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Race Report
2020.08.08
Race Day Report : 第2戦 予選日レポート Part3

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【The Voice】
いつか阪口晴南選手のように

 

 

今シーズンはFIA-F4から直接ステップアップしてきた選手が2名います。昨年参戦初年度から1勝をあげてシリーズランキング2位という好成績を収めた三宅淳詞選手もそのひとり。参戦1年目のMax Racingから参戦するルーキードライバーに今後の意気込みを聞きました。

 

 

 

 

三宅淳詞(No.244 たかのこの湯RC F GT3)

 

 

・今回参戦に至った経緯は
僕は昨年までホンダさんのSRS-F(鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ)の育成枠でFIA-F4を戦わせていただいていましたが、そのスクールで講師をされていた田中哲也(現244号車チーム監督)さんからご紹介をいただき、このチームからSUPER GTに参戦していただくことになりました。12月の末から話し合いをさせていただき、2月に富士でスポーツ走行の時間帯に初めてドライブさせていただきました。

 

・レクサスRC-F GT3の印象
僕は今までカートやフォーミュラなど、車体の軽いクルマにしか乗っていなかったので、正直不安もありましたが、割とすんなり重さには慣れることができました。一番苦労したのはクルマのセンターに座れないことでした。しかもこのクルマは左ハンドル。街でも右ハンドルの国産車しか乗ったことがなかったので、車幅感覚をつかむのが難しかったです。岡山国際サーキット、富士スピードウェイと公式テストを重ねるにつれて徐々に感覚はつかめてきましたが、今度は一発の速さがないとか、ロングランのペースが上がらないなどの問題に直面し、それが前回のレースまで続いている感じです。早く原因を見つけて対策しないと今回もいい結果が出せないだろうと思います。

 

そのためにも今回の90分間の公式練習で前回のレースから考えて準備してきたものを試して、いい方向に進めばいいなと期待しています。クルマはまだまだセットアップを煮詰めている段階ですし、僕自身もハコ車のレースは1年目なので、ドライビングの面でも手探りの状態です。今後はセットアップとドライビングの進化をうまく両立させていきたいです。

 

・チームやパートナーの久保凜太郎について
(久保)凜太郎さんはSUPER GTでの経験も豊富で昨年も参戦されているので、レースの中でのGT500との駆け引きやピットストップなどについて、細かい点をたくさんアドバイスしていただいています。田中哲也監督も大ベテランで、走り方やコース上での駆け引きを教えていただけているので、自分がすごく成長できているなと実感しています。

 

・初戦の感想と今シーズンの抱負
開幕戦はそれほど目立った活躍ができませんでした。第2戦も引き続きチームスポンサーのたかのこの湯さんが冠スポンサーの大会なので、今回はそれに恥じないレースをしたいと思っています。

 

新しいチームとはいえ、スタッフさんはみんな大ベテランです。監督も田中哲也さんというドライバーとして多くの実績を残した素晴らしい方なので、今すぐ優勝とはいかないでしょうが、シーズン後半にはトップ争いに加われるように、どんどん進化していきたいです。

 

・今後の目標は
もちろん僕はGT500に乗りたいと思っているので、今はGT300でしっかりアピールして、いつか阪口(晴南)選手みたいに抜擢してもらえるように頑張ります。

 

 

 

 

 

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【Catch Up02】
タイヤメーカーに聞くSUPER GT参戦の意義と努力──ブリヂストン編

 

 

SUPER GTは複数のタイヤメーカーによって非常に高度な開発競争が繰り広げられている世界的にも本当に希有なモータースポーツシリーズです。そこで今回は、SUPER GTでしのぎを削る4つのタイヤメーカーにそれぞれフォーカスし、各社が考えるSUPER GT参戦の意義や各社の活動の特徴をご紹介していきます。

 

