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Race Report
2020.11.29
Race Day Report : 第8戦 決勝日レポート Part4

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【Catch Up 05】
「モノ作りのJAF-GT300というイバラの道を選択し、ひとつの成果を出せた」

 

 

シリーズ最終戦のGT300クラスを制したのはNo.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)でした。今シーズンの埼玉トヨペット Green BraveはJAF-GT300規定で製作したオリジナルニューマシンを投入し、そのデビュー戦であった第1戦富士でいきなり優勝。今回の第8戦富士ではポールtoフィニッシュで2勝目を飾り、ドライバー部門、チーム部門ともにランキング2位へとポジションを上げてシーズンを締めくくりました。チームオーナーで、埼玉トヨペット代表取締役社長である平沼貴之氏にレース後にお話を伺いました。

 

 

 

 

・今日のレースは、ポールポジションからスタートし、タイヤ無交換作戦を取った後半スティントでもハイペースで走り続けて逃げ切るという見事な内容での勝利でした。
今回は、今年の我々が強さを繰り返し見せてくることができた富士でのレースということで、端からポールtoフィニッシュを狙っていました。そういう意味では、試合展開としては完璧でした。ただ、楽勝だったというわけではないんです。タイヤ無交換で行きましたけど、後半スティントでは「クルマのバランスが厳しい」という無線が吉田選手から入ってきている状況でした。それでも彼はペースを落とすことなく頑張って走ってくれましたし、前半スティントを担当した川合選手もタイヤを労りながらの良い走りで後半につないでくれました。今回はトヨタ自動車の豊田章男社長が現場にいらっしゃった中で勝つことができて、章男社長も喜んでくださっているだろうと思いますし、オールトヨタ陣営としても良かったと思っています。

 

・今回の優勝によりランキング2位を獲得されました。埼玉トヨペット Green Braveとしては4年目のSUPER GTであった今シーズンの内容については?
これまでの我々はマザーシャシーの車両でやってきましたが、今年はJAF-GT300の車両規定のもとで新型車のGRスープラを使ってニューマシンを作って臨みました。簡単に勝てるものではないと思っていましたので、今年はデータ取りのシーズンになるだろうと思っていたのですが、マシンの出来がなかなか良く、開幕戦から勝つことができました。その後は重く課されたウェイトハンデの苦しみを味わうことになりましたが、第5戦富士でウェイトを75kg積みながらも4位に入れて、そのあたりからシリーズチャンピオンのことも意識し始めましたね。ところが、その次の第6戦鈴鹿でリタイアになってしまって、シリーズを制するのはそう簡単なことではないと実感しました。それは僕だけじゃなく、ウチのメカニックやスタッフのみんなもそうだったと思います。それでも一戦一戦、ベストを尽くして戦ってきたという感じです。

今回のレースについても、最終戦だからと特別なことをするような競技ではないので、試合に対するアプローチは普段のレースどおりでした。クルマも、これまでのレースと違うことをしたために何かが起こるのは嫌だったので、気温からすれば必要のないクールスーツのシステムも搭載したままにしていたほどですし、ドライバーのふたりにも「いつも以上のことはやろうとしないでおこう」と言っていました。

 

・メカニックをはじめとするスタッフは、平沼さんが社長を務められている埼玉トヨペットの社員の皆さんですね?
そのとおりです。彼らは、そもそもはレースのプロではありませんが、クルマについては押しも押されもしないプロフェッショナルたちです。ウチのチームのメカニックたちは弊社の各店舗から派遣されている者たちで、我々のレース活動を通じて、お客様が彼らに足まわりを診てもらいたいとかエンジンを触ってもらいたいと望まれるスーパードクターのような存在になってもらいたいと思っていますし、彼らに憧れてクルマに携わる仕事を志望する若い子たちが増えればいいなとも思ってやっています。だからこそ、我々はモノ作り・クルマ作りのカテゴリーであるJAF-GT300車両にこだわり、いわばイバラの道を自ら選択して進んでいるわけです(苦笑)。でも、幸いなことに、我々のメカニックやエンジニアは喜んで苦労してくれていますし、そして成果を出してくれています。本当にうれしいことですね。

 

・来シーズンのSUPER GT参戦については?
基本的には現在の体制を継続して参戦する考えです。来年こそは取りこぼしのないレースを続けることを目指したいと思っています。周りからの注目もライバルからのマークも今年以上になると思いますが、そこでしっかりと結果が出せるチームにしたいですね。

 

 

 

 

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【Catch Up 06】
チェッカー直前にこぼれ落ちたタイトル。「言葉が出ない」と平川

 

 

タイトルを巡る攻防戦。GT500クラスは「優勝したものがチャンピオン」というシンプルな戦いでしたが、その内容はひりひりするような壮絶なものであり、また結末は想像し得ないものでもありました。自身、2017年以来となる2度目のチャンピオン獲得を目前にしながら涙を飲んだ平川 亮選手(No.37 KeePer TOM’S GR Supra)。決勝での出来事を振り返っていただきました。

 

 

 

 

平川 亮(No.37 KeePer TOM’S GR Supra)
「自分の走りとしては全然出し切ったので、悔いはない」

 

 

