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Race Report
2022.11.07
2022 AUTOBACS SUPER GT シリーズチャンピオン会見

2022 AUTOBACS SUPER GT シリーズチャンピオン会見の画像

第8戦 モビリティリゾートもてぎ:シリーズチャンピオン記者会見

GT500クラス

No.12 カルソニック IMPUL Z

 

平峰 一貴

「これから数週間かけていろんな実感が湧いてくると思う」

 まず、チャンピオンを獲ることができて、本当にうれしく思います。これからたぶん数週間かけていろんな実感が湧いてくると思うんです。僕をTEAM IMPULで使ってもらうようになって3年目。本当にチャンピオン獲りたいけどなかなか獲れないっていうシーズンが続いていました。毎年チームメイトも違ったりで、今年は(ベルトラン)バゲット選手が来てくれて、さらに僕を奮い立たせてくれるというか、バゲット選手からいろいろ学ぶことができてうれしく思いますし、バゲット選手の今日のスタートを見ていても、”ほんとに強いな”と思いました。(レースでは)ターン3などで19号車や17号車とバトルするシーンがあって、いつもギリギリの戦いをしてヒヤッとするんですが、それでも生き残ってポジションを死守して戦い抜いて、僕にバトンタッチしてくれるのでほんとにすごいドライバーだなって見て思っていました。今日もすごくそう思っていました。

 僕(が担当する)セカンドスティント……“40ラップぐらい行くからね”って前日から聞いていたんですが、まぁ長かったです。人生でこんな長い40ラップはないなっていうくらい(苦笑)長かったです。でも、うしろに17号車と3号車が来ているのを聞いて、とにかく僕のなかで戦っているのは17号車と3号車かなと今回は思っていました。ただ(17号車と3号車が)来ても、1ミリでも前に出られなければ、僕らがチャンピオンだっていうふうに思っていたので。とにかく”強い気持ちを持って最後まで戦い抜くぞ”ということを意識して戦っていました。

 最終的にチェカーを受けて、また勝手に涙が出て……。何年も前に自分が挫折した1年もあったんですけど、そこからここまで這い上がってくるまでに支えてもらったいろんな人たちの顔が浮かんで。ほんとに感謝、感謝です。そして僕を使ってくれているNISSAN、NISMO、そして星野(一義)監督に心から感謝しています。

 

 

 

 

ベルトラン・バゲット

「夢のようなシーズンを過ごすことができた」

 タイトルを手にすることができて本当にうれしいし、感謝の気持ちでいっぱいです。SUPER GT参戦9年目にして、ついに成し遂げたタイトルとなりました。参戦間もない頃は、本当にタフなことも多く、苦戦したのですが、Hondaでいろいろ勉強をさせてもらい、次第にタイトルに近づくようなシーズンも何度かありました。

 そして今年、チームインパルから参戦が決まり、NISSAN、NISMOの皆さんが迎え入れてくれました。そして監督の星野(一義)さんを筆頭に、すばらしいチームスタッフみんなで僕を鼓舞してくれて、奮闘するきっかけを与えてくれました。結果、いろんなことがうまく進んではいましたが、第2戦の富士ではちょっとペースを落とす感じになってしまったものの、常に上位争いができていました。これも、すべてチーム、ブリヂストンタイヤ、NISSAN、NISMO、そしてチームメイト(平峰一貴)のおかげです。夢のようなシーズンを過ごすことができました。

 今日のレースを振り返ると、本当にプレッシャーがとても大きく、一日がとても長く感じました。昨日の予選結果でも3位という良い結果を得て、タイトルに向けての最初のパートを構築することができたと思います。今日はタフなレースを戦い、チャンピオンになりました。“スーパー・スーパー・ハッピー”です。

 

 

 

 

星野一義 監督

「ドライバーふたりのパーフェクトなドライビングに感謝している」

 どうもありがとうございます。周りのいろんな人から(前回のチャンピオンから)27年(経った)と言われて、“そんなに前だったかな”と思いながら、今日もブリヂストンのタイヤ開発の方に大勢来ていただいて。その中でなかなかチャンピオンを獲れなくて、技術の方の目をまともに見ることができなくて、申し訳なくて。“今日は行けますね”、なんて言われると、今日はそういうコメントはナシにしてくれって(思っていた)。(チームの)みんなもドライバーに“がんばれ”とか言わないし、ごく普通に“じゃぁ行こうか”っていう感じで、全然プレッシャーを与えないようにやっていました。

 ふたり(のドライバー)を信頼しているし、マシンもそこそこいいし、タイヤの摩耗もチェックしているし、その点は心配なかったんですが、スタートを(ベルトラン)バゲットにして、セカンドを平峰にして……。両者ともそれぞれ特徴があり、ほとんど今年(他車と)絡んでなくて。バゲットがスタートして、平峰選手に“はい、どうぞ”とバトンタッチしてくれるような感じで、すごくいいドライバーなんです。去年のSUGO(第5戦)でも優勝できましたが、今年はチャンピオンを獲ろうという意識もすごく強くて。バゲットも乗れば乗るだけいいパフォーマンスを出してくれて。平峰に(バトンを)渡せば、(平峰も)ミスなく、GT300の(トラフィックも)クリアして。すごくそのへんは信頼していました。