トップバッターはブリヂストンです。GT500クラスでは半数を超える車両へのタイヤ供給を長年展開し、幾度となくシリーズを制してきています。昨シーズンのGT500では、チャンピオンに輝いたNo.6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太)を筆頭にドライバーランキングのトップ10のうち9台を同社タイヤユーザーが占めました。また、昨シーズンのブリヂストンはGT300クラスにおいてもNo.55 ARTA NSX GT3(高木真一/福住仁嶺)によって頂点に立ち、GT500とGT300のダブルタイトルを獲得しています。そんなブリヂストンの山本貴彦MSタイヤ開発部設計第2ユニットリーダーと山本 塁モータースポーツ推進ユニットリーダーにお話を伺いました。

 

強力なライバルがいる中で技術開発を大いに進めることができる

 

・ブリヂストンにとってのSUPER GT参戦の意義・重要性をお聞かせください。
何と言ってもタイヤ競争があること。これが我々ブリヂストンにとってのSUPER GTの最大の魅力です。世界的に見ても、タイヤメーカー同士の競争がこれだけ高いレベルで行われているモータースポーツカテゴリーは現在はSUPER GTを置いて他にありません。強力なライバルがいる中で、技術開発を大いに進めることができます。そして、勝つことができればとても高く評価していただけますし、我々の技術やタイヤそのものにも注目していただけ、我々のブランドの向上につながります。また、スピード感のある開発が求められ、結果が白黒ハッキリ出るので、我々の若手エンジニアの育成においてもSUPER GTでの活動はとても有効なのです。

 

・昨シーズンはGT500とGT300の両クラス制覇を果たされました。
タイヤ性能という観点からレースというものを見ると、“いかに速く走ることができるか”ということと“その速さをいかに維持できるか”という2点に尽きるように思います。もちろんそれは、タイヤが壊れない/壊さないという安全面が確保された上での話です。

 

一発の速さとロングランでのペースの良さというのは、どちらかを取ればどちらかが落ちるというのが基本です。そのバランスを取ったり配分を変えたりするのは、技術的にはそんなに難しいことではありません。しかし、両方を上げるのはとても難しいです。それでも我々は、一発の速さとロングランの良さの両方を上げることにしっかり取り組みました。それが昨シーズンのGT500とGT300での良い結果につながったのだと考えています。特に飛び道具的な技術があったわけではなく、着実な開発の賜物だと思います。

 

 

 

 

・GT500クラスの車両が今シーズン新しくなったことに対して、タイヤにはどのような変化がありましたか?
タイヤとして何か特別に変えたということはありません。これまでどおりの開発の延長で正常進化させたタイヤを投入しています。そもそも我々のタイヤは、各車種に用意する仕様がそう大きく違うものではないんです。たとえば昨シーズンまでのGT500のNSX-GTはMR(ミッドシップ・エンジン/後輪駆動)でしたが、他のFR(フロント・エンジン/後輪駆動)の車両のものとそう違わないタイヤを出していました。そして今年は車両の技術仕様が一層統一されることになりましたから、タイヤの違いが結果の違いに反映されていく比率がより大きくなると考えています。

 

新しい2020年規定のGT500車両について言えば、現在は各車両メーカーさんが『タイヤを以前と同じように使うにはどうしたら良いか?』と考え、いろいろ試していらっしゃる段階にあると言えると思います。ただ、車両が今後もっと仕上がってくると、『クルマ側だけではもう対応し切れないから、タイヤ側でも何か対応してほしい』という声が出てくる可能性はあります。

 

 

 

 

・GT300クラスのタイヤの技術仕様はGT500クラスのものとどう違うのでしょうか?
我々がGT300クラスに供給しているタイヤは、我々がこれまでGT500クラスで培ってきた数々の技術の中で『GT300に対してはこれが有効だろう』と考えたものを組み合わせて作った製品です。したがって、GT300用のタイヤではありますが、GT300のために専用の技術を開発するということは行っていません。車重はGT500よりGT300の方がある。GT300のダウンフォースはGT500ほどない。「では、こういう方向性のゴムがいいんじゃないか!?」という具合に技術を検討・選択し投入しているのですが、それがうまく機能しているのでないかと思います。我々のベースの技術はGT500で培ったものなので、そもそもある程度良いものがあったということでないかと思っています。

 

 

 

 

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