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2022.11.07
2023年から使用予定のカーボンニュートラルフューエルの走行テストを実施、ドライバーからも好意的な意見が寄せられる。

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 2022 SUPER GT 第8戦から一夜明けた11月7日(月)、引き続きモビリティリゾートもてぎ(栃木県)で、2023年の導入を予定しているカーボンニュートラルフューエル(CNF)を用いたテストが行なわれた。

 SUPER GTでは、2030年までにシリーズ全体のCO2排出量半減を目指した環境対応ロードマップ『SUPER GT Green Project 2030』を発表しており、シリーズ全体のカーボンニュートラル(CN)化を推進していく。2023年からは全車両でのCNF(バイオマス由来の非化石燃料)導入を予定しており、今回のテストはそのために全車両がドイツのハルターマン・カーレス社製の『GTA R100』というCNF燃料を使用して走行し、これまで使用してきた通常のガソリンとの比較も行なわれた。

 

 

 

■CNFテストの状況

 この日も朝から快晴に恵まれ、GT500クラスでは13台(No.12 カルソニックIMPUL ZとNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zは欠席)がこの日のテストに参加した。またGT300クラスでは、10台がテストに参加予定だったが、第8戦の決勝レースで車両を壊したNo.30 apr GR86 GTは車両を修復して午前のセッション終盤に走行を開始したが、修復が出来なかったNo.25 HOPPY Schatz GR Supraは不参加となり、9台の走行となった。

 午前のセッションは、1分37秒285を記録したNo.23 MOTUL AUTECH ZがGT500クラスのトップタイムに。2番手には1分37秒348をマークしたNo.100 STANLEY NSX-GT、3番手にはNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zがつけた。4、5番手はNo.17 Astemo NSX-GT、No.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTで、6番手がNo.14 ENEOS X PRIME GR Supraとなった。

 

   

 

   

 

 

 GT300クラスのトップは、No.11 GAINER TANAX GT-R(ドライブは10号車の富田竜一郎)で1分46秒827を記録だったが、これは通常燃料でのタイムだ。2番手にはNo.65 LEON PYRAMID AMGが1分47秒045で、3番手にはNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTが続いた。

 午前の走行後には、元SUPER GTドライバーである山本左近衆議院議員が、自由民主党モータースポーツ議員連盟とともに各メーカーのピットを訪れ、SUPER GTのカーボンニュートラルフューエル挑戦やCNF使用状況について意見交換を行なっていた。

 

   

 

 

 午後の走行では、GT500クラスが引き続き13台で、GT300クラスは11号車とNo.65 LEON PYRAMID AMGが走行せず、7台での走行となった。やや雲は増えたものの、変わらず晴天の下で周回が重ねられ、各チームに供給された規定のCNF燃料を使用したチームは、通常のガソリンも使用しながら午後4時までテストメニューをこなした。

 ここではNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Zが1分37秒453でトップタイム。2、3番手はNo.17 Astemo NSX-GTが1分37秒710、No.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが1分37秒943。4、5番手はNo.23 MOTUL AUTECH ZとNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supraとなった。

 GT300クラスのトップタイムはNo.7 Studie BMW M4の1分46秒766。2、3番手は1分47秒393を記録したNo.20 シェイドレーシング GR86 GTが、1分47秒682のNo.2 muta Racing GR86 GTだった。

 

   

 

   

 

 

■CNFテスト参加のドライバーコメント

 

ロニー・クインタレッリ(No.23 MOTUL AUTECH Z)

「正直、カーボンニュートラルフューエルについては違和感がなかったです。GT500車両のエンジンはさまざまな技術が入っている“攻めた(作りの)エンジン”ですが、燃料を変えることで変化があるかと思いましたが、言われなければ分からないくらいです。もちろん、慎重なマッピング(燃料の噴射量プログラム)にしていますが、僕たちドライバーが求める加速のレスポンスも違和感はありませんでした。“すごいな”と思いました。NISMOはベンチテストを行なってきましたし、今年のスーパー耐久でもカーボンニュートラルフューエルを使ったので、そういったデータも活かされていると思います」

 

笹原右京(No.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT)

「現段階では調整がパーフェクトではないと思うので、パワーの面では少し通常の燃料より減っている感じがありました。しかし思った以上に自然ですね。もちろんまだ取り組まなければいけないことも多いです。あとは匂いが少し感じますね……。初めてだからかもしれませんが、ピット内では他車の排気が気になりました」

 

石浦宏明(No.38 ZENT CERUMO GR Supra)

「走り出しは慎重に行なっていましたが、特に違和感はありませんでした。最初はパワーを抑えていたので、昨日の決勝よりもシフトアップのポイントが奥だな……という感じたくらいで、その後はまったく違和感なく走ることができています。カーボンニュートラルフューエルのテストという感じがしないくらいです(笑)。事前にベンチテストで調整してくれているので、ドライバビリティも問題がありませんでした」

 

吉田広樹(No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT)

「走り出しはエンジンの性能を落としながら、少しずつ出力を上げつつ走っていきましたが、最終的にカーボンニュートラルフューエルを使っていても、まったく違和感なく走ることができました。車両の他の部分にも影響はありませんでしたね。走行中、他車の排気の臭いが少し今までと違うのは少し気になりました」

 

井口卓人(No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT)

「以前、(別カテゴリーで)一度テストを行なったことがあるのですが、その時も同様で、カーボンニュートラルフューエルを使って変わったかと言われても分からないくらいです。パワーでロスしている印象もありません。ひょっとすると燃費は変わるかもしれませんが、本番までに(メーカーとチームが)調整してくれると思っています」

 

富田竜一郎(No.11 GAINER TANAX GT-R)

「大きな違和感はなかったのですが、若干のパワーダウン、フィーリングの悪化がありました。高回転の伸びが少しありませんでしたね。またターボエンジンなのでシフトアップのたびにアフターファイアはするのですが、その量が大きくなったように感じます。ただ、何も知らずに乗っていたら『今日のエンジン調子悪いかな』と感じる程度の差です。今までの燃料の時とタイムも少し差がありました」

 

荒聖治(No.7 Studie BMW M4)

「コクピット内の導風を調整してみたりもしましたが、(排気の)匂いが気になりました。あと昨日(第8戦のレース)に比べると中間の加速のパワー感が減っています。今後合わせ込みをしていけば変わっていくでしょうし、今もドイツ(BMW)ともやり取りをしているので、セッティングしていけば良くなっていくと思っています。ただ他にトラブルが出たということはありませんでしたね」

 

 

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