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Race Report
2020.08.22
Race Day Report : 第3戦 予選日レポート Part2

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公式練習の後はFCY(フルコース・イエロー)をテスト

 

 

来シーズンからの導入が予定されているFCY(フルコース・イエロー)の確認テストが公式練習に引き続き、出場車両が参加して行われました。

 

FCYとは、セーフティカーを導入することなくアクシデント等の処理が可能となる安全な走行状態を確保するための措置で、コース上の各走行車両は一定の低速で走ることが義務づけられ、その間の追い越しは禁止とされるものです。このFCYと連動する装置が今シーズンから出場全車のフロントウインドウに搭載されている電光表示板で、前戦の第2戦富士から、搭乗ドライバーのイニシャルを4秒間、順位を2秒間、交互に点灯表示するシステムが運用されています。

 

今回のテストの主な目的はサーキットごとに発生する様々な事項を洗い出し確認することで、来シーズンからのFCY導入に向けて着実なステップが刻まれています。

 

 

 

 

 

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【The Voice】
ホームコースの一戦に挑む!

 

 

今季GT300クラスにデビューを果たしたFIA-F4出身ドライバーのひとり、河野駿佑選手。実は2012年にはSUPER GTにメカニックとしてデビューしていたのをご存知でしょうか? 父の高男氏がNo.4 グッドスマイル 初音ミク AMGのチーフエンジニアであることから、駿佑選手は高校生のときからチームスタッフとしてレースに関わり、昨年まではデータエンジニアとしての仕事をこなしていました。ドライバーとしてフル参戦する今季、メカニック、エンジニアの経験値を活かした活躍に期待が集まります。

 

 

 

 

河野駿佑(No.60 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3)

 

 

・SUPER GTデビューはメカニックで
高校生のとき、2012年から4号車でメカニックの仕事をしはじめ、タイヤ交換をやっていました。今シーズン、SUPER GTにフル参戦することになったわけですが、僕としては”見てきた”レースとして一番身近なものだったし、憧れでもあったのがSUPER GTでした。なにせサーキットには”ゼロ歳デビュー”してますから! それくらいレースが身近なものだったし、レース中心の家なので、コロナ禍で今年はゴールデンウィーク中に家で過ごしていたとき、父も「(レースに行かないのは)20年ぶりくらいじゃないか」なんて言ってましたね(笑)。

 

今年デビューするドライバーの中でも、多分僕が一番ルールを知っているかも…。それが強みかもしれないです(笑)。レースウィーク中の一連の流れも把握できていると思うし、レース参戦は初めてなんですが、初めての感じがしないという…。なので、冷静に色々物事を進めることができているように思います。SUPER GTはクルマもタイヤも(チームやレースによって)条件が違う部分があるので、まずは自分たちのベストを尽くすということを心がけています。また、(昨シーズンまで仕事をしていた)4号車に勝ちたいという特別な意識はないですね。それより誰にも負けたくないという思いが強いです。自分たちのパッケージで最大限のパフォーマンスを引き出し、次へと繋げることを心がけてレースをやっています。

 

今季はコロナの影響で開幕が延期されましたが、気持ち的に不安になるようなことはなかったですね。もちろん開幕がいつになるかわからない状態でしたが、いずれは始まる、と考えて自粛期間中でもできることを考え、トレーニングはもちろんレースのデータを見直したり、とやることを決めてやってました。家にいる時間をうまく使えたと思います。

 

・FIA-F4出身ドライバーの活躍について
開幕戦で川合(孝汰)君(No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT)が勝ち、第2戦では(小高)一斗(No.6 ADVICS muta MC86)がポールポジションを獲ったことに対し、悔しいのは事実です。ただ、それを別段気にしているわけでもないです。それよりも僕自身、今のチームでレースが出来ることその事自体がうれしいですね。条件が揃ったときにきちんと結果を残せるよう、僕らもしっかりやるだけだと思っています。

 

・序盤の2戦を終えて
開幕戦は落ち着いてレースはできました。特別大きなミスもなかったし。ただ100点満点ではなかったですね。予選ではQ2を担当して、予想タイムよりも上回れました。決勝も順位争いをしていなかったので、自分のレースに集中できました。第2戦の決勝では、ちょうどアウトラップのときに、織戸さん(No.30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)が後ろから迫っていたのを抑えることはできたのですが、小暮さん(No.88 JLOC ランボルギーニ GT3)が前にいたものの抜けなかった。それと、GT500との絡みになると抜かれるときにタイムが落ちてしまうので、それを改善しなくては、という気持ちが強くなりました。

 

今回の鈴鹿は僕自身が好きなコースです。4輪デビューも、最初に結果を出したのも、ここ。スーパーFJでは鈴鹿のチャンピオン(2014年)を獲っているし。これまで(サーキットを)走ってきた距離で言えば鈴鹿が一番ですから、家からは遠いですけどホームコースですね。クルマ(RC F)としてコースとの相性もいいですし、ミシュランタイヤとしてもいい感じなので楽しみにしているんです。天候等の変化でフタを開けてみないとわからない部分もありますが、今まで以上に結果を狙っていけると思います。

