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Race Report
2020.08.09
Race Day Report : 第2戦 決勝日レポート Part1

Race Day Report : 第2戦 決勝日レポート Part1の画像

 

 

 

 

おはようございます! 富士スピードウェイは2020 AUTOBACS SUPER GT第2戦「たかのこのホテル FUJI GT300km RACE」決勝日の朝を迎えました。空は薄い雲に覆い尽くされていますが、その雲を透過してもなお「暑い!」と唸らせる強い日差しが降り注いでいます。

 

 

サーキット入場者全員への検温を実施中

 

今大会も引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止に努めながらの開催です。その努力のひとつには、大会関係者、チーム関係者、メディア等の大会参加者全員による大会開催2週間前から毎日の問診表の提出があります。さらに、レースウィークの3日間は入場ゲートにて、サーキットへの入場者全員(タクシーの運転手さんなども含めて)に対する検温が実施されています。

 

スタッフの方々は、暑い中にもかかわらず、マスクに加えて防護用のビニールコートを着用しながら、入場者ひとりひとりへの検温に当たられています。

 

 

 

 

写真の女性が持っているスマホのように見える機器も検温計です。

 

 

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【The Voice】
プレッシャーよりも責任感が大きい

 

 

今シーズン、GT300クラス2年目を迎える阪口晴南選手。今季も新田守男選手とともにNo.96 K-tunes RC F GT3を駆りますが、第2戦ではGT500クラスのTGR TEAM SARDから急きょ出場することになりました。これは、このチームのレギュラードライバーであるヘイキ・コバライネン選手が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、外国人の入国制限が続いているためです。ビッグチャンスをつかみ、土曜日の公式練習から、”ぶっつけ本番”状態でNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraをドライブ。ノックアウト予選ではQ2を担当して見事3番手のタイムを刻む活躍を見せるなど、決勝での躍進にも期待が高まります。

 

 

 

 

阪口晴南(No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra)

 

 

・突然の電話
7月末に(出場依頼の)電話があったときはすごくびっくりしました。今シーズンはK-tunesでGT300をフル参戦することになっていましたが、代役に起用してもらうことになったので驚きました。と同時に、今までがんばってきたことを(周りの関係者が)見てくれていたのだなという気持ちが大きかったので、すごくうれしかったですし、評価していただいてたんだと感じました。

 

実は、良平さん(ADVICS muta Racing INGINGから参戦する阪口良平選手は晴南選手の伯父)も正式にリリースが出るまでは知らなかったんです。それに、僕は僕で、伯父さんとはお互いレーシングドライバーとして戦っているので、(リリースが出るまで)言わないでいようと思っていました。なので、リリースが出た直後に僕から電話して報告しました。すごく喜んでもらえました。

 

・プレッシャーよりも責任感
代役とはいえ、大きなチャンスには違いないと思っています。GT500クラスはプロフェッショナルドライバーの集まりであるので、参戦することへの責任感も十分に感じています。そこがプレッシャーにもなるとは思いますが、今までの僕のレースキャリアからしてもこういうシチュエーションは過去にもありました(2018年、全日本F3選手権にシリーズ参戦中、SUPER FORMULA第2戦オートポリスでスポット出場した経験を持つ)。それが今回はGT500だということなので、プレッシャーは与えられてはいるものの、自分の走りにあまり影響するほどではないので、冷静に対処できるのではないかと思っています。

 

・初ドライブの自己評価
正直まだ手探りの状態です。ラップタイムも1周をうまくまとめられたわけでもありません。ただ公式練習では20数周を走らせてもらったので、監督はじめ、スタッフの皆さんや(コンビを組む中山)雄一さんにも感謝したいと思います。

 

GR Supraはポテンシャルの高さをすごく感じました。もっと煮詰めていけばどんどんいいパフォーマンスを発揮できるクルマだと思うし、なによりも速いので、乗っていてとても楽しい。(GT300の車両とは)基本的に全部違いますね。中でも、加減速の違いは大きいですかね。減速時のスピードも300km/hからいきなり1コーナーですごく落とすので、スピードの落とし代(しろ)が大きい。当然、加速代(しろ)も同じです。ただタイヤは去年、GT300クラスでもブリヂストンを経験しているので、進めて行く方向はわかりやすかったですね。

 

・今大会の目標
開幕戦ではGR Supraが強い展開になりましたが、今回は各陣営、他メーカーもレベルアップしてきているはず。三つ巴になるであろう戦いの中、タイム差も少なくなって、リザルト上の(ポジションの)上下も開幕戦より激しくなると思っています。

 

なので、その中で自分に与えられた仕事をしっかりとこなし、チームの目標でもある「表彰台に上がること」を目指してがんばりたいですね。(第3戦の鈴鹿に向けてすでに入国し、宿泊施設で待機中の)ヘイキさんにいい形でバトンを繋げられたらいいなと思います。

 

 

 

 

