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Race Report
2020.09.13
Race Day Report : 第4戦 決勝日レポート Part1

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第4戦決勝日の朝は快晴! 300kmレースのスタートは午後1時!

 

 

おはようございます! ツインリンクもてぎはSUPER GT第4戦決勝日の朝を迎えました。前日はすっきりしない天候でしたが、本日は朝から気持ちの良い青空が広がっています。3週間前の第3戦鈴鹿の夏空とは明らかに違う「秋晴れ」の空模様です。

 

今大会も無観客開催であるのが残念ですが、サーキットではドライバートークショーや選手紹介が行われ、そして午後1時にはツインリンクもてぎを63周して争われる300kmレースの幕が切って落とされます。

 

 

 

 

もてぎオフィシャルチーム独自の救出訓練

 

 

朝一番のサーキットでは、ツインリンクもてぎのオフィシャルの皆さんが、レースに向けてのブリーフィング、そして救出訓練を行われていました。救出訓練は前日にGTアソシエイション主導によるものが行われていますが、今朝の救出訓練はもてぎのオフィシャルチームが独自に実施されているものです。

 

ツインリンクもてぎはレーシングカーのコクピットを模した救出訓練専用のシミュレーターをツーリングカー仕様とフォーミュラカー仕様の2種類備えており、レースが行われるたびに救出訓練を実施されています。参加されたオフィシャルの皆さんの多くは、ツインリンクもてぎで開催されている様々なレースに四輪/二輪のカテゴリーを問わず参加していらっしゃいます。こうした方々の献身と熱意があってこそ、安全なレース開催が可能なのです。

 

 

 

 

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【Catch Up 01】
タイヤメーカーに聞くSUPER GT参戦の意義と努力──横浜ゴム編

 

 

SUPER GTでしのぎを削る4つのタイヤメーカー各社のSUPER GTへの取り組みについてご紹介しています。第2戦富士ではブリヂストンとミシュラン、第3戦鈴鹿ではダンロップにフォーカスしましたが、今回は横浜ゴムです。

 

横浜ゴムといえば同社のスポーツタイヤの代名詞である「ADVAN」ブランドでのモータースポーツ活動で知られています。SUPER GTではその前身である全日本GT選手権(JGTC)の黎明期から数多くの車両へのタイヤ供給を続けており、GT500クラスでは横浜ゴム自身がメインスポンサーとなった赤黒のADVANカラーの車両が参戦していた時代が長くありました。また、GT300クラスにおいては、ドライバータイトルを通算16回、チームタイトルを通算17回もユーザーチームの手により獲得してきています。

 

そして、SUPER GTでは全体の約3分の2の出場車両の足元を支えているのは横浜ゴム、という状況が長く続いています。今シーズンにおいても、年間出場登録した45台のうち23台がADVANレーシングタイヤを使用しています(GT500クラス:3台・3車種/GT300クラス:20台・10車種)。そんな横浜ゴムの白石貴之 MST開発部 技術開発第1グループ グループリーダーにお話を伺いました。

 

 

技術の粋を集めてGT500に挑み、GT300では多彩な車種に対応

 

 

・SUPER GTというレースシリーズの価値を横浜ゴムがいかにお考えかお聞かせください。
当社が考えるSUPER GTの一番の魅力は、非常に高度な競争が行われているということです。タイヤだけでも4社ものメーカーが参加して競い合っています。観客動員数も多く、注目度も高い。当社が技術を開発し磨きをかけていく場として最もふさわしいと考えています。

 

特にGT500クラスには国内の名だたる自動車メーカーさんがそれぞれに開発された車両で出場されています。ダウンフォースは強大で、エンジン性能も高い。そういった非常にレベルの高い車両に向けて当社の技術の粋を集めたタイヤを開発し、さらに技術を高めていく。そうしたことがGT500クラスにおける当社の一番のテーマとなっています。

 

 

 

 

・今シーズンのGT500クラスにおいて横浜ゴムは3台の車両にタイヤを供給されていますが、その3台はすべて車種が異なります。タイヤは車種ごとに仕様の異なるものを用意されているのでしょうか?
理想は共通仕様でどの車両でも優れた性能を出すことだと思っていますが、実際にはそうなっておらず異なった仕様になっています。そこは、各車種の特性や各チームさんの要望を取り入れた結果でもあります。

 