 ただタイムを見ることによって、ものすごく僕のほうがイラついちゃったりするので。見るたびにコンマ1秒、コンマ2秒、セクター1、セクター2、セクター3といろいろタイムが広がったり縮まったりして、(レース中に)2回くらいトイレにも行ったのですが、“高橋(工場長)、お前、レース短くするように言ってこい”、なんてピットで勝手なことを言いながらね。ドライバーふたりのパーフェクトなドライビングには感謝しています。

 スタッフもこのレースだけじゃなく、毎回ピットイン、ピットアウトでトップ(クラス)の仕事をやっていて、高橋紳一郎(工場長)はじめいろんなスタッフの力、デザイナーの大駅(俊臣)、それから(テクニカルアドバイザーで息子の星野)一樹のいろんな計算……そういう意味ですごくチームが成長したと思います。成長していないのは僕だけですけど、これで来年はもう自宅にいて、優勝した報告だけしろっていうくらい、みんなが育っているし、がんばってくれています。

 一年、ほんとにありがとうございました。今年、“感謝、感謝、感謝”で、ドライバー、スタッフも全員に感謝をするなかで、チャンピオンを獲れてほんとに関係者の方も協力していただいて、ありがとうございます。スタッフにお礼をするつもりで、子供、奥さんから全員を呼んで、そこでみんなでお疲れ様でしたということをやって、忘年会をしようと思っています。もう頭の中では今年を振り返るよりも、来年のことでいっぱい。チーム力を上げようと思います。がんばります。

 

 

 

 

 

 

GT300クラス

No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R

 

藤波 清斗

「ちょっとした力の積み重ねで、もう1回、チャンピオンを獲りにいけた」

 まず今シーズンは開幕戦から優勝できて、そこからいきなり(サクセスウェイトを)60kg積んで、その後も増えていく一方で、ルール的にも1ポイント3kgということで非常にフラストレーションの溜まるレースが多くて、そのなかでもヨコハマタイヤさんをはじめ、チームのみなさん、近藤(真彦)監督も、条件が悪いなか、すごく必死に取り組んでくださって、これはもうドライバーとして“絶対に結果を出さなきゃ”という気持ちになりました。

 ずっとシリーズトップできていたので“このままいければ”と思っていたんですが、昨日の予選のSUBARUさん(61号車)のアクシデントを見た時に、こういうこともあるんだな、自分たちもいつこういうことになってもおかしくないなと、改めて気を引き締めていこうという気持ちになって今日に臨みました。

 スタートも順調にいっていて、JP(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)選手にバトンを渡したのですけれども……。JP選手が走っている時にまさかの(タイヤ脱輪)。今までタイヤが取れたことはなかったんですが、“ここで!?”って。そのアクデントがあって、“あぁ、もう戦線離脱かな”と思いました。近藤監督が言ってたように、自分も部屋に戻ったんですけど、でも、あと20周ちょっとあったし、“どこまでイケるのかな”というのもあったので、しっかり最後まで見届けたいなと思って、またピットに戻りました。そこからは神頼みじゃないですけど、本当に祈っていました。同じヨコハマタイヤ勢(のチーム)が本当に素晴らしいポテンシャルで追い上げてくれて、本当に助けていただいたなと。なんとか奇跡のチャンピオンを獲り戻すことができました。タイヤが取れた時にJP選手が必死に戻ってきてくれたので……、もしかしたらストップさせちゃうとか、本当にあり得たと思いますし、でもピットに戻ってきてくれて、タイヤもメカニックさんがしっかりスムーズに着けてくれて、またコースインできたので、そういうところのちょっとしたことかもしれないですけど、そういう力が、最後にもう一回、チャンピオンを獲りにいけたんじゃないかなと思いました。

 去年は悔しい思いをしたんですが、今年もう1回、チャンピオンを獲り返せて本当に嬉しいです。KONDO RACINGで走らせてもらって3年目のシーズンですが、近藤監督はじめチームメイトのJP選手、そしてエンジニアの米林(慎一)さん、メカニックのみなさん、本当にまとまったチームで、安心して信頼して1年間、今シーズンも走れたので本当に感謝しています。本当にありがとうございました。

 

 

 

 

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ

「チャンピオンになったと分かってもなんだか妙な感じだった」

 あまりにもいろんなことが僕らの身に起こり、まるでジェットコースターに乗っているかのようなレースでした。レース中の突然のトラブル(タイヤ脱輪)もあって、僕自身がコントロールできない事態になってしまったのですが、とにかくなんとかピットに自力で戻ることだけを目指しました。その後はセーフティカーが出るような展開を願っていました。もしそうなれば、ポジション回復も可能になると思ったからです。とにかく最後までそうなることを願って走るだけでした。

