゥ・ノーズのまま、GT300車両を縫うように緊迫の接近戦を展開。レース後半、トップ争いの後方では1号車と38号車もそれぞれ約1秒差で虎視眈々と上位を伺っていた。
 平川とカルダレッリは、2015年に37号車でコンビを組み岡山で初優勝を飾った間柄である。コースも手の内もよく知った2人のバトルは、時にカルダレッリがサイド・バイ・サイドに持ち込む。だが、平川もきわどく凌いで先行を許さない。ラスト3周、6号車は集団に巻き込まれ、その目前でGT300車両がスピン。辛くも避けたカルダレッリだが、これで37号車との差は2秒弱に開いた。

 楽になった平川はトップのままでフィニッシュ。LEXUS LC500のデビュー戦は勝利に加え、全日本GT選手権も含めても史上初の参戦同一車種全車でトップ6という驚きの記録を打ち立てた。
「優勝なんて、まだ信じられないよ! でもLEXUSが素晴らしいクルマをつくり、テストから調子良くて(優勝を)期待はしていたんだ」と、自身の初勝利に興奮気味のキャシディ。平川は「Honda勢には残念でしたが、僕たちにとっては完璧なレースになりました」と冷静に振り返る。「LC500が調子いいので、今後もシリーズでは確実にポイントを稼いでいきたい」と続けた。この1ヶ月前に平川は23歳になり、キャシディはまだ22歳という若いコンビは、その言葉通りに第2戦富士で3位、第7戦タイでは2勝目を挙げる。最終戦もてぎも2位と、全戦でポイントを重ねた。こうして23歳コンビ(最終戦時点、これも最年少記録)は、2017年のGT500チャンピオンに輝いた。

 またLC500は2017-19年のシリーズ24戦で14勝、2017年と2019年にタイトル獲得という素晴らしい成績を残した。2020年、その技術はGR Supraへと引き継がれていく。

 

 

 

 


No.6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ)
決勝2位/予選2位
 

   


No.1 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/平手晃平)
決勝3位/予選9位
 


No.38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明)
決勝4位/予選4位
 

   


No.36 au TOM'S LC500(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)
決勝5位/予選8位
 


No.19 WedsSport ADVAN LC500(関口雄飛/国本雄資)
決勝6位/予選6位
 

   


No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
決勝7位/予選14位
 


No.16 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐)
決勝9位/予選7位
 

   


No.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/小林崇志)
決勝スタートできず/予選1位
 

 

 

 

 

2017 AUTOBACS SUPER GT 第1戦 OKAYAMA GT 300km RACE/岡山国際サーキット

公式予選:2017年4月8日(土) 天候:曇/コース:ドライ

決勝レース:2017年4月9日(日) 天候:曇/コース:ドライ

Po No Machine Driver Laps Time Tire Q-Pos
GT500
1 37 KeePer TOM'S LC500 平川 亮/ニック・キャシディ 81 2:12'39.626 BS 3
2 6 WAKO'S 4CR LC500 大嶋 和也/A.カルダレッリ 81 1.503 BS 2
3 1 DENSO KOBELCO SARD LC500 ヘイキ・コバライネン/平手 晃平 81 2.761 BS 9
4 38 ZENT CERUMO LC500 立川 祐路/石浦 宏明 81 2.939 BS 4
5 36 au TOM'S LC500 中嶋 一貴/ジェームス・ロシター 81 7.607 BS 8
6 19 WedsSport ADVAN LC500 関口 雄飛/国本 雄資 81 9.219 YH 6
7 23 MOTUL AUTECH GT-R 松田 次生/ロニー・クインタレッリ 81 20.096 MI 14
8 12 カルソニック IMPUL GT-R 安田 裕信/ヤン・マーデンボロー 81 32.360 BS 13
9 16 MOTUL MUGEN NSX-GT 武藤 英紀/中嶋 大祐 81 40.195 YH 7
10 24 フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R 佐々木 大樹/J.P.デ・オリベイラ 81 51.691 YH 11
11 17 KEIHIN NSX-GT 塚越 広大/小暮 卓史 73 8Laps BS 5
12 64 Epson Modulo NSX-GT ベルトラン・バゲット/松浦 孝亮 57 24Laps DL 12
  46 S Road CRAFTSPORTS GT-R 本山 哲/千代 勝正 33 48Laps MI 15
  100 RAYBRIG NSX-GT 山本 尚貴/伊沢 拓也 5 76Laps BS 10
  8 ARTA NSX-GT 野尻 智紀/小林 崇志   DNS BS 1

・タイヤ=BS:ブリヂストン/DL:ダンロップ/MI:ミシュラン/YH:ヨコハマ

 

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