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Race Report
2020.08.23
Race Day Report : 第3戦 決勝日レポート Part1

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いざ、決戦! 300km先の勝利は誰の手に?

 

 

おはようございます! 前日に続き、鈴鹿サーキットには夏空が広がりました。午前9時過ぎの時点ではかろじて気温も30度を超えていないようですが、体感としては「暑い!」のひと言に他なりません。

 

 

 

 

新型コロナウイルス感染拡大防止の対策のひとつ、検温は今大会でも行われました。サーキット入場時に大会関係者はじめ、チーム、メディア等の関係者、参加者の全員に加え、サーキットへの入場者を対象に検温を行う”水際対策”を実施することで、シリーズ戦の開催継続に努めています。

 

無観客開催等、”新たな日常”の中で迎えるイベントである一方、レースへの取り組みの中で変わらないものも。ピット前では戦いを控え、ピット作業の練習をするなど、”最後のひと仕事”に取り組むチームの姿がありました。

 

 

 

 

 

夜になって突然の豪雨に見舞われた昨夜の鈴鹿。決勝レースの天候も気になるところですが、300kmを真っ先にゴールを切るのはどのチームになるのでしょうか? ファンの皆さんもTVのライブ放送やネット配信によるリモート観戦で”熱い”声援を送ってください!

 

 

 

 

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【Catch Up 02】
“ミッドシップ屋”aprが格闘してきたFRプリウスGT300

 

 

今回の第3戦鈴鹿GT300クラスのポールポジションを獲得したのはNo.31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)でした。トヨタ・プリウスGT300が予選でクラストップを奪ったのは2015年の最終戦もてぎ以来のこと。昨シーズンは2台のプリウスGT300がドライバーポイントを1点も獲ることなく終わっていましたが、今回ついに復活の雄叫びを挙げることとなりました。

 

プリウスGT300は、2012年のSUPER GTデビューから一昨年まではMR(ミッドシップエンジン/後輪駆動)の車両として参戦していましたが、レギュレーションの変更を受けて昨年からはFR(フロントエンジン/後輪駆動)となっています。他方、ガソリンエンジンとモーター・ジェネレーター・ユニットの双方をパワーユニットとして備えたハイブリッド車であることは変わりありません。

 

このプリウスGT300の開発を手掛けるのは、ARTA Garaiyaやトヨタ・MR-S GT300といった数々のチャンピオンマシンを送り出してきたレーシングカーコンストラクターのapr。その代表を務める金曽裕人氏に今回の予選直後にお話を聞きました。

 

 

 

 

「ようやくながら、FRがちょっと好きになった」

 

我々aprが作ってきたレーシングカーというのはミッドシップのクルマばかりだったのですが、レギュレーション変更を受けてFRのプリウスGT300を急きょ作って去年から投入しました。エンジンも2UR-Gという排気量5.4ℓの大柄なV8を新たに開発していくことになりました。その1年目であった去年は、トラブルは起こさないものの、何しろクルマが速くなかった。僕らがFRを熟知していなかったことが一番の原因でした。他のチームさんにしてみればFRが当たり前なのかもしれないけど、aprというチームは偏ったことばかりやってきたので(苦笑)。FRの部品を単品で作ったことはあったけれども、アッセンブリーで設計したことはなかったので、そこが一番しんどかったですね。

 

FRのプリウスGT300を走らせるようになってからのこの1年半は、FRとは何ぞやというところを猛勉強しました。もちろんTRDさんやタイヤメーカーさんなども協力してくださって、いろんなことをやりました。それでこのオフシーズンのうちにかなり戦闘力が上がりました。過去2戦ではそれをうまく使えていなかったのですが、今回は良い方向でセットアップを進めることができ、それに合うタイヤを用意してもらえて、今日の予選結果につながりました。今まではFRの勘所がなかなかつかめなかったけど、今日のポールポジションでFRがちょっと好きになったという感じです(笑)。それにしてもここまでが本当に長かったですね。

 

ただ、決勝レースについては、表彰台に上がれればいいな、というレベルにならざるを得ないと思います。僕らのプリウスはJAF-GT300車両であるわけですが、レギュレーションでJAF-GT300は給油時間が非常に長くならざるを得なくなっているので。でも、そのように規則で抑えてぶっちぎりを出さないようにしているところもSUPER GTの面白さだと理解しています。

 

 

 

 

