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2021.01.08
【2020 シーズンプレイバック 第2回】GT300クラス総集編その2「2020年の熱き全8戦、後半戦を振り返る」

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No.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rがクラス初制覇!
同じ年間2勝もNo.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTがランキング2位
LEON PYRAMID AMGとARTA NSX GT3の王者チームは奪還に届かず

 

2020 AUTOBACS SUPER GTは、7月から5ヶ月で8戦の過密日程で行われた。だが、参戦の各チームは熱戦を繰り広げ、これまで以上に記憶に残る多くのシーンがあった。
第2回は「GT300総集編その2」として、GT300クラス全8戦の後半4戦をレビュー。

 

Round 5 たかのこのホテル FUJI GT300km RACE

富士スピードウェイ

終盤の逆転でリアライズ 日産自動車大学校 GT-RがGT300初勝利
前年王者のARTA NSX GT3が2位、前戦優勝のLEON PYRAMID AMGが3位に

公式予選:10月3日(土) 曇

決勝レース:10月4日(日) 曇

 シーズンの折り返しとなる第5戦は、三度目の開催となる富士に戻った。ここからは、限定ではあるが観客をサーキットに迎えてのレースとなった。予選Q1のA組はNo.31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)の中山が、B組はNo.55 ARTA NSX GT3(高木真一/大湯都史樹)の大湯がトップに。Q2ではNo.6 ADVICS muta MC86(阪口良平/小高一斗)の小高が、ルーキーにして第2戦に続く富士連続ポールポジションを掴む。

 決勝レースではスタート周にGT500クラス車両のアクシデントでセーフティカーがコースに入り、5周目からリスタートとなる。ポールポジションのNo.6 ADVICS muta MC86の阪口が逃げ、No.31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTの中山が追う。だが、予選7位からNo.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)の藤波が追い上げを見せ、15周目には6号車も抜いてトップを奪った。また開幕戦富士の勝者No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)の川合も予選5位から2番手に浮上してくる。所定のピットインを終えてレース後半になると、またもタイヤ無交換作戦を採った52号車の吉田がトップに立つ。これを4本交換の56号車のデ・オリベイラ、後輪2本交換の65号車が追う展開に。52号車は開幕戦の再現を狙ったが75kgのウェイトハンディもきつかったか、スピードに勝る56号車の猛追に9周も保たずに首位陥落。トップに立った56号車のデ・オリベイラが後続を寄せ付けずに、GT300クラスでは参戦2年目のチームに優勝をもたらした。2位には、やはりタイヤ4本を替えたNo.55 ARTA NSX GT3が入り、3位には65号車が2戦連続の表彰台に上がった。

 

 

   

 

GT300クラス 決勝結果
Po. No. Machine Driver Laps WH
1 56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R 藤波 清斗/J.P.デ・オリベイラ 62 48
2 55 ARTA NSX GT3 高木 真一/大湯 都史樹 62 57
3 65 LEON PYRAMID AMG 蒲生 尚弥/菅波 冬悟 62 100
予選ポールポジション : No.6 ADVICS muta MC86/小高 一斗 1'36.090
決勝ファステストラップ : No.360 RUNUP RIVAUX GT-R/青木孝行 1'38.313

>> 第5戦富士 リザルト

 

 

Round 6 FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE

鈴鹿サーキット

ピットインの好判断でHitotsuyama Audi R8 LMSが逆転勝利
ADVICS muta MC86とグッドスマイル 初音ミクが表彰台

公式予選:10月24日(土) 晴

決勝レース:10月25日(日) 晴

 第6戦はシーズン2回目となる鈴鹿サーキットで開催。コロナ禍で予定されていた国際大会が立て続けに中止となった鈴鹿のファンには、嬉しい20年初の“観戦できるビッグレース”だ。予選Q1のA組はNo.96 K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南)の新田、B組はNo.31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)の中山がトップで通過。Q2では、96号車の阪口が1分55秒838とコースレコード(1分55秒531)に迫るタイムでポールポジションを獲得。また、ウェイトハンディ100kgのNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)の山内が、予選2位に入る健闘をみせた。

