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Race Report
2020.11.29
2020 AUTOBACS SUPER GT シリーズチャンピオン会見

2020 AUTOBACS SUPER GT シリーズチャンピオン会見の画像

第8戦 富士スピードウェイ:シリーズチャンピオン記者会見

GT500クラス

No.100 RAYBRIG NSX-GT

 

山本尚貴

「RAYBRIGさんの最後の花道を飾れたことに喜んでいます」

今日のレースで優勝してシリーズチャンピオンに輝くことになりましたが、一番嬉しかったのは、高橋国光総監督をポディウムの中央に立たせてあげられたこと。これはもうドライバー冥利に尽きますね。僕はこのチームからGT500にデビューして、いい成績を出せた時も調子が悪くて悩んでいる時も、やさしく育ててもらったという思いがあります。その国光総監督とチームを支えてくれて来たスポンサーのRAYBRIG(スタンレー電気)さんにも、ここまで育ててもらったという思いがあります。そのRAYBRIGさんのカラーリングで走るのは今年いっぱい。つまり今回のレースが最後のメモリアルレースなんです。その記念すべきレースでRAYBRIGの看板を背負って走るドライバーとして、最後の花道を飾れたことにも喜んでいます。

僕は2018年にJB(ジェンソン・バトン)と組んでチャンピオンになっていますが、あの時は(タイトル獲得を決めた)最終戦で、JBがチェッカーを受けているんです。もちろん、SUPER GTは2人で組んで走るレースなので、前半を担当するドライバーと後半を担当するドライバーがいるのは当然で、前半を走っていてチェッカーを受けていなくても優勝したりチャンピオンになったりの栄誉はチェッカーを受けたドライバーと同じだとは思うのですが、その時僕は“自分で勝ち獲った”という印象が薄かったことを覚えています。それに対して今回は後半を担当して自分でトップチェッカーを受けただけに“勝ち獲った”との印象があります。前回の僕と同じ立場の牧野選手がどう思っているのかにも少し興味はありますが(苦笑)。それでも勝てないレースでも取り零さず戦ってきたのは牧野選手の力も大きいと思います。だから彼には感謝しています。

 

 

 

 

牧野任祐

「鈴鹿(第6戦)の失敗がターニングポイントになった」

自分が初めてSUPER GTレースに参戦したのは2016年でしたが、この時はスポット参戦で、翌年はヨーロッパでレースしていたので、本格的にデビューしたのは去年からで、キャリアとしてはまだ2シーズン目なんです。でもこうしてチャンピオン争いできる環境でレースをさせてもらえているので、早く結果を出したいと思っていました。

開幕戦から入賞を続けてきて、第3戦の鈴鹿では2位表彰台を獲得することができました。でも2回目の鈴鹿(第6戦)では37号車(KeePer TOM'S GR Supra)と当たってしまい(ピットインの際に追突)、結局リタイアしてしまいました。そこで初めて今季ノーポイントになったのですが、チームに申し訳ないという気持ちとは反対に、自分があの場(37号車と競り合う状況)にいなければ、もう少しマージンを稼いでいれば、と考えたんです。そして“これはもう勝つしかない”という思いを強くしました。だから自分ではこれがタイトルを狙う上でのターニングポイントになったと思っています。

 

 

 

 

高橋国光総監督

「2人の素晴らしいドライバーに感謝しています」

今日は大変なレースになりましたね。皆さんお疲れさまでした。チャンピオンになった2人のうち山本(尚貴)選手とはもう10年の付き合いになりますが『間違いのないドライバー』という印象が強いです。すごく経験が豊富でどんな時でも落ち着いて走ることができる。それも完ぺきな走りが。そんな印象が強いですね。一方の牧野(任祐)選手とはまだ付き合いが短いのですが、今日のレースをピットのモニターで見ていても、彼のドライバーとしての凄さは伝わってくるんです。見ていて“これは最高だなぁ”って。

今日は素晴らしいレースを見せてもらい、その上に優勝とチャンピオン獲得というプレゼントももらい、2人には感謝しています。クルマを作ってくれたHondaさんやタイヤを作ってくれたブリヂストンさん、長年支援してくれたRAYBRIGさん、応援してくれるファンの方々はもちろんですが、レースを運営しているGTアソシエイションや取材してくれるメディアの人たち。もう皆さんに感謝しています。こうした感謝の気持ちを伝えるとき、今日のように勝っていれば皆さんに聞いてもらえるのですが、勝ってないとなかなか感謝の気持ちが伝わりません。そんな意味からも「今日勝ってくれて本当にありがとう」と思っています。

 

 

 

 

 

 

GT300クラス

No.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R

 