「クルマ作りという文化を育てるために」

 

僕らがやっているのはモータースポーツ文化を作るということだと思って僕はレースをやっています。その中にはクルマ作りという文化もあって、モータースポーツで培われたテクノロジーを市販車にフィードバックしていくという流れがあることが絶対に大事だと思っています。僕らのクルマはSUPER GTでは現在唯一のハイブリッド車で、そのハイブリッドの技術は自動車メーカーであるトヨタ自動車が開発してくれているものです。未来のハイブリッド技術につながる、ということで。

 

そうしたクルマ作りができるのがJAF-GT300であり、これは必要不可欠なものだと思っています。FIA GT3が悪いと言うのではありません。でも、すでに出来上がっているクルマを使ってレースを戦うことが目的となるGT3と、独自に作ったクルマで試行錯誤しながらレースをやるJAF-GT300とでは文化が全然違うんですよ。僕は土屋春雄さん(つちやエンジニアリング創設者)をはじめとする、自分で作ったクルマでレースをやることに心血を注いできた方々に薫陶を受けてきた人間なので、レーシングカーを作っていく文化を継承してそれを育てていきたいと思っています。

 

 

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ショートブレイク!? のようなトークショー

 

 

開幕戦から続くリモートでのドライバートークショー。ノックアウト予選で各クラストップ3となったドライバー6名が登場し、J SPORTSのピットレポーター・竹内紫麻さんの司会によって行われました。
今回はGT500クラスにベテラン選手が揃ったせいか、リラックスムードで話が進み、その流れでGT300クラスのドライバーたちも、和気あいあいとしたトークで盛り上がることとなりました。

 

 

 

 

【GT300クラス・トップ3】
嵯峨宏紀(No.31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)

(前回のポールポジション獲得から)5年も経ってたんですね、もう忘れていました。フリー走行の段階では(クルマの状態が思わしくなくて)Q1なんか絶対通らないだろう?という空気でしたが、中山(友貴)選手が予選Q1を走り出したら、ポン、ってトップをとって帰ってきたので、あれ?という感じでした。気温のせいなのか、路面温度のせいなのか、他のチームもタイムが伸びなかったので、たまたまコンディションがうちのクルマにあってきたのかな?と思いました。そこから中山(友貴)選手のインフォメーションをもとに少し調整を加えて予選Q2に行ったらうまく走ることができました。久しぶりにポールが取れて本当によかったです。

 

僕らが使っているJAF-GT(車両)はコツコツ進歩させることができるんですが、特に今年のシーズンオフにはクルマを全てバラしてアルミの部品をカーボンに変更したり、ダッシュボードを肉抜きするなどして軽量化に取り組んできました。その結果トータルで50kg近く軽くできました。そのおかげで開幕前のテストから調子が良かったんですが、それでもまだレギュレーションの重量よりも重いので、まだまだ車体のあちこちをサンダーで削る作業を続けています。それが今回は一番効いてるのかなと思います。

 

(髪の毛の色を赤にした理由は)これは緊急事態宣言です。解除になれば青か緑に染め直すつもりです。早く解除になって欲しいです。

 

 

大湯都史樹(No.55 ARTA NSX GT3)
フリー走行はある程度調子が良くて「いけるかな?」という感じでしたが、(予選は)高木選手がQ1突破ギリギリの危ない状況だったので、僕もQ2が心配でした。でもQ1からQ2の間にセットアップを変更したのが良かったようで、Q2はいい走りができました。

 

(高木真一選手には)本当に可愛がってもらっていますし、すごくいい師匠です。 Q2終わって2位でしたが、その時は高木選手や土屋さん(圭市監督)、そしてチーム全体が本当に喜んでくれてよかったです。(開幕前はチャンピオンチームに加入するということで緊張すると言っていたが?)チームには結構馴染んできたかな、と思うので、この調子でチーム一丸となって今回も優勝を狙っていきたいです。

 

僕らはできればウェット、と思っていたのですが、今日はドライになりそうなので、決勝のペースが不安要素です。でも予選上位からのスタートなので、なるべく早く先頭に出て、優勝できるように頑張ります。

 

 

藤波清斗(No.56 リアライズ 日産自動車大学校GT-R)
昨日のフリー走行から思っていた以上にすごく(クルマの)調子が良くて「これはいけるんじゃないか」という感触がありました。僕が担当した予選Q1ではABSがトラブルで使えない状態で走ったんですが、なんとかJPさん(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手)にバトンを繋げてよかったです。

