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2021.01.05
【2020 シーズンプレイバック 第1回】GT300クラス総集編その1「2020年の熱き全8戦、前半戦を振り返る」

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シリーズ前半4戦は毎戦勝者が変わる混戦模様に!
開幕戦はGR Supra GTが初優勝。第2戦はシンティアム・アップル・ロータスが優勝
第3戦と第4戦は強豪のGAINER TANAX GT-RとLEON PYRAMID AMGが勝利する

 

新型コロナウイルスの感染拡大に、大きく揺れた世界のモータースポーツ界。2020年のAUTOBACS SUPER GTも3月の公式テストから中断となり、開幕戦は7月まで延期となった。そこからは5ヶ月で8戦の過密日程となったが、参戦の各チームは熱戦を繰り広げ、観客を迎えての第5戦以降はさらにヒートアップしていった。
それだけに記憶に残る多くのシーンがあった2020シーズン。SUPERGT.netでは、6回に渡りシーズンを振り返る「2020 シーズンプレイバック」をお届けする。
第1回は「GT300総集編その1」として、GT300クラス全8戦の前半4戦をレビューする。

 

Round 1 たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE

富士スピードウェイ

埼玉トヨペットGB GR Supra GTが悲願の初優勝!
序盤リードのGAINER TANAX GT-Rは2位に終わる

公式予選:7月19日(日) 曇

決勝レース:7月19日(日) 曇

 2020年初頭から世界を脅かした新型コロナウイルス禍により、SUPER GTもスケジュールを大幅に見直して7月19日に、ワンデー/無観客開催での開幕戦にこぎつけた。
 日曜午前の予選は2組に分かれてのQ1、そして両組トップ8/計16台によるQ2で行われた。早朝は雨も心配されたが、コースはドライ。Q1のA組ではNo.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)のデ・オリベイラが、B組ではNo.11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)の安田がトップに。だが、Q2でのトップ、ポールポジションはNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥菅波冬悟)の蒲生が獲得。Q1B組では菅波が早々にスピンするハプニングも、自力を発揮して2位通過。そしてQ2のラスト1周、蒲生が一発でベストタイムを叩き出して見せた。

 午後は好天に恵まれての決勝レース。スタート周にGT500クラスでクラッシュがあり、早々にセーフティカーが導入される。この時点でトップは予選2位のNo.11 GAINER TANAX GT-Rの安田。これをNo.65 LEON PYRAMID AMGの菅波、No.2 シンティアム・アップル・ロータス(加藤寛規/柳田真孝)の加藤、No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)のルーキー川合が追い上げる。セーフティカー退去後は2号車がトラブルで脱落し、トップ争いは65号車の菅波と52号車の川合という新鋭対決に。65号車リードのままピットインを行い、52号車はタイヤ無交換、65号車はリア2本交換と選択が分かれる。これで、52号車の吉田がピットで稼いだマージンを活かして、65号車(蒲生)や11号車(平中)から逃げ切れるかが焦点になった。
 ところがレース終盤、またしてもセーフティカーが導入となる。これでマージンのなくなった52号車が厳しくなったかと思われたが、吉田がトップスピードのあるニューマシンGR Supraを快走させてトップのままゴール。チームも吉田も、まして川合はデビュー戦での嬉しい初優勝となった。「これまでにも勝てそうで勝てないレースが続いて、足りないものはなんだ?」と悩んだと言う吉田。「無交換も賭けではなく、可能なようにテストを繰り返して。あとは(65号車の遅れなど)運もありました」とチーム一丸の勝利を強調していた。
 2位は11号車。3位には終盤追い上げてきたNo.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rの追撃を凌いだNo.5 マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号(坂口夏月/平木湧也)が入った。
※5号車は開幕戦から第6戦までこの車両名で参戦

 

   

 

GT300クラス 決勝結果
Po. No. Machine Driver Laps WH
1 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田 広樹/川合 孝汰 62 -
2 11 GAINER TANAX GT-R 平中 克幸/安田 裕信 62 -
3 5 マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号 坂口 夏月/平木 湧也 62 -

予選ポールポジション : No.65 LEON PYRAMID AMG/蒲生 尚弥 1'36.236
決勝ファステストラップ : No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT/川合 孝汰 1'38.153

>> 第1戦富士 リザルト

 

 

