AUTOBACS SUPER GTの2021年開幕戦を2週間後に控えた3月27日、富士スピードウェイでは今季2度目の公式テストがスタートした。GT500クラスが今季参戦予定の全車15台と、GT300クラスは28台という計43台が参加して、開幕戦岡山(4月10、11日開催)と、ここ富士で行われる第2戦(5月3、4日開催)を想定したテストランを精力的に行った。
◎走行1回目(Session 1:1日目午前) 10:00~12:30
天候:曇り時々晴れ/路面:ドライ
気温:12~14℃/路面温度:24℃~30℃(共に開始から終了)
◎走行2回目(Session 2:1日目午後) 14:00~16:35(5分延長)
天候:曇り/路面:ドライ
気温:15℃~13℃/路面温度:26℃~27℃~21℃(共に開始から終了)
午前はGR Supra2台を終盤に上回ったMOTUL AUTECH GT-Rがトップに
当初スケジュールは午前と午後の各2時間の予定だったが、明日2日日が悪天候の予報となったため、明日午後の終了を1時間前倒しして、その分今日午前と午後の終了をそれぞれ30分ずつ延ばす形に変更された。また、2日目午前の終了後に予定されているスタート練習も「レインコンディション時は中止」と但し書きが付いた。
だが、テスト初日は暖かな陽射しに恵まれ、昼前は初夏を思わせる陽気となる。午前の走行開始での気温は12度、路面温度24度。その後、路面温度は30度まで上昇し、5月の第2戦のテストとしては格好のコンディションとなった。また、開幕戦岡山を前に最後の公式テストであり、前回の公式テスト岡山を満足に終えていないチームは、ここでしっかりと走りたいところだ。
午前のセッション1は2度の赤旗中断があった。開始45分の2度目の中断は、ヘアピンでNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)の平手とNo.6 Team LeMans Audi R8 LMS(本山哲/片山義章)の片山が接触。6号車は自力でピットに戻るが、3号車は左リア部分を壊して、キャリアカーでの回収となる。昼のインターバルで修復したものの「部品交換できるところはすべて交換して、きっちりチェックします」と田中利和監督が言うように、結局この後も午後の走行も見送りとなった。
午前の大半をNo.36 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔)の坪井とNo.37 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/阪口晴南)の平川が計時の1、2番を占めていたが、終盤の走行でNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)のクインタレッリが1分28秒192のトップタイムをマークした。3番手にはNo.12 カルソニック IMPUL GT-R(平峰一貴/松下信治)が続き、Honda NSX-GT勢ではNo.1 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/武藤英紀)が5番手タイムだった。
au TOM'S GR Supraがトップタイムもライバル2車種も5番手以内に並ぶ
午後2時からセッション2では、序盤No.1 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/武藤英紀)の山本が1分28秒431でトップにつけ、No.19 WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋)の宮田、No.38 ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明)の立川、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rの松田、No.17 Astemo NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)のバゲットが28秒台後半で続く。開始から30分ほど経ったところで、No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)の中山が1分28秒293を記録して1号車を抜いてトップとなり、これが混走時間でのベストタイムとなった。
混走時間の終了間近に19号車がコース外に出てストップ。これで赤旗となり、5分遅れで専有走行となった。これが開幕前最後の予選シミュレーションとなるからか、各ドライバーは本番さながらのタイムアタックを見せる。そして、これまでタイムが一気に書き換わっていく。ここでNo.36 au TOM'S GR Supraの坪井が1分27秒760をマーク。これが初日のトップタイムとなる。わずか0.189秒差でNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)の山下がつけ、昨季も富士で勝っているNo.17 Astemo NSX-GTのバゲットが3番手。ここでのタイムアップはならなかったコバライネンの39号車が4番手。5番手はNISSAN GT-R NISMO GT500勢の最上位、No.23 MOTUL AUTECH GT-Rのクインタレッリと、このセッションのトップ5を3車種が分け合う形となった。
またセッション2の走行後には、昨年のランキング順にダミーグリッドに並ぶところから始まり、フォーメーションラップ、そして隊列を組んでのスタート、1コーナーへと本番さながらのスタート練習が行われ、この日富士に来場したファンは早くも開幕戦、第2戦を思い描いていたようだ。
昨年チャンピオンが1日目ベストも大混戦を予感させる結果に
GT300クラスも午前と午後の、どちらも僅差のタイムに多数がひしめき合う状況だった。午前は昨季チャンピオンのNo.56 リアライズ日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)のデ・オリベイラが1分36秒476でトップに。そして2、3番手もNo.11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)、No.360 RUNUP RIVAUX GT-R(青木孝行/田中篤/内田優大)とGT-R GT3勢が並んだ。しかし、トップと同じ36秒台に6台、トップから1秒以内に17台という僅差のタイムが並んだ。午前の大半をミッショントラブルで走れなかったNo.35 arto RC F GT3(ショーン・ウォーキンショー/ジュリアーノ・アレジ)も、最後に4周を走行することができた。
午後の序盤は、No.18 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/名取鉄平)の小林が出した1分37秒072がトップ、No.88 JLOC ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が2番手となる。だが中盤に岡山のテストを欠場したNo.244 たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威/土屋武士)の堤が、午前の56号車のタイムこそ上回れなかったが1分36秒931で1番に上がり、これが午後のトップタイムとなる。専有時間はNo.30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(永井宏明/織戸学)の織戸とNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)の菅波が、4、5番手に上がったが、トップ3は変動がなかった。そして、午後もトップから1秒以内に21台がひしめく状況だった。
坪井翔(No.36 au TOM'S GR Supra)
午前はタイヤのチェックを繰り返して、本番に向けてタイヤ選択を進めました。途中で関口選手から交代して自分がドライブしました。GT300との混走だったのでトラフィックに引っかかってタイムは出せていませんでしたが、トラフィックがなければ十分なタイムが出せる手応えを感じました。午後は反対にロングランがメインです。トップタイムをマークしたのはGT500の専有走行で、ロングランの最初に出す一発タイムを確認するためのアタックで出したものです。他のチームがどんな条件で走っているのか分からないので、このタイムが絶対的なものだとは思っていません。でもトップタイムは嬉しいですし、36号車の記録に残るのでよかったです。GT500にステップアップして3シーズン目になりますが、まだ勝てていない。だから“まず1勝”が現実的な目標です。
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(No.56 リアライズ日産自動車大学校 GT-R)
朝からいっぱいテストしましたね。タイヤも、コンパウンドが違うものだけでなく構造違いのセットもテストしました。クルマのフィーリングはとてもよかったね。今回が開幕前最後のタイヤテストになるので、この結果にはとてもポジティブな気持ちになれます。だからと言って5月の富士で安心できるか、それは分かりませんよ。今日の温度レンジとは5月は違うだろうから。でもベースとなるセットは選ぶことはできたので、予想される温度レンジを想定して、何種類かを用意すると思います。ライバルがどんな条件で走っているか分からないので安心はできません。でもトップタイムを出せたことは、とても気持ちが良いです。チームの強さとドライバーの速さもアピールできましたからね。
4/13-14 | Round1 OKAYAMA | |
5/03-04 | Round2 FUJI | |
6/01-02 | Round3 SUZUKA | |
8/03-04 | Round4 FUJI | |
9/21-22 | Round6 SUGO | |
10/19-20 | Round7 AUTOPOLIS | |
11/02-03 | Round8 MOTEGI | |
12/07-08 | Round5 SUZUKA |