News

Race Report
2020.07.18
Rd.1 公式練習:開幕戦の公式練習はRAYBRIG NSX-GTが最速!GT300はシンティアム・アップル・ロータスがトップとなる

Rd.1 公式練習:開幕戦の公式練習はRAYBRIG NSX-GTが最速!GT300はシンティアム・アップル・ロータスがトップとなるの画像

第1戦 富士スピードウェイ:公式練習レビュー

□公式練習  天候:曇り| コース:ドライ | 気温/路面温度:開始(17:15)20度/22度、中盤20度/22度、終了20度/21度

 

2020 AUTOBACS SUPER GT第1戦「たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE」が7月18日(土)に開幕した。本来は4月開催予定の開幕戦だったが、新型コロナウイルスの影響から延期されていた。コースは富士スピードウェイに変更になり、18日(土)に公式練習(1時間50分)、19日(日)の午前に公式予選、午後に300kmの決勝レースが行われ、そして両日とも無観客での開催となる。この日の富士は、あいにくの雨と霧。走行前には雨は上がってコースもほぼドライだったが、霧が濃くなってスタートが延期。走行時間を短縮し、終了時間を延ばして行われた。それでも貴重な走行機会だけに、各チームはデータ収集やマシンやタイヤの確認、ドライバーの習熟と周回を重ね、最後は予選並みのタイムアタックも行っていた。

 

 

 

GT500 Class
■予選のようなラストアタックでRAYBRIG NSX-GTがトップを奪う

 開幕戦で最初の走行となる公式練習は、濃霧の影響で開始時刻が1時間15分遅れ、午後5時15分にスタート。この影響で両クラス混走の時間帯は70分と当初の90分間から20分短縮され、終了時間も午後6時45分と延ばされた。最後の20分は各クラスの専有走行が予定通り10分間行われた。
 開始時は気温20度、路面温度22度。ウエット宣言(レイン用タイヤが使用可)が提示されたものの路面はほぼドライだった。今年よりGT500クラスの3車種15台全車が車両規則“CLASS1(クラス・ワン)”に則ってシャシーを一新した。そのため、フロントエンジンに改められたHonda NSX-GTだが、6月末の公式テスト富士に続き、ここでも序盤から上位に名を連ねた。

 

 開始12分過ぎにNo.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/笹原右京)の笹原が1分28秒910でトップに浮上すると、すぐさまNo.8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)の福住が1分28秒214を記録して16号車を上回る。

 

 その後はベテラン勢がタイムを上げ、開始30分でNo.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)が1分28秒192、No.100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)も開始45分過ぎに山本が1分27秒818を記録するが、8号車の福住はすかさず1分27秒596を叩き出してトップを奪い返した。この時点でTOYOTA GR Supra GT500勢のトップはNo.14 WAKO'S 4CR GR Supra(大嶋和也/坪井翔)の3番手。坪井が開始60分で1分28秒146を記録した。NISSAN GT-R NISMO GT500勢では序盤に平手が1分28秒580を記録したNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)の7番手が最上位とやや苦しい滑り出し。

 

 

 終盤の専有走行では、予選のように終盤に多くがタイムを上げた。まずGR Supra GT500勢が相次いで1分27秒台にタイムを上げて、上位のNSX-GT勢に割って入る。だが8号車の野尻が1分27秒279でトップに。さらに、終了間際に100号車に今季加入した牧野が1分27秒248と逆転して最速を奪った。結局、NSX-GTがワン・ツーで今年最初の公式練習を終えた。
 3番手にはNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一/山下健太)。専有走行を担当した山下が1分27秒370を記録。続いてNo.36 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)のフェネストラズが1分27秒408で4番手につけた。GT-R NISMO GT500勢はNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rの11番手が最上位だった。

 

 

 

 

GT300 Class

 

