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2021.04.11
【GTA定例会見:Rd.1 岡山】坂東GTA代表がGT500規定や岡山戦のBoP、今後の感染防止対策などについて答える

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第1戦 岡山国際サーキット:GTA定例記者会見

SUPER GTを運営する株式会社GTアソシエイション(GTA)は、各大会において定例の記者会見を実施している。新型コロナウイルス感染症の影響によって昨年大会は開催が見送られ、岡山では2年ぶりのSUPER GTラウンドとなった2021年シーズン開幕戦の決勝レースを前に、坂東正明GTA代表が日本モータースポーツ記者会(JMS)の代表質問や取材記者の質問に回答した。

 

 

■現在のGT500の車両規定のベースとなっているCLASS1(クラスワン)規定について、DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)を運営しているITRとの間でGTAが進めているというライセンス契約についての状況をお聞かせください。

坂東代表:
CLASS1規定は我々GTAがITRと一緒に作り上げてきたものですが、DTMは今年から新しいカテゴリーの車両で行うことになり、この車両規定は我々のSUPER GTだけが運用していくことになりました。そこでGTAは、CLASS1規定についての知的財産権をITRから譲渡してもらうライセンス契約を結びました。ITRとは近いうちに改めて協議を持って話を取りまとめ、その後、本件についての正式な発表を行わせていただきます。

いずれにせよ、車両規定の内容は変わりませんが、CLASS1という名称は今後使用せず、「GT500車両規定」といった呼び方で運用していくことになります。

 

 

■今回の岡山大会において特別に行われたBoP(性能調整措置)の目的についてお聞かせください。

坂東代表:
昨シーズンの最終戦富士大会でGT500各車が見せていた強烈な速さからこの話が始まりました。あの速さが、オフシーズン中の開発を通してさらに引き上げられてくるのは明らかなことでした。コース幅もエスケープゾーンも広い富士スピードウェイのようなコースであればそのスピードでも安全性を確保できるキャパシティがありますが、この岡山国際サーキットのコース幅やエスケープゾーンでは難しいものがあると考えられました。そこで、GT500に参加されている自動車メーカー3社すべての賛同を得て、今大会ではエンジン出力を抑えることでスピードの抑制を図る目的で、燃料リストリクターを本来の95kg/hから90.2kg/hに絞ることにしたものです。したがって、コースレコードの更新などは期待できなくなりましたが、安全性の確保に勝るものはないので、そこはご了承いただきたいところです。

この特別性能調整措置は今大会に限ってのもので、次の第2戦富士以降のレースは本来の95kg/hに戻す予定です。たとえば、第5戦を開催するスポーツランドSUGOもコース幅やエスケープゾーンが広くはないコースですが、各車が搭載するサクセスウェイトが増えてスピードが落ちていく中で迎えるレースになるので、本来のサイズの燃料リストリクターでいけると考えています。

GT300車両とGT300MC(マザーシャシー)車両に採ったBoPも安全性を優先にした同様の考え方によるものです。ただし、車種バラエティに富んだGT300クラスでは、加速性能で速さを出している車両もあるので、リミッターでトップスピードを抑え込む方式が各車同様に効果を出すわけではないということから、ウェイトを搭載する方式でスピードの抑制を図っています。

 

 

 

 

■FIA(国際自動車連盟)はF1にバイオエタノール燃料を導入すると発表しています。また、アメリカのIMSAではDPiクラスにE20(20%エタノール含有ガソリン)の使用を義務づけたルールのもとですでにレースを行っています。こうしたカーボンニュートラルに向けた流れに対するSUPER GTの考えや取り組みを教えてください。

坂東代表:
GTAでは日本国内の燃料メーカーに問い合わせを行い、バイオエタノールを含有したE10やE20といった燃料の供給がすぐにでも可能であることは確認しています。ただし、現時点ではこうした燃料は高価で、そのまま導入するだけではエントラントの負担を増やしてしまうことになるので、こうした燃料をすぐに導入する考えはありません。