今年はGT500の車両規定の一部が改まり、特に足まわりについては各車種で共通の部品を使うものとなりました。これによって3車種のタイヤの使い方が似通ってくるのかなと考えていました。しかし、実際に開発を始めてみると、近いようでなかなか違っていました。特にダウンフォースの強さをはじめとする空力特性、そして車両の前後の重量バランスといったところの違いですね。エンジン特性の違いもあります。そうした要因から、3車種の方向性は当初こちらが考えていた以上にそれぞれの特徴を持つものとなりました。そうしたところが技術的な面白さであり、難しさでもあると感じています。

 

 

 

 

・横浜ゴムのGT300クラス用タイヤの開発の在り方について教えてください。
当社がGT300クラスでタイヤを供給しているチーム/車両の数は非常に多いわけなのですが、そのGT300用のタイヤは基本的にはGT500用タイヤの開発で得られた技術をフィードバックしていくひとつの場、というふうに考えています。ただしGT300には、GT500より車両重量が重いといったGT500以上に難しい要素もあります。また、当社がGT300クラスにおいてタイヤ供給を行っている車両は、車種だけでも10車種にもなるのですが、それらの車両は、車重や駆動方式、重量バランス、エンジン形式などがまったく異なっています。そういった各車両の特性をきちんと引き出せるタイヤ性能を狙いつつ、最終的には共通スペックのタイヤでどの車両にも合わせられるようにすることを目標として開発に取り組んでいます。その考え方は市販の量産車用タイヤのものに準じていると言えます。そういったところがGT300用タイヤの面白みであり、技術的なやり甲斐であるかなと思っています。

 

また、タイヤの供給量が多いということは、それらの生産についてもいろいろと課題が伴うということになります。そうした中でGT500用タイヤの開発で得られた技術をうまく落とし込みながら、できるだけ各レースの間近まで待って気象条件などの最新情報を取り込んでタイヤの仕様を決定し、そして一気に生産を行えるように体制作りをしています。

 

 

 

 

・最後に、SUPER GTにおいて過半数を超える車両にタイヤを供給され続けている御社の、SUPER GTを下支えされているタイヤメーカーとしての誇りについてお聞かせください。
我々としては「誇る」という意識は持っておりません。ただ我々としては、各ユーザーチームさんに「このタイヤを選んで良かった」と思っていただけるように努力していきたいと思っています。

 

 

 

 

 

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【The Voice】
教え、育て、そして勝つ。おじさんたちの挑戦

 

 

かつては名コンビとして12年の長きにわたりGT300クラスで活躍してきた新田守男選手と高木真一選手。今は良きライバルとして互いに通算最多勝記録を競い合っている二人は、現在、10代〜20代前半の若い選手とともにレースを戦っています。そんな二人に、若者と組んでチームを勝利に導くための秘訣や、今ペアを組んでいる阪口晴南、大湯都史樹両選手についての印象を伺いました。

 

 

 

 

新田守男(No.96 K-tunes RC F GT3)
「今シーズンは阪口晴南にとって非常に大切な一年になると思います」

 

 

・若いドライバーと組んでレースをする秘訣は
ノウハウみたいなものは特にありませんが、幸いなことに今まで組ませていただいたドライバーはみんなスキルがすごく高くて、レースに向き合う取組み方はそれぞれ違いましたが、いろんなことを吸収してやろうという意欲はみんな高かったです。彼らと組んで苦労した、ということはありませんでした。逆に彼らとレースをすることで、自分が忘れかけていたことを思い出させてもらってる感じです。それぞれのドライバーの個性を活かしながらレースを戦わせていただいている、ということは幸運だと思いますし、感謝しています。

 

・レースの中で若者たちに伝えていること
小さい頃からカートで走り込んできた彼らは、GT300クラスに乗るまでにものすごく高いパフォーマンスを身につけているので、運転技術を教えることはあまりありません。今までワンメイクレースで育ってきた彼らにクルマの開発やタイヤの開発といった、彼らが経験していないものを、僕の経験をうまく取り入れながら伝えていっています。特にタイヤの開発という経験をする機会は世界的に見ても少なくなっていますが、彼らはそれを吸収してやろうという意識がすごく高く、成長幅がすごく大きいんです。自分たちが地位を確立していくまでに何が必要なのかを僕らが教えてあげられればいいなと考えながら走っています。