Round 2 たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE

富士スピードウェイ

ベテランが噛み合ってシンティアム・アップル・ロータスが優勝
SUBARU BRZ R&D SPORTは追撃も届かずに2位表彰台

公式予選:8月8日(土) 曇

決勝レース:8月9日(日) 曇

 開幕戦に続き無観客で開催された第2戦。舞台も富士での連戦で、開催は通常通りの土曜に予選、日曜に決勝で行われた。予選Q1のA組はNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)の井口が、B組はNo.2 シンティアム・アップル・ロータス(加藤寛規/柳田真孝)の柳田がトップ。Q2は両組のトップ8、計16台で争われたが、図らずもルーキーがポールポジションを競り合う。まずはNo.6 ADVICS muta MC86(阪口良平/小高一斗)の小高が1分36秒270のトップタイムを記録。これにNo.55 ARTA NSX GT3(高木真一/大湯都史樹)の大湯がラストアタックで0.108秒差に迫るが2位。これで21歳の小高が初ポールポジションを決めた。

 例年の“夏の富士”は長距離だが、この第2戦も300kmの通常のピット作業は1回のレースだ。ポールポジションのNo.6 ADVICS muta MC86の阪口を序盤に攻略したのは、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORTの山内。先行するNo.2 シンティアム・アップル・ロータスの加藤と6号車を抜いてトップに浮上。これでトップ3は61号車、2号車、6号車とJAF-GT300車両、マザーシャシーが上位を占めるが、このレースではタイヤ4本の交換が義務付けられて、無交換でのピット作業タイム短縮は不可能となった。上位各車がピットを終えると、トップの2号車(柳田)を約4秒差で61号車(井口)、さらに遅れてNo.55 ARTA NSX GT3の大湯が追う。スタートから気温30度、路面温度40度と猛暑だったが、レース終盤でもそれは変わらずに、各選手がタイヤのグリップを保たせるのに苦労する。61号車がジワジワと追い上げる中、両クラスでチャンピオン経験のある柳田が安定走行で逃げ切り、移籍2戦でチームに2010年以来の優勝をもたらした。

 「僕たちのレースは、ライバルとのバトルではなく、タイヤとコミュニケーションを図りながら上手くマネージメントしていくもの。(新加入の)柳田選手も含めて良いコミュニケーションが図れている証拠ですね」とレース後に加藤は語った。2位は61号車。3位にはルーキー大湯の健闘が光った55号車が入った。

 

   

 

GT300クラス 決勝結果
Po. No. Machine Driver Laps WH
1 2 シンティアム・アップル・ロータス 加藤 寛規/柳田 真孝 61 -
2 61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人/山内 英輝 61 -
3 55 ARTA NSX GT3 高木 真一/大湯 都史樹 61 12
予選ポールポジション : No.6 ADVICS muta MC86/小高 一斗 1'36.270
決勝ファステストラップ : No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG/谷口 信輝 1'38.215

>> 第2戦富士 リザルト

 

 

Round 3 FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE

鈴鹿サーキット

GAINER TANAX GT-Rが荒れたレースを勝ち抜く
UPGARAGE NSX GT3とシンティアム・アップル・ロータスが表彰台

公式予選:8月22日(土) 晴

決勝レース:8月23日(日) 晴

 鈴鹿サーキットに舞台を移した第3戦も無観客の開催となる。予選Q1のA組はNo.31 TOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)の中山、B組はNo.11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)の安田がトップで通過。両組トップ8によるQ2では31号車の嵯峨がポールポジションを決めた。No.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)は31号車を超えるタイムを出していたが、デ・オリベイラがコースから4輪が出ていたと判定されて無効になってしまった。

 決勝はスタート周にクラッシュがあり、早くもセーフティカーが導入される展開に。リスタートではトップ31号車をNo.55 ARTA NSX GT3(高木真一/大湯都史樹)の高木、56号車の藤波が追う。各車のピットインが始まろうかというところでGT500クラス車両のパーツ脱落で、再度のセーフティカー。23周からレースが再開されるとこの1、2周で31号車をはじめ、多くがピットイン。ここで作業時間が掛かってしまった31号車がトップ争いから脱落。そして、27周目に接触からクラッシュしたマシンが出て、3度目のセーフティカー。これが退去してからようやく全車のピットが終わる。ここでトップはタイヤ無交換のNo.5 マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号(坂口夏月/平木湧也)の阪口。だが夏のレースで無交換は厳しかったか、ペースが上がらずに後退。これでスタートは7番グリッドだったが2回目のセーフティカー後に素早いピットワークでポジションを上げてきていたNo.11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)の平中がトップへ。11号車はこのまま走りきってシーズン初勝利。「ピットインで順位を上げられたのが最大の勝因。ライバルも速くて厳しい戦いを覚悟していたのですが、予想が外れてしまいましたね」と自身も信じられないと平中は苦笑い。