 クラス先頭からスタートしたNo.96 K-tunes RC F GT3の新田はペースが良くなく、徐々に後退。代わってNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTの山内がトップで快走。これにNo.6 ADVICS muta MC86(阪口良平/小高一斗)の阪口、No.11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)の安田、No.21 Hitotsuyama Audi R8 LMS(川端伸太朗/近藤翼)の近藤が続いた。このレースでドライバー交替ができる17周目になると、まずは6号車と21号車、No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)らがピットイン。その中、ピットから出たばかりのNo.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)の川合がコースアウト。これでセーフティカーが導入されたことで、ここまでにピットインを済ませたマシンが優位になる。リスタート後に各車のピットインが終わると、トップの6号車小高を21号車の川端が追い上げる展開に。そして、6号車をかわした21号車がトップに立ち、そのまま逃げ切ってドライバー2人にとっては初優勝。チームも2016年以来の勝利に沸いた。「前戦の富士からうまく整合性が取れ始めたのかクルマの調子も良くなり、今回はすごくよくなった。最後は燃費がギリギリでハラハラドキドキしましたが、走りきることができてよかったです」と川端。2位には4号車のプレッシャーを直後に受けながら凌ぎきった6号車が滑り込み、4号車が3位となった。

 

   

 

GT300クラス 決勝結果
Po. No. Machine Driver Laps WH
1 21 Hitotsuyama Audi R8 LMS 川端 伸太朗/近藤 翼 49 27
2 6 ADVICS muta MC86 阪口 良平/小高 一斗 49 24
3 4 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口 信輝/片岡 龍也 49 30
予選ポールポジション : No.96 K-tunes RC F GT3/阪口 晴南 1'55.838
決勝ファステストラップ : No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT/山内英輝 1'59.589

>> 第6戦鈴鹿 リザルト

 

 

Round 7 FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE

ツインリンクもてぎ

リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rがシーズン2勝目を挙げる!
グッドスマイル 初音ミク AMGが連続の表彰台をゲット

公式予選:11月7日(土) 晴

決勝レース:11月8日(日) 晴

 例年ならツインリンクもてぎは最終戦で基本ハンディなしのレースだが、2020年の改定スケジュールでは第7戦でまだ50kg以上のウェイトハンディを背負うマシンが6台もある。その中で行われた予選Q1のA組ではNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)の井口、B組はNo.11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)の安田がトップに。一方、ランキングリーダーのNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)の菅波はQ1で10位敗退となった。Q2では61号車の山内が11号車の平中を抑えて、初のポールポジションを獲得した。

 決勝レースでは、ポールポジションNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTの山内を予選2位のNo.11 GAINER TANAX GT-Rの安田が追う、さらにNo.360 RUNUP RIVAUX GT-R(青木孝行/大滝拓也)の大滝、No.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)の藤波と続いた。上位で早めのピットインを行ったのは4号車と56号車、そして下位からジャンプアップを狙った65号車など。すると19周目にGT300クラスの1台がコース際でストップ。これでセーフティカーが導入され、ここまで上位でリードを広げていた61号車や11号車には裏目に出る。レースがリスタートするとトップは4号車の谷口だったが、このGT300王者をデ・オリベイラの56号車が追い上げていく。30〜31周目にはこの2台が随所でサイド・バイ・サイドの激戦を繰り広げていくが、マシンの仕上がりでは56号車が上だった。4号車をパスした56号車はそのままトップでゴールしてシーズン2勝目。ドライバーランキングでも最終戦を前にトップに上り詰めた。2位は連続表彰台の4号車、3位は第4戦もてぎでガス欠に泣いた360号車が入り、シーズン初の表彰台に上がった。

 

   

 