 

 

 

 

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【Catch Up 01】
タイヤメーカーに聞くSUPER GT参戦の意義と努力──ダンロップ編

 

 

SUPER GTでしのぎを削る4つのタイヤメーカーがそれぞれに考えるSUPER GT参戦の意義や活動の特徴をご紹介しています。前戦である第2戦富士ではブリヂストンとミシュランにフォーカスしましたが、今回はダンロップです。

 

1995年1月に発生した阪神・淡路大震災により被災した後、ダンロップはモータースポーツ活動の一時的な休止を余儀なくされました。しかし、翌1996年のシーズン中にはSUPER GTの前身である全日本GT選手権(JGTC)でのタイヤ供給活動を再開。以来、GT500とGT300の両クラスへ精力的に参戦しています。そして近年では、2015年にダンロップタイヤ装着のNo.10 GAINER TANAX GT-Rをシリーズ全戦で駆ったアンドレ・クートがGT300クラスのドライバータイトルを獲得したほか、2017年の第6戦鈴鹿、つまり目下最後のものとなっている鈴鹿1000kmにおいてダンロップユーザーのNo.64 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦孝亮)がGT500クラス優勝を飾るといった結果が残されています。そんなダンロップ(住友ゴム工業)の安田恵直モータースポーツ部主査にお話を伺いました。

 

GT500には専用開発タイヤで挑戦、GT300では常に勝利を狙う

 

・ダンロップがSUPER GT参戦において重要視しておられることは何かお聞かせください。
技術開発と広告宣伝効果の2点があります。その上で、SUPER GTではタイヤ開発がオープンですから、この厳しいタイヤ競争の中で技術を磨いていくことによる効果を狙っています。特に大きいのは材料開発の領域ですね。我々はこのSUPER GT用のタイヤ開発を通じていろいろな材料を作り出しており、今シーズンも第1戦から新しい材料を投入するなどしています。そうした技術情報は我々の社内で共有されるものとなりますので、SUPER GTでまず使った材料や技術の中にはストリートユースの市販タイヤにやがてフィードバックされていくものもあります。

 

タイヤ競争がありますと新しい技術の開発に一段と積極的になるというところは間違いなくあります。タイヤがワンメイクのカテゴリーですと、利益率も考えながら多くのユーザーの方々をいかに満足させられるタイヤを作ることができるか、というところに焦点が来ます。一方、このSUPER GTのようにタイヤ競争があるカテゴリーでは何よりも性能重視ですので、そういうところに特化した開発になっています。

 

 

 

 

・現在のダンロップのモータースポーツ活動を語る上で、1995年の阪神・淡路大震災による影響に触れることは欠かせないように思うのですが、いかがでしょう?
おっしゃるとおりです。ダンロップのブランドを展開している我々の住友ゴム工業は本社が神戸にある会社ですが、阪神・淡路大震災で大きな被害を受けてタイヤ開発のすべてが一旦ストップした状況になりました。しかし、我々が活動を休止していた間にもモータースポーツは休むことなく行われ、エンジニアリングは進化していきました。その後、私にとっては先輩にあたる方々が大変な努力をされて業務を再開しダンロップとしてモータースポーツにも再び参戦してきているのですが、震災後に生じたエンジニアリングの差を埋めることがなかなか難しかった。それは技術力のことだけではなく、その技術を生み出す考え方で遅れを取ったというところがあると思います。それを何とか追いつこうと努力を重ねてきた、という次第です。

 

 

 

 

・今シーズンのSUPER GTにおけるダンロップタイヤ装着車の台数は、GT500クラスでは1台、GT300クラスでは3台となっています。
GT500クラスで近年の我々がタイヤ供給を行っているのは64号車のModulo Nakajima Racingさんだけです。供給チームが1チームしかないということについては、やはりデメリットはありますが、メリットもあると考えています。つまり、ひときわ密接なコミュニケーションを取って、そのチームに合った専用のタイヤを作ることができる、というところです。今日の情勢ではテストを行える機会が本当に限られています。そこで、いわばテーラーメイドのようにそのチームの車両に特化したタイヤを作り、ライバルである他のタイヤメーカーさんたちと渡り合えるよう努力しています。

 

一方、GT300クラスでは、優勝争いの中に我々のタイヤのユーザーが常にいるという状況を作ることができていると思っています。このGT300に投入しているタイヤは、当然ながらGT300専用に開発しているものです。設計者も、GT500用タイヤとGT300用タイヤとでは別です。ただし、用いる技術的ソースは共通のものですし、GT500用に開発した技術の一部はGT300のタイヤにも投入しています。そうしたところがうまく機能して、GT300ではそれなりに結果を出せていてアピールもできているよう思っています。

 

 

 

 

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