 一方、2番手以降は激戦だった。56号車のデ・オリベイラ、No.55 ARTA NSX GT3(高木真一/大湯都史樹)の大湯、No.18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/松浦孝亮)らが僅差のバトル。この中で追突してしまった55号車と56号車が脱落して、2番手は18号車に。3番手争いも4台が絡む激戦だったが、残り15周時点で11番手だったNo.2 シンティアム・アップル・ロータス(加藤寛規/柳田真孝)の柳田が驚異の追い上げを見せて、3位表彰台に滑り込んだ。

 

   

 

GT300クラス 決勝結果
Po. No. Machine Driver Laps WH
1 11 GAINER TANAX GT-R 平中 克幸/安田 裕信 50 45
2 18 UPGARAGE NSX GT3 小林 崇志/松浦 孝亮 50 -
3 2 シンティアム・アップル・ロータス 加藤 寛規/柳田 真孝 50 60
予選ポールポジション : No.31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT/嵯峨 宏紀 1'58.189
決勝ファステストラップ : No.31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT/中山 友貴 2'00.817

>> 第3戦鈴鹿 リザルト

 

 

Round 4 FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE

ツインリンクもてぎ

LEON PYRAMID AMGがタイヤ無交換作戦を決めて逆転優勝!
JLOC ランボルギーニ GT3が2位でシーズン初表彰台に

公式予選:9月12日(土) 曇

決勝レース:9月13日(日) 曇

 第4戦の舞台はツインリンクもてぎ、このレースまで無観客での開催となった。予選Q1では前戦優勝のNo.11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)の安田が105kgのウェイトハンディで驚異のA組トップ。B組はNo.96 K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南)の阪口が1位で通過する。Q2では終盤で目まぐるしくトップが入れ替わる激戦に。2001年のGT300王者であるNo.360 RUNUP RIVAUX GT-R(青木孝行/柴田優作)の青木が、2009年以来のポールポジションを獲得した。

 決勝スタートでもNo.360 RUNUP RIVAUX GT-Rの青木は、2番手のNo.25 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)の松井、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)の山内を引き離す。前半にはセーフティカーが入るクラッシュもあったが、大きな変動はなく再スタートで360号車はもう一度引き離しに掛かる。ピットインでは、予選13位と失敗したNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)の菅波が10番手まで順位を上げて、タイヤ無交換作戦で蒲生をトップでコースに戻す。一方、360号車は順当にピットインをこなして、柴田が65号車を追う。後半にGT500マシンの接触から2度目のセーフティカー導入に。これで65号車の直後になった360号車に逆転のチャンスが。タイヤが厳しくなってきた65号車に迫る360号車だったが、残り4周でなんとガス欠となってストップ。これで楽になった65号車が逃げ切ってシーズン初勝利。無交換は「確認が十分とはいかなかったのですが、なんとか行けそうだと決断しました」と蒲生。でも「2回目のセーフティカーはさすがにドキドキしましたよ」と、こちらも大変だったようだ。

 2位には予選5位から上がってきたNo.88 JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が、3位にはシーズン2度目の表彰台となるNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が入った。

 

   

 

GT300クラス 決勝結果
Po. No. Machine Driver Laps WH
1 65 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥/菅波 冬悟 59 57
2 88 JLOC ランボルギーニ GT3 小暮 卓史/元嶋 佑弥 59 -
3 61 SUBARU BRZ R&D SPORT 井口 卓人/山内 英輝 59 69
予選ポールポジション : No.360 RUNUP RIVAUX GT-R/青木 孝行 1'48.546
決勝ファステストラップ : No.360 RUNUP RIVAUX GT-R/青木孝行 1'49.979

>> 第4戦もてぎ リザルト

 

 

 

※次回は「GT300クラス総集編その2:2020年の熱き全8戦、後半戦を振り返る」をお送りします。

 

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