 

・今年でコンビを組んで2年目になる阪口晴南選手について
昨年はブリヂストンタイヤで戦い、今年はダンロップタイヤにスイッチしたことで、シーズンの序盤はそのフィーリングの違いに合わせ切れていませんでした。そのため去年のパフォーマンスと、第1戦、第2戦の結果のギャップを受け入れることができなかったようですが、「今は焦るな」と。きちんと手順を踏んでタイヤ開発に取り組み、勝負の時期を待とうと言い聞かせています。タイヤワンメイクのレースしかしてこなかった彼にとって、タイヤ開発と並行してセッティングを進めていく、という経験を昨年、今年としてきたことは、ものすごく成長に役立っていると思います。今シーズンは彼のレース人生にとって非常に大切な1年になるんじゃないでしょうか。

 

ドライビングスキルに関しては何もいうことがありません。クルマを速く走らせることに関してはものすごく賢いです。話をしていてもすごく楽しいですよ。「あ、そういう考え方もあるのか」って感じることがあります。レースを離れるとまだちょっと子供っぽいところがあるんですけどね。レース一家(※)の中で子供の頃からカートに取り組んできて、まだ外の世界を知らないというか、純粋なところがある。これからいろんな大人と知り合って成長してくんでしょう。僕も(影山正彦)監督とイジりながら(笑)いろんなことを教えていこうと思います。
※阪口晴南の父はカートショップ経営で、ファミリーには叔父の良平(No.6 ADVICS muta MC86)を筆頭にカート/レーシングドライバー&ライダーが多い。

 

レーシングドライバーって自分一人が頑張ればどうにかなるって世界じゃありません。いろんな人たちを味方につけて、いろんなものを開発しあって、その中の1個でも欠けたら勝てない世界。そのことに本人が気づく良い年なんじゃないかなと思います。でも本当に良い選手ですよ。このまま成長していったらどんなドライバーになるんだろう? って楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

高木真一(No.55 ARTA NSX GT3)
「若い子たちが何を求めているのかを、ドライバーの目線でエンジニアに伝えるのが、今の僕の仕事なんだと思います」

 

 

・若い選手とレースを戦う上で心がけていることは
小林(崇志)から始まり、ショーン・ウォーキンショー、福住仁嶺、大湯都史樹と20代の若い子を預かってきましたが、やはりARTAに選ばれた選手というのは基本的に速い子ばかりです。ショーン(ウォーキンショー)以外はフォーミュラカーから最初のハコ車のレースとしてSUPER GTにやってくるので、フォーミュラカーの倍以上の重さがあり、ダウンフォースも少ない、そしてタイヤにも負担がかかる、そういうクルマを乗りこなす勉強がまず必要ですが、みんなものすごく吸収が早いです。今はデータロガーや映像などを使った学習をフォーミュラカーで経験しているので、そういう機材を使って良いものを学びとってもらっています。ですからドライビングテクニックに関してはこちらから教える必要がない感じです。それよりも300クラスと500クラスの混走というSUPER GT独特の駆け引きや、タイヤの使い方や開発などを覚えてもらっています。シーズン前半は僕がやってみせて、途中から若い子にどんどん開発を任せるようにしています。

 

・大湯(都史樹)選手の印象は
ウエットもドライも動じないというか、速くて器用です。(去年組んだ福住)仁嶺もそうでしたし、最近の若い子はシミュレーターなどいろんなところで遊びながら費やしている時間が長いんだと思います。ただセッティングはまだ全部は任せられないので、そこは僕らおじさんが乗って、彼らの言葉をエンジニアと一緒に解析している感じです。ドライバー目線からエンジニアに伝えられることが沢山あるので、それをやるために僕は雇われているのかなと思いますね。

 

・今シーズンの目標は
開幕戦からQ1を突破できないなど、あまり流れが良くなかったんですが、今シーズンからポイントの3倍のハンディウェイトを積むことになったおかげで、まだポイントを取れていないチームにもチャンスがあると思います。そのことを前向きに捉えて今回と次のレースで大きくポイントを取り、ハンディが半分になる第7戦、ノーハンディになる最終戦でチャンピオン争いをしたいなと。今は我慢のレースですが、この辺で流れを変えたいです。天候が不安定で予測が難しいですが、チームの総合力で良い結果を出したいです。

 

 

 

 

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