■GT300は最後にシンティアム・アップル・ロータスがトップをさらう

 公式練習の序盤、まずトップに立ったのはNo.96 K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南)の新田で1分38秒311。これにNo.25 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)の佐藤、No.34 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍/ジェイク・パーソンズ)の道上が続いた。
 最初に1分37秒台を記録したのはNo.30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(永井宏明/織戸学)の織戸で1分37秒878だ。だが、すぐにNo.11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)の安田が1分37秒674と最上位に上がる。これにNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)、No.2 シンティアム・アップル・ロータス(加藤寛規/柳田真孝)の加藤が迫る。
 開始から20分過ぎで65号車がついに1分36秒845でトップに立つ。これをわずかに上回ったのがNo.55 ARTA NSX GT3(高木真一/大湯都史樹)の高木で1分36秒817。これで、トップ4は55号車、65号車、11号車、2号車の状態がしばらく続く。コースが暗くなりライトも眩く見える18時過ぎに6月末の公式テスト富士でクラストップを記録したNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)の井口が4番手に浮上してくる。さらに混走終盤にはNo.31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)やNo.18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/松浦孝亮)が5、6番手に上がった。
 そしてGT300クラスの専有時間10分間になったが、その前半に上位は動きなし。このまま終わるかに見えたが、後半に2号車に新加入した元GT300/GT500チャンピオンの柳田が1分36秒719のトップタイムを記録して、7番手から最上位に駆け上がった。またこの専有時間ではNo.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)のデ・オリベイラが6番手に上がっている。
 結果、開幕戦の公式練習のトップ3はNo.2 シンティアム・アップル・ロータスがトップ、No.55 ARTA NSX GT3、No.65 LEON PYRAMID AMGとなった。

 

   

 

 

 

GT500クラス・トップタイム

牧野任祐(No.100 RAYBRIG NSX-GT)

「アタック自体は普通だった」

いよいよシーズンが開幕するのですが、まずは“新型コロナウイルス”という難しい状況の中でレースができるという、この環境に感謝しないといけないと思います。レース自体は土曜日に予選を行わないという変則的な形なので、少し変な感じもしますが、今日はフリー走行とはいえトップタイムで終わることができたし、前回の富士(スピードウェイ)でのテストに続いて調子が良さそうなので、いい一日だったと思います。
 走行中に雨はパラパラ降ってはいたようですが、そもそもセクター2(コース中盤)はもう暗くて雨が降っているかどうかもよくわからない状況でした。フロントガラスになんとなく水滴は付いていましたね。アタック自体は普通でした。正直、「決まった(タイムが出た)な」という感じじゃなかったんです。一方で、いいところと悪いところが結構ありました。具体的には言えませんが、いいところはすごく良かったし、逆に悪いところは結構悪くて…。そのバランスをどう取るか、明日に向けて改善点はあります。明日も天気がわからないようだし、午前中は雨っぽいので、そういう意味では今日ドライコンディションで走れたのは良かったのかなと思います。
 明日の天候を意識(予選キャンセルなら公式練習のタイムが採用され場合がある)してタイムを出しにいったか?と問われれば、少なからずありました。でもそれより、レースのことを踏まえた上で考えたことがちゃんとできているかなと思いました。
 今年最初の公式テスト岡山ではあまりうまく行かなくて、その後の公式テスト富士で良くなって、その流れを今日は引き継いでいると思います。そういう意味ではいい流れで来ていますね。まずは自分たちのやることをしっかりやって、その中でライバルに負けないように、と思います。チームを移籍して迎える初戦ですが、久々のレースでもあるので、レースができるという喜びが大きいのでまずは自分ができることをしっかりやろうと思います。明日はNSX-GTとしてもミッドシップからFRに変わった初戦でもあるので、もちろん優勝を狙ってがんばります。

 

GT300クラス・トップタイム

柳田真孝(No.2 シンティアム・アップル・ロータス)

「チームへの恩返しのひとつ目として今日のトップタイムは良かったです」

先日の公式テスト富士からセットアップが良い方向になってきていました。今の公式練習も走り出した段階から良い状態で、まず走行した加藤(寛規)さんが良いタイムを出してくれていました。それで、セッション最後のGT300の専有走行枠でもタイムを出しに行こうという判断になって、僕がアタックしていったところ良いタイムを出すことができました。
 もちろんこれはまだ公式練習でのことですけど、どんなセッションであれトップタイムで終われたというのは良いことだと思いますし、去年、一昨年と僕はSUPER GTを実質的に2シーズン走っていなかったという中で、久しぶりに迎えた公式セッションで良いタイムをパッと出せたというのは良かったですね。

 僕としては2年ぶりにSUPER GTを戦えることになって「やっと乗れる!」という気持ちで3月の公式テスト岡山を迎えて、そうしたら新型コロナウイルスの影響でまたレーシングカーに乗れない状況になって…。そうした中では自分の気持ちを保つのがなかなか難しかった。でも、自分のドライビングをじっくり見直す時間があったし、緊急事態宣言の解除明けにはカートに乗って練習するということもできました。そして、先日の公式テスト富士ではレーシングカーに乗れる“ありがたさ”のようなものをとても強く感じました。

 このチームは加藤さんをはじめとするみんなが本当に良い準備をしてくれますね。特に加藤さんには本当にお世話になっています。今年、僕がこのクルマに乗れることになったことからしてね。それだけに、このチームに恩返しをしていきたい気持ちが強いですし、そのひとつ目として今日のトップタイムは良かったなと思っています。

 

 

 

Page Top