藤波清斗

「お世話になった人たちに恩返しできたと思うと本当に嬉しい」

シリーズチャンピオンを獲ることができるなんて、まるで夢見たいです。僕はSUPER GTにフル参戦したのは今年で2年目。数年前まではアマチュアのレースに出ているだけのドライバーで、今日の出来事などとても考えられませんでした。でも多くの人にお世話になって、ここまで来ることができました。チャンピオンとなって、お世話になった人たちに恩返しできたと思うと本当に嬉しいです。

今シーズンの序盤にはクルマの仕上がりもまだまだでいい結果を残すことができませんでしたが、シーズン中盤になって少し盛り返すことができました。そして2回目の富士で初優勝し、自分としてはこれがタイトルに向けてのターニングポイントになりました。そして前回のもてぎで2勝目を挙げることができ、今回の最終戦にはポイントリーダーとして臨むことになりました。その分、プレッシャーも高かったのですが、最後まで諦めない、強い気持ちでレースウィークを迎えることになりました。土曜日の公式予選では7番手に沈んでしまいましたが、予選結果はだめでもレースペースでは自信がありました。それでもここまで来ることができるとは思っていませんでした。

今シーズンはJPさん(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)さんと組ませてもらうことでいろんなことを勉強させてもらいました。また近藤(真彦)監督にはいつも的確なアドバイスをもらってきました。だから自分自身も成長できたと思いますが、いい結果でシーズンを終わることができ、監督に対してもいい報告ができたとホッとしています。

 

 

 

 

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ

「一人一人がベストを尽くした結果。だからみんなに感謝したい」

チャンピオンを獲ることができたのは、チームはもちろん、日産/NISMOやヨコハマタイヤのスタッフ一人一人がベストを尽くした結果です。だからみんなに感謝したいと思います。今回のレースは、これまでにないほど路気温が低く、どうなることかとも思いましたが、何とか形になってセッティングの方向性もいい方向に向かっていたので自信はありました。

昨年は初めてGT300クラスで走ることになったのですが残念なシーズンになってしまい、今年の1月には今シーズン国内でレースできるかどうかも決まっていませんでした。でも近藤真彦監督から誘ってもらって、このチームで走ることができました。彼とは長年友情を築いてきましたが、彼に誘ってもらったおかげで今日のチャンピオンが実現しました。だから彼にはとても感謝しています。

(藤波)清斗さんは富士(第5戦)での初優勝がターニングポイントになったと言いましたが、僕は前回のもてぎ、第7戦がターニングポイントになったと思っています。もてぎで2勝目を挙げたことでシリーズ4位からポイントリーダーまでランキングがアップしたのですからね。今日もタフなレースになりましたが自分のペースを信じて走ったことで好結果に繋がったと思っています。

 

 

 

 

監督代理:河野初樹統括本部長

「”継続は力なり”を形にできたのではないか」

KONDO RACINGのGT300クラスのチームは、2012年から日産自動車大学校とともに人材育成プロジェクトとしてスタートしたものです。スーパー耐久を経て去年からGT300クラスへと戦うステージを上げました。昨年、日産販売会社のディーラーメカニックにもレースに参加して頂けるようになって、現在は「日産メカニックチャレンジプロジェクト」として戦っているチームです。

参戦2年目にしてGT300クラスのシリーズチャンピオンを獲得できたわけですが、今回のチャンピオンは、日産自動車、日産自動車大学校、横浜ゴム、そしてリアライズコーポレーション様をはじめとするスポンサーの皆様の全員で勝ち取ったものだと思います。大変感謝しています。チームドライバーとして今年GT300クラスで戦うこととなったJP(デ・オリベイラ)ですが、今年チームに所属してからは、これまでよりも”大人のJP”になってくれて…。56号車をしっかりゴールまで運ぶという意識が高くなったように感じます。若い藤波(清斗)の力とJPのテクニックそして経験値が合わさったすばらしい体制になったと思います。GT500クラスでもKONDO RACINGチームとレースをしてきたJPに対し、今季からチームに加入した藤波は、まだ慣れてない部分もあったかもしれませんが、レースをこなすうちにどんどん自信を持ってJPとともにチームを引っ張っていってくれたと感じているし、成長もしてくれたと思います。

一方、日産自動車大学校の学生たちや日産販売会社のメカニックもレースという現場でともに仕事をすることでいい経験を積まれたと思います。人材育成を目的にしたこのプロジェクトでは、これまで1万人以上の日産自動車大学校の学生がスーパー耐久参戦のときからレースに関わり卒業していって、社会人として販売会社メカニックになってまたこのプロジェクトに帰ってきてレースに参加する…。それを考えたら、まさに”継続は力なり”を形にできたのではないでしょうか。これまでチームとして多くの経験を積み重ねる中で、監督は学生の皆さんに対し、「うれしいときには喜び、失敗して悲しいときには涙を流すくらいの気持ちで取り組もう」といつも声をかけていました。今シーズンも、みんながその思いをもって戦った結果だと受け止めています。

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