一方、GTAはカーボンニュートラル化とコストダウンを意識した新しいレギュレーションを2024年からSUPER GTに導入すべく、その具体的な内容をいろいろと検討中です。それはあくまで、進化するということを念頭に置いてのものです。具体的には、エンジンについてはより少ない燃料で走ることができ、長持ちするものにすること。タイヤについても同様に、より長い距離を走れるものにすることです。

例えばの話ですが、レースの前半3分の1でピットに入ってしまうと残りの3分の2の後半スティントを走り切れなくなるようなレース距離にすれば、予選とレースの前半3分の1まで持てばいいという考えでつくられるソフトなタイヤは自ずと使われなくなるわけで、それはより長持ちするタイヤを作るという進化にも、タイヤの数を減らすというカーボンニュートラル化とコストダウンにもつながります。

いずれにせよカーボンニュートラル化についてGTAとしては中長期的に確実な観点に立って、やれることからやっていきたいと思っています。
ちなみに、去年の最終戦で走らせたセーフティカーのGR Supraには、てんぷら油から作ったガソリンを入れて走らせる、というテストも行っています。こうした試みは今後もやっていく考えでいます。

 

 

■2021年シーズンが有観客開催でスタートしました。しかし、残念ながら現在もコロナ禍であり、パドックで活動できるのはPCR検査で陰性が確認された者のみで、ファンの方々やスポンサー関係者などはパドックまでは依然として入場できません。こうした状況の今後の見通しについてお聞かせください。

坂東代表:
我々GTAは新型コロナウイルス感染症拡大防止を図りながらのレース開催に向けて独自のロードマップを描き、独自のガイドラインを設けて昨シーズンからやってきています。それは、日本の他のレースのプロモーターが行っていない厳格さのものです。昨年9月にSUPER GTではパドック入場者への一斉のPCR検査を行いましたが、今シーズンも今回の岡山大会から少なくとも第3戦の鈴鹿大会までは、パドックに入る予定であるレース関係者やサーキット関係者全員へのPCR検査を毎戦事前に行い、陰性であることが確認された方々だけがレースウィークのパドックで活動できるようにしています。今回の岡山大会の前には、SUPER GT関係者が1943名、サーキットならびにサポートレースのPCCJ(ポルシェカレラカップジャパン)の関係者を含めるとトータル2844名の人々のPCR検査を実施しました。こうした取り組みのおかげで、SUPER GTで新型コロナウイルス感染症拡大を招くことは一切なく我々は昨シーズンから粛々とレースを開催し続けてきているわけです。こうした我々の動きは、日本のモータースポーツ業界に指針を示すものになっていると思っています。

パドックに入れるのは事前のPCR検査で陰性であることが確認された方のみとする方針は今後も当面は変えません。したがって、サーキットにご来場いただいているファンやスポンサー各社のゲストの方々には大変申し訳ないのですが、引き続きスタンド席やパドックとは導線が分けられたVIP席までとさせていただきます。我々は各地のサーキットでレースを開催するので、それぞれの地元の方たちに迷惑かけることは避けなければなりません。これは、我々はシリーズ全8戦を無事開催したい、レースを継続してやりたいという強い意志によるものです。

 

 

■デジタルコンテンツの拡充についての考えをお聞かせください。

坂東代表:
YouTubeや各種SNSなどを使って、より多くの人にSUPER GTを見えていただけるようにしていかなければならないという意識は強く持っています。その一環として、我々のシリーズパートナーの協力を得て、ヤフーのスポーツナビのアプリにSUPER GTのコンテンツを設けるなどの取り組みを始めています。

また、3月の富士での公式テストではオンボードカメラとして360度カメラを積んでみました。その映像を見るスマホの向きを変えればその向きに映像も切り替わる、というようなことができればという考えです。こうしたコンテンツを拡充していくことによって、サーキットに来ることができないファンの方々にはもちろん、サーキットに来ておられる入場者の方々にもSUPER GTをより一層楽しんでいただけるものにしていきたいと思っています。

 

 

 

 

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