・チェッカー直前までトップを走るも、結果は2位でした
うーん。これもレースだなというか…。うーん。やっぱり速ければ勝てるというものじゃないんだって。速くても強くても勝てるものじゃないんだ、と。それに運とかも含めてうまく噛み合わないとっていう感じですかね。

これまで2年連続でチャンピオンを逃してきたのですが、”二度あることは三度ある”になるのか””三度目の正直”になるのか、どっちかだなと思いつつ朝を迎えたんです。よく眠れたし、別にメンタル的にはいい感じだったんですけどね。でもなかなかこういうこともあるんだな、って思います。しょうがないですね。レースなので道具を扱っている以上、想定しないことは起きるのかなと。

 

・予選ではQ1、Q2ともトップタイム。37号車にいい流れがありました。
レースでも戦略的には全然悪くはなかったです。今回はセーフティカーのリスクを避けて早めのピットインをすることはしょうがなかったので、そうしました。それまでヤマケン(山下健太)もものすごくいいペースで走ってくれて、充分過ぎるくらいギャップを広げてくれたし…。それに昨日もQ2でポールポジションを獲ってくれたし、今日のレースでの走りはすばらしかったですよね。

ただ、後半は100号車(山本尚貴)のペースがものすごく良かったということも事実なので…。そこは完敗です。なので、いい流れがあっても勝てないものは勝てないし、油断もしちゃいけないということです。

 

・後半、16秒強あった100号車とのギャップが縮まっていったのは?
タイヤのピックアップです。ものすごかったですね。それでなかなかペースを上げることができませんでした。そのときにどんどん差を詰められたような気がします。後ろを見るなんていう余裕はなかったです。ギャップが10何秒あってもピックアップがあったので、その差は簡単になくなるという緊張感が常にありました。でも、自分の走りとしては全然出し切ったので、悔いはありません。

終盤、100号車との差がまた開いたのは、ものすごくツイてたからです。GT300クラスのクルマを抜くときにピックアップが出るんですが、その最後の3周だけはきれいに(GT300クラス車両に)引っかからなかったんです。逆に山本選手の方だけにちょっとトラフィックが悪くなるような感じだったんじゃないですかね。だから、そのときは『これはもう行ける!』と思いました。でも、レースは終わるまでわからなかったですね…。

 

・衝撃の終末でした
最終コーナーより前、GR Supraコーナーの立ち上がりでもう(症状が)来てました。でも”まさか”とは思わなかったんです。(ガス欠を知らせる)アラームは2周くらい前から点いてましたが、それってチームの計算だとまったく問題はない、ってことだったんです。アラームが間違えているんじゃないかという認識でした。それに(同じ状況は)僕らだけじゃなかったとも聞いてます。もしかしたら、なにかあったのかもしれません。

今のところ、悔しいという感覚はないですね。言葉が出ないです。ただ、逆にすぐレース(全日本スーパーフォーミュラ選手権)があるので、気持ちを切り替えることができます。来週レースがあるので、むしろいいと思っています。SUPER GTでは、また来年になると思いますが、今年もそもそもレースができない状況が最初にあったので、レースをやれたことがまず良かったと思っています。また来年がんばります。

 

 

 

 

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今年もSUPER GTを応援していただき、本当にありがとうございました!!

 

 

 

 

SUPER GT最終戦の暫定表彰式とシリーズ表彰式が終わり、毎年恒例のグランドフィナーレがコース上で行われました。

 

 

 

 

 

例年ですと特設のお立ち台に全ドライバーが集結してファンの皆さんへプレゼントの投げ込みやハイタッチなどを行うところですが、今年は新型コロナウィルスの感染防止対策なども考慮して、3台の二階建てバスにドライバーが分乗してホームストレート上をパレードする方式が採用されました。

 

 

 

 

こうしてドライバーたちがスタンドのファンの皆様にご挨拶するのと並行して、ポディウムからはGTアソシエイションの坂東正明代表が、SUPER GTを応援してくださるファンの皆さま方にご挨拶。感謝の気持ちをお伝えしました。

 

 

 

 

 

バスの1号車では高橋二朗さんがGT500チャンピオンの山本尚貴、牧野任祐(No.100 RAYBRIG NSX-GT)の両名に、続いて2号車に乗車したGT300チャンピオンの藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(No.56 リアライズ 日産自動車大学校GT-R)の両名に竹内紫麻さんがインタビューを行いました。

最後は実況アナウンサーのピエール北川さんのコメントでグランドフィナーレは終了しました。

 

 

 

 

新型コロナウィルスの感染拡大により、一時はレース開催すら危ぶまれたSUPER GTの2020シーズンでしたが、前半の4戦を無観客レースとする形で7月にようやく開幕にこぎつけ、10月からの4戦はファンの皆さんをお迎えしてレースを行って参りました。

今日こうして無事に全8戦を開催することができたのは、レース関係者、チーム関係者、スポンサーの皆様、そしてファンの皆様の尽力とご声援があったお陰だと思います。
SUPER GTを、そして自動車レースを愛する全ての皆さんに感謝して、2020シーズンを締めくくりたいと思います。皆さん本当にありがとうございました。

そして
2021年もまた全国各地のサーキットでお会いすることを楽しみにしています。

SUPER GT 2021は、2021年4月10〜11日に岡山県の岡山国際サーキットで開幕予定です。

 

 

 

 

 

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