GT300クラス 決勝結果
Po. No. Machine Driver Laps WH
1 56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R 藤波 清斗/J.P.デ・オリベイラ 60 54
2 4 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口 信輝/片岡 龍也 60 32
3 360 RUNUP RIVAUX GT-R 青木 孝行/大滝 拓也 59 2
予選ポールポジション : No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT/山内 英輝 1'46.200
決勝ファステストラップ : No.11 GAINER TANAX GT-R/安田裕信 1'48.578

>> 第7戦もてぎ リザルト

 

 

Round 8 たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE

富士スピードウェイ

ポール・トゥ・ウインで埼玉トヨペットGB GR Supra GTがシーズン2勝目
2位に入ったリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが初チャンピオンに輝く!

公式予選:11月28日(土) 晴

決勝レース:11月29日(日) 曇

 シリーズの最終戦は4回目となる富士スピードウェイ。参戦する誰もが知るコースであるが、11月末の開催とあって低い路面温度からくるタイヤのグリップ低下に苦しむこととなる。最終戦ということで、全車がウェイトハンディなしで予選からアタック。Q1ではシーズンを通して速さが際だったマシンが活躍。A組はNo.11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)の平中が、B組はNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)の井口がトップで通過。Q2ではルーキーが見せてくれた。No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)の川合が、コースレコードとなる1分34秒665で自身初のポールポジションを掴んだ。一方で、No.55 ARTA NSX GT3(大湯都史樹/松下信治)はマシントラブルで予選を走れなかった。

 レースでは、タイトル獲得には勝つしかないNo.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTの川合とNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTの山内がスタート直後のTGRコーナーからバトルを開始。一時、61号車に先行されるもルーキー川合は負けじとトップを奪い返す。その後、川合は富士に相性の良いGR Supraの本領を十分に発揮して後続との差を広げていった。2度目のタイトルを狙うNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)も勝つしかないため、早めのピットインでタイヤ無交換に賭けて、エースの蒲生に託す。また3位でタイトル獲得となるNo.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)は予選7位から藤波が3番手まで上がってピットイン。その後、トップの52号車は勝った開幕戦と同様にタイヤ無交換でトップキープのまま吉田が走り出した。
 上位マシンのピットインが済むと、トップは52号車で2番手の65号車に35秒近いリードを築いて独走状態。一方、65号車はその背後にNo.6 ADVICS muta MC86(阪口良平/小高一斗)の小高と56号車のデ・オリベイラが迫ってくる。ペースの上がらない65号車は2台に抜かれてタイトルから遠ざかる。対して、56号車はこのまま52号車が勝っても問題ない3位に浮上。しかし、デ・オリベイラは手綱を緩めずに6号車を追撃して『もし接触したら…』と皆がハラハラする中、ついには6号車をもパスした。52号車は、川合のレース前半、ピットの作戦、吉田の後半と完璧に遂行してポール・トゥ・ウインで、最終戦をシーズン2勝目で締めくくる。「タイトルよりもこのレース(に勝ちたい)と思って臨みました」という吉田の言葉通りの完勝を素直に喜んだ。また、川合は「スタート直後の1コーナーで(61号車に)先行されて、取り戻すのにタイヤを余計に消耗させて反省しています」と完勝の中のワンミスを自ら挙げるルーキーらしい向上心をのぞかせていた。

 

   

 

GT300クラス 決勝結果
Po. No. Machine Driver Laps WH
1 52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田 広樹/川合 孝汰 61 -
2 56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R 藤波 清斗/J.P.デ・オリベイラ 60 -
3 6 ADVICS muta MC86 阪口 良平/小高 一斗 60 -
予選ポールポジション : No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT/川合 孝汰 1'34.665【コースレコード】
決勝ファステストラップ : No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT/川合孝汰 1'36.563

>> 第8戦富士 リザルト

 

 

 

 

※次回は「GT300クラス総集編その3:2020年チャンピオン“No.56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R”の軌跡」をお送りします。

 

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