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【Catch Up 03】
タイヤメーカーに聞くSUPER GT参戦の意義と努力──ミシュラン編

 

 

フランスに本拠地を置き、世界のタイヤシェアの頂点を争うミシュラン。SUPER GTにおいてはその前身である全日本GT選手権(JGTC)の時代であった1999年より恒常的にタイヤ供給活動を行い、GT500クラスでは4回(2011年、2012年、2014年、2015年)、GT300クラスでは3回(2005年、2007年、2008年)、シリーズを制してきています。そのミシュランの日本におけるモータースポーツ活動を取りまとめている小田島広明モータースポーツダイレクターにお話を伺いました。

 

 

タイヤ競争のあるSUPER GTを最優先カテゴリーとして活動

 

・ミシュランのSUPER GT活動に新型コロナウイルス感染拡大はどのような影響を与えましたか?
3月中旬からヨーロッパでの行動規制が強まり、弊社の本国フランスでは警戒レベルが最も高いものとなりました。その少し前から、ミシュラングループとして従業員や顧客、外部パートナーの健康・安全の維持を最優先するという観点から、フランスをはじめスペイン、イタリアなどの各工場サイトを4月いっぱいまで操業停止としました。これにはフランスのレーシングタイヤ製造工場も含まれます。

 

工場は計画どおり5月1日より再稼働しましたが、従業員や工場設備の消毒といった以前にはなかった作業が入ってきているので、生産量は従来どおりとはなりません。そうした中で、フランスの工場ではSUPER GTタイヤの生産を真っ先に行いました。それによって6月末の公式テストと7月半ばの第1戦に間に合わせることができた、という具合です。

 

SUPER GTタイヤのヨーロッパからの運送に我々は航空便を使っていますが、コロナ禍の影響で便数の減少などがあってコストがかなり上がりました。我々にとってはハードルがまた上がった格好ではあるのですが、ターゲットとするレースに競争力のあるタイヤを投入するという一番肝要なことは第1戦においても果たせましたし、今回の第2戦をはじめとする今後のレースにおいてもそのように続けていくつもりです。

 

なお、コロナ禍を受けて今シーズンのSUPER GTのレースカレンダーが見直されるにあたっては、考慮する要素に我々のタイヤの生産や運搬の状況もGTA(GTアソシエイション)には入れていただき、そして現在の新しいスケジュールが定められました。そのおかげで我々はSUPER GTへの参戦継続が可能になったわけで、GTAにはとても感謝しています。

 

 

 

 

・四輪や二輪の様々なカテゴリーのモータースポーツにタイヤを供給されているミシュランですが、SUPER GTを最優先のカテゴリーとされていると聞きます。
ライバルとの競争力の比較を行える場であること。そして、革新的な技術を先行的に投入していける場であること。こうした要因から、ミシュランはあらゆるモータースポーツの中でも特に重要なカテゴリーとしてSUPER GTに取り組んでいます。5月1日の工場再稼働の際に真っ先に生産したのがSUPER GTタイヤであったことは、そうしたミシュランの姿勢の表れとも言えると思います。

 

SUPER GTのトップカテゴリーであるGT500の車両は世界的に見てもパフォーマンスが非常に高いレーシングカーであり、それに向けて最新技術を先行的に投入したタイヤを開発していけることがSUPER GTの弊社にとっての大きな価値です。ミシュランのモータースポーツとしては、このカテゴリーで得られた技術を他のカテゴリーに活用していくということを行ってきています。こうしたことはコロナ時代となった今後も変わりありません。

 

 

 

 

・今年GT300クラスでのタイヤ供給を再開された経緯と狙いをお聞かせください。
我々は2014年をもってGT300クラスでのタイヤ供給を一旦休止としていましたが、その後もいくつものGT300チームからタイヤ供給の強いご要望をいただいてきていました。GT300での供給再開は毎年検討してきていましたが、我々がGT300に用いて戦いたいと考えるタイヤを用意できる環境が整ったことで再開を決断し、今年は9号車(No.9 PACIFIC NAC D'station Vantage GT3)と60号車(No.60 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3)の2台にタイヤ供給を行っています。

 

現在の規則では、GT300のタイヤもGT500と同様に自由な開発が行えることになっています。しかし、自動車メーカーが活動の核となっているGT500とは違い、GT300はプライベートのレーシングチームがエントラントの大半を占めているクラスです。使用されている車両の大半も、FIA-GT3などのいわゆる市販レーシングカーです。そこで、GT300のタイヤに関する規則も市販のレーシングタイヤのものに準じた内容に見直した方が良いのでないかという意見が出ており、我々ミシュランもそれに賛同しています。そこで、我々が今年のGT300に投入したタイヤも、既存のGTカテゴリー用のタイヤとかなりの部分で共有のスペックで開発し、対応レンジがある程度広いものとしています。そうすることによってコストやユーザーチームにかかる負荷を下げ、継続的な活動をより行いやすくするよう努めています。

 

 

 

 

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