 チェッカーまで残り20周くらいの時点からチームと(無線で)コンタクトを取っていなかったし、ただクルマをドライブしてレースを終えることだけに集中していました。なので、チャンピオンシップの状況はなにも分からなかったんです。最終ラップを終えてチェッカーを受けて1コーナーに進入したところで、エンジニアから『20位でレースが終わったよ(正式リザルトは19位)』と聞いて。それから3秒ほど置いて、『僕ら、チャンピオンだよ!』と言われ……(笑)。最終ラップですら状況が分からなかったので、チャンピオンになったと分かってもなんだか妙な感じでしたね。どういう反応をすればいいか分からなかったのに涙が出てきて……、泣いていました。

 今シーズンを振り返ると、僕らは強い戦いをしてきました。タイトルを手にするためにベストも尽くしてきました。ときにレースでは今日のような展開もあり得ます。ただ、僕らを見守る星がひとつあったおかげで、また2年ぶりにチャンピオンになることができました。とても嬉しいです。

 

 

 

 

近藤真彦 監督

「レースの魅力を改めて肌で感じた」

 今日はありがとうございました。振り返ってみると、昨日の予選でSUBARU(61号車)がクラッシュした。その時に僕、はっきり言って全然喜べなくて。2.5点ポイント差しかなかった。SUBARUの前でゴールすればウチがチャンピオンだと思っていたので……。なんか、うん、本当に喜べなかったですね。

 レースをやってきて、2020年にチャンピオンを獲って、2021年はシリーズ2位で終わって、今年またチャンピオンに返り咲きました。このふたりのドライバーがいれば、間違いなくチャンピオンになれると思って、一昨日乗り込んだし、自信はあったので、ライバル勢のクラッシュは残念に思っていたところでした。その時、“明日は我が身”だと思っていたんですが、レース中、やっぱり“明日は我が身”でとんでもないことが起きてしまって、いきなり天国から地獄に落ちました。(あのアクシデントの後)ひとりぼっちになって部屋に戻って、“こんなこともあるかな、これがレースかな”なんて思いながら、でも“俺はいろんなチームにトラブルにあっても喜ばなかったしな”って思ったんですよね。でも、ひょっとしたら“僕らに起きたトラブルを喜んでいるチームもいるのかな”とか、すごく複雑なことを考えながらピットに戻ったら、今度は同じタイヤの開発を一生懸命がんばっているヨコハマ(タイヤ)勢のGT300がよその(タイヤ)メーカーのGT300をぐいぐい抜いていって、自分たちのポイントを少しずつ上げていってくれて……それでチャンピオンまで導いてくれたというストーリーがあったので、“やっぱりレースは自分たち1チームだけでやっていないな”って、今日のレースで改めて感じました。レースの魅力を改めて肌で感じました。

 GT500でチャンピオンを獲るというのは大変なんですが、本当にそれと同等、もしくはそれ以上に今のGT300でチャンピオンを獲ることって難しいことだと思います。ライバルもたくさんいますしね。でも、このふたりのドライバーが一生懸命がんばって、チームもがんばって、ヨコハマタイヤもがんばってくれているので、来年もまたGT300でチャンピオンを目指して、そしてGT500でも星野(一義)さんのチーム(今季GT500チャンピオンのTEAM IMPUL)のように強くなって、チャンピオンを目指してがんばっていきたいなと思います。今年1年、ありがとうございました。

 新型コロナ禍でいろいろとパドックだったり、客席の動きがいろいろ規制されていたピークをちょっと過ぎて、少しだけお客さんとの接触ができるような1年になったということに対し、まず一番に、GTAさん、各メーカーさん、そしてファンの方にお礼を言いたいと思います。本当にそれで僕らが伸び伸びとレースができるようになりました。チャンピオンを獲れたことは非常に嬉しいですが、さっき(のグランドフィナーレ)の台の上でも言いましたが、SUPER GTには立派なチームが揃っていて、(そのなかで自分たちが)いいパフォーマンスを発揮できるということで、来年も引き続き、このままがんばっていければなと思います。

 最後にですが。平峰(一貴/GT500チャンピオンとして会見に同席中)が今いろいろ偉そうに言っていますけど、アイツを育てたのはウチなんで(笑)。(ベルトラン)バゲットは別のメーカーにいたのでちょっと距離はありしたが、でも本当に、平峰はウチにいて、星野さんのとこに預かってもらってチャンピオンを獲れたっていうことは、本当に自分のことのように嬉しいです。というわけで、平峰くん、よろしく!(笑)  今年1年、本当にありがとうございました! 来年もがんばります!!

 

 

 

 

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