3月7日、2021年SUPER GT公式テスト岡山の2日目(最終日)は青空が広がった岡山国際サーキットで行われた。開幕戦まで約1か月、岡山での走行はこの日限りで、残す公式テストは3月27、28日の富士のみ。各チームともに緊張感を保ちながら、精力的にテストのメニューを消化していった。
◎走行3回目(Session 3:2日目午前) 09:00~11:15
天候:晴れ/路面:ドライ
気温:4℃~8℃/路面温度:11℃~19℃
◎走行4回目(Session 4:2日目午後) 13:45~16:00
天候:曇り/路面:ドライ
気温:14℃~12℃~13℃/路面温度:22℃~24℃~22℃
低めの気温に終始した午前はGR Supraの39号車コバライネンが最速を記録
公式テスト岡山の2日目は、前日以上の好天となる。サーキット上空は雲ひとつない青空が広がっていたが、その一方で放射冷却のせいか、セッション開始時点の気温と路面温度は4℃/11℃とかなり低い。その後、強まる日差しで路面温度は午前のセッションが終了した11時15分で19℃まで上昇した。一方、気温はなかなか上昇せず、8℃でセッションを終えることになった。
午前9時にセッション3がスタートしたが、開始15分ほどで赤旗が提示されて走行が中断。No.5 マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号からパーツがコースに落下し、その回収が行われたのだ。そして9時20分に走行が再開されると、9時30分過ぎに予定通りSC(セーフティカー)訓練が行われた。各ドライバーとチームは改めて手順を確認しながら、訓練は整然と行われ、15分ほどで終了となる。この時点では、No.36 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔)の坪井が1分18秒473マークしていた。
セッション中盤になるとNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)のコバライネンが、1分18秒181まで詰めてトップタイムをマーク。No.37 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/阪口晴南)の平川や、No.12 カルソニック IMPUL GT-R(平峰一貴/松下信治)の松下がこれに迫るタイムをマークするが、No.1 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/武藤英紀)の山本が彼らを上回る1分18秒277で2番手となる。そのままトップ6には変動なく、午前のセッションは終了した。
開幕戦決勝を想定した午後はGR Supraの37号車とGT-Rの23号車が速さを示す
午後のセッション4は午後2時スタートだが、13時35分からスタート練習が行われた。前日のテスト1日目総合タイム順をスターティンググリッドに採用し、レース本番さながらに各クラス2番グリッド以下がスタート位置につく間を、両クラスのポールポジション(前日のトップタイム)のNo.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTとNo.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹)が最前列へと進むという進行を行った。さらに2周のフォーメーションラップを終えて走行を開始し、以後は通常のセッションとなる。
このセッションは通常の決勝レース時間に近いためか、各チームがレースを見据えたロングスティントの走行を繰り返すパターンとなった。走行開始わずか3周目にNo.37 KeePer TOM'S GR Supraの阪口が1分19秒224で、No.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)のクインタレッリが1分19秒317でトップ2となる。中盤にはNo.36 au TOM'S GR Supraを上回ったNo.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋)の宮田が3番手に浮上。結局これがそのままセッション4のトップ3になった。このセッションでは両クラスの全車が積極的に走行していたため、なかなかクリアラップを得ることは叶わず、また各車も予選のようなアタックはしなかったようで、ほとんどが午前のタイムを更新しなかった。
この日、午前と午後でTOYOTA GR Supra GT500がトップタイムをマークしたが、TOYOTA GAZOO Racing陣営で車両開発を統括するトヨタカスタマイジング&ディベロップメントTRD車両開発部の湯浅和基開発部長は「今回は、開幕戦に向けてのタイヤ選びと(それに合わせた)クルマのセットアップが主目的でした。我々としてはチームがテストメニューを消化できるよう、トラブルを出さないように、というのが大きな目的というか前提。それだけに、ここまでのところ大きなトラブルもなく、一安心ですね。それは皆さん(ライバルメーカー)一緒じゃないですか」とコメント。
そして、午前はNo.12 カルソニック IMPUL GT-Rが5番手タイム、午後はNo.23 MOTUL AUTECH GT-Rが2番手と、まずまずのNISSAN GT-R NISMO GT500陣営。NISSAN/NISMO総監督を務める松村基宏氏を尋ねると「開幕前の総括をするのはまだ早いですよ」と苦笑しながらも、「ここまで大きなトラブルもなく進めてこられたことはよかったです」とTGR陣営と同様に締めくくった。
GT300はグランシード ランボルギーニ GT3の坂口が最速!TOYOTA GR Supra勢も好調
GT300クラスでは、午前のセッション3でNo.87 グランシード ランボルギーニ GT3(松浦孝亮/坂口夏月)の坂口がマークした1分26秒138がこの日のトップタイムとなった。前日の両セッションでトップだったNo.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)は午前に4番手タイムを出すと、午後は決勝を見据えたタイヤのテストに専念して5番手。その午後のセッションでは今季からGR Supra GT300に車両を変更したNo.60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)が、吉本の出した1分26秒934でトップに立った。前日は初期トラブルに見舞われたが、面目躍如のスピードを見せた。
そして、GT500クラスでチャンピオン3回と活躍していた本山哲が再びステアリングを握ることで注目をされるNo.6 Team LeMans Audi R8 LMS(本山/片山義章)。現時点ではまだ一歩目で、プレイングマネージャーとしても奮戦中だ。走行中のマシンの中から無線でセットアップの指示を出し、ピットインするとすぐに対応させるという忙しいテストメニューを消化していた。
2日間にわたった公式テスト岡山を終え、次は27、28日の公式テスト富士だ。そして、その2週間後には、いよいよ岡山国際サーキットで2021年シーズン開幕戦がスタートする。2年ぶりになる岡山の熱戦に、ファンだけでなくドライバーやチームスタッフらも期待が高まっていることだろう。
ヘイキ・コバライネン(No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra)
今日は、午前のセッションでタイムを確認して、午後はロングランのチェックをしました。テストメニューをすべて消化できたのかは、ちょっと分からないけど、クルマのセットアップに関して良いアイデアを見つけることができて、充実したテストになったんじゃないかな。今日の結果で開幕戦のタイヤを決めることになるので、ある意味まだテストは終わってないかな。でもタイヤに対しての方向性は、はっきりしてきたよ。このトップタイムが、実際にはどんなレベルかは分からないけど、クルマのフィーリングも悪くなかったから、気持よく開幕を迎えられると思うよ。
坂口夏月(No.87 グランシード ランボルギーニ GT3)
去年まで乗っていたマザーシャシー車両とは(ランボルギーニは)ブレーキが大きく違っていますね。もっと奥まで攻めていける感じがあります。ここまで何度かテストをさせてもらっていて、最初の頃は(マシンに)少し戸惑いもありましたが、今日は完全にフィットできたと思います。昨日、松浦(孝亮)さんがセットを決めてくれたので、僕は今日、自分のドライビングに集中することができました。とても乗りやすくていい感じでした。タイムが出た周は、トップタイムが出たとは思わなかったけど、いいタイムが出たと実感できました。開幕戦から勝ちを狙っていけるのか、まだわからない部分もありますが、実績のある松浦さんから学んで、いいシーズンにしたいです。
4/13-14 | Round1 OKAYAMA | |
5/03-04 | Round2 FUJI | |
6/01-02 | Round3 SUZUKA | |
8/03-04 | Round4 FUJI | |
9/21-22 | Round6 SUGO | |
10/19-20 | Round7 AUTOPOLIS | |
11/02-03 | Round8 MOTEGI | |
12/07-08 | Round5 SUZUKA |