 

JP選手もすごく素晴らしい走りをして、ポールポジションのはずだったんですけど、四輪脱輪ということで(タイム抹消になった)。それでもセカンドベストタイムにより(予選)3位で終われたので、今日の決勝は期待できるんじゃないかという感触はあります。(予選Q2を終えて)帰ってきてJPさんはすごくショック受けていましたが、すごく速い選手ですし、僕も吸収できる部分がたくさんあるので、昨日は「明日がんばろう」と。JPとはカートトレーニングを行うなどしています。

 

今日は雨予報でしたが、なんとか晴れそうです。ただ暑いと思うので、しっかりとタイヤマネジメントなどをJPさんと頑張って、チーム一丸となって一つでも上に受けるように。着実にポイント取って帰りたいです。

 

 

  

 

 

【GT500クラス・トップ3】
伊沢拓也(No.64 Modulo NSX-GT)

僕らのクルマには鈴鹿が合っている様子だったので、期待してきてはいましたが、朝のフリー走行から周りより速くて、僕らが一番びっくりしている状況です。いい流れの中、僕ら二人のドライバーもチームスタッフも誰一人ミスをしなかったのでいい結果が出たと思っています。(決勝は)雨には自信がないので、晴れるとしか思っていません。雨が降るとブリヂストンユーザーの人たちが速そうなので、晴れると信じています。

 

(自粛期間中の過ごし方は)自粛期間中は美容院にもいけない状況だったので、自分でバリカンを買って坊主にしていました。人生初の坊主です。髪の毛はだいぶ伸びました。一回坊主にしてしまうと、今ぐらいの長さでも気分はロン毛です。(クインタレッリ選手から「勝ったら金髪にするんじゃない?」と言われて)勝ったらダンロップのDマークを入れて染めようかなと思っています。

 

(決勝に向けて)全ての条件は整っています。僕らドライバーも調子いいですし。レースはどうなるかわかりませんが、その中で優勝を狙っていきたいです。

 

 

ロニー・クインタレッリ(No.23 MOTUL AUTECH GT-R)
昨年の終盤以降ニッサンファンから非常にプレッシャーがあって、毎回すごいプレッシャーで。開幕戦はクルマの調子が良くなかったが、第2戦からフィーリングが良くなり、鈴鹿は今シーズンのベストの状態に仕上がっています。チームには感謝しています。レースが終わってからはいつもニスモのエンジニアやミシュランと打ち合わせているんですが、いつも前向きな雰囲気です。

 

今回の第3戦でようやくニスモらしい走りができるようになりました。予選ではもっと前に行けるかと思っていましたが、昨日の練習走行から64号車が速かったですね。予選Q2でも伊沢(拓也)選手の走りがすごかった。その原因は4kgのウェイトハンディの差があったのかなと思います。

 

予選からタイヤメーカー間の実力差が拮抗しているので、決勝も誰が前に行くか本当に見応えのあるレースになると思います。私たちはまだ表彰台に上がっていないので、まずは表彰台を狙っていきたいし、機会があれば前の64号車と優勝争いをしたいです。みんなでベストを尽くして頑張ります。

 

 

石浦宏明(No.38 ZENT GR Supra)
開幕戦と第2戦でTOYOTA GR Supra GT500勢が強かった中で、僕らは目立った結果を残せなかったので、今回はスープラ勢の中で一番軽い僕らが、前に行かないといけないと感じながら走っていました。でも朝のフリー走行から毎回3番手で、必ず同じ2台が前にいました。トップとのタイム差も思ったより大きかったので、3番手とはいえちょっとショックを受けています。

 

(チームセルモで開設しているYoutubeチャンネルの動画が暗い雰囲気で終わっていたが)どうしても明るい雰囲気の動画が撮れませんでした。この暗い雰囲気をお客さんがどう楽しんでくれるのかな?という期待もありましたし。レース結果が良ければ明るいバージョンを作ろうと思います。大湯選手ほど面白くはできないかもしれませんが、レースで勝って明るいバージョンをお届けしたいです。

 

予選上位の3台ともタイヤメーカーが違いますし、暑い鈴鹿でどういう展開になるか予測は難しいですが、面白いレースになると思います。その中で僕らも頑張って、少しでも上に行けるようにしたいです。

 

 

  

 

 

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